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グラキリス実生記録その2!ヒーターマットと育成LEDで育ててみた

2023年4月、再度パキポディウム「グラキリス」の種まき(実生)に挑戦します。今回は植物育成ライトとヒーターマットを使って完全室内の新しい環境で実践します。

前年度の種まきと失敗

パキポディウム グラキリスの実生その2

昨年(2022年)パキポディウム グラキリスの実生を始めて行いましたが、冬越しに失敗し枯れさせてしまいました。そこで今回は失敗を踏まえてやり方を変え、再度挑戦することにしました。

1回目と今回の相違点は

  • ヒーターマットを使って早い時期に蒔く
  • 植物育成ライトで完全に室内で育てる
  • 土を別の配合に変える
  • 肥料を与え成長を促進させる

です。

以下に掲載することは全てコーデックス素人の個人的な実生記録ですので、あくまで参考程度にとどめていただければ幸いです。

また、以下の実践方法はオペルクリカリア パキプスの手順と全く同じとなっています。

オペルクリカリア パキプスの実生記録-ヒーターマットで種まきに挑戦
2023年4月、オペルクリカリア パキプスの種子を手に入れる機会があったので実生してみました。実践環境や必要なものなどについても詳しく紹介しています。

今回の実践環境

種子の入手先と鮮度

今回種子はヤフーショッピングの多肉植物ワールドというショップで購入しました。
入荷日は2023年3月と新しいものの、採取は昨年度と思われますが(未確認)、今年度採取のタネを待っていると蒔き時が遅れてしまうためこの選択でした。

多肉植物ワールド(ヤフーショッピング)

まき時とヒーターマットについて

Hyindoor 10″x20.75″ ヒートマット サーモスタット付き 園芸ヒーター 発芽マット

今回は少し特殊な環境で実生しています。

本来パキポディウムなど夏型コーデックスのまき時は、気温が25~30℃になるもっと暑い季節です。関東以南では5月中旬から6月にかけてになると思います。しかし今回は4月初めというかなり早い時期に蒔くことにしました。ただし植物用サーモスタット付きヒーターマットを使って温度を人工的に上げて行います。

なぜヒーターマットを使って4月に蒔きたかったかというと、気温の上昇を待っていると夏近くまで待たなければならず、秋冬の休眠期になる前に大きくできないこと、温度をしっかり管理する、日当たり(育成ライト)をしっかり確保するなど発芽条件を整えたかったためです。

前年管理人はグラキリスを6月14日というかなり遅い時期に蒔いて、冬になるまでにしっかり成長させられず、体力が尽きて枯れさせてしまったこと、昼夜の温度差が激しく一気に発芽させられなかったことなどから実生に失敗しました。

そこでそのような要因を取り除いて、成功率を上げようと考えました。

※育苗ヒーターマットは鉢の下に敷いて鉢や土を温める機器です。またサーモスタット機能付きヒーターマットとは、温度設定機能があり昼夜一定温度を保つことができるヒーターマットのことです。(下記参照)

※植物育成ライトは機能は単純で太陽光の代わりに光を補うことができる機器です。(下記参照)

屋外栽培と室内栽培のメリット・デメリット

屋外栽培
屋外栽培のメリット

  • 太陽光のため苗にまんべんなく光が当たる
  • 風通しがよく送風管理がいらない
  • 育成ライトやヒーターのような機器を買わなくて済む
屋外栽培のデメリット

  • 温度が30℃程度保てるまで待つ必要がある(まき時が狭い)
  • 土の乾きが早くうっかり腰水を切らせてしまうリスクがある
  • 直射日光に当てると葉ヤケしたり枯れたりするため遮光環境の管理が必要
室内栽培
室内栽培のメリット

  • ヒーターマットを使えば早めに蒔ける(1回目の冬までに大きく育てられる)
  • 天候にかかわらず一定の光を照射できる
  • 乾燥で枯死させるリスクが少ない
室内栽培のデメリット

  • 植物育成ライトがないと育てることができない
  • 風通しが悪く蒸れて枯らす心配がある(送風機又は扇風機必須)
  • 電気機器が必要で無視できない電気代がかかる

