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パキポディウム(Pachypodium)の特徴と種類・育て方

パキポディウム属の写真

パキポディウム グラキリスグラキリス パキポディウム エブレネウム 実生種まき エブレネウムエブレネウムの種まき
パキポディウム グラキリウスの種子グラキリスの種 グラキリス種まき6ヶ月目のグラキリス パキポディウム秋の紅葉と落葉
様々なパキポディウム様々なパキポディウム
パキポディウム グラキリウスグラキリウス パキポディウム グラキリウスの花グラキリウス パキポディウム 光堂光堂
パキポディウム バロニーバロニー パキポディウム デカリーデカリー パキポディウム ラメリーラメリー
恵比寿笑い(エビスワライ)恵比寿笑い(エビスワライ)

※4~6段目の画像は全てWikipediaより引用しています。

パキポディウム属(Pachypodium)の特徴

キョウチクトウ科
パキポディウム属(Pachypodium)
生育型 光堂のみ冬型種で他は全て夏型
育てやすさ やや難しい
成長速度 遅い
増やし方 実生(種まき)、挿し木
原産地 マダガスカル・アフリカ

※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い

パキポディウムはこんな植物
塊根植物コーデックスの代表
塊根ができる多肉植物をまとめてコーデックスといいますが、パキポディウムはその代表属で25種類ほどが知られています。パキポディウムは茎や根が大きな塊になり、内部構造はスポンジのようになっています。その中に水分やデンプンをしっかり含み、葉を切ればそこから水がしたたるほど水分の養分の宝庫です。この塊根の形は様々で、とっくり型になるものや、こん棒状のもの、土に半分埋まっているものもあります。

数十年かけて育てる
パキポディウムは成長が遅いものが多く、種まきから育てると大きくなるまで十数年の年月がかかります。開花株になるまでおよそ5年はかかります。挿し木から増やすこともできますが、肝心な芋(塊根)が太らないため、コーデックスらしい形にするには通常種まきから栽培します。

冬の栽培にやや難あり
パキポディウムは典型的な夏型種で冬の寒さに弱いです。最低越冬温度は8℃ですが、できれば10~15℃を保ちましょう。冬でも日当たりを好むので、室内取り込み時にはよく日に当たる部屋を確保します。

育て方のコツ

  • 春から夏、秋にかけてしっかり水をやり日に当てる
  • 寒さに弱いので、10℃を下回ったら室内に取り込む
  • 冬11~3月は完全に水を与えない断水をする
  • 冬型は夏型と逆の栽培をする

年間栽培カレンダー

夏型種の場合(光堂以外)

生育型 夏型
生育期 4~9月
休眠期 11~3月
緩慢な時期 10月頃
水やり
  • 3月末頃新芽が出てきたら水やりを開始する
  • 4~9月は土が完全に乾いたらたっぷり与える
  • 10月に入り落葉したら水やりを止める
  • 11~3月は全く水をやらない断水をする
置き場所
  • 通年風通しがよく日が当たる所に置く
  • 雨ざらしにできる種類もある
  • 11~3月は室内か温室で7~15℃以上を保つ
植え替え
  • 3~5月頃が適期
増やす
  • 3~5月に種まき
肥料
  • 植え替え時に緩効性肥料、4月~11月は月1~2回液肥を与える
開花
  • 4~7月頃

冬型種(光堂)の場合

生育型 冬型
生育期 9~4月
休眠期 6~8月
緩慢な時期 4~5月頃
水やり
  • 3~4月は鉢が完全に乾いてからたっぷり
  • 4~5月は徐々に減らす
  • 6~8月は水を与えない断水をする
  • 9~11月は鉢が完全に乾いてからたっぷり
  • 12~2月は月1回程度軽く霧吹きする程度
置き場所
  • 4~6月は直射日光の当たる屋外
  • 7~8月は明るい日陰かやや遮光する
  • 9~翌3月の時期で5℃以下の場合、翌日の当たる室内か温室へ取り込む
植え替え
  • 年に1回、3~5月か9~10月頃が適期
増やす
  • 9~11月に種蒔き
肥料
  • 植え替え時に緩効性肥料、3~5月頃、10~12月頃に月1回液肥を与える
開花
  • 4~6月頃

