ハイポネックス原液は多肉植物やサボテンにも使うことができます。そこでどのような成分と効果があるのか何倍に希釈すればよいのか、実際に薄めて使う方法や写真も掲載しています。
目次
ハイポネックス原液のプロフィール
ハイポネックス原液 | |
---|---|
肥料成分 | チッソ、リン酸、カリ N-P-K = 6-10-5 |
その他の成分 | ホウ素、マンガンなど12種類の植物に必要な成分、ビタミン |
商品と価格 | 160ml(605円)、450ml(858円)、800ml(1,078円) |
販売店 | Amazon、ホームセンター、園芸店など Amazon |
多肉植物での主な用途 | 植え替えをしていない株などへの追肥として |
希釈倍率 | 多肉植物への散布は1,000~2,000倍程度 |
メーカー説明 |
詳細情報
※原文まま |
パッケージの写真
希釈液の作り方
水2Lで1,000倍液を作る | およそ2.4g量り取る | 水2Lペットボトルに注ぐ |
よくかき混ぜると薄い青色になる |
希釈倍率
キャップ1杯は24g | キャップ半分は約12g | 2L×1,000倍なら2.4g程度 |
倍率 | 2L | 5L | 10L |
---|---|---|---|
250倍 | 8ml | 20ml(1杯) | 40ml(2杯) |
500倍 | 4ml | 10ml(0.5杯) | 20ml(1杯) |
1,000倍 | 2ml | 5ml(0.25杯) | 10ml(0.5杯) |
2,000倍 | 1ml | 2.5ml | 5ml(0.25杯) |
倍率 | 2L | 5L | 10L |
---|---|---|---|
250倍 | 8ml(9.6g) | 20ml(24g) | 40ml(48g) |
500倍 | 4ml(4.8g) | 10ml(12g) | 20ml(24g) |
1,000倍 | 2ml(2.4g) | 5ml(6g) | 10ml(12g) |
2,000倍 | 1ml(1.2g) | 2.5ml(3g) | 5ml(6g) |
作物ごとの希釈倍率
作物 | 希釈倍率 | 頻度 |
---|---|---|
庭植え作物(花木・庭木・果樹・芝生) | 250倍 | 2週に1回 |
草花・野菜・バラ・キク・観葉植物・花壇・菜園 | 500倍 | 1週に1回 |
鉢花・洋ラン・球根・花木・果樹・ハーブ | 1,000倍 | 1週に1回 |
サボテン・東洋ラン・カンノンチク・山野草・盆栽・幼苗 | 2,000倍 | 2週に1回 |
※薄めるほどキャップで量りづらくなるので、グラムでも書いています。ハイポネックスは水ではない(ミネラルを含み水より比重が重い)ので、1ml=1gではありません。ラベルによると800mlで965gであり、1mlは1.2gとなります。グラムで測る場合はこの点に注意してください。
※キャップ半分とは、複数ある線が全部見えなくなる量です。
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多肉植物への効果と使い方
多肉植物に使っても良いのか
まず第一にハイポネックス原液は多肉植物に使って良いのでしょうか?
多肉植物も植物の一つです。もちろん使って構いません。
多肉植物は肥料がいらないと考えがちですが、実際には植物の一つなので肥料が必要です。原産地では肥料を与えませんが、なぜ鉢植えでは与えなくてはいけないのでしょうか。
それは、自然界に生えている植物には、生態系のバランスや微生物の働きで微量要素やミネラルなどが補われるのに対し、鉢植えでは水やりで流れ出てしまう一方だからです。
多肉植物は肥料をやることで、そのような微量要素を補い、また肥料(リン酸成分)の効きにくい赤玉土で栽培している欠点を補うことができます。
それではどのくらいの量を与えたらよいのでしょうか?
濃度は
ハイポネックス原液には薄める目安が書いてあるのですが、多肉植物という欄はありません。しかしサボテンは多肉植物のひとつなので、サボテンへの使い方に準じればよいと分かります。サボテンの場合は、一番濃度の低い2,000倍で薄めることが推奨されています。
また、観葉植物という欄もあります。観葉植物へは500倍を週1回与えればよいとされています。多肉植物は観葉植物のひとつでもあるので、500倍なのか2,000倍なのか迷ってしまいます。
多肉植物は性質上はほとんど肥料分のない岩地や乾燥地帯に生えています。そのためサボテンに近く、肥料の少なすぎよりは多すぎの方が問題になります。そこで管理人は基本1,000倍を与えるようにしています。
あくまでも管理人の実践例ですが、1,000倍までであれば徒長(伸びすぎ)や紅葉の冷めなど肥料の弊害は起こっていません。そのため2,000倍なら心配なく与えられるのではないかと思います。
使い方
ハイポネックス原液は原液なので、水に薄めて使いましょう。
2,000倍とは、10Lのハイポネックス水を作るのに原液が5ml必要です。2Lの場合は1ml(1.2g)でよいことが分かります。2Lのペットボトルに1.2gの原液を量り取り、注いで上下にしっかり振りましょう。
作ったハイポネックス水をジョウロなどにいれて、多肉植物の株元に注ぎます。量は鉢底から流れるまでしっかり与えます。粉がついている種類や毛が生えているタイプなどは、汚れ防止のため上から掛けたりはせず、株元に注ぐようにします。
なお、薄めた液肥は葉に直接かかっても成分的には問題ありません。
タイミング
多肉植物には生育期と休眠期があります。休眠期は水を与えず肥料も必要としないので、ハイポネックスは与えないようにします。適切な時期はその多肉植物の生育期です。
また生育期の中でも特に生育が盛んで肥料を旺盛に必要とする時期がおすすめです。具体的には春秋型は3~5月頃と9~11月頃、夏型は4~6月頃と酷暑を除いた9月頃、冬型は10~12月頃と3~4月頃です。
この時期に月に2回程度(2週に1回程度)2,000倍に希釈したハイポネックス水を与えるようにしましょう。
ハイポネックス原液の特徴やQ&Aなど
配合されている成分は
ハイポネックス原液には、肥料の三要素である、チッソ、リン酸、カリがそれぞれ6、10、5の比率で配合されています。三要素も含めて合計15種類の植物に必要な成分を含んでいますが、他の成分についてはマンガン、ホウ素が含まれているほかについては記載されていません。
液肥とは
液肥とは液体肥料の略です。固形肥料は水やりや雨などでだんだん溶けて土に染みこみ、根から吸収されますが、液肥は既に水に溶けており、与えるとすぐに根に届いて吸収され素早い効果を発揮します。
一方土に染みこみ素早く流れ出てしまい、効果の継続時間は1週間以内です。そのため週に1回程度のサイクルで繰り返し与える必要があります。
活力剤との違いは?
