多肉植物の種まき(実生)では肥料がいらないといわれることがあります。そこで実際に肥料を与えて効果はあるのか確認してみました。
目次
肥料ありが生育は抜群!
結論からですが、実は肥料ありが生育抜群です!肥料は大きく分けて
- 葉のサイズを大きくする
- 葉を肉厚にする
- 葉の出るスピードを速くする
- 子株を早い時期に出す
の4つの効果が確認できました。
肥料をやらないとやるとでは、ものすごい差が出ます。よいか悪いかは別として、濃い肥料を与えると無肥栽培の10倍の大きさになることがあります。
与えて分かった4つの効果
①葉のサイズが大きくなる
まず葉のサイズ自体が大きくなります。たとえば無肥料では3ヶ月かかって1mmの葉のサイズになるところ、2週間ぐらいで同じサイズに成長しました。
②葉が肉厚になる
元々多肉植物は肉厚の葉を持っている種類が多いですが、肥料を与えるとさらに肉厚になりました。
③葉の出るスピードが速くなる
驚くことに、葉の出る速度も速くなります。たとえば無肥料では1ヶ月かかって2対の葉が出る種類だと、1ヶ月で2対出てしまうことがありました。
④子株が早い時期に出る
これはメセン類での経験なのですが、本来なら数年かけて子株が出る株に成長するところ、半年で子株が吹いてくるということが起きました。これにはかなり驚きました。
肥料なしだとどうしても大きくなりません。一度肥料を使って種まきをしてしまうと、もう肥料を使わない栽培には戻れないという感じです。…
肥料を与えるとカビが出る?
肥料を与えるとカビが出るという説もありますが、それは有機肥料や堆肥などの場合だと思います。もっぱら化成肥料を入れるようにしていますが、カビが出たということはほとんどありませんでした。(一度冬に白いかびが生えたことがありますが、室内管理中で風通しが悪かったことが原因と考えられます)
それで発芽までは無肥料で行いますが、芽が出て2~3週間経ったら積極的に施肥するようにしています。
与えてみた肥料とタイミング
これまで多肉植物の実生に緩効性化成肥料のマグアンプKの小粒、速効性化成肥料のハイポネックス1,000倍液を与えたことがあります。
マグァンプk
マグアンプは緩効性の化成肥料で与えてすぐ効くわけではありません。しかし腰水管理して土がびしょびしょしている間に与えると水分に肥料分が溶け出して著効を発揮します。
マグアンプはチッソ・リン酸・カリの配合が6-40-6とリン酸が多い配合になっています。リン酸は通常いわれている「開花・結実」への効果に加え、「根の伸長、発芽や花芽のつきをよくする働き」があります。
まだ腰水をしている間にマグアンプをパラパラとまくことで、葉のつきがよくなったり肉厚になった可能性があります。逆に腰水が終わって表土がカラカラ乾くようになれば、効き目は遅くなってしまう可能性があります。
与える量はあまり多くしないようにします。与えすぎると生育が良すぎて身割れしたり、葉が大きくなりすぎたり、藻のはびこりが強くなったりしてしまいます。
ハイポネックス原液
マグアンプの他にハイポネックス液をあげることもあります。ハイポネックスは速効性で既に水に溶けているので、腰水が終わったあとも霧吹きなどで与えればすぐ効きます。倍率は1,000倍と濃いめを与えています。
ハイポネックスのN-P-Kの配合割合は、6-10-5でマグアンプほど強くありません。しかし霧吹きで株本体にもかけることができるため、早い段階で効き目が感じられやすいです。(与えてから10日目ごろから目に見える効果が感じられました)
与える量は霧吹きで土がしっかり濡れる程度にしています。速効性なのですぐに効果がなくなるため、頻度は10日に1回程度にしています。ある程度大きくなったら月2回程度にしています。
また与えすぎるとチッソ分が多く徒長する心配があるため、濃すぎる液や高頻度のハイポネックススプレーは避けるようにしています。
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与えてみた種類
これまでリトープス・プレイオスピロス、コノフィツム、アルギロデルマ、ラピダリア、モニラリアなどのメセン類に始まり、エケベリア、ダドレア、サボテン、パキポディウム、チレコドンなどの実生に肥料を与えてきました。
全部の写真を撮っていたわけではなくしっかり写真が揃っていないものですが、ダドレアの写真が1ヶ月ごとに残っていたので、それを紹介します。
肥料は、2022/11/3に500倍のハイポネックススプレー、2022/11/18に同様を2回目、2022/23に同様を3回目を与えました。
1ヶ月目(2022.10)
2ヶ月目(2022.11)
3ヶ月目(2022.12)
4ヶ月目(2023.1)
5ヶ月目(2023.2)
6ヶ月目(2023.3)
7ヶ月目(2023.4)
8ヶ月目(2023.5)
コントロールはやや難しい
まだ実生に肥料を与えて2年しか経っておらず、肥料のコントロールは手探り状態です。
肥料を与えるのと目に見えた効果が出るまではタイムラグがあり、最初効いていないと感じて与えすぎてしまう傾向があります。
また大きくしようしようと肥料をたくさん与えると、後で急激に巨大になって身割れなどを起こしてしまうので、緩効性肥料なら本当にひとつまみ程度、液肥なら数回程度にしたほうがよいのではないかと感じます。
緩効性化成肥料はカビの原因にはなりませんが、藻の生え方も盛んにしてしまいます。そのため藻の抑制効果がある殺菌剤のオーソサイドスプレーを併用したほうがよいと思います。