土の配合について

今回の土の配合は、至って簡単なものにしました。といっても手抜きではなく、色々な種子を蒔いてみてこれがよいのではないかという土が見つかったためです。

土は市販の花ごころ「さし芽・種まきの土」と「さぼてん・多肉植物の土」を振るいに掛けたあと同量を混ぜるというものです。

これまでは赤玉土やピートモス、パーライトなどを毎回別な配合で変えて蒔いていたのですが、水をやったとき土が浮く、鉢底からすぐ抜け出て染みこまない、藻が大量に発生する、根が張りにくい、水はけが悪いなどさまざまな問題点がありました。

また毎回配合が異なり土作りも大変で、その回ごとの配合の割合を忘れてしまったり、そのたびに土の性質が変わるなど一定品質を保てませんでした。

また前年のグラキリスは根張りが非常に悪かった(浅かった)のですが、それは表土に種まき用の土をそのまま使ったためと思われ、今回種まき用土だけ使用するのは避けました。(ある程度の重みがあり、苗を立たせる土を目指しました。)

今回の配合がうまくいけばいつでも一定の土を用意できますし、またこのページを見てくださっている方が実践する際の再現性も高いです。(土とふるい共に安価でアマゾンで調達できます)

今回は鉢の高さを3等分して中~上にさし芽・種まきの土とさぼてん・多肉植物の土をそれぞれ3mmのふるいに掛けて同量を混ぜたものをいれます。下3分の1については、さきほど振るいに掛けて残ったさぼてん・多肉植物の土を5mmのふるいにかけたものを入れます。

この配合だと藻が発生しにくい、土に水が染みこみ適度に保水性と排水性がある、細かいので根が張りやすい、また水分を多く含んでいるためタネに水が染みこみやすく硬い種子にもしっかり水が浸透する、などのメリットがあります。

もちろんもっとよい配合をもっている方はそちらでもよいですし、市販の土では別メーカーのものを使ってもOKです。

土やタネの消毒について


今回土は熱湯消毒・殺菌剤消毒し、タネは殺菌剤消毒のみ行いました。

まず土はプレステラ90の鉢に入れて熱湯を充分にかけます。鉢底から流れ出したら終了です。その後土の表面にたっぷりオーソサイドスプレーを吹きかけました。

またタネはタネだけを直接殺菌するのではなく、殺菌した土に蒔いて上からオーソサイドスプレーをする、という方法で行いました。

暑い時期に殺菌剤に浸けていると皮が剥けてくることがあるので、直接殺菌剤に浸すのはやめにしました。

蒔く環境のセッティング

今回種まきの環境は以下の通りに行いました。

  • 腰水容器はミネラルウォーター2Lのペットボトルを加工したものを使用
  • タネをまく鉢はプレステラ90を使用
  • 播種は室内で植物育成ライト(GREENSINDOOR 600W)を使用
  • 育成ライトは50cm程度離し1万ルクスほどに調節
  • ヒーターマットはHyindoor製のサーモスタット機能付きを使用
  • ヒーターマットの温度はレベル3(約30℃)に設定
  • 腰水は2cm程度

※これはあくまで一例ですので、参考程度にお願いします。

今回必要だったもの

サーモスタット付きヒーターマット

4月のまだ寒い時期に実生するにはヒーターマットが必須になります。

またできれば一定温度が保てるサーモスタット機能付きがベストです。今回は「Hyindoor製サーモスタット機能付きヒーターマット 30W」という製品を使用しました。20℃から40℃まで5℃刻みに設定することができ、今回のグラキリスでは30℃(レベル3)に設定しました。

パキポディウム グラキリスの実生環境

レビュー
Amazon

※必ずこれが必要というわけではなく、30℃程度が安定的に保てるのであればどのヒーターマットでも構いません。

植物ヒーターマットとは

植物を入れているカゴや鉢などの下に敷いて植物を寒さから守ったり、実生のための温度を保つ、コーデックスの発根管理、などのためのアイテムです。温度調節機能付き(サーモスタット機能付き)のものは温度(約20~40℃程度)を設定することで昼夜一定温度で加温することができます。サーモスタット機能なしの単に電源を差し込んで定格電力で温める通常のタイプもあります。これは室温プラス10℃程度の加温効果があり、室温の変化に応じてマットの温度も変わります。

