このページでは多肉植物の4月の状態と育て方、するべきことについて解説しています。
目次
作業が一番忙しい4月
4月に入ると暖かさも本格的になってきます。最低気温が10℃を超え夜の冷え込みがほとんどなくなり、平均温度が上昇します。春秋型の種類は活発に生育し、夏型も目を覚まします。冬型は休眠に向かっていますが、まだまだ生育中です。
8℃以上が必要な夏型コーデックスも外に出せるようになります。また寒冷地でも様々な種類が戸外に出せるようになります。そのとき外の日差しは強くなっていますので、葉ヤケ・日焼けに十分注意しましょう。
4月は一年の中で一番作業ができる時期です。エケベリアなど春秋型の植え替えや挿し木・株分けなどの繁殖(適期)、アエオニウムなど冬型の種類の引き続きの繁殖作業(適期)、4月後半になれば夏型の植え替え(可能)などが行えるようになります。作業は可能な時期と一番最適な適期がありますが、できれば適期に行いましょう。
気象と環境 | 東京 (関東) |
| 福岡 (暖地) |
|
宮城 (寒冷地) |
|
---|
気象について
- ※1.「最低気温」はその月の最低気温の平均の9年平均です。(2012~2020年)。毎年その月は1日の気温が平均的にこの温度まで下がります。
- ※2.「9年最低気温」は過去9年に実際にあったその月の9年間の観測史上の最低気温です。(2012~2020年)。数年に一度ですが、ここまで下がることがあります。
- ※3.「最高気温」「9年最高気温」についても同様です。
多肉植物の3月の状態と育て方・するべきこと
多肉植物の5月の状態と育て方・するべきこと
エケベリアなど主に春秋型
グループ1 主な種類 | ||
---|---|---|
エケベリア、アドロミスクス、オロスタキス、春秋型のクラッスラ、グラプトペタルム、グラプトセダム、グラプトベリア、コチレドン、シノクラッスラ、セダム、ヒロテレフィウム、セデベリア、センペルビウム、ダドレア、パキフィツム、パキベリア、ロスラリア、春秋型のセネシオ、アナカンプセロス、アプテニアなど | ||
生育状況 | 寒さに特に強いエケベリアやセダム以外の種類も、生育が盛んになり5月と並んで、1年間で最もよく生育します。この頃パキフィツムやエケベリア、グラプトペタルムなどは花芽が開花します。 | |
置き場所 | 戸外の日の良く当たる所でしっかり成長させます。寒冷地でも春秋型の種類が外に出せるようになります。 | |
日当たり(遮光) | 4月に入り気温が上がると熱と強い日差しで葉の傷みが心配されます。そのため種類によりますが、30%程度の遮光を開始します。22%の白の遮光ネットを2枚重ねるなどします。ただ過保護に日よけしすぎると成長に必要な日差しが足りなくなるので、遮光しすぎには気をつけましょう。 | |
水やり | 充分に気温が高くなり、春秋型は一番生育する月です。そのためよく水分を吸い、鉢がカラカラになるのも早いです。目安としては週1回程度たっぷり水やりをします。 | |
作業 | 増やす | さし芽(挿し木)、株分け、種まき、葉挿しなどの適期です。暑くなりすぎると腐ることが増えるので、できれば4月中に繁殖作業を開始します。 |
植え替え | 4月いっぱいまでに植え替えを終えましょう。あまり生育期にかかってしまうと新しく伸びた根が切れてしまうので、4月の作業をおすすめします。 | |
肥料 | 植え替え時に土に緩効性化成肥料を混ぜ込むか、植え替えを行わないものは4月と5月に月2回液肥を与えます。 | |
病害虫対策 | チョウ、アブラムシなどが出てくる季節なのでしっかり防虫ネットを張り、張らない場合は浸透移行性の殺虫剤などを散布します。病気はそれほど心配ありません。 |
リトープスやコノフィツムなど
グループ2 主な種類 | ||
---|---|---|
