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グリーンドラム(緑の太鼓)の育て方!挿し木や新芽の出させ方も解説

このページでは、クセロシキオス属の「緑の太鼓(グリーンドラム)」の特徴や育て方を解説しています。

グリーンドラムの写真

緑の太鼓緑の太鼓 緑の太鼓 クセロシキオスある程度の高さになるとツルを出して周りにあるものに巻き付こうとします。(2022.6撮影)

グリーンドラム(クセロシキオス属)の特徴

ウリ科
クセロシキオス属(Xerosicyos)
学名 Xerosicyos danguyi
和名・別名 グリーンドラム、緑の太鼓
生育型 夏型
育てやすさ 育てやすい
成長速度 遅い
増やし方 挿し木〇、葉挿し×
耐寒性 普通
耐暑性 普通
耐寒温度 5℃
実測温度 2℃~40℃
原産地 マダガスカル島
花言葉 不明

※4段階評価育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
耐寒性-強い・普通・やや弱い・弱い
耐暑性-強い・普通・やや弱い・弱い

※耐寒温度は水やりを控えた場合の目安値で、状況によりこれより狭くなることがあります。
※実測値は半日陰の場合で直射日光下ではこれより低くなります。

グリーンドラムの特徴

特徴
緑色のコインのような平べったい葉をつけるグリーンドラム、植物の葉とは思えないほど(プラスチックのような手触りです)均一に平らになっています。ある程度の高さになるとそれ以上伸びず、つるを出して他のものに絡まる性質があります。緑の太鼓は紅葉しない多肉植物で、秋も冬も黄緑色を保っています。

珍しいウリ科の多肉植物
ベンケイソウ科やツルナ科の多肉植物は種類が非常に多くなじみ深いですが、グリーンドラムは珍しくウリ科の多肉植物です。世界の多肉植物3070種という大型の多肉植物事典で調べたところ、ウリ科のグループでは15の属が確認できましたが、コシニア属、モモルディカ属などマイナーで普段名前を聞く種類は少なかったです。ウリ科のグリーンドラムはツルを盛んに伸ばします。これはコーデックスなどのツルとは異なり、キュウリのツルのようなもので、本当に自身を周りのものに固定するためのものです。

突然茎(新芽)を伸ばす
グリーンドラムは普段は目に見えた成長はみせず、まるで時が固まっているかのような感じを受けます。しかし半年に1回ほど突然茎の先端付近に新芽をつけ、数日間で10~30cmほどの茎を伸ばします。この時葉も付くのですが、とても小さくまたペラペラです。茎にはツルが出ており、何かにつかまろうとします。この葉は半年から1年ほどかけて多肉質の分厚い硬い葉となります。茎を伸ばす条件は不明ですが、肥料をやった後に起こることが多いので、なかなか新芽を出さない場合は液肥を与えてみてください。

育て方のコツ

  • 葉が下を向いてきたら日光に当てる
  • 乾燥のさせすぎに注意する
  • 強すぎる日差しは避け、雨ざらしにしない
  • 寒さに弱く冬3℃以下にしないようにする
  • 茎が出ない(増えない)時は肥料を与えてみる

春から夏、秋にかけて生育する夏型ですが、成長速度の遅さに驚かされます。葉挿しはできないので挿し木で殖やします。室内でも育てられますが、日光不足になると葉が下向きになるので、春秋は戸外で育てた方がよいです。手間がかからず病害虫の心配もないため育てやすいです。

年間栽培カレンダー

生育型 夏型
生育期 4~10月
休眠期 12~2月
緩慢な時期 3月、11月
水やり
  • 4~6月、9~11月は土が乾いたら10日に1回ほど
  • 7~8月は2週間に1回くらい少量を
  • 12~3月は月1回程度少量与える
置き場所
  • 4~6月、9~11月は戸外の日なたに置く
  • 7~8月は戸外の明るい日陰に置くか50%程度の遮光をする
  • 11~4月は戸外の日なたに置くが3℃を下回りそうな日は室内か温室に
植え替え
  • 3~6月が適期
増やす
  • 4~6月に挿し木ができる
肥料
  • 4~6月に液肥を与える
開花
  • 5~7月に薄い緑色の小さな花を咲かせることがある

※栽培カレンダーはあくまでも目安です。実際は土や鉢の種類、地域によって大きく異なります。この表は福岡県平野部で多肉植物用の棚を使って育てている場合の情報です。お住まいの地域や使っている土、置き場所によって適宜読み替えて下さい。

