このページでは多肉植物の8月の状態と育て方、するべきことについて解説しています。
目次
猛暑の厳しい8月
一年の中で一番暑い時期です。近年の日本の猛暑は厳しく一部の種類を除いて屋外は過酷な環境になります。どんなに気をつけて育てていても、苗を一つ二つ枯らしてしまいがちです。
うまく夏越しさせるためには、水やりタイミング、適度な日よけ、風通しに気をつけることが大切になります。特に置き場所は大切で、遮光ネットを張ることで熱と直射日光を遮るか、コンクリートの床などが熱されていない涼しい半日陰に移動させると、枯らしてしまう苗を減らすことができます。
気象と環境 | 東京 (関東) |
| 福岡 (暖地) |
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宮城 (寒冷地) |
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多肉植物の7月の状態と育て方・すべきこと
多肉植物の9月の状態と育て方・すべきこと
エケベリアなど主に春秋型
グループ1 主な種類 | ||
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エケベリア、アドロミスクス、オロスタキス、春秋型のクラッスラ、グラプトペタルム、グラプトセダム、グラプトベリア、コチレドン、シノクラッスラ、セダム、ヒロテレフィウム、セデベリア、センペルビウム、ダドレア、パキフィツム、パキベリア、ロスラリア、春秋型のセネシオ、アナカンプセロス、アプテニアなど | ||
生育状況 | 7月に引き続き、春秋型は生育が鈍くなります。特に耐暑性が弱い種類(セネシオ、コチレドンなど)は葉を落としてしまったり、蒸れて枯れることがあるので、そのような種類は室内に避難させることも検討します。 | |
置き場所 | 半日陰や遮光環境などできるだけ涼しい所に置きます。強い西日が当たるところやコンクリート面に直置きしないようにします。 | |
日当たり(遮光) | 半日陰に置くか、50%程度の遮光ネットを張ります。面倒ですが曇りや雨の日が続く場合は30%程度に緩めるとベストです。 | |
水やり | 水やり後、水気が乾かないうちに強い日差しに当てると蒸れて茎腐れ・根腐れを起こしてしてしまうので、水やりはできるだけ涼しい日の夕方に行います。大量に与えると乾くのに時間がかかるので、夜のうちに乾く程度の量にします。 | |
作業 | 増やす | さし木用のカット苗は発根がやや遅く、根を出さないうちに溶けることもあるのでできるだけ避けます。 |
植え替え | 植え替え後も根が伸びにくいので9月まで待つようにします | |
肥料 | 肥料は春や秋に与えたほうがよいです。 | |
病害虫対策 | 害虫の多い季節なのでこまめに観察して虫がいれば殺虫剤をまきます。防虫ネットを張っておくとアブラムシや蝶などの被害に遇いにくくなります。カビが原因の病気も比較的多い時期です。 |
リトープスやコノフィツムなど
グループ2 主な種類 | ||
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玉形メセン類、コノフィツム、リトープス、ブラウンシア、ギバエウム、ケイリドプシス、プレイオスピロス、モニラリア、アルギロデルマ、フェネストラリア、フォーカリア、チタノプシス、アルギロデルマ、ラピダリア、オドントフィルム、グロッチフィルムなど | ||
生育状況 | 完全に生育が止まっています。コノフィツムやオフタルモフィルムはシワがよって枯れたようになり、リトープスはそのままの姿で夏越しします。この時期は小さな苗(種まき苗)以外はほとんど水をやらずにそのまま放置した感じになります。 | |
置き場所 | 半日陰か涼しい北側の場所に置き、南向きに置くのであれば遮光環境に、西日の当たる所も避けます。風がよく通る所だと蒸れから溶ける苗を減らすことができます。 | |
日当たり(遮光) | 黒いネットは熱を持つためできればシルバーの50%遮光ネットを張るか、直射日光の当たらない所に置きます。 | |
水やり | 水やりは実生苗(種まき)以外はほぼ与えないようにします。種まきから2年以内の苗は乾燥に弱いので、半日で乾くぐらいの量を月2回程度あげます。 | |
作業 | 増やす | ブルゲリや帝玉など一部は8月下旬に種まきを開始します。リトープスやコノフィツムの種まきは9月を待ちます。 |
植え替え | 秋を待ちます。 | |
肥料 | 秋を待ちます。 | |
病害虫対策 | 身割れした部分や葉焼け部分からの腐りが起こりやすいので注意が必要です。 |
アエオニウムやセネシオなど主に冬型
グループ3 主な種類 | ||
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アエオニウム、冬型のクラッスラ、冬型のセネシオ、モナンテス、オトンナ(ルビーネックレス)、玉形メセン以外のメセン類(オスクラリア、ベルゲランタス、デロスペルマなど)) | ||
