簡易ビニール温室などで多肉植物を栽培するときに必要になってくるのが、温度計です。多肉植物の栽培では最高最低温度の手軽な確認と、できれば自動的に温度を記録してくれるものが望ましいです。そこで管理人の多肉植物栽培で重宝している、Elitech社のUSB温度データロガーの「RC-4とRC-5」について解説します。
目次
RC-4/RC-5とは
左がRC-4、右がRC-5の様子
RC-4/RC-5とは、中国メーカーElitech社の自動USB温度データロガーのことです。
設定した任意の間隔(インターバル)で自動的に現在の温度を記録してくれるもので、そのデータはPCとUSB接続して取り出すことができ、Word、Excel、テキスト形式、PDF形式などで書き出し、統計や温度の継続的な確認が行えるものです。
また専用ソフトではグラフの確認も可能です。
そのためにはPCを介した設定と、専用のソフトウェアのダウンロードとドライバのインストールが必要です。今のところWindowsPCのみに対応しているようで、Windows7/10でソフトウェアの動作を確認しています。
多肉植物の栽培での活用事例
RC-5で簡易ビニール温室内の温度を測っている様子
冬に最低気温が何度になるか、というのは多肉植物栽培でかなり重要です。管理人は冬はまず朝起きて簡易ビニール温室の所に行き、RC-5のデータを確認して、昨晩の最低気温と今の温度をすぐに確認するようにしています。
夏になると最高気温が気になります。37℃などの最高気温が予想されるときはマメに簡易ビニール温室に行き、最高温度を確認しています。
それだけではなく、春から夏、秋にかけては簡易ビニール温室は昼夜で庫内の温度が乱高下します。そのような温度データはRC-5の自動記録なしには確認できません。
RC-4で腰水の温度を測っている様子
また種まき(実生)や育苗マットでの苗の栽培には温度管理が欠かせません。その場合、土の中の温度を測りたいときがあるのですが、外部温度センサーがついているRC-4が重宝します。(RC-5は内部温度センサーのみです。)
RC-4/RC-5の機能
最高・最低温度計
現在温度 | 最高温度 | 最低温度 |
まず、温度計本体に最高・最低温度計測機能がついています。これはPC接続なしにディスプレイで確認できるもので、ボタンを押すことで現在温度、最高温度、最低温度の順に確認することができます。
温度を自動で記録してくれることはありがたいのですが、わざわざPCに接続しないと見れないのでは面倒です。そのため最高・最低気温が確認できるととても便利です。
また、本体のボタンを押すと
- 現在の温度
- 現在のログ数
- 現在の時刻
- 今日の日付
- Max最高温度
- Min最低温度
- 上限温度
- 下限温度
の順に表示が切り替わります。
温度の自動記録
メインの機能が温度の自動記録です。
温度は設定した間隔(1分~24時間で1分刻み)で設定し、それをメモリー容量一杯になるまで自動で記録します。メモリ容量はRC-4で16,000ポイント(回)、RC-5で32,000ポイント(回)です。
例えば、1分に1回に設定すると1時間で60回、15分に1回に設定すると1時間で4回記録します。記録回数が多いほど電池を消耗します。
USBでPCへのデータ転送
記録したデータはUSBで接続してPC(パソコン)で閲覧・データの取り出し(転送)・消去が可能です。
データ形式はWord(ワード)、Excel(エクセル)、PDF、テキスト形式、印刷、メール転送があります。データを取り出すには専用のソフトが必要で、対応可能なPCはWindowsのみです。(Windows7/10で確認)
外部温度計(RC-4のみ)
通常、温度データロガー本体に内蔵されている内部温度センサーで温度を測りますが、RC-4のみ外部温度センサーがついており、任意の場所の温度を測ることができます。例えば土の温度、種まき時の腰水の温度、金魚の水槽など水気のある部分の温度を測ることも可能です。
※この機能はRC-5にはついていません。
ソフトでのグラフの確認
専用ソフトでは、グラフで温度データを確認することができ、マウスで示した位置の詳細な温度や部分的な拡大での表示などが可能です。グラフの機能は専用ソフトのみですが、画像化したデータはExcelの2枚目のシートに自動で保存されています。
温度計の精度
温度計の精度はどのようになっているのでしょうか?
