形・見かけのいろいろ
多肉植物の姿や形は本当に色々あります。多肉植物は一つの科ではなく、ベンケイソウ科やキク科やシソ科まで実に50以上のたくさんの科(グループ)にまたがっているためでしょう。ウリ科ならかぼちゃやキュウリ、ニガウリが似ているが、多肉植物はその「科」が色々だから様々な姿になってしまうのも無理はありません。それではどんなふうに多肉植物を便宜上分けることが出来るか、それは育ち方や草姿です。
草姿のタイプ
多肉植物は科や属を超えてしまっているので、すべてを分類することができません。そのため「草姿」で分けます。その分け方も栽培家によって異なるのでこれが正しいという基準はありません。あくまでも参考になる程度です。
分け方その1(参考NHK趣味のガーデニング)
属ごとではなく、1つ1つの種類ごとに分けています。
1.群生するタイプ
2.立ち上がりながら群生するタイプ
3.垂れ下がりながら群生するタイプ
4.横に育つタイプ
5.立てに育つタイプ
6.分岐して茂るタイプ
1.群生するタイプ
平面的に横に広がりながら育つタイプ。
(例)月兎耳、福兎耳
2.立ち上がりながら群生するタイプ
横に広がらせながら縦にも成長していくタイプ。
(例)虹の玉、火祭り
3.垂れ下がりながら群生するタイプ
横に広がりながら下に垂れるように成長していくタイプ。
(例)新玉つづり、グリーンネックレス、ハートカズラ
4.横に育つタイプ
それ自体が大きく育つタイプ。
(例)リラシナ
5.縦に育つタイプ
群生せず、それ自体が上に伸びていくタイプ。
(例)アエオニウムの多く
6.分岐して茂るタイプ
それ自体が上に伸び、分岐していくタイプ。
(例)金のなる木、胡蝶の舞
分け方その2(参考:国際多肉植物協会)
属ごとにおおまかに分けています。
1.花のようなロゼットタイプ
2.葉が連なるこんもりタイプ
3.上に伸びる木立性タイプ
4.葉がユニークな個性派タイプ
5.シャープなトゲがあるタイプ
1.花のようなロゼットタイプ
エケベリア、グラプトペタルム、センペルビブム
2.葉が連なるこんもりタイプ
アドロミスクス、オロスタキス、クラッスラ、セダム、ダドレア、パキフィツム
3.上に伸びる木立性タイプ
アエオニウム、アロエ、カランコエ、コチレドン、コーデックス
4.葉がユニークな個性派タイプ
ガステリア、コノフィツム、リトープス、セネキオ、スタペリア、フェルニア、ハオルシア
5.シャープなトゲがあるタイプ
アガベ、サボテン、ユーフォルビア
多肉植物の科と属
多肉植物は「多肉植物属」や「多肉植物科」というものがあるわけではありません。色々な科にまたがって水をため込み乾燥に耐えるようになった品種1つ1つの寄せ集めのようなものです。
たとえばキク科の中のセネシオ属は多肉化した品種と多肉化していない品種があります。キク科セネシオ属の「シロタエギク」は多肉化していない普通の植物です。一方キク科セネシオ属の「銀月」は水をため込み乾燥に耐える多肉化した品種です。
それでは多肉植物はどのくらいの広がりがあるのでしょうか・・それはなんと50科以上にものぼります。
多肉植物百科(世界の多肉植物 3070種)で科を数えてみました。56科もありました。食物でなじみのあるウリ科やマメ科、ブドウ科などにも多肉化した品種があることが分かりました。
- ハマミズナ科(メセン類)
- ヒガンバナ科
- ウルシ科
- キョウチクトウ科(旧ガガイモ科を含む)
- サトイモ科
- ウコギ科(アラリア科)
- キジカクシ科
- ツルボラン科(ススキノキ科)
- キク科
- ツリフネソウ科
- ツルムラサキ科(バセラ科)
- シュウカイドウ科(ベゴニア科)
- パイナップル科
- カンラン科(ブルセラ科)
- キキョウ科
- パパイヤ科
- ナデシコ科(カヨフィラ科)
- ツユクサ科
- ヒルガオ科
- ベンケイソウ科
- ウリ科
- ソテツ科
- ディディエレア科
- ヤマノイモ科
- トウダイグサ科
- マメ科
- フォークイエリア科
- フウロソウ科
- イワタバコ科
- ヘルナンディア科(ハスノハギリ科)
- キンバイザサ科(ヒボキダ科)
- クロタキカズラ科(イカシナ科)
- シソ科
- アオイ科
- センダン科(メリア科)
- ツヅラフジ科(メニスベルマ科)
- クワ科
- ワサビノキ科
- オシロイバナ科
- ラン科
- カタバミ科
- トケイソウ科
- ゴマ科
- ペリプロカ科
- ヤマゴボウ科
- コショウ科
- スベリフユ科
- アカネ科
- ムクロジ科
- ハゼラン科
- イラクサ科
- ベロジア科
- ブドウ科
- ウエルウィッチ科
- ススキノキ科
- ザミア科
私たちになじみがあるコチレドン属やクラッスラ属、ダドレア属、エケベリア属、グラプトペタルム属、カランコエ属、オロスタキス属、パキフィツム属、セダム属などはすべて「ベンケイソウ科」という1科の中の属(グループ)です。いかに多肉植物が多様に世界に広がっているかが分かりますね。