スポンサーリンク

朧月(おぼろづき)の育て方!増やし方や管理の基本を解説

朧月(オボロヅキ)の写真

朧月(雨ざらし)朧月(雨ざらし)12月 朧月の花芽朧月の花芽(1月) 朧月の開花(4月)朧月の開花(4月)
朧月の紅葉(2月)朧月の紅葉(2月) 朧月の葉挿し朧月の葉挿し 朧月の葉挿し朧月の葉挿し
花の拡大写真花の拡大写真 朧月

朧月の基本情報

学名 Graptopetalum paraguayense
ベンケイソウ科
グラプトペタルム属(グラプトセダム属)
和名・別名 朧月(おぼろづき)
生育型 春秋型
育てやすさ 育てやすい
成長速度 早い
増やし方 挿し木〇、葉挿し〇、株分け〇
耐寒性 強い
耐暑性 強い
耐寒温度 0℃
実測温度 0℃~40℃
原産地 メキシコ、アリゾナ
花言葉 「秘められた恋」

※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
耐寒性-強い・普通・やや弱い・弱い
耐暑性-強い・普通・やや弱い・弱い

※耐寒温度は水やりを控えた場合の目安値で、状況によりこれより狭くなることがあります。
※実測値は半日陰の場合で直射日光下ではこれより低くなります。

朧月の特徴

朧月とは
朧月はグラプトペタルム属の多肉植物の一つです。グラプトペタルムは本来アメリカ南西部からメキシコの1,000メートル以上の高地に自生しているのですが、日本でも昭和の初期に導入され栽培されるようになりました。中央アメリカというと一見暑い地域の植物と思いがちですが、高い山は冷涼な気候のため逆に比較的寒さに強い性質を持ち、関東以南では冬も外で越冬することができます。

育てやすく強い性質
朧月は日本の暑さ寒さに割と耐え、それほど手をかけなくても順調に成長してくれる強健な多肉植物です。最初は1本だった朧月も、数年経つと太い茎が長く伸び数も増え、立派な群生株になっていきます。葉の表面には白い粉が吹き、冬の寒さと適度な日差しに当てると、紅葉してきれいな淡いピンク色に染まります。朧月は葉だけでも楽しむことができますが、毎年春に花も咲かせ白い星のような可憐な姿をみせてくれます。

とにかく良く増える
朧月はとにかくよく増えます。成長スピードも速く、葉挿し、挿し木などで簡単に増やすことができます。特に葉挿しが偉大で速度が速く、生育期なら1.5~2ヶ月程度で1.5cm程度の赤ちゃん株ができて半年もすればちょっとした小苗にまで成長します。葉挿しも挿し木も成功率が非常に高いので多肉植物初心者の方には、朧月は非常におすすめです。

育て方のコツは

  1. 水はけと通気性のよい土に植える
  2. 風通しのよいところに置く
  3. 水やりは土がカラカラになってからする
  4. 夏以外は日に良く当て、できれば雨ざらしにしない
  5. 冬マイナス2℃以下にしない(できれば0℃)

朧月は日本では春と秋によく育つ「春秋型」として育てます。育てやすいですが、寒さに強いとはいえ、マイナスまで下がってしまうと葉がやや傷むので、東北地方など寒冷地では鉢植えして寒い日は室内に取り込みましょう。

また成長が速い分、水やりをしすぎると徒長してしまいますので、与えすぎに気をつけましょう。長く育てていると次第に株元の葉がポロポロ落ちてしまいますがこれは生理現象なので心配ありません。

年間栽培カレンダー

生育型 春秋型
生育期 3~5月、9~11月
休眠期 12~2月
緩慢な時期 7~8月
水やり
  • 3~5月、9~11月は土が乾いたら鉢底から流れるまで
  • 6、7、8月は月に2回ほど
  • 12~3月は3℃以上の日、月に2回ほど
置き場所
  • 4~6月は直射日光の当たる雨の当たらない屋外
  • 7~8月は雨の当たらない明るい日陰(50%遮光)
  • 9~11月は直射日光の当たる雨の当たらない屋外
  • 12~3月は日当たりの良い窓辺か雨の当たらない屋外
植え替え 生育期の3~6月、10~11月頃が適期
増やす 生育期の3~6月、10~11月頃に葉挿し、挿し木、株分け
肥料 生育期の3~6月、10~11月頃に月1回液肥を与える
開花 春(3~5月)頃

