コーデックスでもメセンでもないアルブカ属のスピラリス、クルクルと葉をまく姿が魅力の球根植物です。また葉もかわいいですが、花も良い香りがあります。アルブカ属には、同じく葉をクルクルさせる「コンコルディアナ」がありますが、スピラリスのほうが各段に育てやすく成長も早いそうです。
育てやすいとはいえ、アルブカ属は今回が種まき・栽培も初めてとなります。発芽には冷蔵発芽処理がいるようで、これまでにない経験ですが、貴重な機会なのでがんばりたいと思います。
目次
アルブカを種まきで育てる
アルブカ「スピラリス」の種
スピラリスは球根から育てることもできますが、やはり種から(一から)育てていきたいという方もいらっしゃると思います。そこで実際に種から育てて栽培記録を記載していきたいと思います。
種から育てるといっても成長は早く、日当たりが良いところで育てれば1年半で開花までいくそうです。葉をクルクルさせるためにはしっかり日に当てることが大切で、日陰に置くとだらっと伸びてしまいます。それでは実践の準備をしていきましょう。
画像引用:https://jp.mercari.com/item/m89130956608
実生(種まき)に必要なもの
- 種子
- 種を蒔く鉢
- プラスチックのラベル
- 種まき用の土
- 通常の多肉植物用土
- キッチンペーパー
- 小型のタッパー
- 霧吹き
- 殺菌剤
- 殺菌剤希釈液を作る空きペットボトル
鉢の用意
ここではホームセンターなどで入手しやすく安価な「プレステラ90」というプラスチック鉢を使いました。この鉢に土を入れて種を蒔きます。できる限り持ち上げたとき形が崩れない硬質ポットを用意するようにしてください。
土の配合と種類
スピラリスの栽培では土は特に好みはないようですが、種から育てるため、表土はさし芽種まきの細かい用土、底から中間には適度に水はけがあり根も育つ、通常の多肉植物用の土を用意しました。
今回の配合
土は3層にしました。プレステラの深さを3等分にし、底3分の1に花ごころサボテンの土を敷きました。その上に通常の多肉植物の土を入れ、表土には花ごころさし芽種まきの土を入れました。通常の多肉植物の土というのは、赤玉土や日向土、ピートモス、パーライトなどを自分で混ぜた小粒のものですが、用意できない場合花ごころさぼてん多肉植物の土で代用することも可能です。
種をまいたら半年程度は植え替えができません。そのためポットの底から表面まで種まきの土を入れるより、中間部以下は普通の多肉植物の土がよいのではないかと思います。
市販でも充分可能
ただしこれはやり方の一例に過ぎず、全部市販の土で代用することもできます。ごく簡単には、鉢の3分の2まで花ごころ「さぼてん多肉植物の土」を入れ、表土に同社のさし芽種まき用土を入れればOKです。
花ごころさぼてん多肉植物の土
花ごころの市販用土で軽石・バーミキュライト・ゼオライトなどが入っている土で、肥料が入っていない土です。水はけと根腐れ防止に重点を置いています。
花ごころの市販用土で、バーミキュライト・パーライト・ピートモス・鹿沼土でできており、肥料が入っていないものです。さぼてんの土より細かく細粒で種まきの表土に適しています。
自作の土で、細粒~小粒の赤玉土・日向土・ピートモス・パーライト・くん炭を1:1:1:1:0.5で混ぜたものです。多肉植物の成株に使っている土で、適度な水はけと水持ちがあります。
必要なものと費用
種をまく鉢 | ラベル | 殺菌剤 |
---|---|---|
![]() 1個30円 ホームセンター |
![]() |
![]() 1箱 800円 Amazon |
細粒の土(表面用) | 細かい土(中間用) | 通常多肉用土 |
![]() 5L 600円程度 Amazon |
![]() 5L 600円程度 Amazon |
![]() 赤玉土・日向土・バーミキュライト・ピートモス・パーライトを同率で混合 |
殺菌剤スプレー | 小型のタッパー | スコップ |
![]() 800倍に薄めたオーソサイド用のスプレー容器 Amazon |
![]() |
![]() 大小で300円程度 |
小型のタッパーはないようであれば、お皿などある程度水を溜められる容器なら何でも構いません。
種の購入方法
アルブカの種子は主にネット通販で入手します。自分で成株を育てて受粉し種を採取している場合はそれが一番よいですが、無理な場合はヤフーショッピング、ヤフオク、メルカリなどで入手します。
