スポンサーリンク

サボテンの植え替え方法(鉢増し・植え替え)

サボテンの植え替え作業について、なぜ行わなければいけないのか、どんな効果があるのか、実際の作業方法などについて解説しています。

植え替え作業とは

植え替え

植え替え作業とは、鉢植えされている植物に定期的に行うメンテナンス作業のことです。

鉢に植えている植物は地植えの植物と異なり土の量、根の張れるスペース、栄養などに限りがありそのまま育てていると「根詰まり」と呼ばれる現象を起こします。根詰まりは鉢の中で根が一杯になってこれ以上伸びることができなくなる現象で、こうなると植物は成長できなくなってしまいます。

植え替え作業では、こうした根詰まりを解消するのと同時に古く硬くなった土を新しいものに交換する、根につく害虫や病気をチェックする、根の生育具合を調べる、小さくなった鉢を一回り大きくするなどの効果があります。

またサボテンに関していうと、根詰まりした株ではトゲも貧弱になってしまいます。立派で美しいトゲを生み出し維持するためにも、定期的な植え替えが大切になります。

サボテンの植え替えの目的

  • 根詰まりを解消する
  • 古くなった土を新しくする
  • 肥料や微量要素を補う
  • 害虫や病気を調べる
  • 根の生育具合を調べる
  • 小さくなった鉢を一回り大きくする
  • 立派で美しいトゲを育てる

植え替えには、根と土の塊(根鉢)を崩さない「鉢増し」と土をほぐして根を整理する「通常の植え替え」がありますが、このページでは主に「通常の植え替え」について解説します。

植え替え

根鉢の写真

植え替えのタイミングと適期

頻度

植え替えは鉢の大きさによって頻度が異なります。小さい株ほど頻繁な植え替えが必要で、大きくなるにつれ数年で一度でよくなります。

最初2~4号鉢程度(口径6~12cm程度)であれば1年に1回、5号鉢以上では2年に1回程度にします。

タイミング

植え替えのタイミングは、生育期に入る少し前~生育期開始頃です。この時期はこれから旺盛に生育する時期で、根が伸びやすく、その後の成長もよくなります。

逆に休眠期に入る前や休眠中には行いません。このような時期に植え替えを行うと、その後の生育が鈍いほか、根が伸びずに枯れてしまうリスクがあるためです。

サボテンは夏型の多肉植物なので、3月~11月頃が生育期です。暖地・関東地方では3月頃から生育期に入ります。そのため3月中旬~4月中旬までに植え替えを行います

寒冷地の場合は1ヶ月程度遅らせて考えます。目安の気温は日中の気温が20℃~25℃まで上がり、最低気温が10℃を切らなくなった頃です。

植え替えで大切なこと

植え替えは鉢植えしているサボテンを元気に育てるためにとても重要で、また気をつけるべき大切なポイントがあります。

根の様子をよく観察する

観察 病害虫
一つ目は「根を良く観察する」ことです。

茎の様子やトゲの様子は普段から簡単にチェックすることができますが、根は植え替え時でないと見ることができません。根にはこれまでの生育過程が正しかったかどうか、よく生育しているか、水やりが適切にできていたか、などが表れています。

それをサボテンの健康度のサインとしてチェックすることが大切です。

もし、根が上ばかりに張っていたらしっかり水がやれていなかったことを表していますし、根がよく回っていればしっかり健康に育てられていた証拠です。また根が思ったより張っていなかったら、栄養や水分が足りなかったのではないかと推測することができます。

根の整理をする

二つ目は「根の整理をする」ことです。

根は伸びっぱなしにしてよいわけではなく、枯れている根や茶色い根は邪魔なだけなので取り除いてやる必要があります。それは枯れ葉を取り除いて株元をすっきりさせるのにも似ています。

根を切るのは怖い作業でもありまりすが、枯れた根は役に立たないので、落としても全く問題ありません。また太い根の先に細い根がついていてそれを切り戻す作業もありますが、このような根はまたすぐ生えてくるので切っても問題ありません。

逆に太い根や白くてしっかりしている根はやたらと切らないようにします。太い根を切ってしまうと再生に時間がかかり、場合によっては体力を使い尽くして枯れてしまうこともあるためです。

※注意:根の切り捨て方は、サボテンによって異なり、旺盛に根を伸ばすものは多めに切っても大丈夫ですが、たくさん根を出さないものや、主根から細かい根が出る種類などは、切り詰めすぎないようにします。

適切なサイズの鉢に植える

植え替え
適切なサイズの鉢に植えることも大切です。

鉢は大きすぎても小さすぎても、サボテンにとってよくないです。大きすぎる鉢は根の届かないスペースが多くなり、古い水や空気が溜まり、根腐れの原因になります。また大きい鉢に植えたからといって、大きく育つものではありません。一方小さすぎる鉢は、根がすぐいっぱいになってしまい、なかなか大きくなりません。

サボテンは植え替えで大きくするとも言われる植物です。鉢の中に株を入れて指1~2本の隙間ができる程度が適切な大きさで、これが一杯になったら一回り(直径1.5cm~3cm = 0.5号~1号)大きな鉢に植えて、というのを繰り返していくのがよいとされています。

適切な土を準備する

サボテンの大きさに合わせて適切な土を準備することも大切です。

小さなサボテンほど細かい土が必要になり、大きくなると土の粒サイズも大きめを選ぶようになります。小さい粒だと根が張りやすいですが、一方で通気が悪くなるため、大きな鉢になると土の粒も大きいものを使います。保水性も小さい粒のほうがあります。

