アマゾンで販売されている「MARUNDA ヒートマット 園芸発芽マット 植物ヒーターマット 育苗器」を購入し、実際に使ってみて温度の上がり方はどうか、使いやすいか、メリット・デメリットについて解説しています。
目次
基本スペック(機能)は?
MARUNDA ヒートマット 園芸発芽マット 植物ヒーターマット 育苗器 | |
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実際の写真 | |
実勢価格 ※2 | 53×25.5cm:2,360円程度 |
製品 | 2枚セット:4,180円 |
スペック(機能) | |
温度上昇(メーカースペック)※1 | 室温+10℃~20℃ |
実測の上昇温度 | 室温10~15℃で+9℃ 室温20℃で+9℃程度 |
実測消費電力 | 20.5W |
電源 | AC100V(50Hz/60Hz)用 |
日本で使えるか | 使える(日本向け仕様) |
電気代 | 月443円(24時間稼働の場合) |
電源ON/OFFスイッチ | なし |
サーモスタット機能 | なし |
コードの長さ | 1.8m |
使いやすさ | 使いやすい |
静音性 | 静か |
総合評価 | ★★★★ 3.5点 |
詳細 | 比較ページへ Amazon |
※1 室温により上昇幅が変わります。
※2 実勢価格は変動します。
購入レビュー
商品パッケージも日本用で、またJP(日本)にチェックマークが入っているので、電圧等問題無く使うことができます。
箱のサイズは30cmラップを太くした感じで、中にくるくるまかれたヒーターマットが入っています。
ビニールカバーがしてあり衛生的です。このままでは開けないのでこの状態で電源コードを挿して加温します。
外観からだとNamotek育苗マットと同じ製品のように見えます。しかし型番(形式)が異なっていました。Namotek製はTT312でしたが、MARUNDA製はTT103です。
電源ケーブルの長さも1.8メートルと同じで、消費電力も20W、AC100V(50Hz/60Hz)となっています。
ただし正確には、実測の消費電力は20Wと21Wを前後しており、20.5Wのようです。
このような環境で、完全に湿った土の入ったポットを3つ入れ300mlの水を腰水とし、蓋をして加熱します。
右の温度計でヒーターマットの表面温度を測り、左の白い温度計で水温を15分おきに自動計測します。(結果については下のほうで詳しく記載します。)
※※実験中※※
72時間の実験終了後、だいぶ水分が蒸発して腰水の量が減っていました。(写真では結露しています)
機能・感想を詳しく解説
保温機能
実測の上昇温度 | |
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室温約10℃ | +9℃(19℃程度になる) |
室温約15℃ | +9℃(24℃程度になる) |
室温約20℃ | +9℃(29℃程度になる) |
使いやすさ
全体的に使いやすいです。
到着時はマットは丸まっており、ちょうど30cmのラップの箱より一回り大きいぐらいの箱に丸めて入れてあります。
加熱し柔らかくすることで平らにのばすことができます。加熱といっても5分程度ですぐに柔らかくなるため、さっと使うことができます。マットというと厚みを想像しますが、実際の厚みは1mm~2mm程度で薄いシート状のマットです。
使わない時は温かいうちに丸めて箱にしまえば良いので、収納も楽です。
また電気コードは1.8メートルと適度な長さがあるので、コンセントが遠い場合も使いやすいです。
防水性
防水性はしっかりしており、IP67の防水性があります。IP67とは、左の数字が防塵性、右の数字が防水性を表しており、「6は塵埃の進入がなく、7は規定の圧力、時間で水中に浸漬しても有害な影響を受けない(防浸型)」ことを表します。
※表示レベルは一時的に水中にいれても壊れないレベルですが、メーカー説明では水中に入れないでくださいとなっているので、水に沈めるのはやめた方がよいです。
防塵・防水性能の詳細は以下のサイトが詳しいです。
消費電力と電気代
実測の消費電力は20.5Wです。
実測消費電力 | 20.5W |
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1時間 | 0.62円 |
