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多肉植物の土の作り方!ブレンド方法や割合・改良方法も解説

多肉植物にとって土は重要です。多肉植物の土を作る場合、どのような土にすればよいのか、ブレンド割合や作り方、市販の土の改良方法などについて解説しています。

多肉植物にとってよい土とは?

土 つち
多肉植物の土は特殊で難しい、そんな印象をお持ちの方も多いと思います。実は多肉植物にとって良い土も普通の植物と基本は同じです。共通点は水はけと通気性がよく、保水性もあり、雑草の種や雑菌や害虫などがいないという点です。

しかし多肉植物特有の事情もあります。それは

  • 普通の植物の土より水はけがさらに良い
  • 保水性・保肥性はそれほど強くない
  • 肥料分は少なめでよい
  • 水やりを重ねても細かくなりにくい

などです。

①通気性がよい

通気性は空気の入れ換えができる性質です。通気性がよい土は団粒構造になっており、土の粒と粒の間に隙間があり、そこから空気が出入りできます。実は多肉植物も根が呼吸していて、根から酸素を取り込んでいます。

通気性が悪いと酸素が取り込めず根腐れの原因となってしまいます。土袋の下に残っている「みじん」がよくないというのは、土の粒と粒の隙間にみじん(極細かい粒)が入り込んで空気の通りを悪くしてしまうためです。

団粒構造とは
団粒構造とは、土の粒と粒の間にすき間があり、通気性や排水性にすぐれている構造のことです。みじんは団粒構造の正反対の性質です。例えば赤玉土や鹿沼土には隙間が多い(団粒構造になっている)ので多肉植物にとって良い土といえます。

ただ赤玉土や鹿沼土も水やりを繰り返すことで、だんだん崩れてきて最後にはみじんになってしまいます。定期的に新しい土に変えることで対処していきます。

②排水性・保水性が適度にある

一見矛盾しているように感じてしまいますが、多肉植物の土には排水性(水はけ)と適度な保水性(水を蓄えておく力)があることが大切です。

排水性(水はけがよい)土とは
水はけが良い土は、水やりした後ざっーと鉢底の穴から水が出てくるような土のことです。水やり時に水がなかなか染みこまないような土、鉢底に粘土のような成分が溜まっている状態は排水性が悪いことを表しています。

水やりにはざーっと鉢底から流れ出るほどの水を与えて、古い空気を押しだし同時に新しい空気を供給する機能があります。排水性がよくないと植物は酸欠になってしまうため、この点は重要です。

保水性がある土とは
保水性は適度に水分をため込む(急激に乾かない)性質のことです。多肉植物の場合、保水性はそれほど強くなくて良いですが、適度に水分をため込む性質がないと生育が悪くなります。

たとえば大げさな例ですが、中くらいの大きさの軽石を鉢底から上まで積み重ねて作ったような土だと、上からやった水がほぼ全部鉢底から流れ出て植物が水を吸い取る暇がありません。

それではどのくらいの水はけが適しているかというと、「普通の植物に使うには水はけが良すぎるくらい」となります。種類にもよりますが、多肉植物の原生地では砂利や細かい砂がサラサラしているというのをイメージすると良いと思います。

③清潔な土

清潔な土というのは、細菌やカビ、害虫、雑草の種などがない土のことで、具体的にはカビの胞子や雑草の種、病原菌、害虫の卵、根ジラミなどの害虫がいないことをさします。当たり前のようで意外と忘れがちな項目です。

古い土を使い回すことで前の植物が植わっているときに入り込んだ病害虫を、新しい植物が引き継いでしまいます。病原菌や虫の卵などを退治することはなかなか難しく手間がかかりますがとても大切な点です。

その他大切なこと

上で紹介した3つの他に大切な項目があります。

多肉植物で大切な3つのポイント

  • 適切な重さがある
  • 保肥性が少しある
  • みじんが少ない

適切な重さがある
適切な重さがある、というのは重すぎず軽すぎない土のことです。

重すぎる土は根をつぶしたりみじん化していて通気が悪く植物にとってよくありません。また軽すぎる土もデメリットがあり、植えた植物がぐらぐらする、水やりしたとき表面にいつまでも沈まない層ができるなどが起こります。目安としては1Lあたり400~600グラムの範囲の重さがあるのが適切だとされています。

保肥性が少しある
保肥性は与えた肥料を保持する力のことです。

多肉植物の場合、肥料のききすぎは良くありません。そのため保肥性は少なくて問題ありません。

しかし全くないとこれも問題になります。例えば液肥であるハイポネックスを与えた時、それが全部素通りして流れてしまって植物体内に吸収できなければ肥料を与えた意味がなくなってしまいます。そのため普通の植物より肥料分が流れやすい程度の力があれば充分です。