※栽培カレンダーはあくまでも目安です。実際は土や鉢の種類、地域によって大きく異なります。この表は福岡県平野部で多肉植物用の棚を使って育てている場合の情報です。お住まいの地域や使っている土、置き場所によって適宜読み替えて下さい。

スポンサーリンク

育て方のポイント

水やり

水やり朧月は水不足に強い多肉植物なので水やりは慎重に行いましょう。普通の植物のように毎日水やりをすると根腐れしたり、茎が伸びてヒョロヒョロになってしまうことがあります。

また一年中同じ量や頻度で水やりをするのではなく、生育期にはたっぷり与えて休眠期にはほとんど与えないという少し特殊なあげ方をします。

具体的な頻度の目安は生育期の3~5月、9~11月は1週間に1回ほど、鉢底から水が流れ出るまで与えます。梅雨時に入る6月からは蒸れやすくなるので水やり回数を減らし、2週間に1回くらいにします。そして7~8月は暑すぎて生育が鈍るためあまり根が水を吸わなくなります。そのため月に1回ほど鉢が半分濡れるくらいに減らします。9月からまた水やりの回数を増やし春並みにします。冬の12~2月は休眠期なので吸い上げも悪く、月1回程度、表面をさらっと湿らせるぐらいにしておくようにしましょう。

水やりのコツ
水やりは土がカラカラになってから数日待って行います。湿っている時は無理にあげないようにしましょう。土が乾くと鉢がかなり軽くなります。もし鉢の内部の湿り気が分からない場合は、割り箸を挿しておき、時々抜いて湿っているかみる方法が便利です。

冬と夏は水やり時間もタイミングがあり、夏は涼しくなった夕方に、冬はこれから暖かくなる朝に与えましょう。凍るような寒い日や35度を超えるように時は無理に水やりはしなくて大丈夫です。朧月は少々シワがよっても枯れることはありません。

置き場所

置き場基本的には雨がかからず、日が良く当たり、風通しのよいところに置きます。(ただ真夏は直射日光が強すぎるので少し日の陰る所に移動できればベストです。)また冬に0~マイナス2℃を下回る日は、室内の窓辺付近に入れてあげましょう。

具体的な置き場所は、7~8月は屋外の明るい日陰(半日陰=50%遮光)、成長期の3~5月と9~11月は直射日光の当たる雨の当たらない屋外でなるべく日に当てます。12~3月は日なたにおいていいですが、0℃~マイナス2℃以下になる場合は、日当たりの良い窓辺に移動させます。

グラプトペタルムは寒さには強く0℃を下回ってすぐ枯れることはありませんが、葉が傷んでしまうことがあるのでなるべく0℃を下回ったら室内や温室に取りこみましょう。また3~6月の生育期は生育が盛んで、ちょっと日陰に置きっ放しにするだけでも徒長(ヒョロヒョロになる)してしまいます。通気が悪いと蒸れて枯れやすいので風通しにも気を配ります。

耐暑性と最高気温・夏越しの方法

夏越し暑さには比較的強く、風通しの良いところで直射日光が当たらなければ40℃くらいまで普通に耐えられます。暑さで枯れることは少なく、夏越しも簡単な印象です。

夏の管理

強健な種類ですが、7~8月に直射日光の当たる所に置いておくと葉焼けして、葉が黒くなったり最悪腐ってしまうことがあります。7~9月は50%カットの遮光ネットをかけるなど、直射日光に当てないようにするときれいに育ちます。

また水やりの直後数日は特に蒸れ、根腐れを起こししやすいので水やりは日を選ぶようにしましょう。(なるべく涼しい日が続くときに与えます。)ただ葉焼けが怖いからといって完全な日陰に置いたり、遮光ネットを二重にしたりするとヒョロヒョロになってしまうので、過度に日よけしないようにしましょう。

耐寒性と耐寒温度と冬越し方法

冬越し基本的には朧月は環境により少し異なりますが、マイナス2℃~0℃程度で枯れることはほぼありません

そのため暖地や関東以南の地域では基本的に冬も屋外で問題ありません。寒冷地では外栽培は厳しく、室内に入れる必要があります。(寒冷地の冬ではLEDの植物育成ライトがあると、日光不足を補うことができます。)

