目次
ペラルゴニウム属の写真
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※2段目以降の画像は全てWikipediaより引用しています。
※ペラルゴニウムはペラルゴニュームとも呼ばれます。
ペラルゴニウム属(Pelargonium)の特徴
科 | フウロソウ科 |
---|---|
属 | ペラルゴニウム属(Pelargonium) |
生育型 | 冬型 |
育てやすさ | 普通~やや難しい |
成長速度 | 遅い |
増やし方 | 種まき |
原産地 | アフリカ南部・東部 |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
特徴
南アフリカケープ州、ナミビア、アフリカ大陸、マダガスカル島などに230種類が知られるペラルゴニウム属は、なじみ深いゼラニュームと同じグループです。その中でも塊根ができるものをコーデックスとして取り扱っています。花の美しいものやアロマオイルを含んでいて香りのよいものも多いです。多くは冬期降雨地帯に生息する冬型多肉植物で、秋に葉を出し冬に生育します。形態も多岐にわたり、低木からつる状、球根に近いものなど様々があります。
種類紹介
ペラルゴニウム属ミラビレ、ルリダム、枯野葵(カルノーサム)、トリステなどが知られています。乾燥した岩場、荒れた斜面、乾いた草原の岩場などに自生しており、白銀色(シルバーグリーン)の葉を出し薄黄色、桃色、白などの花を咲かせます。枯野葵(カルノスム)やクセロフィツム、ミラビレのように茎が太る塊茎タイプと、インクラサツムやユッタエのように地下部分の根が太る塊根種に分けれます。塊根種は現地では土に埋まっており葉だけが地上に出ています。
育て方
生育期は適度な温度を保ち充分に日に当てることが大切です。夏に休眠期に入ったら水を一切与えない断水気味にして半日陰で管理します。冬型だから寒さに強いというわけではなく、最低温度は5℃以上保つ必要があります。栽培難易度は種類によりますが、夏に暑すぎることや水遣りのしすぎで腐らせやすく、また植え替え時に根を傷めないようにして育てるのが基本です。
育て方のコツ
- 9月から翌4月まで生育を続け、4~8月まで休眠する
- 生育期は直射日光下で、休眠時は遮光して育てる
- 植え替え時に根を傷めないように注意
- 冬型だが特別耐寒性はなく、5℃を切ったら室内に取り込む
年間栽培カレンダー
生育型 | 冬型 |
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生育期 | 9~4月 |
休眠期 | 4~8月 |
緩慢な時期 | 1~4月 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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主な種類名
枯野葵(カレノアオイ)・カルノーサム | Pelargonium carnosum |
インクラッサツム | Pelargonium incrassatum |
テトラゴヌム | Pelargonium tetragonum |
ミラビレ | Pelargonium mirabile |
クセロフィツム | Pelargonium xerophyton |
トリステ | Pelargonium triste |
ルリダム | Pelargonium luriddum |
クリンガルドテンセ | Pelargonium klinghardtense |
クリストフォラナム | Pelargonium christophoranum |
アルテナンス | Pelargonium alternans |
アペンディクラツム | Pelargonium appendiculatum |
アンチディセンチリカム | Pelargonium antidysentericum |
アサリフォリウム | Pelargonium asarifolium |
アウリツム | Pelargonium auritum |
バーケリイ | Pelargonium barklyi |
カフルム | Pelargonium caffrum |
キャンペストレ | Pelargonium campestre |
コルツシフォリウム | Pelargonium cortusifolium |
ククラツム | Pelargonium cucullatum |
クルビアンドルム | Pelargonium curviandrum |
エキナツム | Pelargonium echinatum |
ヒストリックス | Pelargonium hystrix |
オブロンガツム | Pelargonium oblongatum |
パルヴィペタルム | Pelargonium paravipetalum |
オビヒフラッツ | Pelargonium paravipetalum var. obihiflats |
ペトロセリニフォリウム | Pelargonium petroselinifolium |
プルケルム | Pelargonium pulchellum |
ピンナツム | Pelargonium pinnatum |
ラパセウム | Pelargonium rapaceum |
エラフィエアエ | Pelargonium ellaphieae |
ファシクラセレウム | Pelargonium fasciculacereum |
ムルチラディアツム | Pelargonium multiradiatum |
コリアンディフォリウム | Pelargonium myrrhifolium var. coriandrifolium |
プンクターツム | Pelargonium punctatum |
ラディカツム | Pelargonium radicatum |
