目次
アデニウム属の写真
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アデニウム属(Adenium)の特徴
科 | キョウチクトウ科 |
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属 | アデニウム属 |
生育型 | 夏型 |
育てやすさ | やや難しい |
成長速度 | 遅い |
増やし方 | 種まき(実生) |
原産地 | アフリカ~アラビア半島 |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
特徴
ナミビア~アラビア半島に15種類ほどが知られている大型のコーデックス(塊根植物)で、基部が肥大し美しい花を咲かせます。花の色は赤紫、赤色、ピンク色、白など様々な色が咲きます。日本の鉢での栽培では30cm程度が多いですが、自生地では1メートルを超え5メートルほどのサイズになる株があります(写真参照)。幹は最初は1本ですが成長するにつれ、複数の細かい枝が出るようになります。
砂漠のバラは
砂漠のバラはアデニウム属の中でも最も一般的に普及しており、園芸店やホームセンター、通販などで購入することができます。砂漠のバラは春から夏にかけて直径3~4cmの紅色の花を咲かせますが、開花株になるまで5年の歳月がかかることもあります。
育て方
熱帯性で寒さに弱く理想は15℃以上です。8℃以下で落葉し10℃以上を保てば休眠して翌年新しい芽を出します。最低越冬温度は5℃でそれ以下にすると枯れてしまいます。実は挿し木でも増やすことができるのですが、挿し木で殖やした苗は塊根が太らないため、通常種まきで育てます。越冬できたかの確認は、基部を押してみて硬ければ生きていると判断できます。フカフカしたものは枯れています。
夏も遮光なしに
原生地では乾燥地帯の岩の上などに自生するため、日差しと風を遮るものはありません。そのため日本で育てる場合も夏によく日に当て、風通しを良くする必要があります。また現地では雨季にまとまった雨が降るため成長期には、たっぷりの水やり場合によっては雨ざらしにすることもあります。
育て方のコツ
- 4~10月は直射日光の当たる風通しの良いところに
- 生育期は土が乾いたらたっぷりの水を与える
- 冬は最低5℃できれば10℃以上を保つ
- 冬の休眠中は水を切って断水する
年間栽培カレンダー
生育型 | 夏型 |
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生育期 | 3~10月 |
休眠期 | 12~2月 |
緩慢な時期 | 3月、11月頃 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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主な種類名
アラビクム | Adenium arabicum |
砂漠のバラ(オベスム) | Adenium obesum var. multiflorum |
クリスプム | Adenium somallense var. crispum |
ソコトラナム | Adenium obesum ssp. socotranum |
ソマレンセ | Adenium somalense |
ボヘミアン | Adenium obesum ‘Boehmianum’ |
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育て方のポイント
アデニウムは至適温度が20~25℃で、日本の3月~9月に生育し、10月以降に葉を落とし春まで休眠するというサイクルを繰り返す塊根植物です。日本では10月以降の低温時に葉を落として休眠しますが、原生地では乾期に葉を落とし休眠します。生育期と休眠期には栽培方法がことなり、メリハリをつけた栽培方法が大切になります。
水やり
生育期には土が乾いたら、鉢底から流れるまで水を与え、休眠時は全く水をやらない断水をするのが基本です。過湿が苦手なので水のやりすぎには注意しましょう。アデニウムは塊根部分に水分をたくさん溜めているため、冬場の休眠時に水を与えなくても枯れることはありません。
生育期の水やり
3月頃休眠から目覚め、葉を出し始めます。このとき急に水をたくさん与えるのではなく、少しずつ量と回数を増やしていきます。4月以降~5月は土が完全に乾いて数日後にたっぷりの水を与えます。梅雨時も同じように栽培します。3月~梅雨空けまでは雨ざらしにしません。梅雨空けから9月の生育期にかけては、土が乾いたらすぐに与えます。鉢の大きさや土の種類、苗の状態によっては数日おきの水やりが必要になることがあります。この間は雨ざらしにしても問題ありません。水を与えないでいると塊根部の一部がへこみます。水やりをすると元に戻りますが、何度も繰り返すとダメージを与えるのでそこまで水を切らさないようにします。
休眠期の水やり
冬が近づくにつれて鉢の乾きが遅くなってきますので、水やり量と頻度を減らしていきます。そして地域により10~11月に落葉したら完全に水やりをストップします。その後8℃以下で室内に取り込み、室内で育てている時は(休眠時)水やりはほとんどしません。もし冬場室内で15℃~25℃を保ててよく日に当てられる場合は、休眠せずそのまま成長を続けます。その場合は土がよく乾き、夏並みに水やりする必要があります。
水やりの注意点
大切なのは、土が乾いたのを確認してから水を与えることです。土が乾くと鉢が軽くなる、底石が乾くなどの変化が現れるので、よく観察することも大切です。
実生苗の注意点