生育状況 | 基本的にほとんどが休眠中ですが、冬型セネシオ・アエオニウムなどの一部の株は涼しい所に置いていると緩く生長する場合があります。 | |
置き場所 | 風通しがよい雨の当たらない戸外に置きます。建物の陰や木陰、軒下などできるだけ涼しいところに置くようにします。雨に当てると蒸れて腐る恐れがあるので、雨水の跳ね返りなどにも注意しましょう。 | |
日当たり(遮光) | 直射日光は強すぎるので半日陰に置くか50%程度遮光します。ただあまり過保護に日よけすると徒長してしまうので日よけのしすぎには気をつけましょう。 | |
水やり | 基本は断水(全く水を与えない)ですが、セネシオやアエオニウムは根をカラカラにするのを嫌うので、月に1回程度軽く水やりする場合があります。 | |
作業 | 増やす | 行いません。 |
植え替え | 行いません。 | |
肥料 | 与えません。 | |
病害虫対策 | アエオニウムは特に葉の付け根にカイガラムシが付きやすく、よく観察する必要があります。 |
アロエやアガベなど主に夏型
グループ4 主な種類 | ||
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アロエ、カランコエ、夏型のクラッスラ、アガベ、アストロロバ、ポーチュラカリア、ユッカ、ペペロミア、トラデスカンティア、カリシア、サンセベリア、セロペギア、チランジア、ガステリア、夏型のユーフォルビア、クセロシキオスなど | ||
生育状況 | 高温を好む種類は生育の最盛期を迎えます。夏型クラッスラなどそれほど暑さに強くないものは、株がやや弱ったり葉が落ちたりすることがあります。種類による差が分かれる時期です。 | |
置き場所 | 雨ざらしにならない風通しがよい戸外に置きます。輻射熱を避けるため、鉢は地面に直接ではなく台などに乗せたほうがよいでしょう。過湿による蒸れが心配な時期です。夏型といえども夜間の蒸し暑さは苦手で、涼しく過ごさせることが必要です。 | |
日当たり(遮光) | アガベなどは無遮光でよいですが、小型のアロエやカランコエ、夏型クラッスラなどは30%遮光したほうが安全です。植え替え後の株や挿し木した株などは弱っているので、しばらくは半日陰で管理します。 | |
水やり | 用土がしっかり乾いたらたっぷりの水を与えます。炎天下の水やりは避け、夕方や夜間に行ったほうがよいでしょう。ロゼットの中央に水が溜まったら拭き取るか吹き飛ばしておきましょう。 | |
作業 | 増やす | 6月に引き続き種まきが行えます。挿し穂が腐りやすいなど、やや成功率が下がりますが挿し木も可能です。切り口をしっかり1週間程度乾かすとよいでしょう。 |
植え替え | 蒸れなどで根腐れを起こした株は、早期に発見して植え替えて再生を図ります。やや遅いもの生育のよい株の植え替えも適切な時期です。 | |
肥料 | 緩効性肥料を土に混ぜ込むか、薄めの液肥を与えてもよいでしょう。 | |
病害虫対策 | カイガラムシ、アブラムシ、ハダニ、アザミウマ、蒸れ、根腐れに注意が必要です。 |
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ハオルチアなど
グループ5 主な種類 | ||
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ハオルシア(ハオルチア) | ||
生育状況 | この時期は半休眠状態です。水やりは最小限に行い蒸れや葉焼けなどのトラブルを防ぐことに重点を置き、涼しくなるのをひたすら待ちましょう。ただ高温にさらすと万象などは窓が曇ってしまうことがあります。 | |
置き場所 | 室内の明るい半日陰か、戸外の雨の当たらない日陰に置きます。蒸れが大敵なので風通しを確保しましょう。室内での栽培は特に難易度が高い時期ですが、扇風機を回せば楽に夏越しできます。 | |
日当たり(遮光) | 室内でもレースをひくか、屋外では半日陰(70%遮光)に置きます。遮光は強すぎる光を遮る効果があり、温度の上昇を抑える働きもあり大切です。 | |
水やり | 水やりは控えめに行います。月に2回程度で量も春より減らしましょう。 | |
作業 | 増やす | 株分けや挿し木などは控えます。種が採れた場合は、涼しくなるまで保管しておきましょう。 |
植え替え | 植え替えは行いません。 | |
肥料 | 肥料は与えません。 | |
病害虫対策 | 根ジラミやアブラムシのほか蒸れ、根腐れ、葉焼けに特に気をつけましょう。 |
主にサボテン科の植物
グループ6 主な種類 | ||
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サボテン科の多く(オプンティア、セレウス、テロカクタス、ツルビニカルプス、ロフォフォラ、ギムノカリキウム、エキノカクタス、アストロフィツム、パロディア、メロカクタス、マミラリア、エキノプシス) | ||
