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黒法師(サンシモン)の育て方!胴切りや水やりの方法を解説

多肉植物の黒法師(サンシモン)の育て方(水やり、置き場所、胴切り方法など)について解説しています。

黒法師(サンシモン)の写真

黒法師2月の姿黒法師2月の姿 黒法師の発根黒法師の発根 黒法師 水やり不足で葉がしなびている水やり不足で葉がしなびている
黒法師自生地での様子 黒法師の開花黒法師の開花

※下段の写真2枚はWikipediaより引用しています。

基本情報

学名 Aeonium arboreum ‘Zwartkop’
ベンケイソウ科
アエオニウム属
和名 黒法師(クロホウシ)
別名 サンシモン
生育型 冬型
育てやすさ 育てやすい
耐寒性 弱い
耐暑性 やや弱い
越冬最低温度 5℃(書籍値)
温度 実測値2℃~40℃程度
成長速度 普通
増やし方 胴切り〇、挿し木〇、葉挿し×、株分け〇、種まき
原産地 カナリア諸島、マデイラ諸島、モロッコ、東アフリカ
花言葉 「永遠」、「いい予感」

※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
耐暑性-強い-普通-やや弱い-弱い
耐寒性-強い-普通-やや弱い-弱い

※実測値は水やりを控えた場合の目安値で、状況によりこれより狭くなることがあります。

黒法師の特徴

アエオニウム属の代表種
アエオニウム属の代表種でもある「黒法師」は、「サンシモン」の別名でも知られ、古い家やお店などの前に並べられていることもあり、割と身近な多肉植物です。初めて見た方は葉とは思わず花が咲いていると思ってしまうほど、薔薇のような形に葉が並んで生えています(ロゼット状)。黒法師は長年育てていると、幹ががっしりして高さ50cm以上になることもあります。また栽培環境によっては葉つき(ロゼット)が巨大化することもあります。

類似の種類
黒法師と似ている種類に「真っ黒法師」があります。こちらも黒いのですが、黒法師は日に当てないと黒くならないのに比べ、真っ黒法師はいつでも真っ黒です。またカシミアバイオレット(ベロア)というそっくりの種類がありますが、こちらは黒法師とカナリエンセの交配種で、艶があり葉がやや肉厚、色味がやや明るい茶色く特有のニオイがあります。

胴切りでどんどん増える
黒法師は茎をばっさり切って挿し木をする「胴切り」でどんどん増えます。カットした枝は土に挿すことで根付き、カット後に残った茎から子株がわんさか出てきます。枝分かれして枝の数が増えることもよくあります。このように黒法師は増えやすくとても簡単です。

育て方のコツ

  • 冬の寒さに比較的弱く3℃以上を保つ必要がある
  • 夏は休眠するため水をほとんどやらない
  • 生育期はしっかり日に当てて水も乾いたらしっかり与える
  • どの季節も雨ざらしを避ける

典型的な冬型の多肉植物で、冷涼な気候の間生長します。夏は休眠していて少し元気がなくなったように見えます。しかしまた秋になればシャキシャキしてくるので心配はいりません。しかし冬型ながら寒さに弱く、5℃以上を保ったほうがよいとされます。(書籍値)(ただ管理人が実験したところ、数時間なら0℃も耐えました。また2℃程度であれば24時間耐えられました。)また霜にあてると溶ろけて枯れてしまうことがあります。

年間栽培カレンダー

生育型 冬型
生育期 3~5月と10~11月
休眠期 7~8月
緩慢な時期 12~2月
水やり
  • 3~5月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(1週間に1回程度)
  • 6~9月は表面を濡らす程度を月に1~2回程度
  • 10~11月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(1週間に1回程度)
  • 12~2月は土が半分湿るぐらいを月に1~2回程度
置き場所
  • 年間を通して雨の当たらない風通しのよい所に
  • 4~6月は直射日光の当たる屋外
  • 7~8月は明るい日陰(50%遮光)
  • 9~11月は直射日光のあたる屋外
  • 12~3月は雨の当たらない屋外、3℃以下ならは日当たりの良い窓辺や温室など
植え替え
  • 10~12月か3~4月頃が最適
増やす
  • 10~12月、3~5月が適期(気温が15~20℃程度でよく発根する)
肥料
  • 生育期に3~4回液肥を与えるか、植え付け時に緩効性肥料をふたつまみほど混ぜ込む
開花
  • 数年かかって株が成熟してくると、3~4月頃に黄色い花を咲かせることがある