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育て方のポイント

水やり

水やり春から秋にかけての生育期はたっぷりの水を与え、冬の休眠期には極力控えましょう。水やりの量や回数は、使っている土や鉢、環境により異なり一概にはいえないのですが、以下を一つの目安にしてみてください。

生育期の4~6月と9~11月は土が乾いたら7~10日に1回ほど鉢底から流れ出るまで、7~8月は暑さで蒸れることがあるので2週間に1回くらい鉢の深さ半分までが濡れるくらい、12~3月は休眠しているので月1回程度土の表面が濡れるくらいの少量程度です。

乾いてから与える
水やりの目安は馴れるまで難しいですが、基本的に鉢がカラカラに乾いてからたっぷり水をやります。鉢を持ち上げて軽くなっていたり、葉がやわらかくなりそうな時がタイミングです。そして水やり後は3日で表面が乾くぐらいがちょうど良い量です。

置き場

置き場基本は屋外の雨ざらしにならない所で直射日光に当てて育てます。戸建てでは軒下や簡易ビニール温室内、マンションではベランダなどに置きます。

夏型の多肉植物でも、真夏(7~8月)の直射日光は強すぎて葉が傷むので50%程度遮光(明るい日陰)します。この時期は蒸れ腐れを起こすので外が安心です。そして冬は3℃以下になる場合のみ、室内で育てます。室内で栽培する場合は、窓辺で日によく当て水も控えめにします。

室内でも直射日光があたれば年中栽培できますが、強健な株にするため4~6月、9~11月は戸外の日なたに置いたほうがよいです。

グリーンドラムは突然長い茎を伸ばしツルがからみつく所を探すので、置き場所に困ってしまうかもしれません。そのような場合は支柱を立ててやわらかい茎を支え、同時にツルをからませてあげましょう。

耐暑性と最高気温・夏越しの方法

夏越し多肉植物の中では直射日光には強いほうですが、7~8月は50%程度遮光するか明るい日陰に置きます。また高温には強いものの湿気には弱いのですので、梅雨~夏は通気のよい所で育てます。

夏の管理

夏はできれば戸外で50%遮光するか、半日陰に置きましょう。風通しと土の乾燥、遮光の3つを対策すれば40℃程度は実測値で耐えています。この時期は真昼に水をやると一発で根腐れすることもあるので、比較的涼しい日を選んで夕方に水を与えましょう。

越冬最低温度と冬越し方法

冬越し耐寒温度の推奨値は3℃以上です。実測値では夜間のみなどの短時間であれば1℃も大丈夫でした。しかしこれは水を控えめにしていた時の場合で、間違ってしっかり水をやってしまった後は、3℃でも室内にいれたほうが安全です。

凍結させたり霜が降りたり寒風が当たったりすると枯れてしまうので、早めに室内に取り込みます。水やりは暖かい日に月1回程度少量です。多肉植物は一般的に水やりを少なめにすると寒さへの耐性が増し、耐えられる最低気温が下がります。

冬の管理

関東以南では大寒波などの時以外は屋外で育てることができます。冷たい雨や雪などに当てないよう、軒下か簡易ビニール温室に入れておくと、冷たい風も避けることができ安全に冬越しできます。ただビニール温室は保温性はないため、窓を閉めても内部の温度は外と同じになってしまいますので、この点はご注意ください。

耐寒温度は3℃と寒さに弱い多肉植物なので、東北地方や北海道など寒冷地では11~3月頃まで室内に入れておく必要があります。

室内は暖かいので土が乾きやすいですが、暗い室内でたくさん与えると徒長してしまいます。葉の乾燥が気になる場合は、霧吹きで葉に水を与えて(葉水)あげましょう。

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増やし方

殖やし方緑の太鼓は挿し木(挿し芽)ができます。まん丸の葉はいかにも葉挿しになりそうですが、葉挿しは非常に難しいので挿し木で増やしましょう。夏型の多肉植物は冬に休眠状態しており生育が鈍いため避けます。

増やすのに一番適切な時期は4~6月頃です。夏型ですが7~8月は挿し穂(カット苗)が腐りやすいので避けましょう。9~10月も可能ですが、寒くなると根が出にくくなるので早めに行いましょう。11~3月は寒さで根がほとんど出ないので避けておきます。

挿し木

挿し木(挿し芽)の方法は、親株から5~10cm程度茎をカットし、1週間程度空の瓶などに立てかけておきます。それから土に挿し少量の水をやり、発根するまでは直射日光の当たらない室内で管理します。発根の状態は茎をほんの少しの力で上にひっぱってみて、抵抗を感じれば根が出ています。もし根が出るのを確認したい場合は、土に植えずにそのまま瓶などに立てかけておき、根が出たら土に植えるという手順でも大丈夫です。

