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玉扇(ギョクセン)と万象(マンゾウ)の育て方

玉扇と万象の写真

ハオルシア 万象万象(バンショウ・マンゾウ) 万象 多浪哥万象 多浪哥 ハオルシア 玉扇玉扇(ギョクセン・タマオウギ)
ハオルシア 万象の根万象の根

玉扇と万象の特徴

ツルボラン科
ハオルチア属(Haworthia)
学名 玉扇:Haworthia truncata
万象:Haworthia maughanii
生育型 春秋型
育てやすさ やや難しい
成長速度 普通
増やし方 株分け〇、さし芽〇、葉挿し〇、根ざし〇、実生〇
原産地 南アフリカ

※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い

玉扇・万象はこんなハオルチア
玉扇・万象とは?
ハオルシア属の代表的な種類でそれぞれギョクセンまたはタマオウギ、バンショウまたはマンゾウと呼ばれています。南アフリカが原産の多肉植物で、西ケープ州のオウツフルンに自生しています。日本では古くから栽培され、独自の発展を遂げたものもあります。

玉扇
玉扇は幅5cmから大きくても12cm程度まで生長し、葉先は刃物で切断したように平たくなっています。これは窓と呼ばれ、地面にほとんど埋まっている本体に光を取り入れるために発達したとされています。この窓の形や模様などが様々あり、コレクターのこだわりとなっています。コンゲスタ型、クラサ型、マグニフィカ型、テヌイス型と呼ばれる4つの基本形があり、その他万象との交配種などもあります。

万象
直径5~10cm程度の小型のハオルチアで生長がとてもゆっくりです。玉扇の自生地の一部で見られる種類で栽培難易度は高めです。新葉は真ん中から出てきて次第に外へとらせん状に広がっていきます。半ば地面に埋もれて育ち、先の窓から光を取り入れますが、日本では腐りやすいため葉全体を外に出して植えます。模様の入り方で高価な値段が付くこともあります。

育て方
どちらも自生地では、地面に埋もれて葉先だけ出して育つので直射日光は苦手です。日本で育てるには通年日よけをして育てる必要があります。またハオルシアはもともと太根ですが、特に玉扇と万象は根が太く、根の直径が5mmを超えることがあります。そのため葉挿しだけでなく、根から株を作る「根ざし」ができます。夏や休眠期は蒸れやすいため、常に通風を心がけ水はけのよい用土に植えて育てます。直射日光で葉焼けした部分は戻らないので、日焼けさせないように置き場を工夫します。

育て方のコツ

  • 強い日差しが苦手なので3~11月にかけて遮光が必要
  • 生育期はしっかり水やりする
  • 夏や梅雨時に蒸れやすいので風通しをよく水はけのよい土に植える
  • 休眠期に完全に水やりを止めないようにする

年間栽培カレンダー

生育型 春秋型
生育期 3~6月と9~11月
半休眠期 7~8月、12~2月
緩慢な時期
水やり
  • 3~5月は土が乾いたら鉢底から流れるまで
  • 6~9月は土が乾いて4~5日たってから(月2回程度)
  • 10~11月は3~5月と同じくらい
  • 12~2月は月2回程度、土の半分が湿るぐらい
置き場所
  • 年間を通して雨の当たらない風通しのよい所に
  • 3~5月は50%遮光ネットをかける
  • 6~9月は70%遮光ネットをかける
  • 10~11月は50%遮光ネットをかける
  • 12~2月は20~30%程度遮光するが、5℃以下になったら室内の窓辺に
植え替え
  • 3~5月頃、10月頃が適期
増やす
  • 3~5月頃か10月頃に葉挿し、挿し木、株分け、種まき
肥料
  • 植え付け時に緩効性肥料、3~5月頃か10月頃に月1回液肥を与える
開花
  • 種類により3~11月頃

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育て方のポイント

水やり

水やり
基本的な水やり
基本的に水やりは土がカラカラに乾いてから行います。季節ごとの目安はあくまでも目安で、育てている地域や株の大きさ、その年の気候にもよります。水が乾くと鉢を持ち上げて軽さが感じられるので、それまでは水を与えません。

3~5月の水やり
週に1回程度、土がしっかり乾いてから与えます。冬に水を減らして管理していた株は葉が凹んだりしていますが、この時期水をやるとふっくらとへこみが元に戻ってきます。3月は急に大量の水を与えず、徐々に増やしていきます。4月と5月は一年で一番よく水を吸う(多く与える必要がある)時期です。

6~9月の水やり
梅雨に入ったらじめじめして水の乾きが悪くなるので回数と量を控えます。だいたい10日に1回程度です。量も鉢の中の土が半分濡れるぐらいに減らします。7~9月半ばまでは暑さで半分休眠するため水を吸わなくなります。そこで2週に1回程度のに減らします。鉢が乾いたからといってすぐ与えず、4~5日そのまま待っていたほうが安全です。この時期は一番蒸れて溶けやすく、水やりに慎重にならないといけない時期です。ただ全く与えないのは問題で、葉がシワシワになって赤くなり秋の生育が悪くなるので断水はしません。昼間ではなく夕方涼しくなってから与えましょう。