肥料が全くないと困るのは多肉植物も植物であり、微量要素やチッソ・リン酸・カリの三要素を必要とするためです

みじんとは
みじん

みじんは非常に細かい土の粒のことで、水やりをした時にどろのようになったり、乾いたときカチカチになるなどの性質があります。

みじんは通気性と排水性が悪く、普通の植物にもよくありません。さらに多肉植物にとっては大敵です。みじんを取り除くには、ふるいにかけたり、ビニール袋の中で振って下の方に溜まったところを取り除いたりする方法があります。

土作りの基本

土の種類多肉植物によく使われる基本用土と改良用土」を実際に混ぜて土を作ってみましょう。

土作りの基本は以下の3つです。

  1. 数種類混ぜる
  2. 粒を揃える
  3. みじんを取り除く

①複数の素材を混ぜる

土をブレンドするときは、赤玉土100%などではなく、なるべく3~5種類の土を使いましょう。

土にはそれぞれ特徴がありますが、複数の土を混ぜ合わせることで酸性度が中和したり、微量要素を含みやすくなったり、それぞれが持つ弱点を補う効果が期待できます。土には基本用土と改良用土の2種類がありますが、基本用土を1~2種類、改良用土を2~3種類ほど選んでブレンドするのが基本です。

②粒サイズを揃える

ブレンドするときは土の粒のサイズをなるべく揃えましょう。

大きすぎ小さすぎだと良く混ざらず分離してしまいます。小粒なら小粒どうしで、細粒なら同じくらい細かいものに揃えます。また鉢底の石には大粒を用いて構いません。一般的には細かい粒ほど保水性がよく通気性が悪く、大きい粒ほど逆の性質を持つようになります。

③みじんを取り除く

ブレンド時はみじんを取り除きましょう。

粉のような粒は土の隙間に入って目詰まりさせてしまうので空気も通りにくくなり、多肉植物にとっても普通の植物にとってもよくありません。みじんを取り除くには、ふるいでふるうか袋の中で混ぜ合わせた後、下の方に溜まった部分を取り除くなどの方法があります。

多肉植物によく使われる土

土 つち多肉植物の場合、基本用土では赤玉土、鹿沼土、川砂などが用いられます。

改良用土には腐葉土・ピートモス・くん炭・ボラ土(日向土)・軽石・バーミキュライト・パーライト・ゼオライト・珪藻土塩白土・水苔などがよく使われています。

詳細は多肉植物によく使われる基本用土と改良用土ページで紹介しています。

多肉植物用の基本用土
基本用土 特徴
赤玉土 赤土をふるい分けてサイズ別に販売されている土。基本用土によく使われ、弱酸性、ほとんど無菌の清潔な土
鹿沼土 同じく関東ローム層から採取される基本用土で、通気性や保肥性が高い。弱酸性で有機物をほとんど含まず、水に濡れると色が変わる
ボラ土 宮崎県で採取される基本用土の一つで、通気性、保水力がある。赤玉土や鹿沼土より粒が崩れにくい。
川砂 細かくてかなり重い性質の土。排水性が非常に高い。みじんが多めなので使う前に洗って細かい粒を取り除く
多肉植物用の改良用土
改良用土 用途
腐葉土 広葉樹の落ち葉を腐熟させたもの。通気性、保水性、保肥性がよい。微量要素が入っているので土壌改良の効果もある
ピートモス 水ゴケやヨシなどが堆積してできた土で保水性、保肥性がある。弱酸性。細かくて性質が腐葉土に似ているので代わりに使える
くん炭 真っ黒の炭化したもみ殻でできている土。非常に軽く重い土を軽くしたり水はけをよくしたりするのに使う
軽石 ボラ土と似ている性質で水はけが良く、基本用土より軽め。通気性、排水性がよいので水はけの悪い土の改善に使う
バーミキュライト 無菌なので清潔さが必要とされる種まき用や挿し芽用の土によく使われる。非常に軽くて保水性、保肥性もある
パーライト 人工的な土で排水性と通気性がよい。息をかけるとふわっと飛ぶほど軽いので、土を軽くしたい時や排水性をよくしたい時に使える。

目的別のおすすめブレンド割合例

シンプルに作りたい場合
取り敢えず多肉植物の土をシンプルに作りたい、という場合は以下の例がひとつの目安になります。

赤玉土1:鹿沼土:1:腐葉土1

バランス重視で素材を多配合にする場合
適度に重くバランスを重視したい場合は、以下の例が目安になります。赤玉土をメインにし、川砂は非常に重いので少なめに、酸性のピートモスとアルカリ性のくん炭でpHを中和しています。