※栽培カレンダーはあくまでも目安です。実際は土や鉢の種類、地域によって大きく異なります。この表は福岡県平野部で多肉植物用の棚を使って育てている場合の情報です。お住まいの地域や使っている土、置き場所によって適宜読み替えて下さい。

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育て方のポイント

水やり

水やりまず休眠期(黒法師では夏)には水をほとんど与えず、生育期(春秋冬)にたっぷりと回数も多めに与えるのが基本です。水やりの量は生育環境によって変わってしまうので、何日に何mlということができません。そのためよく観察し鉢の乾き具合をみながら与えるようにします。水やりのタイミングと量は鉢底までカラカラに乾いたとき鉢底穴から流れ出るまで与えます。

目安は3~5月は土が乾いたら、およそ7日に1回ほど鉢底から流れ出るまでたっぷり水を与えます。休眠が近づくため6月からは10日に1回ほどに減らします。7~8月は休眠期でほとんど水を吸わなくなるので、月に1回にとどめるか断水(一切与えない)します。9月から徐々に水やり回数を増やし、10~11月は土が乾いたら、およそ7日に1回程度鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。12~2月は生育期ではあるものの寒さが厳しい(5℃以下)と生育が鈍るため、土の乾きを見ながら月1~2回ほど与えます。

寒い時期は暖かい朝~昼に水をやり、暑い時期は涼しくなる夕方に水を与えます。そうすると蒸れや凍結を予防できます。また夏・冬は水分を控えることで耐寒性・耐暑性が上がります。冬、室内で育てる場合は徒長防止に水を控えめにするとよいです。

置き場

置き場基本的に雨ざらしにせず、風通しのよいところで管理します。良く日が当たるところに置きますが、夏(7~8月)は直射日光が厳しいので、50%程度の遮光ネットを張るか半日陰の環境に移動します。葉の色を見て黒くなっていれば日光量がちょうど良いですが、逆に緑色のままになってしまうときは、日光不足なので日に当てるようにします。

季節ごとの具体的な置き場所は、3~5月は直射日光のあたる日なたに、6~8月は日差しが強すぎるので50%程度遮光するか、明るい日陰(半日陰)におきます。9月から翌2月までは直射日光の当たるところに置いて大丈夫です。

基本は年間通して外で育てますが、氷点下になる日や寒冷地は5℃を下回らないよう室内か温室に取り込みます。室内で育てる場合は、直射日光が1日半日以上当たるところで、エアコンなどの風が当たらない所を選びましょう。室内で育てるとどうしても日照不足になり徒長(ヒョロヒョロ)してしまうので、水やりを控え、できれば室温も15℃以下に保ちましょう。

地植えすると梅雨時の時も雨ざらしになりますし、夏の遮光ができません。また冬のマイナス気温下に置くことなりますので、かなり厳しいと思います。屋外でも軒下なら雨がかかりにくく、外に設置した簡易ビニール温室(雨よけ有り)であれば問題なく育てられます。

耐暑性と最高温度・夏越しの方法

夏越し黒法師は涼しい気候が好きな多肉植物なので、夏の暑さ、特に蒸し暑さに弱いです。しかし暑さが原因で葉が全部落ちてしまったり、腐ったりすることは少なく、それほど夏越しが大変という印象はありません。ごく簡単には、夏はほとんど水やりせず日陰に置いておけば問題無く夏越しできます。

夏の管理
まず直射日光にやられてしまうのを防ぐため、6~9月は50%程度遮光しましょう。遮光ネットをかけたり直射日光の当たらない明るい日陰に移動させたりします。直射日光下だと30℃も耐えられませんが、遮光しておけば(日陰なら)40~45℃を耐えます。暑さ対策で室内に入れる場合は、直射日光が最低半日は浴びられるところで風通しをよくして置きます。

耐寒温度と冬越し方法

冬越し黒法師は寒さにやや弱く最低越冬温度(耐寒温度)は3℃程度です。この気温を下回ってすぐ枯れることはありませんが、株が傷んだりせっかくの生育期なのに寒すぎると生育も悪くなるので、できれば3℃を下回らないようにしましょう。

多肉植物は体の水分が少ないと耐寒性があがる性質があります。そのため寒さが厳しい間は、水やりは少なめにしておくのが安全で、うっかり0℃を下回ってしまった夜も、土と株が乾いていたら無事のこともあります。気温の低い夜、強い寒風に当たると枯れてしまうことがあります。

