目次
フォーカリア属の写真
四海波 | 前2つが怒濤、後ろが巌波 | |
四海波(出典:Wikipedia) | 荒波(出典:Wikipedia) | 片男波(出典: Wikipedia ) |
原生地(出典: Wikipedia ) | 獅子波(出典: Wikipedia ) |
フォーカリア属(Faucaria)の特徴
■ツルナ科
原産地:南アフリカのケープ州とカルー砂漠
生育型:春秋型~冬型
大きさ:直径5cm程度
耐暑性:やや弱い
耐寒性:やや強い
越冬最低気温:0℃(書籍値)
※水やりを控えた場合の目安値で、状況によりこれより狭くなることがある
育てやすさ:普通
管理場所:春秋-日なた、夏-半日陰か50%遮光、冬-日なた 0℃以下は室内か温室
増やし方:主に株分け、挿し芽、種まき
成長スピード:普通
※4段階評価
育てやすい-普通-やや難しい-難しい
成長が早い-普通-遅い-とても遅い
耐寒性と耐暑性が、強い-やや強い-やや弱い-弱い
特徴
肉厚でノコギリの刃ような縁取りとトゲのような突起がある、すごそうな姿のフォーカリア属は、どの種も三角状の葉を重ねる性質があり、波という名前がついています。
秋になって寒くなると葉が色づく(紅葉する)ものもあります。秋冬にかけて午後3時頃、デージーのような形でピンクや黄色、白の花を咲かせます。花の直径は4cm程度と葉のサイズにしては大きいです。もともとは南アフリカに自生しており、30種類が知られています。交配種もあります。
育て方
0℃には耐えるものの、比較的温暖な地域の植物なので凍結や零下は避けましょう。夏の暑さと湿気に弱いので、6~9月は完全に水やりをしない断水を行います。ツルナ科の中では育てやすいほうですが、それほど寒さに強くない点に注意が必要です。うまく育てると群生して横に広がり、花で株が見えなくなるほどになります。子株がたくさん出てきたら5~6月に切り取って挿し芽にできます。また種が採れるので種まきでも殖やせます。
- 湿気と蒸し暑さが苦手なので6~9月はほぼ水をやらない
- 7~8月は日差しが強いので、50%程度遮光する
- 冬に0℃以下になる場合は、室内か温室に取り込む
- 年間を通して雨ざらしにせず風通しをよくする
年間栽培カレンダー
水やり | 3~5月は週に1回ほど鉢底から流れ出るまで 6~9月は月1回表土が濡れる程度を与えるか、または全く水をやらない(断水) 10~11月は週に1回ほど鉢底から流れ出るまで 12~2月は月に1回程度に減らす |
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置き場所 | 3~5月は戸外の日なたに 6~9月は戸外の半日陰(50%ほどの遮光)におく 10~11月は再び戸外の日なたに 12~2月は戸外の日なただが0℃を切る場合は室内へ 年間を通して雨ざらしにせず風通しをよくする |
植え替え | 3~5月か9~11月が適期 |
増やす | 3~5月か10~11月に株分けか、9月に実生(種まき) |
肥料 | 3~5月か10~11月に薄い液肥や株分け時などに粒剤をいれる |
開花 | 秋から冬にかけてピンクや白の花を咲かせる |
多肉植物の日本での栽培は自生地の環境と異なります。そのため日本の寒さや暑さに耐えられなくなると生育が鈍ったり成長が止まったりします。その時期のことを「休眠」といいます。時期は種類によって異なり、夏に休眠するタイプと冬に休眠するタイプがあります。休眠期は生育が鈍るので肥料や水やりを控え、挿し木や株分けなど株へ負担をかける作業を控えます。
主な種類名
荒波(アラナミ) | Faucaria tuberculosa |
巌波(イワオナミ) | Faucaria sp. |
片男波・ボスケアーナ(カタオナミ) | Faucaria bosscheana |
四海波(シカイナミ) | Faucaria tigrina |
獅子波(シシナミ) | Faucaria tuberculosa ‘Sisinami’ |
大雪溪(ダイセツケイ) | Faucaria tigrina ‘Daisetukei’ |
波路(ナミジ) | Faucaria subintegra |
姫波(ヒメナミ) | Faucaria longiforia ‘Minima’ |
群波(ムレナミ) | Faucaria gratiae |
雪波(ユキナミ) | Faucaria candida |
Braunsia apiculata |
品種の紹介
雪波 葉の長さは7cm程度、
巌波 葉の長さは5~7cm程度、黄色い花を秋に咲かせる
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育て方のポイント
水やり
フォーカリア属はツルナ科の中でも多肉質な葉なので水不足に強く、むしろ水のやり過ぎで枯れてしまうことが多いです。日本の湿度の高い梅雨時から夏にかけてが特に苦手で、この時期に根腐れさせてしまうことも多いです。しかし春秋はしっかり水をやらないと成長が悪くなるので加減がやや難しいです。
