サボテンの水やりの必要性、種類ごと、季節ごとの水やり方法と量の目安、水やりのコツについて解説しています。
目次
サボテンにも水やりが必要
砂漠に生えていて水やりが不要とイメージされがちなサボテンにも、実は水やりが必要です。
実はサボテンの自生地の多くには乾季と雨季が存在し、雨季にはまとまった雨が降り、そこで体内にたくさんの水分を溜め込み乾期にはそれを使って過ごし、また雨季に雨が降って水を吸い込むというサイクルを繰り返しています。
一部のサボテンの自生地はほとんど一年中雨が降らない所もありますが、そのような所では霧が発生しその水分を溜め込んだりするなどして水分を取り込んでいます。
そのため日本でサボテンを育てる上でも水やりは必須不可欠です。
画像出典:Wikipediaより引用
ただサボテンの自生地は日本の年間降水量の10分の1以下の所がたくさんあります。そのため庭植えなどにして雨ざらしにしてしまうと過湿になってしまいます。
そのため簡易ビニール温室など雨をよけられる環境で、ジョウロなどを使い人工的に水分を与えます。
水やりはサボテンを健康に育てる上で大切なポイントで、サボテンを枯らしてしまう大きな原因にもなっています。そこでサボテンに合わせた適切な水やりを体得することがとても重要です。
水やりの基本
水やりの基本は、土がカラカラに乾いてから数日たって水やりをするということです。月に何回、何mlなどと決まっているのではなく、土の状態を見ながら与えます。土が乾いていなければ無理に与えません。
また土がカラカラに乾いてから数日経って水をやります。乾いたらすぐに与えると、サボテンにとっては水のやり過ぎになり、徒長や根腐れの原因になってしまいます。
以下のようなポイントが水やりの基本です。
- 春から秋の生育期にしっかり与える
- 冬の休眠期はほとんど与えない
- 最大でも1週間に1回以下にする
- 土がカラカラになってから数日待って与える
水の量を具体的にいえない訳
なぜ月に何回、1回当たり何mlなど一律に決まった分かりやすい目安が示せないのでしょうか?
それは、サボテンの大きさ(生育過程)、鉢の種類(陶器かプラスチックか)、住んでいる地域(暖地か寒冷地か)、土の配合の違い、温室があるかないかなど、色々な要素で水やり量と回数は決まってくるためです。
小さな苗ほどマメな水やりが必要になりますし、鉢は陶器のほうが乾きやすく、住んでいる地域によって温度が違えば蒸発量も異なり、水はけのよい土もあれば悪い土もあるからです。
しかし全くの目安がないと、始めて栽培する方にとっては困惑してしまいます。そのため記事の最後のほうでおおよその目安を記載しています。
季節・形・生育過程で異なる水やりの量と回数
季節と水やり
サボテンは季節により生育力が異なり、必要な水分も異なります。日本では、春、秋、夏の順番に生育が盛んで、生育が盛んな時ほど水分も多く必要になります。
1年間でサボテンに与える水の量が100%とすると、ざっくりと春に50%、秋に30%、夏に20%とされています。
つまり春と秋で全体の水分の8割を吸い込み、夏に残りの2割の水分を吸い込むことが分かります。
また、冬は気温が低くサボテンは休眠するため、ほとんど水分を必要としません。
形と水やり
サボテンは形(姿)によって水やりの量が変わってきます。
というのは、サボテンも形を変えながら進化し、よりたくさんの水分を溜め込めるようになったからです。
最初に木の葉サボテンと呼ばれる葉のあるサボテンが生まれ、そこから葉を無くしてより肉厚になったウチワサボテンが生まれました。そしてウチワ状が柱状の柱サボテンとなってさらに水分を溜め込めるようになりました。
一番高度に多肉化したのが玉サボテンです。玉サボテンは柱サボテンがさらに進化して丸くなり、内部に水を溜め込み、また水分の蒸発も少なくなりました。
ウチワサボテン・柱サボテンの場合
ウチワサボテン・柱サボテンは玉サボテンより水を溜め込む力が弱いので、玉サボテンより頻繁な水やりが必要です。
玉サボテンの場合
玉サボテンはウチワサボテン・柱サボテンより水やり頻度も量も少なくてよいです。
森林性サボテンの場合