メーカー公式での精度は既にマニュアルを破棄してしまったため確認ができないのですが、デジタル温度計や水銀温度計など色々な温度計と比較して誤差はプラスマイナス0.3℃以内に収まっているようです。※あくまで管理人のRC-5/RC-4の場合で、製品個体差がある可能性があります。
また、温度帯によっても精度に差があるようで、0℃以下やマイナス近くなると若干高めに出るようです。また、0℃以下になると電池が凍結して計測が一時中断したり、電池残量があるにも関わらず、ないと表示されることがありました。
温度計の補正
USB温度データロガーRC-4とRC-5は温度の補正ができます。
上記のように温度計は個体差があるため、キャリブレーション(較正・補正)という形で0.1℃単位で温度を高くして記録したり、低くして記録したりすることが可能です。
ソフトのダウンロードとインストール
ソフトウェアは、製品購入時に付いてくるCDディスクに入っており、それをインストールします。しかしAmazonなどの口コミを見ていると、ソフトウェアCDがついていなかった、という声があったので、管理人が持っているCD-ROMのソフトウェアをアップしておきます。
よろしければご利用ください。
※右クリックメニューで名前を付けて保存を押すとダウンロードできます。
また公式サイトでもダウンロードすることが可能です。(中国語表記です)
インストールは簡単で、実行ファイル(.exe)を起動するだけで、画面の指示に従っていきます。その際、RC-5、RC-4用のドライバをインストールする画面が出て許可を求められる場合があります。そのときは「はい」を押してください。
ソフトの操作方法
本体の設定
自動で記録するためには、PCから本体の設定をする必要があります。
まず、ソフトをインストールし、RC-5、RC-4の本体をUSBでPCに接続します。上にボタンが並んでいるので、Parameter Setを押すと以下のような画面が表示されます。(全て英語表記です)
Record PropertyのRecord Intervalで何分おきにログを取るかを設定します。そして下の方のSave Parameterをクリックすれば終了です。なお、このボタンを押すと記録していた全データがリセットされますので、ご注意ください。
またこの画面では本体内部の時計を調節して時刻を補正することも可能です。
データのクリアと記録開始
時刻を補正し、何分間隔でログを取るか設定すると、これまで温度計に記録されていたデータがクリアされ、16,000/32,000ポイントのメモリが使えるようになります。
自動でデータがクリアされることは無く、記録を続けデータが満杯になったらそこから記録が停止してしまいますので、定期的にパソコンにデータを取り込み、そのとき本体のデータをクリアする必要があります。
データ記録開始は本体のボタンを長押しします。すると三角形のレコーディングアイコンが表示されますので、それで記録開始を確認してください。
データの保存
データがある程度溜まったら、PCにデータを保存しましょう。
まず専用ソフトを起動し、USBでRC-5、RC-4を接続します。自動でデータの読み込みが始まるので、しばらく待ちます。データを読み込み終わったら、Word、Excel、txt形式、PDF形式などを選んでデータを書き出します。
データを書き出すだけでは本体のデータは消えないのでご安心ください。
そして次はデータのクリアですが、なぜかDelete(消去)ボタンがきかないので、先ほどのパラメータセットをクリックして、パラメータのSave(保存)をクリックして消去します。
後はUSB接続を切って再度本体のボタンを長押しして、レコーディングを開始します。
防水性・壊れにくさ
RC-4は防水性がありません。RC-5は防水性があり本来雨が当たっても大丈夫なのですが、実際に使っているとパッキンの所のゴムがだめになって水が入ってしまうようになるので、どちらのモデルも雨ざらしは避けた方が安全です。
壊れにくさは、これも個体差があると思うのですが、管理人が使っているRC5の2台、RC-4の1台は2016年頃から使い始めて2022年の現在も一つも壊れず動作を続けているので、耐久性はあるのかなと感じます。
電池の種類と電池持ち
Amazonにはバッテリーがついていて充電ができるなどと書いてありますが、それは間違いです。
使い捨てのボタン電池で、RC-4はCR2450という電池、RC-5はCR2032という電池です。最初から付属している電池は消耗が早い場合があるので、あらかじめ予備を買って置いたほうがよいでしょう。
電池持ちについてですが、ちゃんとした電池であれば電池持ちはよいほうで、15分に1回の計測の場合、1年に1回程度の電池交換で済みます。もっと記録回数が多い場合は電池寿命も短くなります。
最後に
温度データロガーが今でこそ、色々な種類があり選べるようになりましたが、2016年購入当時はこの製品か日本製の高額なものしかありませんでした。RC4、RC5は設定の自由度が高く、ソフトも使いやすく、また本体の耐久性や精度、電池持ちもよいので、とても便利で簡単に使えています。