冬の管理

凍結や霜、雪にはあてないようにしましょう。寒さ対策として簡易ビニール温室の導入が考えられますが、冷たい雨、雪や強風を避ける効果はあるものの、保温機能はほぼ期待できません。(暖房設備のない簡易ビニール温室は、日没後数時間で外と同じ温度に下がってしまいます。)そのため、-2℃以下の予報が出ているときや、大寒波の到来する日は、室内に取り込んであげましょう。

多肉植物は全般的に体の水分が多いと耐寒性が下がり凍りやすくなり、水やりを控えていると耐寒性が強くなることが分かっています。そのため3℃以下の日には水やりをしないか、水やりしたての数日は室内に置くと安全です。

スポンサーリンク

増やし方

殖やし方朧月は挿し木(さし芽)、葉挿し、株分けができます

増やすのに適した時期は生育期の3~5月、9~11月頃が適しています。夏は発根するまでに腐ってしまったり、冬はなかなか芽が出ないなどやや難しいです。

朧月はよく増える多肉植物で、株から落ちた葉が勝手に葉挿しになってドンドン増えてしまうほどです。そのため初めて葉挿しをする方や挿し木に挑戦してみたい方におすすめの種類です。

挿し木(挿し芽)

挿し木ではまず親株から5cm程度茎をカットし挿し穂とします。次に根を出やすくさせるために下の方の葉を数枚もぎとります。挿し穂を空の鉢や容器などに立てかけて断面を3~4日乾かし、乾いたら乾燥した用土に挿します。発根するまでの時間は早く生育期であれば1~2週間で根が出てきます。※もし根が出ているかしっかり確認したい場合は、土に植えず、空容器に立てかけたまま発根を待ってもよいです。

根が0.5cm~1cm程度出たら水やりを開始しますが、いきなりたっぷりは与えず徐々に増やしていきます。この間の作業は明るい日陰や室内の窓辺などで行い、直射日光にさらさないようにしましょう。

カットした親株にも2ヶ月程度で新しい芽が出てきます。カットした茎の先端についている葉を数枚もぎとっておくと、新芽を出させやすくなります。

数年たつと植え替えなどの整理や仕立て直しが必要になりますが、そのとき出た切り取った茎もそのまま挿し木に使えます。

葉挿し

葉挿しは親株から下の方の葉をもいでトレーなどに並べてそのまま待ちます。芽がでるまで2~3週間ほどかかります。芽がある程度大きくなってくると、根が伸びてきますので土の上に乗せます。そのまま待ち、だんだん親葉が小さくなり最後はカリカリになって自然にぽろっと取れるようになります。ここでやっと水やりを開始できます。

この間は直射日光が当たらない明るい日陰に置きます。

挿し木より大きくなる過程がゆっくりですが、1枚の葉から1株が作れるので大量に欲しい時におすすめです。葉挿しは正確には挿し木と異なり、ほぼ一年中行うことができますが、真冬、真夏は成長が遅く、春秋の生育期はハイスピードです。

朧月の葉ざしの様子
※後ろのマス目は5mmです。

朧月の葉挿しを始めました(4/24撮影)

1週間後の様子です。まだ変化はありません。(5/1撮影)

2週間後の様子です。早くもごく小さな葉の赤ちゃんがでてきました。(5/7撮影)

3週間後の様子です。どんどん葉が成長しています。(5/17撮影)

4週間後の様子です。(5/21撮影)

5週間後の様子です。(5/28撮影)

株分け

朧月は株分けも可能です。何年も育てていると株元から子株が出てきたり、茎の途中から脇芽が吹いてきたりします。そのような子株は、ある程度大きくなったら(2~3cm程度)親株からもぎ取って土に挿すことで株を分けることができます。

子株に根が付いていればそのまま植え付けてすぐ水をやれますが、茎の断面が生っぽい場合は挿し木と同じような要領で、根が出るまで乾かしてから水やりを始めるようにします。

植え替え

朧月は成長が旺盛なので植え替えが必要になる場合があります。(長い時間育てた群生株にしたい場合は、敢えて植え替えない選択もあります。)