10~11月の水やり
9月半ばから11月までは再び生育期です。水を良く吸い鉢が軽くなるのが早くなるので、鉢が充分軽くなったら水やりをします。だいたい週1回程度になります。夏の休眠明けは急に週1回与えるのではなく、徐々に増やしていきます。万象や玉扇は特に根が太く下の方まで伸びているので、鉢底から流れるまでじょうろで与えましょう。

12~2月の水やり
この期間は寒さで半分休眠しています。冷え込んでくると急に水を吸い上げなくなるので、水やりを控えます。頻度は月2回程度、
量は鉢内が半分濡れるぐらいにします。5℃以下になって室内に取り込んでいると、そこそこの生長をして水の乾きが早いですが、この時期に水をたくさんやると徒長の原因になるので、頻度は月2回程度に抑え半休眠状態を保ちます。

置き場

置き場
年間を通して雨の当たらない所に置きます。そして風通しをよくすることがとても大切です。ただし5℃を切る場合は室内の窓辺に置きます。ハオルシアは室内で育てるものと思いがちですが、室内は夏場に蒸れやすく栽培難易度が上がってしまいます。できる限り戸外で栽培するようにしましょう。

遮光レベル
玉扇や万象を育てる上で、置き場所や日照の調節はとても大切です。通常の多肉植物より弱い日差しで育てる必要があり、うっかり直射日光の当たる所に置いておくと葉焼けしたり、赤くなってしまったりします。

6月を中心に春から夏は日差しが強くなるため遮光を行います。3~5月は日差しが強いので50%遮光ネットをかけるようにします。6~9月は一番強いため70%遮光ネットをかけるようにします。10~11月は50%遮光ネットをかけ、12~2月は20~30%程度にします。遮光ネットは白のもの、黒やシルバーのものがありますが、強めに遮光したい場合は黒、冬に軽く遮光する場合は白を使います。シルバー色のものは黒より熱を持ちにくく、涼しく保てるため夏におすすめです。

硬葉系のものは軟葉系よりやや日差しに強いため、5~10%遮光が弱くても大丈夫です。

耐暑性と最高気温・夏越しの方法

夏越し
自生地の環境に近づける
耐暑性は弱いほうです。自生地では昼間は25℃以上と暑いものの、夜は15℃と涼しくなります。そのため夜も25℃を切らない(熱帯夜)日本の夏は苦手です。また土に埋まっていて日光がよけられる他、常に風が吹いているので蒸れにくいです。そこで日本でもできるだけそのような環境を作るようにします。

風通しが悪い場合は扇風機などで風を送ります。また日差しは先ほどのように遮光ネットでコントロールします。暑さに関しては遮光ネットで直射日光を遮ることで、温度を下げる効果を狙います。

葉が茶色・赤くなった場合
遮光量はあくまでも目安です。株の大きさや住んでいる地域などによっても日よけの量は異なります。実際に目安レベルでおいてみて、白い茎が伸びてきたら日差しが弱すぎて徒長している証拠なので少し遮光を弱めます。逆に赤や茶色になった場合は葉焼けが起きていて日差しが強すぎますので、遮光を強めます。

月2回は水やりをする
かつては断水(完全に水やりしない)がよいとされていたこともありましたが、そうすると株にダメージが残り秋の生育が悪くなってしまいます。そのため月2回程度は鉢の中が3分の1濡れるくらいの水やりをするとよいとされています。実際夏に断水すると窓のへこみが戻らなくなってしまうことがあります。

  • 遮光ネットで直射日光を遮る
  • 遮光ネットで温度を下げる
  • 月に2回程度は少量の水を与える
  • 扇風機などで風通しをよくする

この4つを守れば、比較的安全に夏越しすることができます。

越冬最低温度と冬越し方法

冬越し
5℃を保つ
最低越冬温度は5℃とされ比較的寒さに弱いです。実は原生地では気温が2~3℃まで下がり、万象や玉扇もそれに耐えることができるのですが、株が傷んで見栄えが悪くなってしまいます。実際自生地での写真などでは葉が汚くなってしまっているものがあります。鑑賞目的できれいに栽培するには、冬も5℃以上の気温を保ったほうがよいといえます。

冬の温度
ハオルシアの生育適温は15℃から26℃程度で、15℃を切ると生育緩慢になります。さらに10℃を切ると半休眠状態になります。一方暖かすぎると株が徒長してしまうため温めすぎも問題です。それでは冬は何度を保ったら良いかですが、原産地では夜と昼の温度差が大きいため、冬の間は5℃から18℃の間でメリハリをもって育てると良いでしょう。

寒冷地での寒さ対策
寒冷地は関東以北の東北や北海道地域のことで、11月から3月の間に0℃を切ることが度々あります。(毎日の所もあります)。その場合、室内や暖房設備のある温室に取り込むことになります。ここで大切なのは日照不足にならないようにすることです。万象や玉扇は弱い光を好むとはいえ、薄暗い部屋に置いていると日光不足になってしまいます。昼は窓辺などで日を当て、夜は窓辺は寒いため室内の中央に移動させるなど工夫が必要です。