主な種類名

恵比寿笑い(エビスワライ) Pachypodium brevicaule
恵比寿大黒(エビスダイコク) Pachypodium densicaule
光堂(ヒカリドウ) Pachypodium namaquanum
アンボンゲンセ Pachypodium lamerei ssp. Ambongense
イノビナツム Pachypodium rosulatum var. inopinatum
ウィンゾリー(ウィンドゾリー) Pachypodium baronii var.windsorii
エブレネウム Pachypodium rosulatum var.eburneum
カクティペス Pachypodium rosulatum var. cactipes
グラキリウス(象牙の宮) Pachypodium rosulatum var.gracilius
ゲアイー Pachypodium geayi
サキュレンタム(天馬空) Pachypodium succulentum
タッキー Pachypodium densiflorum ‘Tackyi’
デカリー Pachypodium decaryi
デンシフローラム(シバの女王の玉櫛) Pachypodium densiflorum
バロニー Pachypodium baronii
ビカラー Pachypodium rosulatum avar. bicolor
ビスピノサム Pachypodium vispinosum
フィフレンセ Pachypodium fiflense
ブレビカリックス Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
ホロンベンセ Pachypodium horombense
ラメリー Pachypodium lamerei
レアリー Pachypodium lealii
ロスラツム Pachypodium rosulatum
亜阿相界(アアソウカイ) Pachypodium lameri ssp. geayi
白馬城(ハクバジョウ) Pachypodium lealii ssp. sundersii
鬼に金棒(オニニカナボウ) Pachypodium rutenbergianum
グリグエンセ Pachypodium succulentum ‘Griguense’
マカイエンセ Pachypodium rosulatum var. makayense
休眠期とは?
多肉植物の日本での栽培は自生地の環境と異なります。そのため日本の寒さや暑さに耐えられなくなると生育が鈍ったり成長が止まったりします。その時期のことを「休眠」といいます。時期は種類によって異なり、夏に休眠するタイプと冬に休眠するタイプがあります。休眠期は生育が鈍るので肥料や水やりを控え、挿し木や株分けなど株へ負担をかける作業を控えます。

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育て方のポイント(夏型)

水やり

水やり基本的には雨ざらしにしてもよいほど水が好きで、生育期の4~10月は夏も含めて週1回鉢土がカラカラに乾く前に与えます。ただし梅雨時と秋雨の間は雨よけが必要になります。雨ざらしにする場合、水やりは要りません。冬は休眠するためほとんど水を与えないようにします。

目安
暖かくなってくると葉をつけ休眠が終わったことを教えてくれます。この目覚めの時期は4月頃で、4~5月は土が完全に乾いたらたっぷりの水を与えます。ただ休眠明けは急にたっぷりは与えず、徐々に増やすようにします。梅雨時の6月は無理に与えず土が乾いてから水を与えます。

7~10月も生育期が続き、土が乾いたらたっぷり与えます。温度が下がってくると葉を落とし11~3月は完全に休眠するので、一切水を与えないか月に1回ほど霧吹きをします。
休眠期に大量の水を与えてしまうと腐りの原因になってしまいます。

実生苗の管理
種まきから育てて1~2年以内の苗は乾燥にとても弱くなっています。そのため成株とは異なる育て方をします。水切れに弱いので、冬でも夏でもカラカラに乾かさないように少量の水をこまめに与えます。2年以上経って乾燥に強くなったら親株と同じ育て方に慣らしていきます。

置き場

置き場パキポディウムは日が当たり風通しのよいところに置きましょう。春から秋の気温の高い時期は屋外で日に当てて栽培します。種類によりますが遮光もほとんどいりません。

寒さが苦手なので冬場10℃を切ったら、室内か温室に取り込みます。雨ざらしにしてよい品種と雨ざらしNGの種があります。一般的に多肉植物は7~8月は遮光したり水やりを控えたりしますが、パキポディウムは真夏に日に当ててよいですし、たっぷりの水を与えます。

目安
具体的な季節ごとに4~6月は休眠から覚めて生育が旺盛になるので、直射日光の当たる屋外に置きます。雨ざらし可能の品種でも梅雨時は雨の当たらないところに移動します。続いて7~8月は基本日なたに置きますが、冬型のパキポディウム(光堂)と弱い種は葉焼け防止のため遮光が必要です。9~10月は直射日光のあたる屋外でたっぷり水を与えて育てます。寒さに弱く10℃を切ったら室内に取り込み、およそ11~3月は室内か温室に置くことになります。

耐暑性と最高気温・夏越しの方法

夏越し耐暑性は強く7~8月でも日なたに出してよい、夏越しがしやすい種類です。梅雨時以外は雨ざらしも可能で日本の夏でも育てやすいです。ただ冬型の光堂などは断水して日陰で育てる必要があります。他の多肉植物を育てていると、夏に水をやるのは怖くなってしまいがちですが、水と日光が芋を太らせるので欠かさないようにしましょう。

越冬最低温度と冬越し方法

冬越しマダガスカル産なので寒さに弱く、最低越冬温度は7℃、できれば10℃程度を保ちましょう。日本では暖地でも5℃は下回るので、室内か温室に取り込む必要が出てきます。関東基準で概ね11月末から3月初めまで室内に入れることになります。霜に当てたり5℃以下の寒さに当てると枯れて再生しないので、寒さ対策は充分に行います。

休眠中の管理
休眠の目安は、春につけた葉を枯らして落とすときです。室内に取り込んだ後は完全に水をやらない断水を行います。あるいは乾燥が気になる場合は幹に葉水(スプレーで霧吹きする)します。葉が枯れても塊根(芋)で光合成しているので、冬でもしっかり日に当てることが大切です。また室内だと窓側の半分しか日が当たらないので、時々鉢を180度回してまんべんなく日に当てましょう。