植え替えも株分けと同様に生育期の3~5月、9~11月に行います。生育期の前に植え替えることで、その後の成長を良くすることができるため、春の終わりや秋の終わり頃するのではなく、3月や9月など生育期の初期に行うことをおすすめします。(冬は根が出づらいのでなるべく避けてください。)

長い間同じ土で栽培していると、鉢が根でいっぱいになる根詰まりや肥料分の不足、土の劣化などが起こることがあります。また根ジラミなどの害虫が成育を阻害していることがあります。それらを除去、解消するのが植え替え作業の役目です。

植え替えの手順

植え替え前は1週間ほど水やりを控えて土を乾燥させておきましょう。びしょびしょに濡れたままだと根がブチブチ切れやすくなってしまいます。

鉢から苗(根鉢=土と根が塊になっている)を抜きだして、慎重に土を落としていきます。作業中簡単に取れる根は枯れている可能性が高いので除去します。白い粉のようなものが根に密集している場合は、根ジラミと思われるためよく取り除いて殺虫剤をかけます。

植え付けには土に少量の緩効性化成肥料を混ぜ込み、先ほど整理した株を入れて土を入れていきます。たくさん根を切った場合は植え替え後1週間ほど経ってから水やりを始め、ほとんど根を切らなかった場合はすぐ水をやって構いません。どちらの場合も植え替え後は弱っていますので、すぐにかんかん照りの所に置くのは避け、2週間程度かけて徐々に日なたに慣らしていくようにしましょう。

土と鉢

土朧月に使う土は排水性と通気性がよいものがおすすめです。朧月は葉に水分を溜めることができるため、通常の花・野菜の土だと保水性が良すぎて根腐れしてしまう可能性があります。また普通の植物の土は、朧月にとっては肥料が多すぎたり通気性が悪かったりします。そのためできるだけ避けてください。

そこで市販されている多肉植物・サボテンの土を使うとうまく育てることができます。
多肉植物におすすめの土については以下のページで紹介しています。

市販の多肉植物用の土の性質を比較!おすすめも紹介
市販されている7つの多肉植物・サボテン培養土を実際に購入して内容を調査してみました。使用したところ、水もちや水はけ、その土の特徴などさまざまなことが分かりましたので表にしてみました。またその中でおすすめできると思った土も紹介しています。

自分で配合する場合
もちろん自分で土を混ぜて作るのもOKです。その場合は水はけ・通気性を重視し、赤玉土や鹿沼土をベースとして水はけをよくする軽石、パーライト、日向土などを追加します。そして腐葉土またはピートモス(酸性土を弱めて中性にした酸性度調節済みのものがおすすめです)を入れたり、土を軽くしたい場合はバーミキュライトなどを入れてもよいです。

いずれも小さな鉢(直径9cm以内程度)なら、細粒~小粒程度の粒サイズが適しています。それより大きい鉢なら小粒~中粒ぐらいが適しています。

以下は配合例です。

(例)赤玉土1:軽石1:ピートモス1
(例)赤玉土2:鹿沼土2:ピートモスか腐葉土1:川砂1:くん炭1:パーライト1 など 

極論、赤玉土や鹿沼土1種類だけでも育つのですが、土の性質をなだらかにするために3種類以上混ぜるのをおすすめします。

鉢の種類

鉢サイズについて
朧月は生育力が旺盛なので大きな鉢に植えると、たくさん増えすぎてしまうことがあります。また雨ざらしだとさらに巨大化します。大きくなって欲しい場合はそれでよいのですが、もしコンパクトに収めたい場合は、小さな鉢に植えるとそれにあったサイズに成長してくれます。

材質について
植木鉢にはプラスチック鉢(プラ鉢)と陶器製の鉢(駄温鉢、素焼き鉢など)がありますますが、それぞれ性質に差があります。

プラ鉢は軽く適度な水持ちがあり、陶器製の鉢は水分の蒸発が速く通気性が高い、夏に鉢の温度を下げる効果がある、という特徴があります。そのためプラ鉢に植えたら週に1回の水やりになるところ、陶器製の鉢だとそれより高頻度に水をあげる必要があります。また黒のプラ鉢は熱くなってしまいますが、陶器の鉢は気化熱現象により鉢が冷える作用があります。

