エケベリアは多肉植物の中でも代表種といえる存在で、また初心者さんにも人気です。第1回目はエケベリア講座。これから3回に渡ってエケベリアの入門講座をお送りしたいと思います。
エケベリアとは
エケベリア属とは、葉や茎に水を溜め込む性質があり、多肉質の分厚い葉を持つ多肉植物の一種です。
エケベリア属はベンケイソウ科という種類に属する種類で、ベンケイソウ科とは他にグラプトペタルム属やアエオニウム属といった種類があるグループです。
特に近いのがグラプトペタルム属やパキフィツム属などです。これらはかけ合わせ(交配)することができ、グラプトペタルム属とのかけ合わせてをグラプトベリア属、パキフィツム属との交配をパキベリア属といいます。
エケベリアはたくさんの種類がありますが、野生として生えていたもの(原種)だけでも200種類、交配種は1000を超えるといわれています。それだけ人気で注目され、色々な国で交配種が生み出されているのですね。
少々専門的になりますが、野生のエケベリア(原種)は8割がメキシコで発見されています。残りのほとんども中米や南米産とされています。原生地は乾燥地帯で雨季と乾季を持ちます。雨季に降った雨が体に溜め込まれ、乾期を耐え抜いています。つまり年中カラカラの砂漠に育つ植物ではないのですね。
3つの注目ポイント
エケベリアの注目ポイントは以下の3つです。
- ロゼット状の形
- 冬の紅葉
- 花も咲く
①ロゼット状の形
まずエケベリアのほとんどは新しい葉が真ん中から出て、外側に向かってロゼット状に葉をつけます。ロゼット状とは、バラの花のようなという意味を持ちます。葉の付き方が真ん中から新しい花びらが出てくる、薔薇と同じような形になっているのですね。
エケベリアのサイズは実に差が大きく、小さなものはこのロゼットが3cm程度ですが、大きいものは50cmにもなります。それゆえ、エケベリアの一部は「どんどん大きくなる、あまりにも大きくなると困る…」という問題も起こります。その場合は挿し木で小さくできるので心配はいりません。
メルカリなどで販売されている小さなエケベリアは直径3cmもないものがあります。それらも栽培を続けていると少しずつ本来の大きさに育っていきます。
②冬の紅葉
エケベリアには紅葉する種類があります(紅葉種)。紅葉種は秋に気温が下がってくると葉先がピンク色や赤色になり、全体的にも薄紫や赤などに染まって美しくなります。桜の葉が赤くなるのと同じように、多肉植物も紅葉します。
ただ仕組みは少々異なるようで、エケベリアを紅葉させるには、低温にさらす、日に良く当てる、水やりを少なめにするという3つの条件が必要です。
そのためにも真夏以外はしっかり日に当ててよく光合成させ、水やりをしすぎない、肥料をやりすぎないなど気をつけないと、しっかり紅葉してくれない場合があります。
桜の葉は紅葉すると最後に枯れて散りますが、多肉植物の紅葉は枯れる心配はありません。春になって暖かくなってきたら再び緑色に戻っていくだけです。そして秋が来るとまた紅葉を始めます。
③花も咲く
リラシナの花
エケベリアは葉っぱだけでも充分に楽しめるのですが、もう一つ「花」という見所があります。実は葉の間から花芽を出し、それが長く伸びてベルのような花を咲かせるのです。
紅葉と異なり、基本的に全てのエケベリアは花を付けるのですが、うまく育てて株が充実しないと花は付きません。また数年経ちある程度大きくならないと花の咲かない種類もあります。
花は種類により異なりますが、黄色や赤、オレンジ系のものが多いようです。中には花芽も白い粉に覆われていて真っ白に見える種類もあります。
花芽は通常12月ごろに最初に確認できます。そのまま1月、2月と少しずつ大きくなっていき、3~5月頃に開花します。花茎の長さは30cmを超えることも稀ではありません。その先にたくさんの花をつけるので重みで下がってくることがあります。
花が咲いて交配するとタネを採ることもできます。こうなると好みのエケベリアを交配して、オリジナルのエケベリアを生み出すことも夢ではありません。タネを採ったらまた、種まきから育てる楽しみも広がりますね。
育て方は自由自在
エケベリアの育て方は自由自在です。
速く大きく育てたい、小さいまま楽しみたい、子株をどんどん作りたいなど自由に育てることができます。まず、エケベリアは速く育てることや通常より大きく育てることが可能です。鍵は肥料です。肥料を一定量施すことで、葉の枚数を多くしたり、速く大きくしたりすることができます。
またエケベリアは大きくなる種類もあります。そのような種類を小さくコンパクトに育てることも可能です。そのためには定期的に植え替えをして外側の葉を取り、根を剪定して今までの容器に植え付けます。そうすることでいつまでも買ってきたサイズで楽しむことができます。またあまりにも大きくなってしまったものは、先を切り取って挿し木することで、小さくすることも可能です。
このような場合には水やりを少なめにして肥料もほとんど与えず、やや根詰まりした状態を保つとコンパクトな姿を維持できます。
子株をどんどん作りたい場合は、やや大きめの鉢に植えてしっかり水やりを行います。肥料も与え充分に生長させます。子株が出てきたらそれを切り取って別々に植え付ければ増やせます。またエケベリアの多くは葉挿しといって1枚の葉から、子株を作り出す繁殖方法も可能です。
寄せ植えの楽しみ
エケベリアは寄せ植えの楽しみも広がります。
寄せ植えとはいくつかの種類をまとめて一つの容器に植え付けることで、エケベリアだけの寄せ植えもできますし、エケベリア以外の種類も混ぜた寄せ植えも可能です。お気に入りの容器に普段育てているエケベリアをいくつか寄せ集めれば、かわいい寄せ植えが誕生します。
多肉植物の寄せ植えでは特徴的な点があります。それが根のない苗も寄せ植えにできるということです。カットした苗を小さな鉢に入れた土に挿すことで寄せ植えを作ることもできます。
もう一つが土がなくても寄せ植えができるという点です。水ゴケという土の替わりになるになる素材に植え付けることで、リースや飾りのような土が入れられない場所に植えることができます。この場合土で栽培するように長く育てることはできませんが、一時的に室内に飾るインテリアとして使うことができます。
エケベリアの代表種は?
エケベリアには野生の種類(原種)とハイブリッド種(交配種)があります。それぞれの代表種を見ていきましょう。
- アガボイデス
- エレガンス(月影)
- カンテ
- 寒鳥巣(カントリス)
- 錦晃星(キンコウセイ)
- 銀明色(ギンメイショク)
- 古紫(コムラサキ)
- コロラータ
- シャビアナ
- セトーサ(青い渚)
- チワワエンシス
- ミニマ
- ピーコッキー
- 大和錦(ヤマトニシキ)
- ラウイー
- リラシナ
- ルンヨニー
- パールフォンニュルンベルグ
- ブラックプリンス
- 桃太郎(モモタロウ)
- ラウリンゼ
- ロメオ
- 高砂の翁
- メキシカンジャイアント
- レインドロップス