目次
防虫ネットとは
防虫ネット(防虫網)とは、害虫の侵入を防ぐことができる園芸用の網のことです。家庭用の防虫ネットは目合い(マス目)が1mm程度で幅が180cm程度、長さは5m、10mなど様々あります。
多肉植物の栽培でも、通常の植物と同様に害虫の被害に遇うことがありますが、事前に防虫ネットを張っておくことで害虫の被害を大幅に減らすことができます。
防風・防雨効果もある
この防虫ネットには、害虫の侵入を防ぐ効果があるほか、多少の防風効果、小雨の防雨効果もあります。そのため、防虫ネットを常時多肉植物棚(簡易ビニール温室)などにかけていると、面倒な害虫対策や(小雨なら)ビニールカバーをかける事なく、ほとんど放置状態で栽培することが可能です。
害虫への効果は?
効果は絶大
防虫ネットには本当に害虫を防ぐ効果があるのでしょうか?
実際に使ってみると、害虫への効果は絶大です。
1mmの目合い(マス目)なのでアブラムシが入ることもなく、モンシロチョウやシジミチョウなどが侵入できなくてアオムシ・イモムシが発生しないのはもちろんのこと、カナブン、コガネムシやカイガラムシ、ガの類い、バッタ、コナジラミ、カメムシ、ネキリムシなどあらゆる害虫の被害がなくなります。
これまでは一株ずつ目視でチェックしたり、シジミチョウに産み付けられた卵を一つずつ爪楊枝などで取らなければならず、かなり面倒で時間がかかる作業でしたが、防虫ネットを設置してからは、そのような大変な作業から解放されました。
時々カイガラムシが付くことがありますが、これは新しい苗を買ったときに外部から持ち込まれたもので、購入時に株のチェックさえちゃんとしていれば、害虫知らずの環境が作れます。
回避できる虫の種類
- アブラムシ
- モンシロチョウ(アオムシ)
- シジミチョウ
- アゲハチョウ
- アザミウマ(スリップス)
- バッタ
- カイガラムシ
- カミキリムシ
- カメムシ
- コガネムシ
- ゾウムシ
- ダンゴムシ
- テントウムシダマシ
- ドクガ
- ナメクジ
- ネキリムシ
- ヨトウムシ
など
回避できない虫の種類
- サボテン根コナカイガラムシ(根ジラミ)
- 根コブ線虫
- ハダニ
1mm以下の小さい虫や、また根・土の中にいる虫は、苗の購入時に知らずに入ってきてしまうので、退治できません。
農薬の使用量が減らせる
防虫ネットを使うと農薬の使用量も減らすことができます。
株数が多くなってくると、手で害虫を捕りきれなくなり殺虫剤を噴霧するようになっていきますが、できれば農薬を使わず育てたいものです。防虫ネットを使えば虫が侵入してこなくなるので、殺虫剤の使用量も劇的に減らすことができます。
また害虫が入ってこないので、害虫が原因で起こる病気の発生も抑えることができ、病気対策の農薬(殺菌剤など)も減らすことができます。
使い方には工夫が必要
防虫ネットは使い方に工夫が必要です。
実は防虫ネットを張るのは簡単なことではありません。よほど余念なく張り巡らさなければどこからか、害虫が入ってきてしまいます。小さい虫だから入ってくるというわけではなく、シジミチョウのような大きい害虫も、気がついたら簡易ビニール温室の中に入ってきて卵を産み付けています。
そこで、針金などを使って隙間を作らないように執念深く防虫ネットを張る必要があります。
また、防虫ネットは張りっぱなしではなく、水やりの時やお手入れの時などに開閉できるようにしないといけません。そのための工夫も必要です。
防虫ネットのデメリット
防虫ネットにはデメリットもあります。
それは風通しが少し悪くなる点、若干遮光してしまう点です。
まず網の一種なので風通しが少し悪くなります。これは強い風を防ぐという意味では防風効果にもなるのですが、風通しに敏感な多肉植物にとっては少しだけデメリットです。(実用上はほとんど問題ありません。)
もう一つが若干日よけになってしまうという点です。透明ですが、マス目が1mmで張り巡らされているネットなので、遮光ネットのような効果が出てしまうことは否めません。これについては遮光ネットを薄めのものにするなどで対処する必要があります。
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防虫ネットの使い方(張り方)
ここでは、簡易ビニール温室に防虫ネットを張る方法を紹介します。
用意するもの
- 防虫ネット
- 針金
害虫の入らない張り方
害虫を入らせないためには、簡易ビニール温室(多肉植物棚)の前面だけに張るだけでは不十分です。それではほとんど無意味で、横や後ろからこれでもかと入ってきます。
そのため、簡易ビニール温室の全面(後ろ面の上2段は張らなくても大丈夫)に防虫ネットを貼り付けます。簡易ビニール温室にはビニールカバーが掛かっていると思いますが、それを一度外して網を張ってから、再びビニールカバーを掛けます。
まず最初に、必要なサイズにカットします。
