サボテンを増やす方法のひとつに「株分け」と「カキコ(カキ仔、子株取り)」があります。株分けやカキコとは何か、行う時期、注意点、発根までの流れなどを解説しています。
目次
株分け・カキコ(子株取り)とは
サボテンの株分け
サボテンのカキコ(子株取り)
株分けとは、根をつけて株を分ける増やし方で、カキコとは親株についている子株を切り離して別々に植え付ける増やし方です。
株元から子株を出し群生するタイプは株分けで増やすことができますし、親株の先から子株が出てくるタイプはカキコ(子株取り)で増やすことができます。
どちらも普通の多肉植物で行われている増やし方です。
株分けの場合は植え替え時に同時に行うことが多く、鉢から一旦抜きだして株を分割して別々に植え付けます。子株取りの場合は、出てきた子株を手で取るか取れにくい場合は、カッターなどで切り離して別々に植え付けます。
適切な時期
株分け・子株取りは挿し木と同じく繁殖の適切な時期(適期)があります。適切な時期は生育期の成長が盛んなときで、休眠前や休眠中には行いません。休眠中に行うと根が出ずに失敗する確率が高くなります。
サボテンは夏型の多肉植物なので、3~10月によく生育しますが、そのうち株分けの一番最適な時期は3~5月頃です。植え替えも同時に行うことが多いので、生育期の前半できれば3~4月頃までに行うのがベストです。
子株取りは3~5月のいつでも可能です。ただし7月、8月も可能です。また6月は梅雨時で湿気が多く腐りの原因になるため避けた方が無難です。
寒冷地の場合は1ヶ月程度遅らせて考えます。目安の気温は日中の気温が20~25℃程度まで上がるかなり暖かくなった頃です。
作業で重要なポイント
根を付けて分ける
※株分けの場合
株分けは複数の子株に分けることができますが、できるだけどの株にも根をつけることが望ましいです。根をつけるためには、丁寧に土をほぐして根が切れないようにします。
しかしもし根が切れてしまったり、根がない子ができてしまっても、挿し木と同じ手順で根を出させることができます。
またあまりにも小さな子株は根が出ていないと発根までに体力を使い切ってしまうことがあるので、株分けせずに他の株とくっつけておいた方が安全です。
きれいに切り離す
※カキコの場合
子株取りの時は、きれいに子を離すことが大切です。手で簡単にぽろっと取れてしまうものは簡単でよいのですが、なかなか離れないタイプは親株との境目をカッターナイフなどで切る必要があります。
この場合、良く切れる刃で清潔なものを用いるようにしましょう。
出た根を大切にする
※共通
体力をしぼって出した根は大切にしましょう。サボテンの発根までにかかる時間は最低1ヶ月程度と長期間で、せっかく出た根を折ってしまうと、次の根が出ないこともあります。
土に挿したらむやみに触らないことが大切です。場合によっては土に挿すのではなく、空き瓶などに立てかけておいて時々発根したか、覗いてみるとよいかもしれません。
その他の注意点
半日陰で管理する
子株取りをして発根して土に挿し根が伸びるまで、半日陰で管理しましょう。直射日光の当たる所に置いているとあっという間に干からびて枯れてしまいます。また真っ暗の部屋などに置いておくと光合成できず弱ってしまいます。
清潔な土と用具を使う
土は病害虫の心配のない新品の用土を使いましょう。他の植物を切った道具は病害虫がついていることがあるので、熱湯か火であぶって消毒しておきます。
元気な株を選ぶ
元気で健康な株を使いましょう。弱っていたり病害虫にやられている株を使うと、発根までに体力が尽きて枯れてしまったり、病気がうつったりしてしまいます。
時期を守る
成功率を上げるためには、適期に作業することが大切です。サボテンの場合、夏型の典型なので3~5月、できれば充分暖かくなった4~5月が望ましいです。(植え替えと同時に行う株分けは3月もできます。)
土の種類は
土は肥料分のない細粒~小粒のサイズの土を使います。何種類も土を混ぜるこだわりの配合をする必要はなく、日向土単体やバーミキュライト単体、赤玉土単体といったもので構いません。
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株分けの方法
- キッチンペーパー
- 手袋
- ハサミ
- カッターナイフ
①鉢を乾かす
②株を抜き取る
③根をつけて分ける
④乾燥させる
⑤植え付ける
⑥水やりとその後
①鉢を乾かす
作業する前は数日、水をやらずに鉢を乾かしておきます。水やりのしたてで土が濡れていると土をほぐすときに根がブチブチ切れてしています。最後の水やりから5日程度経過した程度が作業しやすいようです。
②株を抜き取る
準備が整ったら新聞紙を広げて鉢から株を抜き出しにかかります。株を押さえて鉢を揉むようにして抜き出しやすくします。ここでサボテンのトゲが痛い場合は、キッチンペーパーを2枚重ねたものを4つに折って、それでサボテンを包むようにすると全く痛くありません。
③根をつけて分ける
できるだけどの子株にも根が付くように分けましょう。根が付いているほうが早く成長できます。しかし根が取れてしまっても挿し木として扱えるので大丈夫です。
④乾燥させる
根を切った場合はすぐ植えずに数日乾かします。多少の根を切った程度であればすぐに植え付けて構いません。
⑤植え付ける
最初の鉢の底に土を少しいれて、緩効性化成肥料をふたつまみほど混ぜ込みます。その上にサボテンを置いて上に持ち上げながら土を入れていきます。根はなるべく広げて植えるようにします。
⑥水やりとその後
さらさらに乾いた土に植えた場合、植え替え後に水を少なめに与えます。湿った土に植え替えた場合は2~3日経ってから始めての水やりを行います。根を切っている場合は、1~2週間は半日陰に置きます。その後本来の置き場所に戻します。
カキコ(子株取り)の方法
- キッチンペーパー
- 手袋
- ハサミ
- カッターナイフ
①子株を取る
②乾燥させる
③土に挿す
④発根したら水やり
①子株を取る
子株を取ります。手で簡単に外れるものは、そのままもぎ取って構いません。すでに取れかかって根が出ている場合もあると思います。簡単に取れないものは、親株と子株の境目にカッターなどの刃を入れて、なるべく傷つけないように切り離します。
②乾燥させる
切り離し・またはカットしたら切り口をよく乾燥させましょう。最低1週間程度は土に挿さないで半日陰で乾かします。切り口の大きいものほどしっかり乾かすことが大切です。
③土に挿す
1週間ほど乾かしたら、乾いた用土に挿します。または空き瓶などに立てかけて発根を待ちます。
④発根したら水やり
数ミリ発根してきたら本格的に土に植え、少しずつ水やりを開始します。根は湿った土に触れることでぐんと勢いよく伸びてきます。
発根するまでにかかる期間は早くて1ヶ月、遅いと2ヶ月程度かかります。大きな子株ほど発根に時間がかかり、小さいものほど早く根を出そうとするようです。