植物育成ライト

室内で実生するのには日光不足となり、植物育成ライトが必須になります。

今回は「GREENSINDOOR 600W相当」というLEDを使いました。今回は鉢をライトから50cmほど離しまんべんなく1万ルクス程度の光を照射するようにしました。

パキポディウム グラキリスの実生
(色々映り込んでいてすみません。。)

レビュー
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※必ずこれが必要というわけではなく、ある程度強い光(目安として6,000ルクス以上)が当てられればどの植物育成ライトでも構いません。

植物育成ライトとは

植物の光合成に必要な光の波長を当て日光不足を解消するための機器です。植物育成ライトがあれば、窓のない部屋や窓辺でない暗い所でも、多肉植物を健康に育てることができます。ライトは色々な種類がありますが、家庭用のものではLEDが多く光の強さが調節できるのもの、タイマーがあるもの、形状では電気スタンド型のものやパネル状のものなどがあります。

市販の土(2種類)

今回は花ごころの通常多肉用土とさし芽用の2種を準備しました。

花ごころさぼてん多肉植物の土
花ごころ さぼてん多肉植物の土
花ごころの市販用土で軽石・バーミキュライト・ゼオライトなどが入っている土で、肥料が入っていない土です。水はけと根腐れ防止に重点を置いています。粒サイズにばらつきがありますが、ふるいにかけることで均一化できます。

花ごころさし芽種まきの土
花ごころ さし芽種まきの土

花ごころの市販用土で、バーミキュライト・パーライト・ピートモス・鹿沼土でできており、肥料が入っていないものです。やわらかくフカフカしており適度な保水性を持ち、目が細かいことから種まきに適しています。

レビュー
Amazon(さし芽・種まきの土)
Amazon(さぼてん・多肉植物の土)

※必ずこれが必要というわけではなく、ご自身の配合土があればそれでも大丈夫です。

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オーソサイド(殺菌剤)

今回殺菌剤にはオーソサイドを用いました。
オーソサイド

800倍液をスプレー容器に入れて土とタネにしっかり吹きかけました。

レビュー
Amazon

殺菌剤とは

殺菌剤はタネのカビや発芽した苗の立ち枯れ病などを防ぐための農薬のことです。タネにかけることでタネを消毒できるほか、土にかけてカビを防止する効果があります。よく使われる殺菌剤としてベンレートが挙げられますが、こちらも同じ殺菌剤の一つです。しかしオーソサイドは観葉植物に適用があることと(ベンレートは適用なし)、藻の発生抑制に効果があるのでできればオーソサイドをおすすめします。

実践記録

作業の流れ

ペットボトル(腰水容器)の加工

水2Lペットボトルは横に倒して使い、中にプレステラ90を3つ並べて完全に蓋で密閉できるようにします。そのため横を蓋と腰水容器に分けるようにハサミで切り分けます。


プレステラがちょうど3個入ります。

土の準備

土は花ごころ「さぼてん・多肉植物の土」と「さし芽・種まきの土」をそれぞれ3mmでふるい、およそ同量を混ぜ合わせます。ややさぼてん・多肉植物の土を多めにしました。(中間~上部の土)

混ぜ合わせた土です

ふるいの中に残った土は5mmのふるいでふるっておきます。(底用の土)

鉢に土を入れる


以下のように下3分の1に底用の土を入れ、中間~上までの3分の2に中間~上部の土をいれます。土はウォータースペースを1cmほど取りますが、できるだけ上の方までいっぱいに入れます。

ラベルを差す


種子の名前と蒔いた日を書いたプラスチックラベルを用意し土に差します。

土を消毒する

土にはグラグラ煮立てたお湯をたっぷり注ぎ、その上からオーソサイド800倍スプレーをかけます。そして腰水を2cm程度張ります。

種子を蒔く

パキポディウム グラキリウスの種まき
タネを蒔きオーソサイドスプレーを吹きかけます。このときタネは土に乗せるのではなく、土の中にやや押しつけるようにして蒔きました。

ヒーターマットで加温を開始


ヒーターマットを敷いてレベル3(30℃)に設定、加温を開始します。

植物育成ライトを設置


植物育成ライト(GREENSINDOORの600W版)を50cmほど離してつり下げ、タネを蒔いた辺りがちょうど1万ルクス程度になるように距離を調節します。これは自然光に合わせて毎朝9時頃オンにして17時頃オフにします。