使い分け
結論的には朧月はどちらにも植えることができ、場面に応じてまたお好みで選ぶとよいと思います。

朧月を何年も育てて大きな群生株にしたい時は、重みで転げてしまわないよう陶器製の鉢を、簡易ビニール温室などでコンパクトに収納したい場合は軽くて持ち運びしやすいプラ鉢がよいかと思います。

肥料

肥料
朧月は生育力が強いため、多肉植物の中でも肥料がほとんどいらない種類になります。

やらないでも育ちますが、早く大きくしたい場合や生育が悪いと感じる時は、微量要素の入った液体肥料を与えるとよいです。

肥料のやり方
液体肥料であれば生育期の3~5月、9~11月に(春秋どちらか一方で)合計3回ほど与えます。

また植え替えを控えている鉢であれば、植え替え時に土に緩効性化成肥料を2つまみほど(鉢サイズが9cm程度の場合)、大きな鉢なら鉢サイズに応じて増量して混ぜ込みます。緩効性化成肥料か液肥は1年に1回、どちらかでよく、両方与えると与えすぎになってしまいます。

※特に朧月は肥料が効きやすく多く与えると徒長してしまいやすいので、与えすぎにご注意ください。

※花工場原液やハイポネックス原液のような液肥には、肥料の他に微量要素や中量要素などの活力成分が入っています。そのため、活力剤を別に与える必要がありません。マグァンプKなどの固形緩効性化成肥料には、そのような成分が入っていないことが多いため、もし生育が改善しない場合は活力剤を与えてみてください。

病害虫

病害虫
朧月は病害虫がほとんど心配ない丈夫な種類です。しかし庭などでは他の植物から病気が伝染したり、害虫が入り込んでくることもあります。

ナメクジは花を食い荒らすことがあります。また葉の付け根にカイガラムシが入り込むことがあります。肥料や水を与えているのに生育が悪い場合は、根に根ジラミがついていて株を弱らせていることがあるので、植え替えを行い根を点検しましょう。イモムシ、カイガラムシなどには一般的な殺虫剤が効き、ナメクジはナメクジ退治薬で対応しましょう。

病気は特に心配ないですが通気の悪さで根腐れ、蒸れが起こることがあるので混み合ってきたら間引きしたり、子株を整理しましょう。また、強健な種類ですが、梅雨に雨が降って直後に晴れると葉についた水が葉にやけどをさせる「葉焼け」を起こしやすいので、できれば軒下など、雨のかからない所で栽培して、このような生理障害を防いでいきましょう。

冬はできるだけ雪のかからない所に置き、低温障害(凍結など)を起こさせないように気をつけましょう。

朧月の花の拡大写真

朧月の花

朧月は1cm程度のサイズの可憐な花を分岐した茎に複数付けて咲かせます。花びらは白く、5枚または4枚のこともあり、おしべが飛び出し立体的な花の形をしています。時期は3~4月でエケベリアよりやや遅めの1月頃に花芽をつけることが多いです。

多肉植物の中では非常に花を咲かせやすいグループで、栽培開始から1~2年以内ぐらいでしょうか、葉が10枚以上になり茎も太くなってくると花芽をつけることが多いようです。群生株になったら一つのロゼットから通常1本の花茎をのばし、ロゼットごとに花茎をつけるため、花だくさんになります。

多肉植物の中には花をつけると株の生涯を終える種類がありますが、グラプトペタルム属の朧月は心配無用で、株は生き続け毎年花を咲かせてくれます。

おしゃれな飾り方

朧月は浅型駄温鉢などの陶器製の鉢に植えると群生し、それだけでも大変見応えがあります。通常は灰色の葉のみを楽しむことができますが、開花期にはその先につける花も見所です。

もちろん寄せ植えの素材にも最適です。朧月をメインにして周りにセダムをちりばめるのもよいですし、エケベリアなど、他のロゼット状になる種類との寄せ植えにも活躍します。

3年以上かけて育てた鉢は、茎立ちし次第に茎の先端のみに葉をつけるようになりますが、株元や茎の途中から子株を出し見応えのある群生株になります。

値段や販売店など

朧月は非常に一般的な種類で、園芸店、ホームセンター、小さな花屋さんなどでも頻繁に見かけることができます。

いつごろ店頭に並びやすいなどの時期はなく、年中流通していますがやはり多肉植物の栽培が盛んになる春・秋の時期にみかけることが多いようです。

また通販での販売もあり、近くに園芸店がない方はネット販売で入手することも可能です。(楽天市場、ヤフーショッピングなどで販売が確認できました。他にも多肉植物専門通販などもあります)