生育状況 | 暑さが厳しい間はあまり変化がありません。熱帯夜(夜間の気温が25℃以下にならない)が続く地域では猛暑が終わるのをじっと待っている状態です。比較的涼しい地域ではサボテンの消耗もそれほど強くはありません。 | |
置き場所 | 雨がかからない戸外の日なたに置きます。原生地の気候に習って夜は涼しく昼もできるだけ涼しく過ごさせます。にわか雨に注意しましょう。 | |
日当たり(遮光) | マミラリアなど強光に強いタイプは遮光が殆ど必要ありませんが、弱いタイプは30~50%遮光しましょう。明るい日陰や軒下などでもOKです。葉ヤケする(日光が強すぎる)と表面が茶色くなりますので気をつけましょう。 | |
水やり | 生育が鈍っている株には水やりを控えます。種類により一概にはいえませんが猛暑が続く間は月1~2回の水やりで充分です。 | |
作業 | 増やす | 挿し木、接ぎ木、種まきが行えます。 |
植え替え | 暑さで弱るサボテンもあるので植え替えは秋まで待った方が安全です。 | |
肥料 | 暑さで弱る種類もあり、水を控えている間は肥料も控えましょう。 | |
病害虫対策 | サボテンは比較的病害虫に強いですが、完全にないというわけではありません。カイガラムシ・ワタムシ・ネマトーダ・アカダニ・ナメクジ・ヨトウムシなどに気をつけましょう。病気では根腐れやカビが原因の病気に注意しましょう。 |
主に夏型のコーデックス類
グループ7 主な種類 | ||
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夏型コーデックス類(多くのユーフォルビア、アデニア、アデニウム、ヤトロファ、パキポディウム、スタペリア、フェルニア、ディオスコレアの一部(メキシコ亀甲竜)、イポメア、ドルステニア、ホーディア、ブラキステルマ、コミフォラ、キフォステンマ、ディディエリア、ブーフォンの一部、トリコディアデマ、ボウイエア、ブルセラ、フォッケア、フィカス、ラリレアキア(トリコカウロン)、モナデニウムなど) | ||
生育状況 | 猛暑で暑さも日差しも厳しい時期です。アデニウムやパキポディウムなど高温性のものは最盛期を迎え、幹を充実させます。春秋型や冬型など高温をそれほど好まないものは休眠しています。 | |
置き場所 | 風通しのよい戸外の日なたに置きましょう。水はけの良い土なら一部のコーデックスは雨ざらしでも可能です。 | |
日当たり(遮光) | 夏型のものの中で高温性の種類はよく日に当てて育てましょう。強光に弱いものは30~40%遮光をするか涼しい半日陰に移動させます。 | |
水やり | 土が乾いたらしっかり与えます。昼間の水やりは蒸れることがあるので、必ず夕方や夜間に行うようにしましょう。 | |
作業 | 増やす | 種まきの季節です。種がとれたらすぐ蒔きましょう。また挿し木や株分けなどの繁殖作業も行えます。ただし暑さで休んでいる種類や春秋型のコーデックスは行わないほうが安全です。 |
植え替え | 引き続き生育している株は植え替えができます。春秋型は行いません。 | |
肥料 | 生育が盛んなものには液肥や置き肥など肥料を与えます。鈍っている種類や春秋型はやめておきましょう。 | |
病害虫対策 | 高温乾燥時はハダニが発生します。ハダニは水が苦手なので水のスプレーをするか、ダニ専用の殺虫剤(殺ダニ剤)をまきます。 |
主に冬型のコーデックス類
グループ8 主な種類 | ||
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冬型のコーデックス類(オトンナ、チレコドン、ディオスコレアの一部(亀甲竜)、モンソニア(サルコカウロン)、ペラルゴニウム、一部のユーフォルビア、アボニア、フォークイエリア、ケラリア(セラリア)、ブーフォンの一部)など | ||
生育状況 | 猛暑で暑さも日差しも厳しい時期です。春秋型や冬型など高温をそれほど好まないものは休眠しています。 | |
置き場所 | できる限り涼しい所で管理しましょう。風がよく当たり雨の当たらない所が基本です。 | |
日当たり(遮光) | 直射日光にさらさず半日陰(明るい日陰)か50%程度の遮光ネットを張ります。 | |
水やり | 基本的に全く水を与えない断水を行います。ただ小型種や種まき後の実生株は乾燥に弱いため、涼しい時間に少量の水を与えます。 | |
作業 | 増やす | 行いません。 |
植え替え | そろそろ植え替えの時期です。ディオスコレアは休眠明けが早めなので8月終わり頃から植え替えができます。 | |
肥料 | 与えません。 | |
病害虫対策 | 高温乾燥時はハダニが発生します。ハダニは水が苦手なので水のスプレーをするか、専用の殺虫剤をまきます。 |