簡易ビニール温室の側面と前面の半分+余裕15cm程度を右左に1枚ずつと、後ろの面の下2段分を1枚です。管理人が使用している武田コーポレーションの4段簡易ビニール温室の場合は、前面と後ろ面の長さが70cmずつ、奥行きが50cmずつなので、
- 50cm + 35cm + 15cm = 100cm × 2枚(左右前用)
- 70cm + 10cm を1枚(後ろ用)
の3枚が必要なことが分かります。
また高さは上まできちんと張る必要があるので高さ(幅)180cmの網を選ぶようにします。
具体的な防虫ネットの張り方ですが、まず前面は開閉できるようにします。
左側面+前面、後ろ、右側面+前面はそれぞれサイズを切り取って、簡易ビニール温室1段ずつ針金でネットをくくりつけます。ここで手を抜くと害虫が入ってくるので、面倒ですが全部針金でとめるようにします。
またビニール紐などで留めるとビニール紐が劣化して切れてくるので、針金、ビニタイなど耐久性がある留め具を使うようにしてください。
前部分は開ける必要があるので、針金で留めてしまわず、洗濯ばさみで閉じるようにします。
文章では伝わりづらい所があるので、実際に張ってみた写真を掲載します。この張り方が正解というわけではなく、環境に応じて色々な張り方ができると思うので工夫してみてください。
針金で1段ずつ留める(ここではビニタイの芯の部分を活用)
ビニール温室内から外を覗いた状況
天井まで張り巡らせたアミ
開閉の工夫
防虫編を張った後は、前面の開閉が面倒になります。
防虫ネットを閉じた状態
洗濯ばさみで留める
毎回洗濯ばさみで前面を4~5カ所留める必要があります。そのため、網の長さはぎりぎりではなく、長めに取って左右の防虫ネットをクルクル巻いて洗濯ばさみで留めます。一カ所でも隙間があるとそこから害虫が入ってきますので、しっかり留めるくせをつけてください。
また、多肉植物の出し入れをする場合、ネットが邪魔になることがあるので、ネットを左右のポールによけるために、大きめの洗濯ばさみを常に用意しておき、さっと留めて多肉植物を出し入れするようにしてください。
防虫ネットを開けた状態
多肉植物の出し入れ時は、大きな洗濯ばさみで網を留める(例:画像の青い洗濯ばさみ)
ビニールカバーが外側、防虫網が内側
ちゃんとビニールカバーも留めることができる
防虫ネットはこのような利用方法も可能です。
防虫ネットの選び方
防虫ネットを選ぶ時は特段注意点はありませんので、以下のポイントに気をつければ大丈夫です。
- 防虫ネット用の商品を選ぶ
- (虫が嫌がる)銀線が入ったネットを選ぶ
- 目合い(マス目)が1mm程度のものを選ぶ
まず、防虫ネット用に販売されているものを選びましょう。不織布シートや遮光ネットも代用可能なものがありますが、遮光してしまうリスクがあります。逆に防虫ネットは日よけ効果がなるべく出ないようになっていますので、遮光ネットは別に付ける(上から掛ける)必要があります。
また不織布シートなど柔らかいものは変形する心配がありますし、尖ったものが引っかかってきほどけたりすることがあります。また、カットした部分がほつれてくるのも問題なので、自由にカットできる防虫ネットがよいです。
そして多肉植物を出し入れ・お手入れするごとに開け閉めするので、ある程度しっかりした作りの防虫ネットが使いやすいです。
また害虫防止に、銀線が編み込まれている防虫ネットのほうがさらによいです。
マス目は細かいほど虫が入ってきにくくなりますが、あまりに細かいと日よけになってしまったり、風通しが悪くなって夏に蒸れたりする心配がありますので、標準的な1mmのものがよいです。
防虫ネットは色々な長さがありますが、カットするごとに誤差が生じてくるので、長すぎないもの(5メートル、10メートル程度)のものが扱いやすいです。
おすすめの防虫ネット
ここでは、管理人が実際に2年以上使っている防虫ネットを紹介します。
- 耐久性 ★★★★
- 使いやすさ ★★★★
- 加工のしやすさ ★★★★★
180cmと135cmのものもありますが、高さが足りないので180cmのものを選びます。
180cmには5mの長さのものと10mのものがあります。これはお使いの簡易ビニール温室の台数によって選んでください。
まず、防虫ネット用の商品なので、フリーサイズでカットでき、カット面がほつれにくくなっています。時々ほつれてきますが、その場合はハサミでほつれた糸をカットしてください。
長さをカットするときは、メジャーで測ってカットする位置をマジックなどで印し、ハサミでカットします。もともと防虫ネットはよれていたり曲がっていたりするので、おおよその位置で構いません。長めに切ることでカバーします。
設置してから2年以上が経ちますが、太陽光線による劣化も現時点では出ておらず、硬くなる、ほどけてくるといったトラブルも今のところありません。耐久性はあるのではないかと思います。