土の粒のサイズは細粒・小粒・中粒・大粒がありますが、私たちがよく手にする2~4号(口径6cm~12cm)の鉢のサボテンでは、細粒~小粒のものがちょうどよいです。それ以降になると小粒~中粒も混ぜていくことが必要になります。

失敗しないコツ

時期を守る
成功率を上げるためには、適期に作業することが大切です。サボテンの場合、夏型なので3~5月、できれば生育期開始頃の3月が望ましいです。

清潔な土と用具を使う
土は病害虫の心配のない新品の用土を使いましょう。ナイフやはさみなどの道具も熱湯や火で消毒してから使います。

根のカット時は乾かす
根をカットした場合は原則乾かす期間が必要です。細い根が少し切れた程度であればそのまま植え込んでも構いませんが、しっかり剪定した場合や太い根も切った場合は、1週間は日陰で乾かして膜ができるのを待った方が安全です。

半日陰で管理する
新しい根が充分伸びるまでして半日陰で管理しましょう。直射日光の当たる所に置いていると日焼けしたり体力を消耗したりしてしまいます。また真っ暗の部屋などに置いておくと光合成できず弱ってしまいます。

スポンサーリンク

植え替え方法

植え替え

用意するもの

  • 新聞紙 適宜
  • キッチンペーパー 2枚
  • 革かビニールの手袋
  • スコップ
  • ハサミ
  • 一回り大きな鉢
  • 肥料
流れ
①鉢を乾かす
②鉢から抜き出す
③土をほぐし根を調べる
④根を整理する
⑤根を乾かす
⑥土を入れ植え付ける
⑦水をやり半日陰で管理する

①鉢を乾かす

植え替え

作業する前は数日、水をやらずに鉢を乾かしておきます。水やりのしたてで土が濡れていると土をほぐすときに根がブチブチ切れてしています。最後の水やりから5日程度経過した程度が作業しやすいようです。

②鉢から抜き出す

植え替え

準備が整ったら新聞紙を広げて鉢から株を抜き出しにかかります。株を押さえて鉢を揉むようにして抜き出しやすくします。

植え替え

ここでサボテンのトゲが痛い場合は、キッチンペーパーを2枚重ねたものを4つに折って、それでサボテンを包むようにすると全く痛くありません。

③土をほぐし根を調べる

植え替え

セレウスの根

植え替え

オプンティアの根

丁寧に土を少しずつほぐしていきます。このとき鉢底や株の周囲などに簡単に切れてしまう根があることがありますが、そのような根は切れてしまっても問題ありません。

先ほどの挙げた項目のように、根の張り方や根がパンパンになっているかどうか、などをしっかり確認します。

④根を整理する

植え替え

次に根を整理します。太い根は切らないようにしますが、根腐れを起こしていて赤茶色になっているものは太いものであっても切り捨てます。また、太い根が長くて植え替え後の鉢に収まらない場合は、先をカットします。

ひっぱって切れる根は枯れているので全部取り除きます。

ここで根の切り捨て方は、サボテンによって異なり、旺盛に根を伸ばすものは多めに切っても大丈夫ですが、たくさん根を出さないものや、主根から細かい根が出る種類などは、切り詰めすぎないようにします。

⑤根を乾かす

枯れた根を除去して若干生きた根が切れた程度のものはすぐに植え付けて問題ありません。逆に根腐れして太い根も結構切った場合などは、数日日陰で乾かしてから植え付けます。

⑥土を入れ植え付ける

植え替え

最初の鉢の底に土を少しいれて、緩効性化成肥料をふたつまみほど混ぜ込みます。その上にサボテンを置いて上に持ち上げながら土を入れていきます。根はなるべく広げて植えるようにします。

⑦水をやり半日陰で管理する

植え替え

植え替え

さらさらに乾いた土に植えた場合、植え替え後に水を少なめに与えます。太い根を切っている場合は1週間程度経ってからにします。湿った土に植え替えた場合は2~3日経ってから始めての水やりを行います。植え替えでは根を切っているので、1~2週間は半日陰に置きます。その後本来の置き場所に戻します。

鉢増しの方法

鉢増しとは、根鉢(株を抜いたときに出てくる土と根が塊になったもの)を崩さないで、前の鉢から抜いた株をそのまま一回り大きな鉢に植え替える方法です。

1~2号鉢(口径3cm~6cm)など小さな鉢を3号鉢に植え替えるなど、まだ根の張りが弱く根を切れそうに無い場合などに行います。

この場合、元の鉢から抜き、一回り大きな鉢に土と緩効性化成肥料を入れ、その上に抜いた株を置いて周りに土を足します。根を切っていないのですぐに水をやって構いません。半日陰で管理する必要もなく、すぐに元の置き場所に戻して構いません。

根腐れ時の緊急植え替えの注意点

植え替えには適切な時期(適期)がありますが、根腐れなどを起こした株は適期を待たずに緊急に植え替えを行います。

その場合、根腐れしている部分は徹底的に取り除かないといけません。赤っぽく染まっている所は根腐れしているので、完全に白くなるまで切り詰めます。

太い根まで切り詰めた場合、根を乾かす時間を1週間程度充分に取ります。その後土に植え付けて軽く水を与えます。