玉形メセン類、コノフィツム、リトープス、ブラウンシア、ギバエウム、ケイリドプシス、プレイオスピロス、モニラリア、アルギロデルマ、フェネストラリア、フォーカリア、チタノプシス、アルギロデルマ、ラピダリア、オドントフィルム、グロッチフィルムなど | ||
生育状況 | 冬型といえどもまだまだ生育中です。リトープスは脱皮の真っ最中で、その他のメセン類はまだまだ水分をよく吸い込み生育しています。 | |
置き場所 | 4月は夜温も10℃程度なのでずっと戸外で栽培できます。寒冷地でも最低気温7℃程度(仙台市)となり戸外に出せるようになります。 | |
日当たり(遮光) | この時期は日差しが強くなり、やや遮光(30%程度)が必要になります。この時期はまだ生育期なので適度な(ある程度強い)日光が必要です。ただ種まきした株(実生)は日差しに弱いため、晴天時は40%程度遮光したほうが安全です。プレイオスピロスやベルゲランサスなどは無遮光下に置きます。 | |
水やり | リトープスは脱皮中のため月1~2回程度の水やりに抑えます。コノフィツムやプレイオスピロス、フェネストラリアなどその他のメセン類は10日に1回程度の水やりを行います。 | |
作業 | 増やす | 4月前半は株分け、種まきなどが行えますが、できるだけ早く取りかかります。 |
植え替え | 4月前半までは植え替えが行えます。暖かくなりすぎると根が伸びづらくなるので早めに行いましょう。 | |
肥料 | 液肥や即効性肥料の与え時です。月2回水やり代わりに液肥を与えるか、即効性のある固形肥料を与えましょう。植え替え時に土の中に緩効性化成肥料を混ぜ込んでもよいです。 | |
病害虫対策 | 全面的に戸外での栽培に切り替えているので、カビなどが生えにくく安全に育てることができます。 |
アエオニウムやセネシオなど主に冬型
グループ3 主な種類 | ||
---|---|---|
アエオニウム、冬型のクラッスラ、冬型のセネシオ、モナンテス、オトンナ(ルビーネックレス)、玉形メセン以外のメセン類(オスクラリア、ベルゲランタス、デロスペルマなど)) | ||
生育状況 | 夜間は気温が10℃程度に下がるので、まだまだ生育を続けています。 | |
置き場所 | 戸外の雨の当たらない風通しの良いところに置きます。3月から外で管理している場合も日よけが必要になります。4月から初めて出す場合も同様で、特に葉焼けに気をつけて徐々に日に当てようにしましょう。 | |
日当たり(遮光) | 晴天の日は遮光が必要になります。遮光ネットを重ねるなどして30%程度の遮光環境を作りましょう。 | |
水やり | 用土が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりと与えます。土の乾きの悪い株は無理に水を与えないようにしましょう。戸外で栽培していた場合は、まだまだ水を欲しがる(土がすぐ乾く)はずです。 | |
作業 | 殖やす | 繁殖作業は4月中旬までに行うようにします。寒冷地であれば4月いっぱいはまだ寒いため作業しても大丈夫です。 |
植え替え | 植え替えは3月のほうがよいですが、まだ可能です。寒冷地であれば4月いっぱいはちょうどよい時期です。 | |
肥料 | 土がすぐ乾く場合は、生育している証拠なので月2回程度水やり代わりに液肥を与えます。そうでない場合は肥料は与えません。 | |
病害虫対策 | アオムシやカイガラムシなどが繁殖する時期になります。あらかじめ殺虫剤をまきましょう。冬型クラッスラの一部(ルペストリス、ロゲルシーなど)はさび病の予防に殺菌剤の予防噴霧を開始したほうがよいでしょう。 |
アロエやアガベなど主に夏型
グループ4 主な種類 | ||
---|---|---|
アロエ、カランコエ、夏型のクラッスラ、アガベ、アストロロバ、ポーチュラカリア、ユッカ、ペペロミア、トラデスカンティア、カリシア、サンセベリア、セロペギア、チランジア、ガステリア、夏型のユーフォルビア、クセロシキオスなど | ||