肥料の三要素であるチッソ、リン酸、カリのうち、2つの成分の合計が0.2%以上のものを「肥料」といいます。これ以下の濃度のものは肥料と表示することはできません。活力剤は肥料成分がこの基準を満たさないか全く含んでいないもののことを指します。
活力剤は製品により微量要素やアミノ酸、ビタミンなど肥料以外の成分だけど植物の生育に必要なものを含んでいます。そのため、どちらも植物に必要であることが分かります。
このように肥料と活力剤は異なる成分を持つものなので、双方とも代用することはできない(目的に応じて使い分ける)と考えましょう。
肥料の有効期限は?
ハイポネックス原液は有効期限はありません。食品や薬品と異なり成分の変化は起こりにくく、経年で劣化しにくいことがその根拠です。実際にハイポネックス社は15年前のハイポネックス原液を分析しましたが、チッソ、リン酸、カリといった肥料成分に異変はなかったとのことです。
ただ長期間日に当たったものやフタが空いていたものは空気や光により劣化しますので、変質している恐れがあるので使わないほうがよいでしょう。
薄めた液肥もずっと保管できるのか
薄めた液肥は変質しやすくなっているので、当日中に使うことが推奨されています。どうしても余ってしまった場合は密栓して日の当たらない所に置き、1週間以内に使うようにしてください。
ボトルの裏に書いてある日付は何なのか
ボトルの裏面に書いてあるのは製造年月日です。有効期限ではありません。そのボトルがいつ製造されどのくらい古いのかを判断する目安としましょう。
ハイポネックス原液と農薬を混ぜて与えてもよいのか
農薬との混合では化学変化を起こすことがあり危険なため、混ぜないようにしてください。
水耕栽培(ハイドロカルチャー)に使って良いのか
水耕栽培にはそれに適した肥料「微粉ハイポネックス」が販売されています。微粉ハイポネックスは根の成長に関わるカリが多く配合されています。そのためそちらを使うようにしてください。
多肉植物に最適です
活用事例1:エケベリアなど通常多肉苗に
管理人はハイポネックスを多肉植物にメイン使いしています。
なぜハイポネックスが多肉植物によいか、どのように使っているのか、実際の活用事例を紹介します。
まず、ハイポネックスにはN-P-K(チッソ・リン酸・カリ)のメインの成分が含まれているのはもちろんなのですが、それに加えて植物に必要な12種類の要素が加えて入っています。
多肉植物は庭植えなどにせず、多肉植物用土を使って鉢植えすることが多いので、そのような微量要素が不足してしまうことが多いです。それを補うためにハイポネックスを与えています。
多肉植物は水やり回数が少なく、固形肥料だと溶けるまで時間がかかり、効果が出るのに長い時間がかかってしまいます。しかしハイポネックスは液肥のため、水で薄めて与えてすぐ根に届きすばやく効果を発揮します。
また液体肥料は効果が短く、1週間もすれば効果が切れてしまいます。そのため回数で調節すればよく、肥料の与えすぎの心配がありません。
実際に多肉植物の状態を見ながら調節できるので、とても使いやすいです。
たとえば、春秋型の多肉植物は春と秋に肥料を与える時期が来ますが、今年の例では、春は2022/2/14に1回目、2/27に2回目、3/15に3回目、4/17に4回目を与えて、秋は9/20に1回目、10/10に2回目、10/28に3回目の散布を行っています。
与える際は水で1,000倍に薄め、そのまま1回の水やり代わりに与えます。ちなみにハイポネックスと同時にリキダスもいれて与えています。
肥料を与えると徒長や紅葉の不足などが心配になりますが、この量なら全然その心配はなく、エケベリアやグラプトペタルムなどもきれいに紅葉してくれています。
撮影日:2022/12/14
活用事例2:種まき苗(実生)に
エケベリアなど通常の多肉苗にもよいですが、目に見えて効果が出るのは実生苗(種まき苗)です。
種まきの初期は芽が小さく生長が遅いですが、1,000倍液をスプレーで与えるとかなり早く大きくなります。今年与えていない鉢とスプレーした苗で比較したところ、10日程度で急に大きくなり始め、写真のような差が出ました。
これはダドレアの種まきの例ですが、リトープスやコノフィツムも同様の効果が出ました。
写真左が与えていない鉢、右が与えた鉢です。(左の鉢は芽が小さすぎて写真で確認しづらいです)
撮影日:2022/12/14
エケベリアなどの生育がなんとなく悪い、新しい葉が出づらいなどの場合、種まき苗が大きくならないなどの場合に試してみると良いと思います。