通販では主にポット苗での販売ですが、メルカリやヤフオクなどフリマサイトでは、カット苗(茎を切って根なしで売っている苗)や抜き苗(根がついているが土を落としたもの)などでの販売もあり、このような方法では送料を安く節約できてお得に購入できます。

オンラインショップでも購入できます


スポンサーリンク

値段

価格はポット苗なら330円程度から、カット苗なら1本100円程度から(3本300円の意)と非常に低価格です。希少な多肉植物は1鉢3,000円以上することも稀ではありませんが、流通量の多い朧月は手にしやすい入門種のひとつです。

よくあるトラブルとQ&A

疑問 質問 答え

トラブル事例

突然バラバラになってしまった

茎腐れ バラバラ
突然バラバラになってしまうのは、茎腐れになってしまったためと考えられます。茎腐れは急速に茎が変色し葉を支える力がなくなり、ある朝見てみると葉がバラバラに散って茎が棒1本になってしまう状態です。原因は茎に細菌が入ってしまったことや、直射日光に急に当てて茎を熱してやけどのような状態にさせてしまったことなどが考えられます。この場合、対処方法はなく、この後、茎はしおれカリカリになっていきます。落ちた葉から葉挿しができることがあり、それで復活を試みます。

徒長してしまう

朧月は生育が速い反面、徒長のスピードも速くしっかり日に当てて風通しをよくしておかないといけません。春から秋にかけて暖かい~暑い季節に室内の暗い所に飾っておくと1週間ほどで、ヒョロヒョロとなってしまうことがあります。対策は日に良く当てること、高温にさらさないこと、通気をよくすることです。ですが夏の高温は対策しようがないですよね。その場合は秋に茎の先端を切って挿し木にして、リカバリーさせてみてください。

Q&A

薄氷やブロンズ姫との違いは?

薄氷

薄氷の写真

薄氷はグラプトペタルムとエケベリアの交配種である、グラプトベリアという種類になります。かなり似ていて姫朧月などとされることがありますが、正確には朧月ではありません。

ブロンズ姫

ブロンズ姫の写真

またブロンズ姫はグラプトペタルムとセダムをかけ合わせたグラプトセダムという種類です。グラプトペタルムの朧月とセダムの玉葉(タマバ)と呼ばれる種類を交配したものです。朧月の交配種ですから、朧月と似ているのは当然といえますが、銅色なのは玉葉が濃い茶色であることに由来しています。

グラパラリーフとの違いは?

グラパラリーフは朧月を食用に品種改良したものです。グラパラリーフは商標登録されており、2009年に「はりんご」という和名でも品種登録されました。これは食べられる多肉植物で、サクサクした食感で酸味があるとされています。またパラグアイエンセは単純に朧月の学名を日本語読みしたもので、paraguayenseという学名から来ています。

朧月はエケベリアやセダムと同じ?

エケベリア

エケベリアの葉の付き方(ロゼット状)

朧月はセダムやエケベリアとも似ておりロゼット(葉がバラの花の形のように付く)を形成します。そのため同じ種類なのではないかと思う方もいらっしゃると思います。しかし朧月はグラプトペタルム属という種類で、セダム、エケベリアとは異なります。しかし花の形をみるとセダムの花と似ており、同じベンケイソウ科の多肉植物であることを意識させます。

地植えできる?

朧月は他の多肉植物と比べると、肥沃な土や排水性の悪い土に植えても根腐れしにくく、地植えも不可能ではありません。実際地植えされている方もたくさんいらっしゃいますし、玄関先など多少雨のかかるところに植えているケースもみかけます。ただ寒冷地などマイナス2℃以下になってしまうところでは、地植えは厳しいかと思います。暖地など関東以南で地植えする場合は、できるだけ水はけのよい土に改良してから植えてあげてください。

花が咲かない

花の咲かせやすい種類ではありますが、ある程度の体力は必要で常にシワがよるほど乾燥させて育てていると、冬に花芽をつけないことがあります。また日光不足は花の咲かない原因にもなります。適度な水やりと日光浴に気をつけてみてください。