多肉植物の6月の状態と育て方、するべきことについて解説しています。
目次
夏型が生育盛りの6月
6月は梅雨に入り、病害虫対策を本格的にしていく時期となります。気温が低くても日差しは真夏並になっていて、晴れ間の強光に急に当たると葉焼けしてしまう種類が出てきます。種類に応じて遮光を行っていきたいものです。
春秋型の多肉植物は暑さのため生育が鈍り始め、水もあまり欲しがらなくなってきます。このときこれまで通り水やりをすると根腐れしやすくなるので気をつけます。夏型は生育が旺盛になってきて、挿し木などで発根しやすくなります。冬型はそろそろ管理が難しくなってくる頃で、玉型メセンなどは断水が始まります。
気象と環境 | 東京 (関東) |
| 福岡 (暖地) |
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宮城 (寒冷地) |
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多肉植物の5月の状態と育て方・するべきこと
多肉植物の7月の状態と育て方・するべきこと
エケベリアなど主に春秋型
グループ1 主な種類 | ||
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エケベリア、アドロミスクス、オロスタキス、春秋型のクラッスラ、グラプトペタルム、グラプトセダム、グラプトベリア、コチレドン、シノクラッスラ、セダム、ヒロテレフィウム、セデベリア、センペルビウム、ダドレア、パキフィツム、パキベリア、ロスラリア、春秋型のセネシオ、アナカンプセロス、アプテニアなど | ||
生育状況 | この温度ならまだ生育が盛んですが、この後から生育が鈍くなり半休眠になる準備を始めます。多肉植物用の棚(簡易ビニール温室)などで育てていると次第に日差しが入り込まなくなり、奥の植物が徒長気味になってしまいます。水やりは少なめ目に肥料も控えてなるべく徒長しないように育てます。 | |
置き場所 | 外で管理します。風通しが良く日の当たるところで遮光をしましょう。蒸れないように気をつけましょう。 | |
日当たり(遮光) | 6、7、8月は日差しがとても強いです。直射日光下だと55℃にも登ることがあるので遮光ネットが必須になります。できればシルバーの50%程度の遮光ネットを張ります。遮光ネットは熱を遮るのにも効果的です。一方太陽光に過保護になりすぎるのも問題で、日当たりが足りないと徒長してしまいます。葉焼けしないぎりぎりの線を探るのが難しいです。 | |
水やり | 土の乾きがやや悪くなってくるので、それに合わせて水やりの頻度や1回当たりの量を減らしていきます。種類によって生育の止まり方に差が出るため、よく観察する必要があります。水のやりすぎは徒長に直結するので、少なめを心がけます。 | |
作業 | 増やす | 6月始めは大丈夫ですが、半ばから末にもなると葉挿しや挿し木ができるぎりぎりの時期になります。30度を超えると特に挿し木の発根が非常に遅くなり蒸れて腐ることがあるので、なるべく6月初めまでに済ませておきましょう。 |
植え替え | 根の生育も鈍るので植え替えはぎりぎりの季節です。30度近くなったらやめておいて秋まで待ったほうがよいでしょう。 | |
肥料 | 吸収が悪くなると肥料焼けを起こしがちなので、6月に入ったら肥料は与えないようにします。 | |
病害虫対策 | 梅雨時はかびの多い時期で、多肉植物も一番病気になりやすい時期といえます。かび病に弱いものは予防的に農薬を散布しておいたほうがよいでしょう。雨ざらしにしていると斑点の付く病気、株ごとくさる軟腐病、さび病などに注意します。害虫も盛んに発生し、イモムシやナメクジ、カイガラムシ、カメムシ、ハダニなどがつくことがあるので、よく観察し適宜殺虫剤をまきましょう。 |
リトープスやコノフィツムなど
グループ2 主な種類 | ||
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玉形メセン類、コノフィツム、リトープス、ブラウンシア、ギバエウム、ケイリドプシス、プレイオスピロス、モニラリア、アルギロデルマ、フェネストラリア、フォーカリア、チタノプシス、アルギロデルマ、ラピダリア、オドントフィルム、グロッチフィルムなど | ||
生育状況 | 6月末までには本格的に休眠期に入り生育を止めます。コノフィツムやオフタルモフィルム、モニラリアなどは葉が茶色く枯れたように見え、フェネストリラリアやリトープスなどはそのままの姿で休眠に入ります。 | |
置き場所 | 直射日光のあたらない半日陰に置き、なるべく涼しいところを選びます。雨が当たるところは厳禁でできる限り風通しの良い所を選びましょう。 | |
日当たり(遮光) | 半日陰か50%遮光した環境に置きましょう。 | |
水やり | 水はほとんど与えない状態になります。ただ種まきして1~2年目の乾燥に弱い小苗などは、夕方、夜間に乾く程度の水を少しあげる必要があります。 | |
作業 | 増やす | 行いません。 |
植え替え | 行いません。 | |
肥料 | 与えません。 | |