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24時間 | 14.7円 |
30日間 | 443円 |
※3 1kWh 30円で試算しています。
消費電力が20.5Wなので、付けっぱなしで1ヶ月(30日間)だと443円です。
保温効果の検証実験
テストの方法
今回は写真のように腰水管理(底面吸水)の実生(種まき)を想定して実験しました。
ペットボトルを加工したものを腰水容器とし、プレステラ90鉢を3個並べ土を入れ、充分に水分を吸わせます。その後15℃程度の水温の水を300ml足して蓋を閉じます。
後は水中を測れる温度計の検針を腰水に挿し込んで水温を計測します。
実験は朝10:00から開始し、3日間(72時間)朝~昼~夜の温度変化を15分おきに計測します。
このテストはほとんど暖房を入れていない部屋で行っています。日によって気温が変動するため室温も一定ではありません。そのため、室温も同時に観測して室温との差を測ります。(15分おき)
テスト結果
2022/12/29の10:00から2023/1/1の9:59までの72時間に計測しました。
その結果、室温が10~15℃に収まっていたため、加温効果はプラス8~9℃程度でした。
サーモスタット機能はないため温度調節はありません。いつも同出力で加熱するので加温温度は室温に比例します。
グラフが細かいので、パソコンなど画面の大きいデバイスで拡大してご覧ください。
これがマットに乗せた自作育苗箱内の水温の生のデータです。(USBロガー温度計「RC-4」)
RC-4ロガーで出力された育苗マットの温度のグラフです。20℃~25℃を行ったり来たりしているのが分かります。これは室温が昼夜で上下するためです。
室温とマットの温度をExcelグラフに落とし込んだものです。10℃の時は20℃、15℃の時は25℃程度になっているのが分かります。
最後が室温とマットの温度の差です。室温が10~15℃のため、+8~9℃辺りで安定しているのが分かります。
また、今回使った腰水の水温は開始時13.6℃程度でしたが、マットに乗せた後1時間程度ですみやかに上昇していました。
他の園芸ヒーターマットとの比較
他のマットとの比較
Namotekヒーターマットと比べると、やや加温効果が弱く、Namotekヒーターマットが+10℃できるのに対し、こちらは8~9℃程度の加温でした。(室温はNamotekの実験時平均12.8℃、MARUNDAマットの実験時平均13.0℃でした。)
マットの暖かさのグラフの目盛りもNamotek製は25.0℃が出ていましたが、MARUNDA製は最高で24.3℃でした。室温はMARUNDA製のマットの計測時のほうが高かったにもかかわらずです。
この結果は消費電力からみても納得がいくもので、Namotek製ヒーターマットは22Wの消費電力でしたが、MARUNDA製ヒーターマットは20.5Wと7%少なかったためと考えられます。
ただ双方の差はかなり小さく、実質的には「Namotek製のほうが1℃以内の差で少し加温効果が強い」程度ということができます。
またHyindoor製(サーモ無し)も平均加熱温度は+9.6℃で、ほとんど差はないといえます。
サーモスタット付きとの比較
サーモスタット付きのタイプは指定の温度を保ち高機能ですが、価格もやや高くなります。
今回実験したHyindoor製のサーモ付きは30Wの消費電力で、室温プラス15℃以上が可能で、保温効果(加熱効果)も高かったです。
製品 | 測定時平均室温 | 平均水温 | 平均加温温度 |
---|---|---|---|
Namotek製 | 12.8℃ | 22.0℃ | 9.2℃ |
MARUNDA製 | 13.0℃ | 21.7℃ | 8.7℃ |
Hyindoor製サーモなし | 14.3℃ | 23.9℃ | 9.6℃ |
Hyindoor製サーモあり レベル1(20℃) |
14.0℃ | 23.5℃ | 9.5℃ |
Hyindoor製サーモあり レベル2(25℃) |
13.1℃ | 25.3℃ | 12.4℃ |
Hyindoor製サーモあり レベル3(30℃) |
13.2℃ | 28.6℃ | 15.4℃ |
良くある質問と答え
西日本(60Hz地域)で使えるか?
50Hz/60Hz両方に対応しているので、問題なく使うことができます。
温度の調節機能はあるか?
消費電力20.5W固定での加温となるため、温度調節機能はありません。
防水性はあるのか?