生育状況 | 気温が高くなり寒い日が減ってくると、目覚める株が増えてきます。 | |
置き場所 | 暖地など夜の温度が5℃以上になってくれば、外での管理に切り替えます。ただし弱い日差しになれており、急に外に出すと葉焼けを起こすことがあるので、徐々に慣らしていきましょう。 | |
日当たり(遮光) | 4月はかなり日照が強くなっています。葉焼けしないよう、斑入り種などでは30%程度の遮光をします。外に出したての株も同様に注意します。 | |
水やり | 生育が始まれば、土が乾いたら水を与えます。まだ水の吸い上げは本格的ではないので、やや乾かし気味で大丈夫です。土の乾かないものは無理して与えません。 | |
作業 | 殖やす | 挿し木や葉挿し、株分けを初めても良いでしょう。 |
植え替え | 本格的な活動前に植え替え作業を行います。 | |
肥料 | 植え替え時に土に緩効性肥料を混ぜ込んだり、月に1回ほど水やり代わりに液肥を与えてもよいでしょう。 | |
病害虫対策 | カイガラムシ、アブラムシ、根ジラミなどが気になり始める時期です。開花株はナメクジに気をつけましょう。 |
スポンサーリンク
ハオルチアなど
グループ5 主な種類 | ||
---|---|---|
ハオルシア(ハオルチア) | ||
生育状況 | 暖かくなり一年で一番成長する時期を迎えます。水をたっぷり吸い半日陰で育てることでみずみずしい姿になります。花茎が伸びて花が咲く種類もあります。 | |
置き場所 | 室内の明るい半日陰か、戸外の雨の当たらない半日陰(50%遮光)に置きます。換気を良くして株が蒸れないようにしましょう。夜の急な冷え込み時は室内に取り込む必要があります。 | |
日当たり(遮光) | ハオルシアは岩陰などに自生しています。室内でもレースをひくか、屋外では半日陰(50%遮光)に置きます。 | |
水やり | 週に1回程度、土が乾いたら鉢底から流れ出るまでしっかり与えます。 | |
作業 | 殖やす | 葉挿しやさし芽、根ざし、株分けなど繁殖に最適な時期です。また種が採れた場合はすぐに蒔きます。 |
植え替え | 植え替えの時期です。しばらく植え替えていない株は植え替えて根の整理をしましょう。 | |
肥料 | 元肥をいれていなかった場合は、液肥を月に2回ほど水やり代わりに与えます。植え替え時に土に緩効性肥料を混ぜ込むのもよいでしょう。 | |
病害虫対策 | 根ジラミ、カイガラムシ、ハダニ、アブラムシなどに気をつけましょう。生育の悪い株は根ジラミを疑います。 |
主にサボテン科の植物
グループ6 主な種類 | ||
---|---|---|
サボテン科の多く(オプンティア、セレウス、テロカクタス、ツルビニカルプス、ロフォフォラ、ギムノカリキウム、エキノカクタス、アストロフィツム、パロディア、メロカクタス、マミラリア、エキノプシス) | ||
生育状況 | 寒さで室内に取り込んだサボテンも冬の管理から春の管理へと移り、休眠から覚め始めます。生育期になると水をよく吸い棘もたくさん出てきて蕾みをつけ始めます。春から秋までが生育期とされていますが、春に一番生育して夏には小休止し秋にやや成長します。一年の中で一番成長する時期となります。 | |
置き場所 | 暖かくなってきたら生育を始めた株から雨の当たらない戸外の日なたに鉢を移します。寒さに弱い種類はもう少し室内で管理します。どちらの場合も日中温度の高さで生育が良くなるのでなるべく暖かい場所におきましょう。 | |
日当たり(遮光) | この時期は結構日差しが強くなっています。ロフォフォラ、アストロフィツム、ギムノカリキウムなど柔らかい日差しを好むタイプは30%程度の遮光をします。 | |