小粒赤玉土3:ピートモス3:小粒日向土2:川砂1:小粒鹿沼土1:くん炭1

大きめの苗を植えたい

大きめの苗は軽い土だとぐらぐらしてしまいます。大きな鉢を使うのはもちろんですが、土にも重みのある素材をいれて苗がぐらぐらしないようにします。鉢サイズは口径15cm以上(5号鉢)以上程度です。

小粒~中粒の赤玉土3:川砂1:ピートモス1:くん炭0.5

小さめの苗を植えたい

小さなの苗は大きな粒サイズの土だと根張りが悪くなってしまいます。そこでバランスを整えつつ、細粒~小粒の土を配合します。鉢サイズは口径6~12cm以上(2~4号鉢)程度です。

細粒赤玉土3:ピートモス1:パーライト1

保水性が良い土にしたい

この場合、パーライトや軽石を避け、赤玉土や鹿沼土、バーミキュライトなどを多めに入れるようにします。

小粒赤玉土3:バーミキュライト1:ピートモス1

水はけが良い土にしたい

この場合、パーライトや軽石を多めに入れると水はけが抜群になります。

小粒赤玉土2:小粒軽石2:パーライト1

大きく育てたい

この場合は、水持ちがよい土を入れたり肥料を多めに入れます。

赤玉土4:鹿沼土2:軽石2:ピートモス1+油かす5%+緩効性肥料

コンパクトにしたい

この場合は、保肥性・保水性が低めの土を作ります。

赤玉土3:鹿沼土3:川砂1:くん炭1:バーミキュライト1 +肥料
鹿沼土2:軽石2:川砂2:バーミキュライト1:腐葉土2

根腐れしやすい種類

根腐れしやすい種類は水はけをよくしつつ、腐敗防止効果があるゼオライトを入れるようにします。

小粒赤玉土2:小粒軽石2:パーライト1 +ゼオライト0.5

軽い土にしたい

ハンギングなどで軽い土にしたい場合、パーライト、バーミキュライトは比重が軽いため多めに入れます。

小粒赤玉土2:パーライト1:バーミキュライト1

挿し芽や種まきをしたい

挿し芽・葉挿し・種まきなどを行う場合は、できるだけ清潔・無菌で細かい土を作ります。

細粒赤玉土1:バーミキュライト1:ピートモス1

素材は新品のものを使い、種まきのものであればさらに熱湯消毒をします。

または赤玉土やバーミキュライト単体を使う方もおられます。

細粒赤玉土1(単用)
バーミキュライト1(単用)

酸度(pH)を調節したい

酸性度が傾いてしまい中和したい場合は、強アルカリ性であるくん炭やpH未調整の酸性ピートモスを加える方法が考えられます。

どちらもたくさん入れるとアルカリ性・酸性が強くなりすぎるのでくん炭は全体の10%以下に、ピートモスは30%以下にするようにします。

酸性にしたい場合・・・無調整ピートモス
アルカリ性にしたい場合・・・くん炭

土の作り方・手順

土作りいよいよ土を実際に混ぜていきましょう。

土の作り方には、バッドで混ぜる方法やバケツを使う方法など色々ありますが、ここでは「ビニール袋」を使った方法を紹介します。ビニール袋で作ると、粉が飛びにくく均一に混ざりやすいです。薄い袋だと途中で破けてしまうので、不燃物用のゴミ袋などある程度しっかりした袋を使うことをおすすめします。
 
厚手のビニール袋とスコップを用意しましょう。

①混ぜる用の袋に入れる

土 つち透明で大きめ(15~30L程度)の袋に軽い土から順に入れていきます。バーミキュライトやもみ殻くん炭、腐葉土、ピートモスは軽いので下層に、赤玉土や鹿沼土は中くらいなので中間に、川砂は重いので最後に入れるようにするとうまくいきます。

②空気を入れてふる

土 つち
混ざりやすいように空気をパンパンに入れて、口をひねって閉じ、上下左右に振ります。

③みじんを取り除く

みじんよく混ざったのを確認したらみじんを抜きましょう。ビニール袋を何度か地面に軽く落として底の方に細かい土を溜めて、上をすくって使うようにします。手頃な大きさのふるいがある場合は、ふるいにかけたほうがきれいに取り除けます。

土を作る時の注意点

作る時の注意点として、室内ではなく必ず外で作業しましょう。粉塵が飛び散りむせてしまいます。

またパーライトや石灰など眼に有害な成分の土を取り扱うときはマスクやゴーグルをして粉に触れないようにしましょう。

厚いビニール袋がない場合は破れることがあるので、2枚重ね合わせて使うなど工夫すると良いですね。