IP67の防水仕様のため、園芸の範囲で水がかかる分には問題ありません。
連続使用は可能か?
連続使用できます。電源のオンオフスイッチはなく、コードを挿したら抜くまで加温を続けます。
マットが温かくない、壊れているのか?
メーカースペックで室温10℃なら25℃程度、室温20℃でも38℃程度です。これは温かい手で触ると感じにくい程度の温度です。
パッケージから海外用に見えるが、コンセント(電源)は日本で使えるか?
この商品は複数のバリエーションがあり、
・US(アメリカ仕様)
・EU(ヨーロッパ仕様)
・JP(日本仕様)
の3つに分かれています。
配達される商品は日本仕様のものなので問題ありません。また50Hz/60Hz両方に対応しているので全国で使うことができます。
多肉植物への使い方例
実生(種まき)・発芽
育苗マットともいわれるように、植物一般のタネの発芽用、また多肉植物の実生(種まき)用の用途が考えられます。
マットを敷いて加熱することで、室温プラス10℃~20℃の効果が得られるため、土や腰水の温度が上がり、暖かくないと発芽しづらい種子の発芽を促進することができます。
多肉植物の用途では春先や晩秋のサボテンやコーデックスの実生(種まき)に使うことができます。その場合腰水容器を直接ヒーターマットの上に乗せて加温します。
IP67の防水性があり、水がこぼれても故障などの問題は心配ありません。
発根管理
コーデックスの現地球は輸入時に根を切り落とされます。そのため日本で発根させる発根管理が行われます。その際、地温が低いと発根しづらい種類があり、そのような種類の鉢をヒーターマットの上に置いて土と鉢を温めるのに使うことができます。
寒さ対策
冬は寒冷地を中心に気温がマイナスに達し、室内でも窓際などは非常に寒くなります。多肉植物は寒さに弱いものが多いので、そのような場合に鉢の下に育苗マットを敷くことで、鉢を温め多肉植物を寒さから守ることができます。
メリットデメリットのまとめ
メリット
- 実測で室温10~15℃でプラス8~9℃の加温ができる ※20℃~25℃の場合は計測待ち
- 保温温度は一定を保ちムラはかなり少ない
- マットの部分による熱さのムラはなく全面が温かくなる
デメリット
- 温度調節機能はないため、マットの温度は室温に左右される
- ペットの保温マットのような強い加熱効果はない
- 室温20℃でも35℃までしか温まらないため、温かい手で触ると温かみがなく感じる
総合評価
全体的に加温効果はメーカースペックの通りあり、部分的な熱さのムラはなく、室温に比例して加温する効果があります。室温10℃でも20℃まで加熱することができるため、とても温かい訳ではありませんが、寒さ対策に一定の効果があります。
- 春の早い時期や秋の遅い時期などに多肉植物やサボテンの種まきをしたい場合
- コーデックスの発根管理を行いたい場合
- 冬の室内での寒さ対策を行いたい場合
などにおすすめできるとと思いました。
後は長期間使用した場合の劣化があるのか、耐久性はどれくらいか、故障などのトラブルはないかなどの点が知りたい所ですが、今のところ購入したばかりなので分かりません。
これから使ってみて、分かり次第またレポートさせていただきます。
追記:使用後レビュー
2023年は10年に一度の大寒波といわれた強力な寒さが到来しました。管理人の地域福岡市でも、連日マイナスを記録するなど、厳しい寒さが数日続きました。その時役に立ったのが、このヒーターマットでした。
管理人もエアプランツを育てているのですが、チランジアは寒さに弱いものでは耐寒温度が5~10℃です。今回は室内が最低で6℃台になるなど、室内でも寒いレベルでした。
そこでMARUNDA製と、Namotek製マットを並べて敷いて、電源を入れた所、高さ8cm程度の部分で3℃程度上がりました。もう少し上げたいと思ってプチプチシートを箱形に加工して、密着するようにカゴの上にかけたところ、8℃程度上げることができました。結果的に15℃程度に上げることができ、充分な暖かさを保つことができました。
大事にしているエアプランツですが、寒さから無事守ることができて、本当に助かりました。