根が充分張ってきたら親株と同じ頻度で水やりしていきます。ぐらぐらせずしっかり根付いたら徐々に直射日光の当たる所に戻していきます。

グリーンドラムの茎は細いため、エケベリアやグラプトペタルムなどの茎が太いタイプより茎腐れしにくく、挿し木も容易です。

緑の太鼓は茎が長く伸びすぎることがありますが、適宜剪定(切り戻し)して樹形を整えます。この剪定自体は年中いつでもできるのですが、真冬などに行うとカットした苗が無駄になってしまいます。そのため剪定も4~6月頃にして挿し木にすれば貴重な枝を活かすことができます。

植え替え

緑の太鼓はそれほど旺盛に繁殖しないため植え替えは2年に1回ほどで大丈夫です。

植え替えは3~6月頃に行います。植え替えを行うと根が新しく伸びて生育がよくなるため、正確には生育期前頃の3月頃から4月頃に行うのがベストです。真冬や真夏は生育が緩慢になっていて、根を切った場合に新しい根が伸びずに株が弱ってしまうことがあります。そのため根腐れなど緊急な場合以外は避けた方が安全です。

植え替えは面倒であまり必要性を感じられませんが、実は植え替えをしないと鉢の中が根でいっぱいになり、それ以上成長できなくなってしまいます。またそれ以外に植え替えには肥料の追加と古い根の整理、土を新しくする、根につく害虫(白い虫でサボテンコナカイガラムシといいます)の駆除、といった役目もあります。

植え替えの手順
事前に水やりを5日~1週間ほど控えて土を乾燥気味にさせておきます。

鉢から株を抜きだして丁寧に土をほぐします。この時、中まで茶色くなっている根(枯れた根)や、手でひっぱって簡単に切れてしまう根は摘み取ります。根に白いつぶつぶのような虫がついている時は根ジラミの可能性が高いので、しっかり水道水で洗い流すか、先端であれば切除します。

使う土は全部新しくしなくても大丈夫です。土の中に緩効性化成肥料を2つまみ程度混ぜ込み、株を真ん中に据えて土を横から入れていきます。根を結構切った場合は数日経ってから水やりをしますがそれ以外は、すぐ水を与えて問題ありません。また植え替えから2週間程度は株が弱っているため、日なたに出さずに半日陰などに置くようにしてください。

土土の種類はさほど選びませんが、水はけと通気性のよい土が適しています。多肉植物用の用土を買ってもよいですし、自分でオリジナルの土を作ってもOKです。

また通常の園芸用土(花・野菜の土など)は水持ちがよく土が乾きにくいため、徒長や根腐れの原因ともなり避けておきましょう。

多肉植物におすすめの市販の土は以下のページで紹介していますので、よろしければ参考にしてみてください。

市販の多肉植物用の土の性質を比較!おすすめも紹介
市販されている7つの多肉植物・サボテン培養土を実際に購入して内容を調査してみました。使用したところ、水もちや水はけ、その土の特徴などさまざまなことが分かりましたので表にしてみました。またその中でおすすめできると思った土も紹介しています。

配合する場合

ご自身で土を混ぜ合わせて作る場合は、赤玉土をメインに、水はけがよい日向土や軽石などを加え、さらにピートモス、パーライトなどで土の性質を調節するとよいと思います。いずれも小粒程度のサイズが適しています。

土は種類によって性質が異なり、バランスよく配合するためには最低3種類以上の土を混ぜ合わせることをおすすめします。

適した鉢の種類

グリーンドラムはそれほど生育スピードが速くないので、苗の大きさに合った鉢に植えることが大切です。小さすぎる鉢だと根詰まりして成長が止まってしまいますし、大きすぎる鉢に植えると底のほうに水がたまってしまい根腐れの原因になります。

また鉢の素材は大きく分けて2種類あり、プラスチック鉢(プラ鉢)と陶器の鉢(駄温鉢など)があります。このふたつは性質がかなり異なりますが、結論緑の太鼓はどちらにも植えられます。

プラ鉢は軽くて水やりの頻度が少ないという特徴があり、陶器の鉢は水やり頻度は高くなりますが、鉢が倒れにくい、鉢が熱しにくいというメリットがあります。ここは必要に応じて選んでみてください。

肥料

肥料
多肉植物は基本的には普通の植物より少量でよいとされています。しかしグリーンドラムは肥料を与えないと新しい茎(新芽)が出づらいので、液肥などを与えているのが実情です。