霜や雪に当てると枯れてしまったり、ぐったりと元気がなくなったりすることがあります。凍結させてしまうと助からず、茎がふにゃふにゃになってしまうことがあります。

冬の管理
簡易ビニール温室は寒風を避けられるのである程度の寒さ対策効果がありますが、発熱効果はなくしばらくして中の温度は外と同じになってしまいます。簡易ビニール温室がない場合、プチプチシートや不織布シートで覆うこともないよりはよいです。

冬場に0℃を下回る寒冷地や寒波の時は室内に取り込みますが、最低1日4時間日の当たるところで、湿度40%以上を保ち、15℃以下(理想は5~10℃程度)の室温が保てるところに置くようにしましょう。冬に暖かい室内で日光不足、過湿が重なると徒長してヒョロヒョロになってしまうので大変ですが、できるだけ暖かい日は外に出すなど工夫したいものです。

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増やし方

殖やし方黒法師は胴切り、挿し木で増やすことが出来ます。葉挿しはできないか非常に難しいです。

適期は生育期のうち気温が10℃~25℃の間です。10~12月、3~5月が適期で休眠している真冬と夏は失敗しやすいです。作業開始が遅れて真夏や真冬にずれないよう、季節が来たらすぐ繁殖作業を始めましょう。

黒法師の繁殖難易度はやや難しめで、発根が遅いこととやや根が出づらいです。しかし適期にきちんと手順を踏めば成功率はあがります。

胴切り・芯止め・挿し芽の方法:

黒法師で一般的なのが「胴切り」(とその茎の挿し木)です。胴切りはメインの幹を水平にばっさり切り、切り取った所はさし芽をして根を出させ、残った枝からは複数本の脇芽を出させる方法です。これは芯止め(これ以上長く伸びないようにてっぺんを切り取る)と同じです。

やり方は親株の茎を適当な長さ切り取って、ほんの少し湿らせた土にすぐに挿します。多肉植物は切り口を乾かすことが多いですが、黒法師は切ってすぐに土に挿した方が根が出やすいです。

根が出るまで半日陰で管理し、直射日光に当てないようにします。生育期では1週間程度で根が出ますので、僅かに力を入れて少し上に引っ張り抵抗を感じれば、根が伸びている証拠なのでそのまま根を張らせます。3週間程度でしっかり根付いたら徐々に日なたに出していきます。

胴切りした元の親株からは、1~2ヶ月後くらいに脇芽が吹いてきます。通常3~4個の脇芽が出てきます。出てきたては緑色で凄く小さいですが、だんだん黒く大きくなっていきますので、気長に栽培していきましょう。

接ぎ木

黒法師(アエオニウム)は接ぎ木という楽しみ方もあります。接ぎ木とは、ある株の茎を斜めに切り取り、別の株から斜めに切り取った枝の断面を合わせ、テープなどを巻いてしっかりくっつくまで待つ方法です。

例えば、黒法師の幹のうち1本に艶姿やサンバーストなどカラーの異なるアエオニウムを接ぎ木して、風変わりな姿を楽しむことができます。

剪定

長くなりすぎた枝を切り落とす剪定を行うこともできます。これは一年中いつでもできますが、切った枝を挿し木に活用したい場合は、胴切り・挿し木と同じ生育期(気温が10℃~25℃の間で、10~12月、3~5月ごろ)に行うと根の伸びがよいです。

また剪定した部分からは複数の枝が出てしまうので、枝が伸びた後の姿をイメージしながら剪定するようにしてください。

植え替え

1年ほど経った株は植え替えを行いましょう。植え替えの適期は生育期始まり頃かその少し前です。黒法師(アエオニウム)では3~4月、10月頃で、休眠期には行いません。

植え替え作業は一見不要な作業に思われますが、健康に生育させるためにはとても重要で、古い土を新しくする、土に新鮮な空気を混ぜ込む、根の整理をする、害虫を見つけるなどの役割があります。黒法師はそれほど繁殖が旺盛ではないので、3号鉢程度(口径9cm)までは1年に1回の植え替えで問題ありません。それ以上大きな鉢では2年に1回ほどでOKです。

植え替えの方法
植え替え時は根へのダメージを減らすため、4~5日水やりを控えて土を乾燥させておきます。

株を鉢から抜き出したら枯れた下葉や茶色く枯れている根などを取り除きます。白い根は生きていて主力の大切な根です。黒法師(アエオニウム)の場合は、植え替え時株を乾燥させず、そのまま少しだけ湿った土に植えます。植えて1週間ほどたったらしっかりの水やりを開始します。

