このページでは多肉植物の12月の状態と育て方、するべきことについて解説しています。
目次
紅葉種の鑑賞時期となる12月
12月から2月にかけては、紅葉する種類が一番美しくなります。夏は緑一色だった多肉植物も、赤やピンク、黄色など色々な色に染まってきます。
12月は寒さのためどのグループも繁殖作業や植え替えなどができず、病害虫も減るため作業は楽な時期です。ただ寒さが厳しくなり、耐寒性ごとに室内に取り込んだり、戸外に出したりする作業が出てくるためやや面倒で、凍結など天気予報が心配になる時期でもあります。
寒さに気をつけつつ、多肉植物の美しさをたっぷり鑑賞していきましょう。
12月の気温と気象
気象と環境 | 東京 (関東) |
|
---|---|---|
福岡 (暖地) |
| |
宮城 (寒冷地) |
|
多肉植物の11月の状態と育て方・するべきこと
多肉植物の1月の状態と育て方・するべきこと
エケベリアなど主に春秋型
グループ1 主な種類 | ||
---|---|---|
エケベリア、アドロミスクス、オロスタキス、春秋型のクラッスラ、グラプトペタルム、グラプトセダム、グラプトベリア、コチレドン、シノクラッスラ、セダム、ヒロテレフィウム、セデベリア、センペルビウム、ダドレア、パキフィツム、パキベリア、ロスラリア、春秋型のセネシオ、アナカンプセロス、アプテニアなど | ||
生育状況 | エケベリアなど紅葉する種類は、だんだんと色鮮やかになってきます。と同時に寒さのため生育が鈍り土の乾きも遅くなってきます。水やりを控えめにすると、耐寒性が上がり紅葉も濃くなります。 | |
置き場所 | 日当たりのよい戸外で栽培しますが、5℃、3℃、0℃などそれぞれの種類に応じて耐寒性が異なるため、寒さに弱い種類は室内へ取り込み必要がでてきます。寒冷地では室内に取り込んだままとなります。 | |
日当たり(遮光) | どの種類も遮光は必要ありません。むしろ直射日光に良く当て、紅葉を促し強い株に育てましょう。 | |
水やり | 気温に合わせて土の乾きが悪くなるため、水やりの量と間隔を減らしていきます。一概にはいえませんが、月2回鉢の中の土が半分湿るぐらいにします。乾いていない株は水を与えません。 | |
作業 | 増やす | 寒さで根が出にくくなるため、基本的には行いません。葉挿しだけはできる場合があります。 |
植え替え | 繁殖と同じく植え替え後の回復が遅れるので11月までに行うか春まで待つようにしましょう。 | |
肥料 | 肥料は与えません。 | |
病害虫対策 | 根ジラミ以外の害虫はほとんど心配なくなります。病気も最も発生が少ない時期です。 |
リトープスやコノフィツムなど
グループ2 主な種類 | ||
---|---|---|
玉形メセン類、コノフィツム、リトープス、ブラウンシア、ギバエウム、ケイリドプシス、プレイオスピロス、モニラリア、アルギロデルマ、フェネストラリア、フォーカリア、チタノプシス、アルギロデルマ、ラピダリア、オドントフィルム、グロッチフィルムなど | ||
生育状況 | 11月に引き続き成長期です。蕾みをつけたり春の脱皮に向けて新しい葉を準備しています。気温の許す限り戸外で栽培し、良く日に当て水も与えましょう。 | |
置き場所 | リトープスやコノフィツムなどは0℃まで耐えられるとされていますが、できれば3℃以下になったら室内に入れましょう。室内ではあまり暖かすぎない日の差す窓辺などに置くようにします。室内では特に風通しに気をつけます。 | |
日当たり(遮光) | 戸外でも遮光なしで直射日光を当てます。日が短くなってきていますので、できるだけ長くたくさん日光が当たるようにします。 | |
水やり | 土が乾いたら1週間から10日に1回、鉢底から流れ出るまでたっぷりの水を与えましょう。寒さで生育が鈍り、土が乾かなくなってきたら水やりも控えめにします。 | |
作業 | 増やす | 春に分頭したものは別々に植え付ける株分けができます。種まきは11月までに終わらせたほうが良いでしょう。 |
植え替え | まだ生育中であれば植え替え作業も可能です。しかしできれば11月までに済ませた方が、その後の生育が良くなります。 | |
肥料 | 月に2回程度液肥を与えます。 | |
病害虫対策 | 特に心配はいりませんが、根ジラミが発生しないよう、植え替え時には根を観察しましょう。 |
アエオニウムやセネシオなど主に冬型
グループ3 主な種類 | ||
---|---|---|
