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サボテンの置き場所の基本・季節ごとの環境作り

サボテンを室内においておけない理由、サボテンの置き場所の基本、季節ごとの実際の置き場所、簡易ビニール温室と遮光環境についてを解説しています。

サボテンは外で育てる

柱サボテン 上帝閣(ジョウテイカク)Pachycereus schottii
画像出典:Wikipediaより引用

サボテンはインテリアなどとして室内に置くイメージがありますが、実はサボテンにはたくさんの日光が必要です。それは自生地での姿からみても分かるとおり、多くの種類は乾燥した地で強い日差しを浴び続けています。

サボテンを室内に置いていると、日光不足になり光合成できなくなり、それが長期間続くと徐々に枯れてしまいます。そのため寒い時期以外は戸外で栽培し、冬の間は日のよく当たる窓辺に置くのが基本です。

置き場所は水やりと同じくらい大切で、枯らしてしまう原因ともなっています。そこで一年間を通した置き場所の工夫を体得することがとても大切になってきます。

置き場所の基本

置き場所の基本は大きく分けて以下の4つです。

  1. 雨よけがある所
  2. 日当たりの良い所
  3. 風通しの良いところ
  4. 温度差が大きい所

雨よけがある所

軒下

サボテンを育てるには雨よけがある所に置きましょう。

ほとんどのサボテンの原産地は日本の降水量の10分の1以下と雨が少ない所です。そのため他の植物のように雨ざらしで育てるのはほとんど不可能です。

そのため簡易ビニール温室に入れたり、軒下に置いたり、駐車場の屋根がある所に置いたりして雨がかからないようにします。

日当たりのよい所

直射日光

基本的にはサボテンは日当たりの良い所に置きます。

日当たりの良い所に置くことで、株が強健に育ち病気にかかりにくく徒長を起こさず腐りにくくなります。

しかし一年中日当たりの良い所に置くわけでは無く、真夏は直射日光が強すぎるため、半日陰に移動させたり日よけ(遮光)が必要なことが多いです。

またサボテンのグループによっては自生地で球体の半分が土に埋まって育つもの、森の中で岩や木に着生して育つなど、強い日差しを苦手とするものもあります。その場合は夏以外の春や秋でも日よけを行う必要があります。

風通しの良い所

風通し 置き場所

風通しの良いところに置くこともとても大切です。

サボテンは極度に乾燥して風がよく吹く所に育つ種類が多いです。そのため日本の環境は湿度が高く蒸れて腐りやすくなっています。そこで大切なのが風通しです。常に風が吹くことで自生地の環境に近づけ、カビや腐敗、病気などになりにくくなります。

戸外で栽培する場合は風が適度に吹くため、特段気をつけることはありません。

問題は冬室内に入れている間や、夏場に遮光ネットや防虫ネットをかけている間です。室内では風が吹かず蒸れからカビが出ることがあります。また夏場、遮光ネットや防虫ネットをかけている間も風通しが遮られて蒸れて腐りがちです。

温度差が大きい所

高温 夏越し

サボテンは昼夜の温度差が大きい所で良く育ちます。

自生地では昼間は40℃近くまで高温になる一方、夜は冷え込み15℃程度まで下がります。この激しい温度差が立派な棘を生み出すとされています。そのため、日本でも昼には暖かく、夜には適度な温度まで下げることが大切です。

しかし日本の夏は自生地と異なり夜温があまり下がりません。近年の猛暑のように熱帯夜(最低気温が25℃を下回らない)が続きます。そうするとサボテンの生育も緩慢になります。

そのため、(夏は半休眠させ)春・秋に簡易ビニール温室内で昼間高温にし、夜には15℃程度に低下させることで、春秋に良く成長させる方法がとられます。

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季節ごとの置き場所

サボテン

春(3~5月)

春(3~5月)はサボテンが一番成長する時期です。

種類によりますが、最低温度が5℃を切らなくなった3月初め頃から戸外に出し始め、直射日光の当たる日なたで栽培します。3~4月は一部の種類を除いて遮光の必要はありません。5月中旬になったら日差しが強くなるため、22%程度の遮光を行います。

外では雨の当たらない簡易ビニール温室などで、窓を全開にして風通しを確保します。窓を開けていても昼間の簡易ビニール温室内は30~40℃近くになります。一転して夜は15℃程度まで冷え込みます。この差がサボテンの育み立派なトゲを作ります。

夏(6~9月)

夏(6~9月)は夜の気温が熱すぎてサボテンの成長はやや鈍る時期です。

種類によりますが、多くは30%遮光~半日陰(50%遮光ネットをかける)の環境にします。森林性サボテンや、やわらかな日差しを好むアリオカルプス属やアストロフィツム属などはしっかり50%遮光を行います。

雨が当たらないようにし、特に梅雨時や集中豪雨の多発する時期は雨が吹き込まないように気をつけます。またカビが出やすいので通気を心がけます。

簡易ビニール温室の窓は常に全開にしておき、熱がこもらないようにします。できる限り夜は20℃以下の所に置きたいですが、冷房でもかからない限り無理なので、そのまま過ごさせます。その代わり水をほとんど与えず強制的に休眠させるようにします。

秋(10~11月)

秋(10~11月)は春に次いでよく生育する時期です。

10月中旬まではまだまだ日差しが強いので、種類によりますが30%~50%程度の遮光ネットをかけます。11月からは気温も下がり日差しも弱くなるので遮光が不要になります。