また種を大量に購入する場合は、海外のオンライン通販ショップ(ケーレスなど)で購入する方法もありますが、検疫の費用などを考えるとよほどたくさん買わない限り割高になってしまいます。
種を購入するとき一番大切になるのが、「種の信頼性」です。信頼が置ける販売業者か、メルカリやヤフオクでは出品者が信頼できるかをしっかりチェックしましょう。
特にメルカリやヤフオクでは偽物(アルブカではない種子が届く)を掴まないよう、また採取年月が分かっており、交配親の写真などが載せられている、検疫証明書の画像が載せられているかなどの点が大切です。
以下ではいくつかの入手方法を解説しています。
メルカリでも多肉植物の種を多数取り扱っています。 メルカリで新規登録する方は、お友達紹介コードの入力で、メルカリの購入で使える500円分ポイントがもらえます。 よろしければ、下記のコードをお使いください。
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種の蒔き時(適期)
アルブカは秋から春にかけて成長する「冬型」の多肉植物です。そのため生育期の秋にまきます。具体的には猛暑が終わり、最高気温が20~30℃ぐらいにさがってくる9月いっぱい~10月中旬までが適しています。
8月猛暑の盛りに蒔いてしまうと、高温多湿で蒸れてせっかく芽が出た種が溶けてしまう可能性があります。とはいえ遅くなりすぎると秋に充分成長させられません。10月中旬までには種まきすることをおすすめします。
また気温は地域により差があります。※計測中※の間が発芽しやすいので寒冷地ではもっと早く蒔くことになります。管理人は福岡(暖地)のため、10月初旬に蒔きました。
冷蔵発芽処理について
アルブカは常温では発芽させにくく、適度な寒さに当てないと発芽のスイッチが入らないということです。そこで冷蔵庫で発芽させる冷蔵発芽処理(造語、正式名称ではありません)を行いました。
流れは以下のようになります。
- 容器にキッチンペーパーの2枚重ねを置き、殺菌剤(オーソサイド)をスプレーする
- その上に重ならないように種子を並べる
- 種子の上に、ティッシュペーパーを1枚剥がして薄くしたものをかける
- その上からオーソサイドスプレーをする
- ラップをして冷蔵庫の野菜室に置く
キッチンペーパーを2枚重ねにして容器に入れ、オーソサイドスプレーをします。その上に種を重ならないように蒔きます。
ティッシュペーパーを1枚剥いだものをかけます。冷蔵庫の野菜室の温度は低く5~7℃になっていました。
アルブカの実生で大切なこと
コーデックスやメセンの種まきは面倒な作業がありますが、スピラリスは比較的簡単に蒔けます。
- 発芽には冷蔵発芽処理を行うこと
- 秋に涼しくなってから蒔くこと
- 種まきから2ヶ月程度はカラカラにさせないこと
- 直射日光下はダメで半日陰で管理すること
- 硬質ポットに植えること
- 覆土はごく薄く
冷蔵発芽処理を行うこと
アルブカの発芽を簡単にさせるためには、冷蔵発芽処理がおすすめです。適度な寒さに当てることで一斉に発芽させることが可能です。やり方は先ほどの通りです。
蒔き時
発芽の適温は不明ですが、冷蔵庫での発芽がおすすめされていることから推測すると5~10℃程度と思われます。そのため、寒冷地では秋に普通に蒔くことができますが、暖地や関東以南では冷蔵発芽処理をしたほうがよいです。
腰水(底面吸水)は不要
スピラリスは腰水(こしみず)=底面吸水は必要ありませんが、用土をカラカラに乾かすと芽が枯れてしまいます。そこで特に最初の2ヶ月間は土をカラカラに乾かさないよう、こまめに水やりします。参考までに管理人は他の種子と同様腰水管理にしてしまいます。
管理場所
発芽したばかりの芽は直射日光下に置くと強い日光で枯れてしまうので、必ず半日陰か50%遮光ネットを張ったところで管理します。ただし暗すぎる所はダメで、室内などに設置すると芽がヒョロヒョロと伸びて倒れてしまう「徒長」を起こします。また室内管理だと風が吹かずカビが出ることがあります。そのため戸外の半日陰・50%遮光ネットの下に置くようにしましょう。
硬い素材のポット
腰水の交換などポットを移動させることが多いので、持ち上げても形が崩れないプレステラなどの硬質ポットが適しています。薄いビニールポットは持ち上げたとき形が変わり、土がぐちゃぐちゃになってしまうため適していません。
覆土は少しに
冷蔵庫で発芽させた芽は、ピンセットでつまんで土にそっと乗せ少しだけ土をかぶせます。これは種がペラペラで風で飛んでしまうのを防ぐためです。深植えしすぎないようにしましょう。