スキゾペタルム | Pelargonium schizopetalum |
シブソルピフォリウム | Pelargonium sibthorpifolium |
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育て方のポイント
水やり
生育期
9月に新葉が出て生育を始めたら徐々に水やりを再開します。いきなりたくさん与えず、土の乾きをみながら徐々に増やしていきます。10月から4月は土が乾いたらたっぷりの水を与えます。しかし寒さで1~2月は若干生育が緩慢になるため、土の乾きが遅くなります。そのような場合は無理せず、土が乾くまで待ってから与えます。与えすぎは徒長の原因になりますので、慎重に行います。
休眠期
3~4月に気温が上がってきたら葉を落とし始めます。休眠へ向かうサインなので水やりを徐々に減らして最後には停止します。4月から8月は休眠期で断水気味に管理します。完全に断水するのではなく、時々霧吹きで水を与えたり、月に1回程度夕方に表土が濡れるくらいさらっと水やりをする程度にとどめます。4ヶ月間も完全に水をやらないと、さすがに細い根が枯れてきますので、完全な断水は避けたほうがよいでしょう。
また実生中の苗(種まき1~2年以内程度)の苗や小苗のうちは乾きに弱く、親株のように断水すると枯れます。そのため、月に2回以上少量をこまめに与えるようにします。
置き場
生育期の置き場所
ペラルゴニウムの生育期は9月から4月です。生育期は直射日光によく当てて育てます。もともと直射日光を遮る樹木などがない砂地で自生する多肉植物なので、それに習って遮光などせず、むしろできるだけ長時間日に当てることが大切です。ただしペラルゴニウムには灌木系と塊根系のものがあります。灌木系の種類は葉が茂ったら直射日光に当ててよいですが、塊根系のものは長時間塊根に直射日光が当たらないように注意しましょう。
ペラルゴニウムは冬型コーデックスですが、最低越冬温度は5℃とそれほど耐寒性はありません。暖地でも5℃を切る日は何日もありますから、そのたびに室内に入れる必要があります。寒冷地ではマイナスが続く地域もあり、何ヶ月も室内に入れっぱなしにする他ないこともあります。
その場合、なるべく日の当たる窓辺などに置きましょう。夜は窓際は寒いので室内の中央に移動させます。また暖房が効きすぎていると徒長しますので温めすぎに気をつけましょう。
またぎりぎり5℃で戸外で栽培する場合も、寒風が長時間当たったり冷たい雨がかかると株が傷みます。簡易ビニール温室内にいれて窓を閉めるなどして、雨や寒風を防ぎましょう。
休眠期の置き場所
4月から8月頃まで生育を休む冬型のコーデックスです。4月ごろ葉を落とし始めたら休眠に向かうサインです。休眠中は雨のあたらない所でできるだけ涼しい所で管理し、遮光して育てます。
真夏は遮光するか塊根を土に埋めておかないと、乾燥して枯死してしまう心配があります。土に埋めると蒸れのリスクが高まるので、半日陰に置くか50%程度遮光して乾燥のしすぎを防ぐとよいでしょう。
また現地は乾燥しており湿度が低いため、日本の蒸し暑さは苦手です。年間を通して、また特に夏の間は風通しを良くすることが蒸れの予防に大切です。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
夏は暑さのため休眠します。大切なポイントは遮光して直射日光を遮る、と同時に温度の上昇を抑える、風通しをよくする、完全断水せずに断水気味に管理するの3つです。
越冬最低温度と冬越し方法
最低越冬温度は5℃です。冬型でも特に寒さに強いわけではなく、最低越冬温度は夏型コーデックスのアデニウムやパキポディウムの8℃以上と大差ありません。そのため5℃以上を守り、寒風や雪に当てずにある程度(5~20℃)暖かく過ごさせたほうが、生育期である冬の生長がよくなります。
増やし方(種まき)
ペラルゴニウムは種まきで殖やします。さし芽もできますが、塊根が太らないことがほとんどなので塊根を太らせるためには種まきを行います。冬型なので生育期の10~11月に種蒔きを行い、1回目の夏が来る前に(幼苗のうち夏越しが難しいため)なるべく生長させておきます。
コーデックスの種まき方法は腰水で管理するなど、通常の植物と異なるため以下のページで方法を解説しています。
コーデックスの実生方法
ペラルゴニウム「アッペンディクラツム」の実生方法と実践記録です。

植え替え
コーデックスの場合も植え替えが必要になりますが、ペラルゴニウムは作業時に細い根を傷めてしまう危険性もあります。そこで初心者にも比較的安全に行えるのが「鉢増し」です。鉢増しは小さくなった鉢からすっぽり抜いて一回り大きな鉢に植え替える方法です。生育期の9~11月頃に行います。詳しいやり方は以下のページで解説していますので、参考にしてみてください。
土と鉢
土は水はけがよく、通気性がよいものが適しています。市販の野菜や花の培養土では水もちが良すぎるほか、肥料分が多いため不向きです。多肉植物用の培養土が市販されているので、これを使うと簡単です。また自分で赤玉土や軽石、パーライト、サボテン用土などを配合して作る方法もあります。
肥料
多肉植物用土などを使う場合は肥料が含まれていることが多いですが、自分でブレンドする場合や、元肥が切れた場合は適宜、肥料を与えましょう。一つは植え替え時に土に緩効性肥料(マグアンプKなど)を混ぜ込んでおく方法です。二つ目は追肥として液肥を生育期に月1~2回水やり代わりに与える方法です。肥料はチッソ・リン酸・カリの3大要素ですが、植物用活力剤なども使って微量要素を補っていきましょう。
病害虫
ハダニやカイガラムシ、根ジラミなどに注意します。他に日光が強すぎる場合の葉焼け、夏の過湿による蒸れに注意が必要です。
以上ペラルゴニウム属に関する記述ですが、冬型コーデックス全般の育て方については、夏型・冬型コーデックスの育て方ページをご覧ください。
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