このページでは、多肉植物の病気や害虫を防ぐ方法や日頃からの予防について解説しています。
目次
虫害や病害が起こる原因
病害虫は日頃の管理である程度は防ぐことができます。大切なことはよく観察することで、被害が酷くなる前に対策を打てるようにすることが望ましいです。植物の虫害には大きく分けて以下のような3つの原因があります。
病害虫の存在
まず病原菌や害虫が多い所では、防ぐ努力をしても病気や虫の被害にあってしまいます。
多肉植物のように狭い所に鉢を並べて育てていると一つでも害虫や病気がついているものを買ってくると、みんなに移ってしまいます。
しかし多肉植物の購入時に、その株をしっかりチェックしても、他の植物もたくさん植えてある庭などでは、自然と虫がよってきたり病原菌が飛んできたりしてしまいます。逆に高層階のマンションのベランダでは、他にうつされる原因がなく薬や対策をしなくても、病気や害虫が起きないことがあります。
環境
病原菌や害虫は繁殖するのには色々な環境の条件があります。
例えば日当たりの悪い所、湿度が高くじめじめしている時期は病害虫の被害が発生しやすいです。梅雨時(5~6月)の蒸し暑いときは特にカビ病が発生しやすく、病気になりやすい多肉植物の種類(属)では農薬をまかないと防げないことがあります。
また密閉されていて風通しが悪い室内では5~9月の高温多湿で根腐れを起こして枯れることがよくあります。
植物の健康状態
人間と同じで植物も健康状態によって病害の発生しやすくなったり、病気に強くなったりします。。
多肉植物は特に日照が足りない、風通しが悪い、高温多湿などの条件が揃うとヒョロヒョロになる徒長を起こします。徒長を起こした株は軟弱に育っており、病気や害虫の被害に遭いやすいです。
害虫が病気を引き起こすことも
害虫が病気の原因になることがあります。たとえばカイガラムシの排泄物が原因でスス病が発生したり、アブラムシがモザイク病を伝染させたなどです。
病気の予防で大切なことの一つに害虫を発生させないことが挙げられます。
普段の注意で予防するには
それでは、普段からどんなことに注意して予防すればよいのでしょうか?
日頃からよく観察する
まず一番大切なことは、日頃からよく多肉植物を観察しておくということが大切です。もし病気や害虫が発生しても、早期発見できれば、その部分を切除して予防的に株全体に農薬を散布するなど、被害が深刻にならずに済みます。
観察するときは上や横から見るだけでなく、斜め下から葉の裏を見たり、葉をかき分けて茎を見たりします。どの害虫もなるべく見つかりにくい所に付いているので、ざっと見ただけでは見落としてしまうことがあります。病気についても同じで、日頃から丁寧にチェックすることが大切です
強い株に育てる
徒長して弱っている多肉植物は特に病気にかかったり害虫が付きやすいです
徒長や軟弱な生育を防ぐには、良く日に当て、風通しをよく、水やりをしすぎないことが大切です。多肉植物はインテリアとして室内に置かれやすいが、室内は日が当たらず風通しがないなど元々植物は健康に育たないので、室内に飾りっぱなしにしないようにすることも大切になります。
基本的には植物なので戸外で育てることで強健な株に育ちます。
清潔な土を使う
病気や害虫が発生した古い土は、次に植えた多肉植物にもうつってまた病気や虫害を起こしてしまいます。
カビや細菌は土に何も植えていない状態で放置していても胞子などが土の中に潜り込んでいて、条件が整うと再発生します。また害虫は虫がいないように見えても土の中に卵が残されていることがあります。
病気や害虫が起きた土は廃棄し、新しい清潔な土に植えるようにします。ただ土の廃棄方法は自治体によってことなり、ゴミとして捨てられないところもあります。そんな場合はそのまま流用するのではなく、土の消毒やリサイクルなどをして菌や虫を処理してから使います。
風通しと日当たり
室内など風通しが悪いところでは空気がよどみやすく、カビが原因の病気が発生しやすいです(植物の病気の原因の9割はカビによります)。また日当たりの悪い所で育てると、日光を求めてヒョロヒョロと茎を伸ばす徒長を起こしてしまいます。
徒長株は病害虫に弱いので、多肉植物であっても、基本は戸外の風通しのよい日の当たる所で育てるようにしましょう
防虫ネットを張る
多肉植物の棚(簡易ビニール温室)で育てている場合は、全面を防虫ネットで覆ってしまうという方法も考えられます。マス目が1mm程度のネットならほとんどの害虫が入ることができず、殺虫剤を使わなくてもよくなる場合があります。
また害虫の発生を防ぐことで、害虫が原因の病気を起こさせないメリットもあります。
鉢を分散させておく
多肉植物では特に病気にかかりやすい種類と、割と強い種類があります。弱い種類はあっという間に病気が広がり全滅してしまうことがあります。そのような種類はあらかじめ複数の鉢に分けて植え、それぞれを離れたところに分散させておくのも一つの手になります。
新しい苗はチェックする
園芸店やホームセンターで新しい苗を買ってきたら、多肉植物置き場にそのまま入れるのではなく、虫や病気がないかチェックし、念のため殺虫剤と殺菌剤(病気対策の農薬)をまいておきましょう
また、地上部だけでなく根に根ジラミがいたり卵を産み付けられていることも(よく)あることなので、一度土を掘り起こして新しい土と取り替えておくとより安心できます。
ハサミや道具は消毒する
多肉植物は葉の断面が分厚く、そこから病原菌が入りやすいです。菌やウイルスはハサミやピンセットなど道具を介しても感染するので、使った後は熱湯消毒するなど、清潔に保つことが大切になります。
薬を使った予防方法
日頃のちょっとした観察や注意で、ある程度病気や害虫を予防することができます。しかしよく観察していても、罹患してしまうことがあります。そんな場合は、植物のための薬である農薬を使うのも一つの手になります。
アブラムシやアオムシなど4月頃から発生することが分かっているものは、
- 少し前にペレット状の粒剤の殺虫剤をまいておく
- 浸透移行性の殺虫剤を噴霧しておく
- ナメクジが出る季節はあらかじめ食毒の殺虫剤を土に置いておく
病気に関しては、5~6月の特にカビが原因で起こる病気の発生時期にかかる前に、あらかじめ農薬を散布しておく、などの方法が考えられます。
病気も虫も浸食してしまったら、その部分は元に戻りません。多肉植物は生育がゆっくりなものもあり、大切に長い間かけて育ててきた株を、たった一度の病気や虫にやられてしまうと取り戻すにまた半年など長い時間がかかってしまいます。
多肉植物は全部が病害虫に弱いわけではなく、割と強いものもあるので、特に病気や害虫が発生しやすい属(種類)はあらかじめ薬を使って予防することも視野に入れておきましょう