そのため、このサイトに書いてあるやり方が唯一ではありません。あくまでも参考程度にしていただければ幸いです。
アルブカの種まき方法
準備
まずラベルを作ります。
用意したプラスチックラベルに蒔く種の名前と日付などを書いておきましょう。他にも色々種をまくとどの鉢がどの苗だったか分からなくなってしまいます。
カビや腐敗、雑菌の防止に用具や鉢はしっかり洗っておきましょう。理想をいうと、種を蒔く鉢は新品のものが望ましいです。
ペットボトルのような細い口の容器に入れる場合は、折った紙を使うとこぼしにくいです。
オーソサイドはかなり沈殿しやすいので、必ず使うたびに振ってください。
土の消毒は必要ありませんが、古い土より新品の土が安全です。古い土を使う場合は、ふるいでふるって古い根や葉などを取り除き、念のため熱湯消毒をします。
種をまく
スピラリスの実際の粒サイズ
オーソサイドスプレーをしたキッチンペーパーの上に種を乗せ、更に2枚を1枚に剥いだ薄いティッシュペーパーをかけて、再びオーソサイドスプレーをします。
発芽(発根)したらピンセットなどで土にのせ、軽く覆土し戸外の半日陰の所に置きます。冷蔵庫に長く置いていると根が長く伸びてキッチンペーパーに入り込み、引き離せなくなるので根が出たら即、土に移動させるようにします。
発芽までの日数は?
管理人の環境では、※計測中※日間で発根しました。まず根が伸びて後から細い葉が出てきます。発根するまでは毎日冷蔵庫から取り出して変化がないか観察しました。
置き場(遮光環境)と水やり(腰水)
10月いっぱいは日差しが強いため、半日陰の環境に置きます。11月からは遮光ネットを外して問題ありません。最低温度は2℃程度のため、3℃を切るようになったら室内の日の当たる窓辺に移動させます。
室内では土にカビが生えやすくなるため、適度に通気が良いところが最良です。難しいようであれば、USBミニ扇風機などで時々風を送りましょう。
また窓のない室内でも、植物育成LEDライトがあれば育てることができます。
アルブカ「スピラリス」の実生記録
1ヶ月目(2022.10)
種はメルカリで購入しました。自家採取品です。10粒入りでしたが15粒はいっていました。採取日は2022年4月とのことです。スピラリスの種は少々古くても問題なく発芽します。それよりは暖地での冷蔵発芽処理が大切になってきます。出品者さんの情報では、冷蔵発芽処理をすると発芽率は100%になるとのことです。
スピラリスやコンコルディアナはヤフーショッピングでも多数取り扱いがあります。
2022/10/11
15粒の冷蔵発芽処理を開始しました。冷蔵庫は5~7℃になっています。
2022/10/17
種が少し膨らんできました。
2022/10/24
突然8粒に根が出てきました。この8粒はピンセットで取り出し、消毒済みで常温に置いている土の上に乗せました。
2022/10/26
盛んに根が伸びています。残りの種も4つ発根したため土に乗せて、発根せずに残った3つも土に乗せました。そして戸外の白い22%遮光ネットを3枚重ねにした所に移動させました。
2022/10/28
全て発根しました。発芽が始まっている苗もたくさんあります。細い糸のような葉です。
2ヶ月目(2022.11)
2022/10/31
13個とも発芽が進んでいます。まだ種から全部の葉が出きっていませんが、種殻を持ち上げて上に伸びようとしています。
5℃の冷蔵庫内から、急に暖かい所に出したら調子を崩さないか心配でしたが、最高22℃/最低12℃の戸外の環境に慣れていったようです。
2022/11/3
様子は変わらず、線のように細い緑の芽が伸びています。
2022/11/6
遮光ネットを外し、無遮光に切り替えました。芽の長さは2cm程度で、あちこちの方向を向いていますが、これが正常なのか徒長なのかが分かりません。
2022/11/10
以下は2022/11/10の写真です。
2022/11/15
よく見ると1mm程度の球根のような白い塊が株元にできてきました。
2022/11/18
全ての苗が生き残っていますが、くるくるというよりヒョロヒョロになってしまい、方向が定まりません。直射日光にはしっかり当てているのですが…
それでも無肥のままは心配なのでハイポネックス500倍を軽くスプレーしました。
2022/11/21
11月末にもなりますが気温は10月下旬のような感じが続き、最高気温が20℃、最低気温が12℃程度となっています。