水やり | 成長期に入りたくさんの水を必要とします。鉢内の土が乾いたら鉢底から流れるまでたっぷりと水やりします。水切れに注意しましょう。真夏ではないので水をやや与えすぎても腐る心配はそれほど大きくありません。 | |
作業 | 殖やす | 接ぎ木が可能になります。室内に限って実生(種まき)も行えるようになります。また外れた子株を別に受け付ける挿し木や胴体を切って行う挿し木も行えます。 |
植え替え | 生育を始める頃と少し前の時期が一番植え替えに向いています。新しい棘が出てこないものはまだ休眠中なので植え替えは行いませんが、新芽の動きが感じられたら植え替えを行いましょう。 | |
肥料 | 生育を始めるので施肥を開始します。1ヶ月に1度液肥を与えましょう。 | |
病害虫対策 |
主に夏型のコーデックス類
グループ7 主な種類 | ||
---|---|---|
夏型コーデックス類(多くのユーフォルビア、アデニア、アデニウム、ヤトロファ、パキポディウム、スタペリア、フェルニア、ディオスコレアの一部(メキシコ亀甲竜)、イポメア、ドルステニア、ホーディア、ブラキステルマ、コミフォラ、キフォステンマ、ディディエリア、ブーフォンの一部、トリコディアデマ、ボウイエア、ブルセラ、フォッケア、フィカス、ラリレアキア(トリコカウロン)、モナデニウムなど) | ||
生育状況 | 日中は気温が高くなり日差しも強くなります。夏型コーデックスは休眠から覚めて新芽が動き始めます。またコーデックス代表のパキポディウムは黄色い花を咲かせます。 | |
置き場所 | 下旬にいよいよ気温が上がってきたら風通しのよい戸外の日なたでの栽培に切り替えます。なるべく長時間暖かい環境で過ごさせるようにします。寒冷地で8℃を保てない場合は、まだ室内の窓辺などで管理します。 | |
日当たり(遮光) | 遮光は行いませんが、室内栽培していたものを急に直射日光下に置くと日焼けするので、徐々に慣らしていきましょう。また斑入り種や直射日光に弱いタイプは30%程度の遮光をすると安心です。 | |
水やり | 新芽の動きに合わせて水やりを再開します。初めは少量から始めます。 | |
作業 | 殖やす | 種まきの適期なので塊根を楽しみたい場合は実生(種まき)を行いましょう。挿し木もできますが塊根が太らないことが多いので気をつけましょう。それ以外に挿し木や接ぎ木、株分けなども行えます。 |
植え替え | 多くの夏型コーデックスにとって植え替えに最適な時期です。 | |
肥料 | 与えません | |
病害虫対策 | カイガラムシやアブラムシの発生時期です。殺虫剤を散布しておきましょう。 |
主に冬型のコーデックス類
グループ8 主な種類 | ||
---|---|---|
冬型のコーデックス類(オトンナ、チレコドン、ディオスコレアの一部(亀甲竜)、モンソニア(サルコカウロン)、ペラルゴニウム、一部のユーフォルビア、アボニア、フォークイエリア、ケラリア(セラリア)、ブーフォンの一部)など | ||
生育状況 | 日中は気温が高くなり日差しも強くなります。しかし夜間はまだまだ涼しくなり冬型コーデックスも生育を続けています。 | |
置き場所 | 戸外の雨よけがある日当たりの良い所に置きます。風通しがよい所で涼しく過ごさせましょう。 | |
日当たり(遮光) | 日差しが強く気温も高くなってきているので30%程度の遮光を行います。また種まきして1~2年以内の株は特に弱いので半日陰か50%程度の遮光下に置きます。 | |
水やり | まだまだ生育しています。土が乾いたらたっぷり与えます。 | |
作業 | 殖やす | 種まきは時期的にできませんが、挿し木や株分けなどはぎりぎり行えます。なるべく早く終わらせましょう。 |
植え替え | 行いません。 | |
肥料 | まだ生育して入れば液肥を与えますが、既に暑さの兆しがあれば与えないほうが安全です。 | |
病害虫対策 | カイガラムシやアブラムシの発生時期です。殺虫剤を散布しておきましょう。 |