アエオニウム、冬型のクラッスラ、冬型のセネシオ、モナンテス、オトンナ(ルビーネックレス)、玉形メセン以外のメセン類(オスクラリア、ベルゲランタス、デロスペルマなど)) | ||
生育状況 | 生育の真っ盛りです。アエオニウム、冬型クラッスラ・セネシオは葉を出し背を伸ばします。 | |
置き場所 | 雨の当たらない風通しの良い戸外に置きます。冬型ですが、凍結に強いというわけではなく寒すぎれば他の型の種類のように凍結や枯れを起こします。概ね3~5℃以下になったら室内への取り込みが必要です。適度な温度に保つ方が生育も良くなります。ただし暖房をかけると徒長の心配もあるので、なるべく暖房をかけない部屋に置きましょう。 | |
日当たり(遮光) | 12月は日光が一番弱く日照不足になりやすい時期です。戸外で直射日光に当てるのはもちろんのこと、室内に取り込む場合も南向きの窓辺など、1日最低4時間は日に当てるようにしましょう。暖かい日は戸外で日光浴しましょう。 | |
水やり | 土が乾いたら多すぎない程度の水やりをしましょう。低温では乾きが悪いので11月よりは少なめに与えます。寒い日に与えると凍ったりダメージを与えたりするので、なるべく暖かい日の午前中に済ませましょう。 | |
作業 | 増やす | 株分け、挿し木、葉挿しが行えますが寒さでやや生育が鈍くなるため、発根や新芽の動きがみられるのはゆっくりです。なるべく暖かく寒波ではない時期に行いましょう。 |
植え替え | 植え替えの時期です。根詰まりした株や植え替えていなかった株はこの時期に植え替えましょう。ただ11月のほうが暖かく植え替えからの回復が早いので、できれば11月に行いましょう。 | |
肥料 | 生育期なので月2回ほど水やり代わりに液肥を与えましょう。植え替える場合は同時に土に緩効性肥料を混ぜ込んでも良いでしょう。 | |
病害虫対策 | 乾燥でハダニやカイガラムシが付きやすくなっています。時々葉水をしてハダニの発生を抑えたり、殺虫剤をまくようにします。 |
アロエやアガベなど主に夏型
グループ4 主な種類 | ||
---|---|---|
アロエ、カランコエ、夏型のクラッスラ、アガベ、アストロロバ、ポーチュラカリア、ユッカ、ペペロミア、トラデスカンティア、カリシア、サンセベリア、セロペギア、チランジア、ガステリア、夏型のユーフォルビア、クセロシキオスなど | ||
生育状況 | 完全に生育を停止し休眠状態です。しかしアロエやカランコエなどの充実した株ではつぼみを付けることがあります。 | |
置き場所 | 室内の明るい日なたに置きます。1日最低4時間は日光に当てて徒長を防ぎます。 | |
日当たり(遮光) | 遮光は不要です。日差しが一番弱くなり、なるべく日に当てるようにします。寒冷地などで長期間室内に入れないといけない場合は、植物育成LEDライトも必要になる場合があります。 | |
水やり | 戸外に置いているものは5℃以下になったら完全に断水します。室内に取り込んだものは月1~2回軽く水を与えます。 | |
作業 | 増やす | 行いません。 |
植え替え | 行いません。 | |
肥料 | 与えません。 | |
病害虫対策 | 室内ではハダニの発生に気をつけ、適宜葉水を行います。 |
スポンサーリンク
ハオルチアなど
グループ5 主な種類 | ||
---|---|---|
ハオルシア(ハオルチア) | ||
生育状況 | 一番日差しの弱い時期です。ハオルチアは気温が下がり生育が鈍くなる休眠を迎えます。無理に育てようとせず凍結させないように冬越しをします。 | |
置き場所 | 室内の窓辺か、戸外の雨の当たらない半日陰に置きます。凍らせると回復が望めないので、低温(種類により3℃程度)に注意します。 | |
日当たり(遮光) | 室内でもレースをひくか、屋外では30%遮光程度の遮光下に置きます。この時期はなるべく日光に当てることが大事です。 | |
水やり | 休眠期です。室内に取り込む場合は根がカサカサにならない程度、月1~2回は軽く水やりします。なるべく暖かい日の昼間に行うようにしましょう。 | |
作業 | 殖やす | 行いません。採った種は春まで保管しておきましょう。 |
植え替え | 植え替えは行いません。 | |
肥料 | 肥料は与えません。 | |
病害虫対策 | 特に心配はいりません。 |
主にサボテン科の植物
グループ6 主な種類 | ||
---|---|---|