本来は8月に蒔く種ということで、今回10月に蒔いて2ヶ月遅れのため、冬までにできるだけ大きくなれることを願っています。
2022/11/24
発芽しなかった最後の1つが発芽しているのに気付きました。
あまりにも苗がヒョロヒョロしているので腰水を一時停止して土を乾かす時間を作っています。
2022/11/30
藻の防止のため、オーソサイド800倍スプレーを散布しました。
1つの苗から2本目の葉が出てきました。これはまっすぐ立っています。
3ヶ月目(2022.12)
【12/2記】この11月は気候もよく暖かかった(最高気温22℃/最低気温12℃程度)ですが、この2日急に寒くなってきました。今後2週間の予測気温は、最高気温13℃/最低気温6℃となっています。
最初はぐんぐん成長する勢いでしたが、最近は生育が緩慢になっている感じです。寒さに触れさせないと発芽しないので、冷蔵庫に入れたのですが、特別冬に良く成長するわけではないようです。
今後は葉がまっすぐ立つよう、腰水から水を吸わせる頻度を少なくしていこうと思います。また何度まで耐えられるか分かりませんが、取り敢えず3℃を下回る日は室内に入れようと思います。
2022/12/16
【12/16記】めっきり寒くなりました。この間1℃の予報で1回取り込みし、12/18にかけても1℃の見込みで取り込みを行う予定です。
スピラリスは姿が乱れており、土の上に伸びてしまっています。水やりを減らして普段は乾かしていますが、苗は立ってくれません。根元にできた球根もあまり大きくなっていません。
こちらのページに管理人の地域での気温と天気の記録を付けたものを公開しています。お住まいの地域に合わせて読み替えていただければと思います。

4ヶ月目(2023.1)
【2023/1/4記】12月に入ると気候は急変、前半は最高温度15℃/最低気温5℃程度でしたが、後半には最高が10℃行かなくなったり、下が0℃になったりと急激に寒くなりました。天気も曇り空が多く、雨、雪が降り晴れたのは12日間だけでした。
葉が迷走して困っていたスピラリスですが、水をかなり控えたら葉が立ってきました。横から見た写真です。
この写真からも分かりますが、鉢のふちが高すぎて日が当たらない部分が多いです。もっと鉢の上ぎりぎりまで土をいれて蒔くべきでした。
今期は1℃を切る日が既に6回あり寒い印象を受けます。スピラリスの最低耐寒温度は不明ですが、2℃を切るとき室内に入れるので大丈夫なようです。
水やりはごくたまにで3週間に1回、1鉢30ml程度与えるような感じです。
上からみた写真では、背景と混ざってしまって何が何だか分からない感じですね。
5ヶ月目(2023.2)
【2/1記】数日前まで日本海側を中心とする日本全体が10年の1度といわれる大寒波が襲っていました。暖地である福岡県福岡市も例外ではなくマイナスを3日連続で記録するなど、強い寒さが続きました。多肉植物は1℃を下回る1/21~1/31まで全部の種類を室内に取り込んでいました。
スピラリスも室内の日の当たる窓辺に10日ほど取り込んでいました。
室内にいれてから僅か数日で太陽の方向に向こうとしていたので、結構日当たりは求めるタイプなのかもしれません。(確か強い光に当てないとクルクルしない種類だったと思い出しました)
2月にもなり日差しが強くなってきました。戸外では日当たりの良い所に置くので、今月少しは葉がカールしてくれるかもしれません。
水は土がカラカラに乾いてから与えるようにし、1月はこのような天候だったため1回のみでした。
6ヶ月目(2023.3)
【3/1記】2月は全体的に暖かな日が続きました。最高気温は2桁の日(10℃以上)が26日間、10℃を切ったのは2日間のみでした。最低気温は27日間10℃以下でした。天気は平年並みでした。2月末からは日差しがやや強くなってきたのを感じられました。
スピラリスの種を蒔いてから6ヶ月目に入りました。
相変わらず細い葉をするっと伸ばしていますが、巻いている様子はありません。しかし球根のようなものは少し大きくなっており株元から少し顔を出しています。
置き場所は戸外の日なたで、直射日光が当たり日差しは充分当たっているのではないかと思います。
水やりは2月の間は2回で多くの日は鉢が充分軽くなるように乾かしています。
コンコルディアナよりスピラリスのほうが成長速度が早いといわれていますが、予想より遅いです。
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