この時期も雨が当たらないように気をつけ、特に関西以北では秋の長雨に気をつけます。九州では台風の被害や雨の吹き込みに気をつけて、窓を閉めるなど工夫します。

11月末には気温が10℃ほどに下がる地域もあります。この場合、夜だけ簡易ビニール温室の窓を閉めます。昼間は簡易ビニール温室内が30℃以上になるので、夜と昼の温度差が生まれ、サボテンがよく成長します。

冬(12~2月)

冬(12~2月)は寒さで生育が止まる休眠期です。

種類により最低越冬温度の3~5℃を切ったら、室内のできるだけ明るい窓辺に取り込みます。冬の間は日差しが弱く日照時間も短いので、なるべく日に当てるようにします。もちろん遮光の必要はありません。

室内ではサボテンが春と間違えないように温度の上げすぎ、乾燥しすぎに注意し水もほとんどやりません。

なお、寒冷地では冬の扱い(5℃以下)は11月~3月となるので、それに合わせて置き場所も変更します。

簡易ビニール温室の使い方と遮光環境

簡易ビニール温室の役目

遮光ネット

冷暖房器具のない簡易ビニール温室は、保温機能はほぼないため、冬の寒さ対策効果はありません。

それでは何のために使うのかというと、主に雨よけ、そして春・秋の昼間の温度を上げるために使います。

サボテンは雨ざらしにすることができません。そのため雨をよけるために、窓がついている簡易ビニール温室がとても便利です。台風が来たり大雨が降るときは窓を閉め、それ以外の時は窓を全開にしておくことで、通気をよくしながら雨から守ることができます。

また春・秋には簡易ビニール温室内が気温より上がり30~40℃になります。夜は保温性がないため15~20℃の気温に戻ります。簡易ビニール温室無いではこの差を作り出せるため、サボテンをよく成長させることができます。

使い方

通常簡易ビニール温室は開けて使います。

閉じるときは、大雨の時、台風の時、風が強い時などです。そして秋~春に5℃~10℃で室内に入れる前に寒さから守るために夜のみ閉じるという使い方もあります。

冬でも暖かい昼間は閉じっぱなしだと30℃を超えることがあるので、その場合は開けて使います。

また簡易ビニール温室は保温効果はほとんど期待できませんが、寒風から守る、雪がかからないようにするなどの効果はあるので、冬に単に戸外に置いておくよりは、簡易ビニール温室内で栽培するほうがずっとよいです。

遮光環境の作り方

遮光・日よけ

簡易ビニール温室では簡単に遮光を行うことができます。

春~秋に簡易ビニール温室の天井や前部、側面などに遮光ネットを貼り付けることで強すぎる日差しの量を調節することができます。

また遮光ネットは遮光率が22%、50%、70%など種類がいくつかあります。これを季節に応じて張り替えることで最適な日光量に調節することができます。

サボテンには日差しに強いものと弱いものがありますが、概ね以下の2パターンに考えると良いと思います。

遮光率 普通のもの 弱いもの
1月 0% 0%
2月 0% 0%
3月 0% 0%
4月 0% 30%
5月 22% 50%
6月 30~40% 50%
7月 30~40% 50%
8月 30~40% 50%
9月 30~40% 50%
10月 22% 30%
11月 0% 0%
12月 0% 0%

適切な日光量を見極めるポイント

上の表の遮光率はあくまで目安です。遮光率は栽培する地域や株のサイズなどによっても異なります。

それでは適切な日光量はどのように探っていくかですが、実際に置いてみて肌が茶色っぽくなるようであれば日差しの強すぎを表しています。逆に緑が薄くとげの間隔が広がり気味であれば、日差しが弱いことを表しています。

また、冬の間室内に置いていて急に戸外に出すと、茎がヤケドをする日焼けを起こしてしまうことがあります。そのため、戸外に置くときは遮光ネットをかけるなどして徐々に慣らすようにしていきます。

その他注意するべき点

栽培環境作りに当たっては他にもいくつか注意点があります。

コンクリートの上に直に置かない
まずマンションのベランダなど、コンクリートの上には直接置かないようにします。これは夏場コンクリートが熱くなり株が焼けてしまうためで、簡易ビニール温室を入れたり、台を置いてその上に鉢を並べたり、人工芝を敷いたりします。

土の上に直接置かない
コンクリートでない場合も、必ず台や簡易ビニール温室など高い所に置くようにします。これは泥はねを防ぐほか、害虫が這い上がってきてしまうのを防ぐためです。

なるべく大きな簡易ビニール温室を選ぶ
簡易ビニール温室は小さいものほど温度の上下が激しくなるため、安定した環境にするためにはできるだけ容量が大きいものがよいです。

南向きに置く
鉢や簡易ビニール温室は南側向きに置くのがベストです。北側は日が当たりませんし、西側は西日が強すぎます。また東側午前中しか日が当たりませんが、西側よりは良いです。

室内では4時間以上日が当たる所に置く
冬場、室内にサボテンを入れるときはできるだけ1日4時間以上日の当たる所に置きましょう。それ以下になってしまうと、光合成ができず弱るほか、徒長してヒョロヒョロになってしまうことがあります。

冬の夜間は窓辺に置かない
冬は室内に入れていると思いますが、冬の夜間は窓際がかなり寒くなります。特に寒冷地では、窓辺から離して室内の真ん中などに寄せた方が安全です。