これはグリーンドラムなど多肉植物に使う土には、赤玉土や鹿沼土など養分がほぼない土に植えているため、肥料や微量要素が不足しているためと思われます。

肥料には植え付け時、植え替え時に行う元肥と、生育期に与える追肥の2つの種類があります。他に新芽を出させたい時や、なんとなく元気がない時、生育が良くないときも与えるタイミングです。使う肥料の種類は緩効性化成肥料(小粒)か液体肥料(液肥)です。

肥料の与え方

元肥と追肥はどちらかでよく、両方与えるとあげすぎとなってしまいます。

元肥であげる時は、植え替え時に土に2~3つまみほど(口径9cm程度の鉢の場合)、マグァンプK小粒などの緩効性化成肥料を与えます。追肥で与える場合は、生育期の4~6月頃に1,000倍ほどのハイポネックスなどの液肥を与えます。生育期の間は合計3回も与えれば充分です。薄めた液肥は水やり代わりに鉢底から流れ出るまで与えましょう。

※多肉植物に必要な養分は、肥料、中量要素、微量要素の3つがありますが、花工場原液やハイポネックス原液ではこれらが概ねカバーされており、1本で生育不良などを解消することができます。

病害虫

病害虫
緑の太鼓は害虫の心配も少なく、病気にかかりにくく強い種類です。

つきやすい虫やなりやすい病気というのは少ないのですが、夏に葉に直射日光が当たったことによる葉焼けを起こしたり、かんかん照りの中で水やりをすると根腐れしたり、冬に凍結させて冷害が出てしまうことはあります。(これらを生理現象といいます。)

そのため夏は直射日光に当てない、寒さの予想される日は室内に入れる、真夏・真冬は水やりのタイミングを気をつける、などの工夫が大切です。

グリーンドラムは夏に薄い緑色のとても小さい花を咲かせることがあります。

しかし管理人のグリーンドラムは3年以上育てていますが、未だに一度も花をつけていません。またネット上でもグリーンドラムの花の写真はあまりみかけません。セダムやエケベリアなどに比べると花を咲かせにくい種類のようです。

値段や販売店など

グリーンドラムはセダムのような一般的な種類ではなく、園芸店やホームセンターなどではあまりみかけることができません。

運が良ければ店舗で入手することもできますが、主にネット通販で購入することになるかと思います。

ネット通販は色々なショップがありますが、楽天市場、ヤフーショッピング、アマゾンなどでグリーンドラムを販売しているのを確認しました。

値段

気になる値段ですが、割と高かったです。吊り鉢でハンギングになっているものや、おしゃれな鉢に植えてあるものは、5号鉢(直径15cm程度)で3,000~5,000円程度です。小さな黒ポット苗は500円程度から買えるようですが、送料がかかり合計で1,500円程度が最低ラインのようです。

もっと安く買いたい場合は、メルカリやヤフオクなどのフリマアプリにも出品がありますので、こちらを検討すると良いと思います。カット苗(切った茎のみを販売するもの)や抜き苗(根が付いているが土を落としたもの)で送料込みで500円程度から買えます。

オンラインショップでも購入できます

よくあるトラブルとQ&A

トラブル事例

成長しない(1年間で1回も新芽が出ない)

グリーンドラムは普通の多肉植物のように規則的に葉を出すのではなく、何らかの条件が整ったときに一気に茎(新芽・脇芽)を伸ばし2週間程度で急速に成長します。この条件というのが定かでないのですが、液体肥料をやった後に成長した経験が何度もあるため、液肥を与えてみてください。何らかの条件が整うと、休眠期の冬でも茎を伸ばすことがあり、不思議な感じがします。

出た新芽が枯れてしまう

せっかくごく小さな新芽が出たのに、それがそのまま枯れてしまうことがよくあります。これはいくつかの原因が考えられますが、茎を伸ばす体力がなかった、水やりを減らしていた、新芽を直射日光に当ててしまったなどが考えられます。貴重な脇芽なのでよく観察し、発見したら穏やかな環境に置くと良いと思います。

葉がペラペラと薄い

出てきたばかりの葉はペラペラで全く多肉質ではありません。茎も葉も急速な成長なので仕方ないのかもしれません。しかしこれは半年ほどの年月をかけてじっくりと厚みが増し、次第にまん丸の肉厚の葉になっていきますので、のんびり待ってみてください。色も最初は黄緑色ですが、年月が経つにつれ濃い緑色になっていきます。