サボテン科の多く(オプンティア、セレウス、テロカクタス、ツルビニカルプス、ロフォフォラ、ギムノカリキウム、エキノカクタス、アストロフィツム、パロディア、メロカクタス、マミラリア、エキノプシス) | ||
生育状況 | 寒さが厳しく日照時間が一番短くなりサボテンは休眠中です。水などを与えずなるべく寒さを和らげ過ごしやすい環境を作りましょう。 | |
置き場所 | 耐寒性があるものは0℃まで大丈夫ですが、ロフォフォラ、アストロフィツムなど弱い種類は室内で5℃以上を保ちます。室内で育てる場合は最低一日4時間の日照が必要です。温度だけでなく湿度にも気をつけ、乾燥した暖房の空気を当てすぎないようにしましょう。 | |
日当たり(遮光) | 遮光はしません。冬は日光が弱く少しでも長く日に当てることが大切です。窓のない部屋では植物育成LEDライトが必要になってきます。 | |
水やり | 室内などで5℃以上が保てる場合は月1~2回少なめの水を与えます。必要に応じて葉水も行います。夜間の温度が0℃~5℃になる場合や昼間にあまり日が当たらない所に置く場合は断水しましょう。 | |
作業 | 増やす | 行いません。 |
植え替え | 行いません。 | |
肥料 | 与えません。 | |
病害虫対策 |
主に夏型のコーデックス類
グループ7 主な種類 | ||
---|---|---|
夏型コーデックス類(多くのユーフォルビア、アデニア、アデニウム、ヤトロファ、パキポディウム、スタペリア、フェルニア、ディオスコレアの一部(メキシコ亀甲竜)、イポメア、ドルステニア、ホーディア、ブラキステルマ、コミフォラ、キフォステンマ、ディディエリア、ブーフォンの一部、トリコディアデマ、ボウイエア、ブルセラ、フォッケア、フィカス、ラリレアキア(トリコカウロン)、モナデニウムなど) | ||
生育状況 | 寒さが厳しくなり日照時間も日差しも一番弱くなります。夏型は休眠し冬型は盛んに生長し開花する種類もあります。夏型、冬型関わらずできるだけ日照を確保することが大切です。 | |
置き場所 | 種類ごとの最低越冬温度を確認し、よく日の差す窓辺などに取り込みます。できるだけゆとりを持った越冬温度を保ちます。 | |
日当たり(遮光) | 室内や温室でなるべく光を取り入れながら暖かく過ごさせます。耐寒性が低く長期間室内に入れっぱなしになるものは、植物育成LEDライトがあったほうがよいです。 | |
水やり | 耐寒性を強めるためにも基本的には断水を行います。ただ室内で10℃などある程度の暖かさがキープできる場合は、土がカラカラに乾いたり、塊根が凹むようであれば水やりが必要です。 | |
作業 | 増やす | 行いません。 |
植え替え | 行いません。 | |
肥料 | 肥料は与えません。 | |
病害虫対策 | 室内に取り込むと暖房の乾燥からハダニが発生しやすくなります。一年を通してみると12月は害虫の少ない季節です。 |
主に冬型のコーデックス類
グループ8 主な種類 | ||
---|---|---|
冬型のコーデックス類(オトンナ、チレコドン、ディオスコレアの一部(亀甲竜)、モンソニア(サルコカウロン)、ペラルゴニウム、一部のユーフォルビア、アボニア、フォークイエリア、ケラリア(セラリア)、ブーフォンの一部)など | ||
生育状況 | 寒さが厳しくなり日照時間も日差しも一番弱くなります。夏型は休眠し冬型は盛んに生長し開花する種類もあります。夏型、冬型関わらずできるだけ日照を確保することが大切です。 | |
置き場所 | それぞれの最低越冬温度を確認し室内の窓辺に取り込むようにします。冬型といっても0℃に耐えられるものは少ないです。室内では通風をはかりましょう。また時々鉢を逆側に回転させましょう。 | |
日当たり(遮光) | できるだけ光合成できるよう、直射日光があたる窓辺などに置きます。窓際に置けない場合や窓のない部屋では、植物育成LEDライトが必要になります。 | |
水やり | 戸外でぎりぎりラインで育てる場合は水切りしますが、室内で10℃などを保っていると土の乾きも早いです。しっかり土が乾いてから与えるようにします。タイミングは暖かい朝から昼ごろにします。 | |
作業 | 増やす | 15℃~20℃の保温で種まきができます。挿し木や株分けなど繁殖作業も適期です。 |
植え替え | 行いません。 | |
肥料 | 緩効性肥料や置き肥、液肥などを与えて生育を促します。 | |
病害虫対策 | 室内に取り込むと暖房の乾燥からハダニが発生しやすくなります。一年を通してみると12月は害虫の少ない季節です。 |