このページでは、植物用の農薬(殺菌剤)や殺虫剤は危険なのか、多肉植物に使えないのかなどを解説しています。
目次
農薬は植物用の薬
農薬(園芸薬品)は植物のための薬のようなもので、植物を育てていくにはなくてはならない必須アイテムになっています。農薬のなかで病気に効くものを殺菌剤、害虫に効くものを殺虫剤、両方の配合したものを殺虫殺菌剤と呼びます。
なぜ農薬を使わないといけないのでしょうか?
植物も人間と同じで、環境を整えたり防虫ネットを張ったり、適切に育てていても時には病気になってしまい、害虫にやられてしまうこともあります。このような場合、人間であれば医薬品を飲んだり軟膏を塗ったりすることで、体の回復を早くしようと努力します。それと同じように植物にも薬が必要で、使わないで治そうと努力しても病気が広範囲に蔓延したり、害虫が大量発生するなど手の付けようがなくなってしまいます。
指示通りに使えば安全
農薬(園芸薬品)は農薬取締法という法律で厳しく規制されており、市販されている農薬は全て国の厳しい基準をクリアしています。
- 病気・害虫への効果
- 使用者(人間)
- 自然環境(土壌や魚類への影響)
- 作物に対する影響
など様々な試験を行い安全性が確認されたものだけを市販しています。
そのため一般の植物でも多肉植物に使うにしても、市販された農薬を決められた方法で使うのであれば、安全に使うことができます。
正しく使わないと眼や皮膚へ危険性も
農薬は正しく使わないと、人体に深刻な被害をもたらすことがあります。農薬の原液は1,000倍や3,000倍に薄めて使うもので、スプレー剤やペレット剤より濃く眼や皮膚への刺激性が高いです。そのため農薬を使う時は、ラベルや中に入っている説明書をよく読むことが大切になります。
説明書には調合時や散布時「保護めがねを付ける、不浸透性手袋をつける、ゴム長靴を履く」などの使い方の注意点や、万一眼に入ってしまった場合の対処方法が書いてあるので読み飛ばさないようにしましょう。
植物でも害がでる場合がある(薬害)
農薬の種類によっては特定の作物に使用すると奇形など薬害が生じることがあります。その場合、農薬のラベルや説明書に使わないようにする旨が書かれているので必ず確認します。
水産生物への影響を考える
農薬は種類によっては人間だけでなく、魚や甲殻類など水産動植物に影響を及ぼすものがあります。それは各農薬のラベルや説明書に書いてあるので、使うだけを調合し、万一余ってしまっても川に流したりしないようにすれば大丈夫です。
もし余ってしまったら、土に穴を掘り、そこに廃棄し穴を埋め戻します。農薬は土に吸収され微生物によって分解されます。
農薬は適用病害虫が決まっている
実は農薬はどの植物にどの薬品を使ってもよいのではなく、この作物には何倍で何回使用するなどの適用病害虫と散布方法が定められています。
たとえばGFベンレート(ベノミル水和剤)の場合、キュウリが病気になった場合、つる割れ病なら1,000倍を3回以内で収穫の前日まで、菌核病や炭疽病には2,000~3,000倍を3回以内で定植1ヶ月後など、同じ作物でも病気によって違う指示が出ています。
キュウリが載っていればウリ科のもの全般にかけてよいのではなく、記載されている以外の植物には使わないのが決まりとなっています。
多肉植物には使えるのか
それでは多肉植物は適用病害虫の記載があるでしょうか?
残念ながら、多肉植物が適用病害虫に載っている薬はありません。それなら使ってはいけないのでしょうか?
実は使うことができます。多肉植物は観葉植物の一つでもあります。そのため観葉植物の項目に準じて使えば大丈夫です。農薬は使用する作物によって希釈倍率が異なりますが、多肉植物に使う場合は薄め~標準的な倍率で使ったほうがよいでしょう。(たとえば500倍、1000倍、2000倍の希釈倍率があれば、1000倍か2000倍にします)
観葉植物の記載があればよいのですが、観葉植物という項目がない農薬もあります。そうした薬品は使えないのでしょうか?
本当は使ってはいけないのでしょうが、、病気や害虫の被害がひどくて、これまで使っていた薬剤に耐性ができてしまってやむを得ず使うこともあります。ただ自己責任での使用になります。※農薬の適用外の作物への使用は農薬取締法に抵触しますので、注意しましょう。