具体的な量は、3~5月と10~11月は生育期なので週に1回ほど鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。6~9月は暑さにより休眠してしまうので、月1回表土が濡れる程度を与えるか、または全く水をやらない断水を行います。大株になれば断水しても枯れる心配はありませんが、子株の場合は月1度与えるようにします。12~2月は生育期より少し成長が鈍くなるので月に1回程度、鉢の半分を濡らすぐらいに減らします。
コツは春秋は充分やること、夏は全く水をやらないこと、冬は寒い日に水やりしないことです。タイミングは生育期は朝方に、夏は涼しくなった夕方に、冬は凍結のおそれが少ない午前中にすると失敗しにくいです。
置き場
年間を通して雨ざらしにせず風通しをよくすることが重要です。3~5月は生育期なので戸外の日なたに出してしっかり日に当てます。6~9月は戸外の半日陰(50~70%ほどの遮光)に置いて直射日光に当てないようにします。10~11月は生育期なので再び戸外の日なたで太陽光を浴びせます。12~2月は戸外の日なただに置くのが基本ですが、0℃を切る場合や寒冷地では室内へ取り込みます。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
夏の暑さにはやや強いほうですが、風通しをよくしてしっかり断水しないと一発で根腐れさせてしまうこともあります。70%程度(明るい半日陰)に置き、土の水気をカラカラにして通風を心がけておくと35度~40度くらいは耐えられます。
越冬最低温度と冬越し方法
越冬最低気温は0℃で、それ以下になると凍結してだめになってしまう危険があります。九州から近畿地方、関東以南であれば、0℃になることは少ないので外で冬越しできるかもしれませんが、寒冷地では必ず室内か温室に取り込みます。フォーカリアは冬型なので、寒さに強いと思いがちですが、あくまでも多肉植物の中では低温で成長するという意味で、霜に当てたり凍結させたりすれば枯れてしまいます。
増やし方
フォーカリア属は種まきの他、株が群生してくれば株分けや子株の挿し芽でたくさんに増やすことができます。フォーカリア属はエケベリアなどのように葉挿しはできません。
挿し芽(挿し木)の方法:
群生してくれば子株を切り取って乾いた土に挿すことで殖やせます。時期は株分けと同じ3~5月と10~11月の生育期で、子株は乾いた土に挿しておくとやがて発根してくるので、発根を確認したら水やりを少量からスタートします。
株分けの方法:
3~5月と10~11月に株分けができます。うまく育てていると子株が群生するようになって横へ広がってゆきます。そうしたら鉢から抜きだして根を付けて株を分割し、乾いた用土に植え付け、4~5日経ってから水やりを始めます。
種まきの方法:
原種の場合は種まきができます。花が咲くのが冬から初春なのでそのとき種を採り保管します。保管時は冷蔵庫の野菜室に入れておくと寒さで発芽の準備ができる(寝かせるという)ので、発芽率がよくなります。種まきは暑さの緩んだ9~10月が適期で、11月以降になると寒すぎて発芽した後の成長が遅くなります。種まき後、半日陰で管理しますが、およそ20~25℃(年と栽培地によって変わりますが9月20日以降10月15日以前)が適温のようです。
植え替え:
フォーカリア属は1年に1回、生育期(3~5月か9~10月)に植え替えを行います。植え替え時は前1週間ほど水をやらずに鉢を乾かしておきます。掘り上げて株分けをしつつ、一回り大きい鉢に植え付けます。植え付け後4~5日程度で水やりを開始します。植え替えには根ジラミがついていないかの確認や、古い根を取り除く、根詰まり(鉢の中で根がいっぱいになる)を解消する、肥料を足すなどの役目があり、株にとって大切な作業です。
土
水不足に強く多湿に弱いので、水はけがよく水やり後すぐ乾く土が最適です。川砂に山砂、鹿沼土、ピートモスなどを配合するとよいです。砂は密度が高く重いので、根が潰れやすいです。根の張りがよくなりり通気をよくするため、くん炭、ピートモス、パーライトなどを適宜盛り込みます。
フォーカリアを上手に育てるためには、鉢の種類と大きさ(口径)選びがポイントになります。あまりにも大きすぎる鉢に植えると水はけが悪くなり腐る原因になります。またプラスチックの鉢は水が蒸発しにくく、テラコッタなどの陶器の鉢は蒸発が早いです。どちらにも植えられますが、水やり頻度は変わります。(このページではプラ鉢を前提に解説しています。)
肥料
基本的に多肉植物は大量の肥料がいりませんが、肥料をやると生育がよくなったり花芽がつきやすくなったりします。肥料を与える場合は、2000倍のハイポネックスなど普通の植物より薄い液肥を与えたり、植え替え時や株分け時に土にマグアンプなど細粒肥料を混ぜ込みます。
開花
冬につぼみをつけ、春3月くらいまでにまっ黄色の花を咲かせるデージーのように細い花びらで、直径4cmと葉のサイズにしては大きな花をつけます。
病害虫
病害虫はつきにくい種類ですが、乾燥を好むという性質からハダニやカイガラムシがつきやすくなります。病気は特に心配ありませんが、夏の蒸れや根腐れに注意しましょう。