名前を知ることが大切な訳
多肉植物を育てる上でとても重要なのが、苗の名前を知っておくことです。多肉植物は種類によって特徴が異なり栽培方法も異なるため、夏型や冬型など生育型を知るためにも、どの科のどの属の何という品種なのか知ることが栽培のスタートラインになります。
多肉植物を購入するとき、できれば名前ラベルがついているものを買いましょう。ラベルといっても難しいことは全然無く、属名と品種名が書いてあれば充分です。しかしスーパーマーケットの多肉植物では、ラベルがなくただ「多肉植物」というシールが貼ってあるだけだったり、ホームセンターでは「ハオルシア」とだけ書いてあったり、またメルカリでよくある「多肉植物カット苗セット」などを購入すると名前は全く付いていないものがほとんどです。
植物の名前と正式な名前「学名」の仕組み
それでは名前はどう調べたら良いのでしょうか?
多肉植物に限らず、植物の名前には学名、和名、流通名があります。
和名は普段呼び慣れている日本での名前で、例えばグリーンネックレスなら「グリーンネックレス」、「緑の鈴」などです。
よほどの専門店で無い限り、ラベルにラテン語の学名がついていることは稀で、一般的には和名や流通名で書かれていることがほとんどです。しかし多肉植物を育てる上では正しい品種や交配種の親を知ったり、斑入り種なのかをチェックするためにも学名の仕組みを知っておきましょう。
学名は世界共通の正式な名前で、ラテン語で表します。
学名は原種(自然に生えているもの)と交配種(人間が交配で作り出したもの)とで書き方が異なります。
- 原種の場合、属名・種小名
- 交配種の場合、属名・種小名・園芸品種名
となっています。
グリーンネックレス(原種)の場合
科: キク科 Asteraceae
属: セネシオ属 Senecio
種小名(品種): グリーンネックレス rowleyanus
グリーンネックレスの学名は Senecio rowleyanus となります
ラウリンゼ(交配種)の場合
科: ベンケイソウ科 Crassulaceae
属: エケベリア属 Echeveria
園芸品種名: ラウリンゼ ’Laurinze’
ラウリンゼの学名は Echeveria ‘Laurinze’となります。
ただ交配種の場合、かけ合わせの親の名前を付け加えることがあります。
Echeveria ‘Laurinze’ (E.laui × E.lindsayana)
※エケベリアのラウリンゼは、ラウイとリンゼアナのかけ合わせ品種。
表記上の注意点
※属名は大文字で始める
※種小名は小文字で始める
※園芸品種名は大文字で始め、”でくくる。
学名の用語の解説
科名:植物の大きな分類。 ベンケイソウ科、ウリ科、ナス科、キク科、ツルナ科など
属名:科の下の分類。ベンケイソウ科にはエケベリア属、グラプトペタルム属、アエオニウム属などがある
種小名:種小名は個別の品種名のことをさす。例えばグラプトペタルム属の朧月、アエオニウム属の黒法師など
園芸品種名:原種ではなく交配種に付けられる名前。ラウリンゼ、ブロンズ姫など
学名には属名・種小名・園芸品種名以外に色々な記号が付いていることがあります。
多肉植物の本によく出てくるものをピックアップしてみました。
ssp. 亜種
aff. 近縁種
cv. 園芸品種
var. 変種
hybrid (hyb.) 交配種
variegated 斑入り種
crested 石化種
有名な多肉植物の学名の例
黒法師(交配種)
Aeonium arboreum cv. ‘zwartkop’
アエオニウム + 園芸品種の黒法師
ラウイ(原種)
Echeveria laui
エケベリア + ラウイ
ブロンズ姫(朧月の交配種)
Graptopetalum paraguayense cv. ‘Bronz’
グラプトペタルム + 朧月 + 園芸品種のブロンズ姫
胡蝶の舞錦(原種)
Kalanchoe fedtschenkoi cv. Variegata(斑入り)
カランコエ + 胡蝶の舞 + 錦
ラベルの読み方
ラベルには通常、その植物の名前(品種)、属、科、学名が書いてあります。しかし実際にはあまり情報がのっていない困ってしまうようなラベルに出くわすこともあります。
学名と和名、生産者名が書いてあるもの
「令和の桃子 Pleiospilos ‘reiwa-momoko’」
「令和の桃子」が和名(園芸品種名)
「Pleiospilos」が属名
‘reiwa-momoko’が園芸品種名(”でくくってある)
「岐孝園」は生産者名でhttps://saboten.co.jp/はそのホームページを表しています。