病害虫対策 | 休眠期でも害虫はつくので、他の種類と同じようによく観察しましょう。 |
アエオニウムやセネシオなど主に冬型
グループ3 主な種類 | ||
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アエオニウム、冬型のクラッスラ、冬型のセネシオ、モナンテス、オトンナ(ルビーネックレス)、玉形メセン以外のメセン類(オスクラリア、ベルゲランタス、デロスペルマなど)) | ||
生育状況 | 一気に生育が悪くなり、夏の到来を感じさせます。水をやっても土が乾かなくなり休眠の準備を始めます。アエオニウムでは葉を固く閉じる種類もあります。 | |
置き場所 | 雨が当たらない風通しの良いところに置きましょう。西日の当たる西向きの置き場所だと暑すぎるため、朝だけ日の当たる東向きの所に移動できればベストです。 | |
日当たり(遮光) | 一番日の強い時期なので、50%程度の遮光ネットにします。その他明るい半日陰でも構いません。 | |
水やり | 2週間に1回程度の水やりになります。セネシオやアエオニウムは根をカラカラに乾かすのは嫌うので、水やりは完全には止めないようにします。土がびしょびしょのまま昼を迎えると蒸れやすくなるので、夜のうちに乾く程度にします。 | |
作業 | 増やす | 行いません。 |
植え替え | 行いません。 | |
肥料 | 与えません。 | |
病害虫対策 | アエオニウムは特に葉の付け根にカイガラムシが付きやすく、よく観察する必要があります。病気では冬型のクラッスラにさび病が一番発生しやすい時期なので、2週間に1回程度殺菌剤(病気用の農薬)を予防散布しましょう。 |
アロエやアガベなど主に夏型
グループ4 主な種類 | ||
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アロエ、カランコエ、夏型のクラッスラ、アガベ、アストロロバ、ポーチュラカリア、ユッカ、ペペロミア、トラデスカンティア、カリシア、サンセベリア、セロペギア、チランジア、ガステリア、夏型のユーフォルビア、クセロシキオスなど | ||
生育状況 | 日差しがかなり強くなってくる6月、アロエやアガベ、ユーフォルビアなどが活発に生育する時期に入ります。 | |
置き場所 | 強い日差しを好むアガベ、アロエの強健種、ユーフォルビアなどは戸外の日なたで管理しましょう。梅雨に入ったら雨ざらしを避け、軒下などに移動させます。風通しをよくしないと蒸れて腐ってしまう心配があるので、泥の跳ね返りなどを避ける工夫をしましょう。 | |
日当たり(遮光) | 強い日差しを好む種類(アガベ、ユーフォルビアなど)は遮光せずに日差しを浴びさせます。カランコエやカリシア、セロペギアなどそれほど日差しに強くないものはエケベリアと同じような感覚で遮光します。「特に強い」とされるもの以外はなんらかの遮光(30%程度)をした方が無難です。 | |
水やり | 土がカラカラになったら鉢底から流れるまで与えましょう。ただ梅雨入りしたら湿度が上がり蒸れて腐りやすくなるので、水やり間隔を空けて無理に水を与えないようにしたほうがよいでしょう。 | |
作業 | 増やす | 挿し木や葉挿しの適期なので、梅雨前のうちに繁殖させておきましょう。 |
植え替え | 植え替えの適期なので、根が一杯になってしまった株や何年も植え替えていないものなどを優先的に、植え替えしていきます。梅雨が始まる前に行うことが望ましいです。 | |
肥料 | 生育が旺盛な株には液肥を月に2~3回与えるとよいでしょう。 | |
病害虫対策 | 一番病害虫が活発な時期でもあり、イモムシやハダニ、カイガラムシなどに特に注意します。雨に当てたり梅雨時の湿気で病気も入りやすいので、よく観察し、早期発見・早期治療に努めましょう。 |
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ハオルチアなど
グループ5 主な種類 | ||
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ハオルシア(ハオルチア) | ||
生育状況 | よく生長する時期です。一方、腐敗や根腐れ、蒸れに一番注意が必要な時期でもあります。 | |
置き場所 | 室内では、ガラス越しでも日に当たると茶色く日焼けするので、レース越しに日に当てるようにしましょう。また風通しをよくするためサーキュレーターなども回すようにします。屋外では日よけをしっかり行います。 | |
日当たり(遮光) | 外で管理する場合は、70%程度の遮光を行い、直射日光に当たらないように気をつけます。前だけでなく横や上にも遮光ネットを張るようにするか、半日陰に置きます。 | |
水やり | 土の乾燥具合に合わせて、5月よりは水やりを減らしていきます。特に室内で育てていると湿った土にかびが生えたり、根が腐ったりするので与えすぎに気をつけます。 | |
作業 | 増やす | 梅雨に入る前までに終わらせておくようにしましょう。 |
植え替え | 梅雨に入る前までに終わらせておくようにしましょう。 | |
肥料 | 与えません。 | |