暖地や関西地方では戸外で越冬させることもあるかもしれませんが、それでも簡易ビニール温室などに入れ、雪や夜の寒風を防ぐなどの対策が必要です。

増やし方

殖やし方万象や玉扇は株分け、さし木、葉挿し、根ざし、実生(種まき)で繁殖できます。

株分けと実生(種まき)については、ハオルチア属のページで解説しています。
ハオルシア属の株分け方法

ハオルシア属の実生・種取り方法

葉挿しの方法:

葉挿しとは親株からもぎ取った葉1枚から子株を誕生させる殖やし方です。葉挿しでは親株と同じ個体(クローンです)が生み出せるので、気に入った種類をそのまま増やすことができます。

手順

掘り起こす 付け根ごと葉を外す さし芽用土に植える

まず親株から葉を採取します。真ん中の新しい葉ではなく、株の下(外側)のほうの分厚い葉が成功しやすいです。ひっぱるのではなくやさしく横にスライドする感じでもぎとります。葉挿しでは前10日ほど水やりを控えて葉が取れやすくしておきましょう。

かならず葉の付け根の所をつけてもぐようにしましょう。葉の付け根部分に成長点(根や葉が出るところ)があるので、上手にもぎとらないと葉や根が出ないということになってしまいます。

新しい鉢を用意し細粒のバーミキュライトなどの細かい土を用意します。その上に葉をのせ、1~2日たってから水を与えます。葉挿し中は霧吹きで常時湿らせている程度の濡れ具合にします。

そうすると1ヶ月程度で根が伸び始め、だいたい4~6ヶ月で親葉を外せるほど成長します。子株が充分に大きくなり根が出たら丁寧に親葉を剥がして独立させます。葉挿し中は50%遮光ネットを張るか半日陰に置きます。

根伏せ(根ざし)の方法:

根伏せ(根ざし)とは親株から根を切り出し、その根1本から子株を育てることです。特に玉扇や万象に向いている繁殖方法です。植え替え時に同時に根を採取するとよいでしょう。または植え替え時にうっかり取れてしまった根を使うこともできます。

手順

掘り起こす 付け根ごと根を外す 種まき用土に植える

まず根を採取します。玉扇・万象を土から掘り出し、傷んだ根を取り除きます。根ざしにする根は、白くて太い根を選びます。ここで根は真っ白の生えたてのものではなく、少し茶色っぽい古めの根が成功しやすいです。

根の付け根に清潔なカッターなどで切れ込みを入れ、根をそっと引っ張り採ります。根の根元がついていないと子株が出づらいので注意しましょう。数本採ることもできますが、1株から何本も太い根を切ると親株が弱ってしまうので3本以内しておきましょう。

取れた根は株元を上に5mm程度地上に出し、先っぽを下にして植え付けます。乾かさないようにすぐ水やりをします。その後は風通しのよい半日陰に置きます。以降は親株と同様の管理方法で問題ありません。

最初にカルスが形成されます。カルスは芽や根が出る元になる細胞群のことで、これができれば以後順調に芽吹く可能性が高いです。1ヶ月ほどして顔を出していた根の部分から芽吹き、その後数ヶ月から半年程度で数枚の葉と新しい根が出てきます。

根ざしと葉挿しの詳しい実践結果は以下で解説しています。(根と葉を外すところは動画で解説しています。)
ハオルチアの万象・玉扇の根ざし・葉挿しの方法と実践経過を解説

植え替え

玉扇・万象を健康に育てるには定期的な植え替え作業が必要です。

以下土と鉢、肥料、病害虫についてはハオルシアのページで解説しています。

ハオルシアの育て方ページ

玉扇・万象によくあるトラブル

  • 葉が赤くなった・・・冬に室内で管理し、暖かくなってから急に外に出すと一時的に葉が赤くなることがあります。これは軽い葉焼けでこのままの環境で放置すると葉が枯れることがあります。室内で日照不足気味になれている株を外に出すときは、遮光を強めにして少しずつ日光に慣らすようにします。
  • 万象がなかなか大きくならない・・・元々ハオルシアは生長が遅いですが、その中でも万象の生育速度はゆっくりです。この性質は変えられないので気長に栽培していきましょう。しかしいつまで経っても株が大きくならない(出た葉の枚数分枯れてしまう)のであれば、水やり不足や日照不足での生育不良が考えられます。
  • 万象の窓の模様が薄くなった・・・原因には夏に高温にさらしたことが考えられます。暑い時期はなるべく涼しい所で過ごさせ風通しを良くすることが大切です。
  • 植え替えしたら根がなくなっていた・・・これは水はけの悪い土に植えていたり、水やりをしすぎたりして根腐れしたことが考えられます。健康な白い根がほとんどなくなってしまっている場合は、枯れた根を取り除き、白い根だけを残してさし芽のように発根を待つしかありません。
品種ごとの育て方
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