- 多肉植物への散布は「観葉植物」への散布方法を目安にする
- 観葉植物への適用がない薬剤も使えるが、自己責任となる
- 病気や害虫は予防的にかけるのが安全
- 規模が小さければ、罹った後に散布するのもあり
農薬を多肉植物に使う時の目安は?
まず、農薬は農薬取締法という法律で、適用作物と適用病害虫という条件が定められていて、本来、この植物のこの病気(または害虫)にしか使えないとなっています。そこで多肉植物に使って良い薬剤を使うべきなのですが、どの薬剤を見ても多肉植物への適用がありません。それでは使えないかと思ってしまいますが、一応多肉植物も観葉植物の一つだということで、観葉植物に使えるものは使えると思われます。
以下「殺菌剤」は植物の病気に対する薬剤、「殺虫剤」は植物につく害虫に対する薬剤、「農薬」は殺虫剤と殺菌剤のことを表しています。
目安は?
量は薄めるものであれば、観葉植物への倍率や散布回数を参考にしてみます。そのまま噴霧するタイプであれば植物から30cm離して散布するなど、その農薬の使い方に従って使いましょう。
観葉植物に適用がない場合は?
また使いたい農薬があるが観葉植物への適用がない、という場合、自己責任にはなりますが、多肉植物に少量テストした上で使うというのもありで、管理人なども薬害などの有無を慎重に確認して使っているのが実情です。
病気や害虫に罹った後に使うのか?
農薬(殺菌剤と殺虫剤)は2通りの使い方があります。一つ目は予防的に散布するもので、もう一つが被害に遭ってしまった後に応急処置的に使うものです。
水で薄める必要のないスプレーやエアゾール剤(シューッとガスが出るタイプ)は、害虫や病気を発見したときに応急処置的に使うのに向いている一方予防的に全部の多肉植物にかけるのには薄めて大量に作れるタイプ(水和剤や乳剤など)が向いています。
それでは予防的に散布するのと罹ってから散布するのはどちらがよいのでしょうか
それは栽培の規模や育てている多肉植物の種類によって変わってきます。
大規模に栽培している場合は、予防的に散布しておかないと手が付けられなくなってしまうため、あらかじめ散布しておくことが多いです。小規模で数十鉢しかないという場合は、毎日の観察も行き届き、早期発見して応急処置的に使うといった方法もありです。
また庭など病害虫の多い所で育てている場合は予防対策は避けられないです。逆にマンションの高層階などでは害虫が飛んでこなくて何もしなくても被害が出ないことがあります。
また多肉植物には病気に罹りやすい種類(属)と強い属があり、弱い種類にはあらかじめ予防散布しておき、強い種類は応急処置で済ませるという方法もありです
変色した葉は戻らない
ひとつ大切なことがあります。それは病気にかかって変色してしまったり枯れてしまった部分は、薬剤を使っても元には戻らないという点です。その部分は切り取って捨てるしかなくなります。多肉植物は成長速度が遅く、1枚の葉が出るまで長い時間がかかるものがあります。
一年がかりで少しずつ生長してきた多肉植物が、1回の病気や害虫でめちゃめちゃにされてしまうと、元に戻すまで長い時間がかかり精神的ダメージも大きいです。弱い種類や成長が遅い種類は、できれば予防的に散布しておきたいものです。
農家では予防散布が一般的
大規模に植物を育てる野菜農家などは、予防散布がごく一般的になっています。農薬の使い方で決められた量を決められた回数散布することで、病気や害虫の発生を防いでいます。このサイトで解説している農薬も使われている薬剤の一つで、添付文書を読むと、予防散布が正しい使い方だと書いてあったりします。
それでは管理人はどうしているかと聞かれたら、弱い種類(クラッスラやセダムなど)は繰り返し予防散布してそもそも病気にならせないように努力しています。またそれ以外のものは梅雨時のとくに病気が心配な時期に数回予防散布し、罹ったものを随時応急処置するという形を取っています。
害虫については多肉植物の棚の全面に1mmの防虫ネットを張り、その上でやはり梅雨時を中心に固形の殺虫剤を予防散布しています。