病害虫対策 | 根ジラミ、カイガラムシに気をつけましょう。生育が悪いと思ったら根ジラミを疑い必要に応じて掘り起こして除去します。病気では根腐れが非常に多いので、室内では風が通るように窓を開けておくか、サーキュレーター等で送風をする必要があります。 |
主にサボテン科の植物
グループ6 主な種類 | ||
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サボテン科の多く(オプンティア、セレウス、テロカクタス、ツルビニカルプス、ロフォフォラ、ギムノカリキウム、エキノカクタス、アストロフィツム、パロディア、メロカクタス、マミラリア、エキノプシス) | ||
生育状況 | 高温多湿を好む種類は活発に生育を続けますが、球型種、柱状種など乾燥地帯産のサボテンには過ごしづらい時期に入ります。5月より生育がやや鈍くなり猛暑では小休止を迎えます。 | |
置き場所 | 戸外の雨の当たらない日なたに置きます。風通しを良くしてなるべく蒸し暑くならないようにしましょう。 | |
日当たり(遮光) | やわらかな日差しが好きなアストロフィツム、アリオカルプス、ロフォフォラ、ギムノカリキウムなどは半日陰か50%遮光ネットを張ります。またそうでない種類も梅雨に雨や曇りの日が続き、急に雨上がりの日差しに当てると日焼けしてしまうので気をつけましょう。夏至を迎え昼の時間も長く光線も強いです。 | |
水やり | 生育が遅くなった種類は水やりを控えめにします。鉢の土が3分の2乾いてから1~2日後に水を与えます。梅雨時は過湿になり土の乾きも遅くなりますので無理に与えません。ただし種まきから1~2年の小さな苗は水やりを続けます。 | |
作業 | 増やす | 挿し木、種まき、接ぎ木ができます。 |
植え替え | 引き続き植え替えの季節です。 | |
肥料 | 植え替え時に土に緩効性肥料を混ぜ込むか、液肥を月1回水やり代わりに与えましょう。 | |
病害虫対策 | サボテンは比較的病害虫に強いですが、完全にないというわけではありません。カイガラムシ・ワタムシ・ネマトーダ・アカダニ・ナメクジ・ヨトウムシなどに気をつけましょう。病気では根腐れやカビが原因の病気に注意しましょう。 |
主に夏型のコーデックス類
グループ7 主な種類 | ||
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夏型コーデックス類(多くのユーフォルビア、アデニア、アデニウム、ヤトロファ、パキポディウム、スタペリア、フェルニア、ディオスコレアの一部(メキシコ亀甲竜)、イポメア、ドルステニア、ホーディア、ブラキステルマ、コミフォラ、キフォステンマ、ディディエリア、ブーフォンの一部、トリコディアデマ、ボウイエア、ブルセラ、フォッケア、フィカス、ラリレアキア(トリコカウロン)、モナデニウムなど) | ||
生育状況 | 梅雨に入り雨天や曇りの日が多くなります。気温が上がり、夏型は新芽の展開が活発になり、アボニアやドルステニアなどは花も咲かせます。 | |
置き場所 | 風通しのよい戸外の日なたに置きます。梅雨の間は雨ざらしにしないようにしましょう。 | |
日当たり(遮光) | パキポディウムやアデニウムなどはほとんど遮光はしなくて大丈夫ですが、強光を好まない種類は遮光ネットを張って50%遮光(半日陰)に置きます。 | |
水やり | 梅雨の間、土が乾かないうちは水を与えません。様子をよく見ながら乾かし気味にします。 | |
作業 | 増やす | 引き続き種まきが行えます。挿し木などもできるのですが、梅雨時は過湿で腐りやすいので避けた方が無難です。 |
植え替え | 植え替えに最適な季節ですが、根を切った後に充分乾かすようにし蒸れ・腐りを予防します。 | |
肥料 | 施肥の季節です。緩効性肥料を与えるか置き肥、液肥を行います。 | |
病害虫対策 | カイガラムシやアブラムシの発生時期です。また根ジラミが発生しやすいので適宜殺虫剤を散布します。 |
主に冬型のコーデックス類
グループ8 主な種類 | ||
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冬型のコーデックス類(オトンナ、チレコドン、ディオスコレアの一部(亀甲竜)、モンソニア(サルコカウロン)、ペラルゴニウム、一部のユーフォルビア、アボニア、フォークイエリア、ケラリア(セラリア)、ブーフォンの一部)など | ||
生育状況 | 梅雨に入り雨天や曇りの日が多くなります。気温は上がるので冬型コーデックスは休眠に入り落葉種は葉を落とします。 | |
置き場所 | 雨よけがある風通しのよい戸外に置きます。半日陰で管理し直射日光には当てないようにします。熱を遮るためにも日よけが大切です。 | |
日当たり(遮光) | 半日陰に置くか50%程度の遮光を行います。 | |
水やり | 基本的には全く水をやらない断水を行います。しかし小型種や種まきの小さな実生苗などは水切れに弱いので、適宜水を与えます。 | |
作業 | 増やす | 行いません。 |
植え替え | 行いません。 | |
肥料 | 与えません | |
病害虫対策 | カイガラムシやアブラムシの発生時期です。また根ジラミが発生しやすいので適宜殺虫剤を散布します。 |