土と鉢

土土は市販の多肉植物・サボテン用の土を用意するか、自分で混ぜ合わせて作ります。土選びのポイントは、排水性がよいこと、通気性がよいこと、適度な保水性があることです。市販の普通の植物用の培養土のように保水性が強いものや、通気があまりよくない土は黒法師に向いていません。

自分で配合する場合は、赤玉土や鹿沼土、改良用土(バーミキュライトやピートモス)などを混ぜ合わせて作ります。ポイントはなるべく4種類以上の土を使うことです。土には酸性度や通気性などそれぞれ特徴があるので、バランスを整えるためには1種類より複数種類のほうがよいです。

(例)赤玉土1:腐葉土1:鹿沼土1
(例)赤玉土3:ピートモス3:ボラ土2:鹿沼土1:川砂1:くん炭1

黒法師を胴切りして挿し木にする場合は、無菌で肥料分のない種まき・さし芽用土を使うとよいと思います。

鉢選び

鉢はその苗にちょうど良い大きさのものに植えましょう。大きすぎる鉢は植物に対して鉢が大きすぎ、水が滞りやすく根腐れや通気不足の原因になってしまいます。

鉢はプラスチック鉢と陶器の鉢があり、それぞれ性質が大きく違い、水はけ、水やり頻度や株の育ち方に差が出ます。陶器の鉢はやや難しいので、初めて育てる場合は管理しやすい小型のプラスチック鉢(プレステラ90など)がおすすめです。

肥料

肥料黒法師は基本的には肥料をやらなくても育ちます。しかし鉢植えしているため自然界から肥料を補えません。また赤玉土やピートモスなど無機質な土を使っているのも重なり、肥料・微量要素共に不足してくることがあります。そんな場合は肥料として補わないといけません。また生育をよくさせ、大きく育てたい場合も与えるようにしましょう。

肥料のやり方
肥料を与える場合は、3~4月頃か10~11月頃に2,000倍~1,000倍程度の液体肥料を月2回程度与えます。また植え替えする株や新しく植え付ける株なら、作業の途中で土に細粒の緩効性肥料を混ぜ込んでおく方法も取ることができます。

黒法師はもともと肥沃でない土で育つ種類ですので、たくさんの肥料は不要です。むしろ肥料のやりすぎは徒長や肥料焼けなどの副作用を起こすため、普通の草花の3分の1程度に抑えておいたほうが安全です。

また肥料以外の微量要素やビタミンなどが不足して生育不良になることがあります。その場合は、微量要素入りの肥料を与えるか、植物用活力剤で補う方法もあります。

病害虫

病害虫多肉植物の中では病害虫に強いですが、高温時期に雨ざらしにすると軟腐病にかかることがあります。カビ病(うどんこ病やさび病など)はかかりにくいように感じられます。

黒法師は乾燥させて育てているためか、葉の付け根にカイガラムシが付きやすいです。そのため時々チェックして発見したらつまみ出し、その後殺虫剤を散布しておきましょう。

黒法師の開花

Wikipediaより引用しています

黒法師は滅多に花を咲かせない植物です。長い間育てて株が数年かけて充実してくると、3~4月頃に黄色い小さな花がこんもり茂ったような花を咲かせます。黒い葉に真っ黄色のコントラストが美しい姿ですが、残念ながら花が咲いた株は枯れてしまいます。これは黒法師だけでなく他のアエオニウム属の種類ももつ特徴です。

花を咲かせたい場合は、事前に挿し木をして開花後の株の枯れに備えておきます。花を咲かせるコツはなく、地道に長年育てることしかありません。数年、あるいは10年かかることもあります。

値段や販売店など

黒法師は街のホームセンターや園芸店でよく見かけることができます。またそこまで行かなくても時期によっては、スーパーの切り花・鉢コーナーでも売られていることがあります。

店頭でもよくみかける黒法師ですが、通販でももちろん販売しています。楽天市場、ヤフーショッピングだけでなく、多肉植物専門販売サイトやメルカリ、ヤフオクなどのフリマアプリでも購入可能です。

ヤフーショッピングや楽天市場では、おしゃれな鉢に入っていて、そのままインテリアとして楽しめる商品もあります。フリマではポットごとの購入はもちろん、抜き苗(ポットから抜き出し土を落とし、根をつけた状態にしたもの)での安価な苗も販売されています。

Amazon
楽天市場
ヤフーショッピング

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黒法師によくあるトラブルとQ&A

疑問 質問 答え

トラブル事例

下の方の葉がカリカリに枯れて落ちる

これは黒法師の生理現象で病気ではありません。アエオニウムは全体的に、枝が少しずつ伸びていく時古い葉が順番に落ちていき、枝の先端にしか葉が付いていない状態になります。特に夏が近づくにつれ休眠期に入るとき、まとまって葉が枯れ落ちる時期があります。枯れた葉はカビの原因にならないよう除去しておくと安心です。