種から蒔いて育てることを実生といいますが、実生1~2年の小さな苗は土の乾きに弱いです。そのため冬でも断水などをせず、定期的に少量の水を与え続けます。
置き場
生育期の置き場
基本的に生育期は戸外の雨の当たらない所に置きます。アデニウム属は原生地で日差しを遮るものがない場所で生息するため、日本の夏でも直射日光に当てて良く、遮光が全く不要です。むしろ日光不足では枝が徒長し軟弱な株になってしまいます。また風通しがよいことも大切です。真夏は特に蒸し暑いため、戸外で十分な風に当てることが大切です。
休眠期の置き場
気温が8℃を切ったら室内の窓辺に取り込みます。室内では昼間は日の当たる窓辺に置きますが、夜間は寒いため室内の中央などに移動させます。休眠中は室内においていますが、葉がないから日光が不要なわけではなく、幹に葉緑素があり幹で光合成しています。そのため葉のない時期もできるだけ長く日光に当てることが大切です。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
耐暑性が強いグループです。真夏も遮光不要で日なたに出し、また毎日水を与えるか雨ざらしにしても問題なくむしろ生育が良くなります。梅雨時はさすがに雨が多すぎるので、雨よけがあるところにおいた方が安全です。
越冬最低温度と冬越し方法
最低越冬温度は8℃です。8℃が枯死しないぎりぎりのラインになります。そのため地域により10月~11月頃に室内に取り込む必要があります。寒冷地、特に北海道では気温が低い月が多く、10月から4月の約半年を室内で越させることになります。その場合窓辺に置きますが、時々鉢を180度回転させて幹が太陽の方向に傾かないようにします。最低でも1日4時間日に当てられ環境でないと栽培は難しいですが、窓のない部屋などでは植物育成LEDライトを使うと、全く日の入らない所でも元気に育てることができます。春になり戸外に出すときは、直射日光に対する耐性が弱くなっています。急に日なたに出すのではなく2週間程度は半日陰などに置き、徐々にならすようにします。
増やし方(種まき)
アデニウムは通常種まきで殖やします。種まきから殖やすことで塊根を太らせることができます。挿し木や接ぎ木でも増やすことはできるものの、肝心な塊根部を太らせることができません。適期は5~7月の25℃~30℃程度が保てる時期です。
種まきをする際は新品の清潔な細かめの用土を用意し、土を熱湯消毒します。種はベンレートで消毒します。軽く覆土します。その後腰水で管理し、半日陰に置きます。
アデニウムなどコーデックスの種まきの仕方は野菜や花の種と少々やり方が異なるので、別ページで詳しく解説しています。

植え替え
植え替えは生育期の4~8月に行います。できれば4~5月が最適です。他の季節に行うと根の張りが悪く、最悪枯れてしまうことがあるので、根腐れを起こしているなど緊急な必要性がない限り、適期に行うようにしましょう。
植え替えについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
土と鉢
土の選び方
土は水はけがよいものを選びます。ホームセンターなどに売っているサボテン・多肉植物の培養土でもよいですし、赤玉土をメインに改良用土を混ぜた自分で作った土でも構いません。土を選ぶときは粒のサイズを揃え、ブレンドする場合は3種類以上の土を混ぜるようにしましょう。赤玉土、腐葉土、パーライト、鹿沼土などがよく使われます。水はけをよくするため、鉢底に大きめの軽石(鉢底石)を敷いておくとなおよしです。
鉢の選び方
鉢はプラスチック鉢と陶器の鉢の2種類がありますが、どちらでも育てることができます。プラスチック鉢は軽くて適度な保水性があるため扱いやすく、陶器の鉢は水の乾きが早く水はけの悪い土でも使いやすいという特徴があります。初心者の場合はプラスチック鉢のほうが扱いやすいでしょう。鉢のサイズは苗をいれて苗と鉢の間に指が1~2本入る程度のぴったりのサイズのものにしましょう。
土についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
肥料
アデニウムはある程度肥料が必要になります。植え替え時にマグアンプKなどの緩効性肥料を土に混ぜ込むか、5~9月の生育期に月1~2回程度液肥を1回の水やり代わりに与えます。冬は水分を吸わないため施肥も一切不要です。
開花
アデニウム属はオベスムの「砂漠のバラ」の名前の通り、白や赤、ピンク色のラッパ状のバラのような花、八重咲きの花などをつけます。品種改良され、色々な形の花を咲かせるようになりました。直径は5cm程度で茎のてっぺんに咲きます。通常花期は5~7月とされていますが、通年20℃以上を保つと一年中花を咲かせます。
病害虫
害虫
花にはアブラムシ、葉にはハダニ、アカダニ、塊根部にはカイガラムシなどが付きやすいです。アブラムシやカイガラムシは通常の殺虫剤(オルトランなど)で駆除することができるのですが、ダニ類は「殺ダニ剤」という特殊な農薬で駆除しないといけません。ハダニは目に見えないほど小さいですが、葉の色が悪くなり株を弱らせます。葉が元気なくかすり状になってきたら葉の裏に殺ダニ剤を散布したほうがよいでしょう。
病気
病気は特に心配ありませんが、生理障害である根腐れや蒸れ、塊根の腐敗などに注意する必要があります。これらは風通しをよくすることでだいぶ防ぐことができます。
病害虫についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
アデニウム属によくあるトラブル
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