森林性サボテンは例外として乾燥地帯ではなく、森の木などに着生して育ちカラカラの状態を嫌います。そのためサボテンの中では一番水やりが多く必要です。
生育過程と水やり
サボテンは生育過程によっても水やり量が異なります。
実生株(種まき苗)
まず種まきしたばかりの小さな苗は乾燥に極度に弱くなっています。そのため少量の水を1週間に1回などこまめに与えます。休眠期の冬も生育が鈍る夏も、カラカラに乾かない程度の水やりを続けます。
小苗
種まきから1~3年の小さな苗も、大きな株より乾燥に弱いです。そのため大きな苗より少なめの量をこまめにやる必要があります。
成株
種まきから数年経って花も咲くような大きな株に成長したら、水やり頻度は下がり量は普通の量になります。自生地の環境に近づけてまとまった水をたまに与えます。(雨季のように)
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水やりの回数と量の目安
特に生育期(春・秋)の頻度と量の加減が難しいです。
夏と冬はただ控えておけばよいのですが、春秋は控えすぎると成長を阻害し、また与えすぎは徒長を引き起こすので、サボテンの様子を見ながらちょうど良い量を探ってきます。
森林性サボテンは一番多く水を必要とし、与えないとしおれてくるため毎週しっかり与えます。ウチワサボテン・柱サボテンは10日に1回程度、玉サボテンは2週間に1回程度にします。玉サボテンは1回当たりの量も少量にしないと徒長してしまいます。徒長すると元に戻すことができません。
ウチワ・柱サボテンの場合
- 4~6月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(10日に1回程度)
- 7~8月は土が乾いたら鉢を半分濡らすぐらいを月2回程度
- 9~10月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(10日に1回程度)
- 11~3月は表面を濡らす程度を月に1回程度
玉サボテンの場合
- 3~7月上旬は土が乾いたら鉢底から流れるまで(2週に1回ほど)
- 7月中旬~8月は土が完全に乾いてから数日後に(月1回ほど)
- 9~11月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(2週に1回ほど)
- 12~2月は1ヶ月に1回の霧吹き、2月は断水(一切与えない)
森林性サボテンの場合
- 4~6月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(1週間に1回程度)
- 7~8月は4~6月よりやや控えめにする
- 9~11月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(1週間に1回程度)
- 12~2月は表面を濡らす程度を月に1~2回程度
水やりのコツ
与える時間
夏場
水やりした後すぐに土が熱くなると、鉢内で水分が高温になり根が煮えてしまいます。そのため水やりは気温が下がる夕方に行います。またできる限り涼しい日が続く時に与えるようにします。40℃近い環境で水やりをすると、水が熱湯のようになって即座に根が溶けて枯れてしまうことがあります。
冬場
まず戸外に置いている場合、5℃以下では水やりしない方が安全です。0℃以下になると水が凍って根が凍結するので、絶対に水やりをしないでください。室内で10℃程度を保っている場合や比較的暖かい日が続く場合、午前中の暖かい時間のうちに水やりをします。夕方与えると夜の冷え込みで低温障害を起こすリスクが高くなります。
乾き具合をみる方法
馴れてくると土が乾いたかどうかが感覚的に掴めるようになりますが、最初は乾き具合を掴むのが難しいです。そこで割り箸や竹串などを土に深く挿しておいて、時々抜いて先が湿っているか確認することで、乾き具合を調べることができます。
水の与え方
ロフォフォラ属のように毛が発達しているサボテンは、頭から水をかけると毛が縮まって見劣りしてしまいます。その場合は細いジョウロで株元に水を注ぐようにします。
またそれ以外のサボテンで冬場、室内で水を与えず乾燥が気になる場合は、霧吹きで水を与える「葉水」を行う場合があります。