1ヶ月目(2023.4)

2023/4/2
タネを12粒蒔きました。

30℃で加温を開始します。最初はこまめに温度を測り安定しているのを確認します。書き忘れましたが、ペットボトルには温度計の針が入れられる小さな穴を空けておいてください。いちいち蓋を開けていると温度や湿度が低下してしまいます。また同様の理由で観察は一日につき朝夕1回ずつとします。

2023/4/4
1粒から根が出かかっています。

2023/4/5
1粒にカビが発生したため即撤去しました。

2023/4/6
2粒目の発根が始まりました。

2023/4/7
合計5個発根が始まりました。

2023/4/9
合計6個発根していますが、正常なのは2個のみで、後は葉が先に出てしまったり根が土に埋まらないなど問題があります。

2023/4/10
本日から設定温度を30℃から35℃に変更しました。

2023/4/12
本日からサーモスタットなしのMarunda製ヒーターマット(最大30℃程度)に変更しました。

2023/4/13
葉が正常に出ている鉢にハイポネックス1,000倍液をスプレーしました。(施肥1回目)

2023/4/14
撮影日:2023/4/14

2023/4/14
オーソサイドスプレーをしました。

2023/4/15
合計7個発根中です。

2023/4/16
合計8個発芽中です。

2023/4/18
初めて本日蓋を開放しました。これまでずっと蓋を閉めて密閉空間で育てていました。
種子2つが葉から発芽しなかなか根が出てこないため、カッターで慎重に切り開き強制的に殻から芽を出させました。しかし根になる部分が発見できず、異常発芽なのか、根付かず枯れる可能性が高いです。


グラキリスはこのような異常な発芽をするものがわりと多いですね。


剥いた状態です。

8個発芽中ですが、正常な発芽は12粒中4個のみ、人工的に立たせたものが2苗、皮を剥がしたものが2個、1個はカビ生え、3個が未発根となっています。

撮影日:2023/4/18

2023/4/26
全てにマグアンプを与えました。

2023/4/28
オーソサイドスプレーとハイポネックススプレーを行いました。

またどうしても殻が外れない1本を強制的に外しました。

2ヶ月目(2023.5)

引き続き、室内のLED下で、ヒーターマットを使って栽培しています。(土の温度は22~24℃程度)腰水管理中で時々水を替えて容器を洗浄しています。

日中は送風なし、夜間のみ00:00~8:00までミニ扇風機で送風していますが、透明な蓋をややかぶせ気味にして、カラカラに乾かないように調節しています。

2023/5/1
皮を剥がしたものが2本ありましたが、そのうち1本は根付かず腐って枯れました。そのため今のところ健在なのは7本となっています。(もう1本も腐る可能性があります。)

撮影日:2023/4/30

2023/5/3
サーモ付きヒーターマットに移動させ30℃に設定しました。

2023/5/7
オーソサイドスプレーを行いました。

2023/5/12
2対芽の本葉が出かかっています。

撮影日:2023/5/12

2023/5/13
初めてフタを全開放にしました。そして1日12時間の送風を開始しました。

2023/5/20
ハイポネックススプレーを行いました。

2023/5/26
送風を1日おきにしていたところ、瞬く間にカビが生えてきました。急いでカビた土を除去してオーソサイドスプレーをたっぷり行いました。

3ヶ月目(2023.6)

【6/1記】5月も引き続きずっと室内に置いていますが、室温は22~26℃程度でした。植物育成ライトは1万ルクス程度を9:00~17:00まで照射し、送風は00:00~6:00と11:00~17:00の12時間です。まだ20Wのヒーターマットの上に乗せて加温しています。(室内は真夏でも33℃までしかいかないため、真夏も30℃を保てるぐらいの加温はするかもしれません。)

カビは6/1現時点では再発していません。

本葉が早いものでは3対目がでてきています。遅いものでも2対でてきています。双葉は枯れていっています。

昨年は全く肥料なしで育てましたが、今年はしっかり肥料を与えているので葉の出方もよく、葉の大きさも大きいです。コーデックスとはいえ、肥料が必要ということを体感しました。既にサイズ的には前年度の実生を超えており、冬までには冬越しに必要なサイズに育ってくれそうです。

撮影日:2023/5/28

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