増やし方

殖やし方
パキポディウムは挿し木と種まき(実生)ができます。さし木をすると塊根が太らないので、基本は種まきを行います。蒔き時は4~6月の温度が保てる時期です。真夏でも蒔けますが、幼苗は暑さにやや弱いので4~6月に始めたほうがよいでしょう。

種まき
種まきをする場合は、新しい土を用意して消毒し、腰水管理をした上で播種(種まき)します。種まき後は1週間から1ヶ月程度で芽が出るので、発芽後は通常の水やりに切り替えます。種まきのやり方は少々手順が複雑なので、別ページにまとめています。

パキポディウム グラキリウスの実生方法と種まき実践記録!
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挿し木
挿し木の場合は伸びた枝に葉を2~3枚残し枝先をカットして挿し穂とします。その後2~3日切り口を乾かし、乾いた用土に植え付けます。

植え替え・鉢増し

子株では1年に1回、大株では2年に1回植え替えが必要で、生育期の少し前から初め頃の4~6月に行います。コーデックスの植え替えはやや難しい作業で、株を支えている大事な根を切ってしまうと枯れてしまうことがあります。そこで最初のうちは「鉢増し」という根鉢を崩さない方法で行います。

鉢増し
鉢増しとは、株に対して鉢が小さくなってしまった株を引き抜いて一回り大きい鉢に植え、土の量だけ増やす方法です。根鉢とは鉢から株を抜いたとき、根と土が鉢の形をして固まっているまとまりのことです。鉢増しではこれを崩さず、一回り大きな鉢に移して株の周りの空白に新しい土を足します。こうすることで、パキポディウムを育てる上で一番リスクがある「根を切る」という作業をしなくて済みます。

通常の植え替えについては、コーデックスの育て方ページの植え替え項目をご覧ください。

土と鉢

土他の多肉植物・コーデックスと同じく水はけと通気性のよい土を使いますが、雨ざらしで育てる場合はさらに水はけのよい土を選ぶことが重要です。

市販品
市販されているサボテン・多肉植物の土を使うのが一番簡単ですが、自分で作ったり、市販の土を改良して使うこともできます。市販のサボテン・多肉植物の土では、あまり細かすぎないで粒のサイズが揃っているものが向いています。小さい苗のうちは小さめの粒を、大きくなってきたら大きめの粒の土で植えるようにします。どちらの場合もみじんは取り除く様にしましょう。

元肥が入っている場合は半年ほど施肥をしなくてよいです。その後肥料切れしてきたらハイポネックスなどの液肥で追肥をしたり、鉢増しの時に土の中に緩効性肥料をいれてもよいです。

自分で作る
自分で作る場合は、赤玉土をメインに腐葉土や川砂、軽石、バーミキュライトなどを3種類以上混ぜて使います。サボテン・種まき用土を水はけのよい土に改良する場合は、軽石小粒や赤玉土小粒を2割程度混ぜ込むとよいでしょう。

最適な鉢
小さい苗のうちは小さい鉢に植え、窮屈になってきたら一回り大きな鉢に植え替えます。最適な鉢サイズは苗をいれて鉢と苗の間に1~2本指が入る程度です。大きすぎる鉢は水が乾きにくいので、根腐れの原因になってしまいます。鉢サイズだけを大きくしたい場合は「鉢増し」をすると安全に土の量を増やすことができます。

肥料

肥料肥料を好むので生育期の4月~10月は月1回、ハイポネックス1000倍~2000倍などの液肥を与えます。または緩効性肥料を植え替え時に土に混ぜ込んでも問題ありません。

普通の植物より少なめ
肥料を好むとはいってもそれは多肉植物の中では、という意味で普通の植物や野菜などに比べたら少なくて良いです。肥料が多いと枝が良く伸び、太らないままヒョロヒョロと長くなり見かけが悪くなってしまいます。そのため一気にどさっと与えず、様子をみながら調節します。

病害虫

病害虫
害虫
高温乾燥時にはハダニがつきやすく、春先はアブラムシの被害に遭いやすいです。こうなると新芽が黒くなり葉が展開せず、生育が悪くなります。吸汁されてしまったところは戻らないので、ハダニとアブラムシを事前に駆除します。またハダニが葉の裏側を吸汁して葉が黄色くなることがあります。ダニ類は殺虫剤が効かないので「殺ダニ剤」という専用の農薬を散布します。その他カイガラムシヨトウムシがつくことがあります。

病気
モザイク病にかかることがあります。モザイク病の原因はウイルスで、感染したものは治療が困難です。他に伝染するのでその株は処分する以外ありません。梅雨時には軟腐病にかかりやすくなります。軟腐病は根や幹の傷から病原菌が入ることで起こり悪臭を放ちます。罹患すると助からないので、他に移らないように処分します。

パキポディウムによくあるトラブル

  • 塊根部が腐り始めた・・・長く雨に当てて根腐れしたと思われます。梅雨時や秋雨の降る時期は雨ざらしにせず、水やりを控えめにしましょう。
  • 植え替え後、調子がよくない・・・植え替え時に根を切ってしまい株が弱っていると考えられます。植え替え時に根を切らないに気をつけるほか、植え替え適期に行うことで根ののびをよくする必要があります。
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