茎が黒くふにゃふにゃと柔らかい

これは茎が腐って枯れていく前段階です。黒法師の茎が腐ると表皮の見た目も黒ずみ、茎を触ってみてふにゃふにゃとやわらかくなります。そこで茎を切ってみると真っ黒になっていたり、それを通り越して茎の中がスカスカになっていることがあります。このような部分は元に戻らないので、切除して健康な部分を挿し木で復活させます。

茎腐れは夏に高温で腐ったり、直射日光が当たって茎が煮えたり、根腐れが茎の上の方まで広がったりすることで起こります。予防方法は、夏は涼しい時間帯に水をやる、夏は大量に水をやらない、直射日光は遮光して和らげるなどが考えられます。

胴切り後になかなか根が出てこない

胴切りしてできたカット苗からなかなか根が出てこない場合、まず考えられるのが正しい時期(適温か)かということです。黒法師(アエオニウム属)は10~25℃程度の時期によく生育し、この時期に切ったカット苗は自然によく根が伸びます。

もう一点は空中で乾かしていると根が出づらいという点です。黒法師は少し湿った土にすぐ挿した方が根が出やすいので、根が出づらいと感じたら、湿った土に挿してみてください。そして土を湿らせ気味にしながら1ヶ月ほど待って、軽く上に引っ張ってみてください。根が張っていると指に抵抗を感じます。せっかく出た根が取れてしまいますので、毎日抜いて発根を確認したりしないようにしてください。

胴切り後に新芽が出ない

胴切りした後、親株には1本の茎が残されますが、そこから新芽が出ないことがあります。このとき考えられるのは、まず芽が出るまでは結構時間がかかるということです。最短で1ヶ月ほどしてカットした箇所の少し下の部分の元々葉があった所から、1~3mm程度のごく細かいチリチリしたカスのようなものが出てきます。最初は黄緑色で黒っぽくなるまでは2ヶ月以上かかり、それがロゼット状になるまでは半年はかかります。

もう一つは本当に芽が出ないケースもあることです。元の株の状態によっては1年経っても芽が出ないことがあります。この場合は残念ですが失敗で諦めるしかありません。

葉(ロゼット)が閉じてくる

これは自然な現象で、日光が充分足りている時に起こります。葉を閉じることで受ける光の量を調節しているとされています。逆に葉が反り返ってくるときは、日光不足な場合ですので、もう少し日の当たるところに置くようにしてください。

葉と葉の間隔がヒョロヒョロ伸びすぎる

これは徒長(とちょう)と呼ばれる現象で、日光不足、水のやりすぎ、冬の気温の高すぎが考えられます。成長期は間延びしやすいのでしっかり日に当て、水もやりすぎないように気をつけましょう。

葉がしおれてぐったりしている

特に生育期は葉が頻繁にしおれ、葉がだらんと垂れ下がり元気がない状態になることがあります。黒法師は水切れに弱く、生育期に水分が不足すると葉が垂れてしまいます。しかし水をやればすぐにピンとなるので問題はありません。常に葉をピンとするように水をやっていると、葉と葉の間隔が伸びる徒長を起こしがちなので、多くても1週間に1度程度の水やりにしておきます。

Q&A

耐寒性はどのぐらいある?

本には耐寒温度は5℃と書いてあったりしますが、水やり控えめにしておけば2℃は耐えます。0℃も一晩なら耐えましたが、長期間に及んだ場合の影響は不明です。明らかに大寒波でマイナスになる時は寒さで枯れる恐れが高いので、室内にいれて置いた方がよいと思います。寒さに当ててしまいぐったり元気がなくなったときは、葉は落ちても茎だけ生き残る場合もあります。

ロゼットを大きくするには?

ロゼットを大きくして株を大きくするには、大きめの鉢に植えるのが先決です。鉢のサイズが小さいといつまでも株が大きくならないので、成長に応じて少しずつ鉢サイズを大きく植え替えていきます。

脇芽が出ない、多頭にするには?

黒法師は何もしないでいると脇芽が出にくいです。そのため多頭にする(ロゼットをたくさんにする)には胴切りしてそこから強制的に芽吹かせることが必要になってきます。茎をばっさり切り取ることで、そこから少し低い位置から3~4個の脇芽を出して枝分かれさせることができます。