目次
株分けとは
株分けとは、親株が群生したり子をたくさん出したとき、親株と子株を分割してそれぞれ植え付けることをいいます。多肉植物は株分けできるものが多く苗の数を増やすのに便利な方法です。子株に根がある場合は「株分け」、根がない場合は「さし芽」の扱いになります。
たとえばエケベリアやグラプトペタルムなどは、根本付近から子株を出すのでそれを切り取って植え付けたり、センペルビウムやオロスタキスはランナーを出すのでそれを切り取って子を殖やします。
既に根が出ているものや、植物として独立しているものが多いので初心者でも簡単に実践できるのもポイントの一つです。
Q&A
- 株分けはいつできる?・・・その多肉植物の生育期の始まる前~始まりに行う。植え替えと一緒に行うと良い
- どこに置いたら良い?・・・最初の1週間は直射日光の当たらない日陰に
- 土はどんなものを使ったら良い?・・・根が生えているなら親株と同じ土、根がない株にはさし芽用土を使おう
- 根がない場合、根はどこから出る?・・・種類により切り口から出る、下葉を落としたもぎ口から出るの2つがある
- いつから水やりをする?・・・根がない場合は発根してから。ある場合は種類によって直後~4、5日後
- 親株はどうなる?・・・種類によって1~2ヶ月で新芽が出てくる
株分けに大切な5つのポイント
- 時期を守る
- 清潔な土と道具を使う
- 発根まで水やりしない
- 半日陰で管理する
- カットしたら原則乾かす
時期を守る
株分けはその多肉植物の生育期に行いましょう。生育期は生育が旺盛で根が出やすく失敗が少ないですが、休眠期は根が出るのが遅かったり腐ってしまったりと、失敗する確率が高くなってしまいます。
清潔な土と道具を使う
根や茎をカットする際は切り口から病原菌が入るのを防ぐため、ハサミやピンセットなどを火であぶって殺菌しておきましょう。また病害虫が発生しないようにするため土は新品のさし芽用土など清潔なもの、雑草の種などが入っていないものを使いましょう。
茎をカットしたら原則乾かす
根をカットした場合は、一部例外があるものの基本はそのまま数日切り口を乾かします。これは根の切り口から細菌が入ったり腐ったりするのを避けるためです。
半日陰で管理
株分けの後はしっかり根が出るまで日なたに出さず半日陰で管理しましょう。
詳しい株分け方法(子株に根がある場合)
ここでは代表的な株分けである子株に根がある場合の株分け方法を見ていきましょう。
①株分けの準備をする
このタイプの株分けは鉢から株を抜き取り、根をほぐすので根の傷みを最小限にするため、前4日~1週間は水やりをしないでおきましょう。土が乾いてきたら作業に入ります。
- 子株の数とサイズに応じた鉢
- スコップ
- スプーン
- 鉢底網
- ハサミ
- カッター
- 殺菌剤
- 鉢底石
- 通常の土
- ピンセット
②鉢から株を抜く
鉢から株を抜き出します。なかなか抜けない場合は無理に引っ張らず、プラ鉢であれば側面をもんだり、陶器の鉢であればゴムのハンマーなどで軽く周囲を叩いたりすると抜きやすくなります。また成長しすぎて根が鉢底穴からはみ出している場合は、その部分は切り捨ててから作業しましょう。
③丁寧に土を落として株を分けていく
鉢から抜き出したら、土を落としつつ外側から順番に子株を離していきます。あまりにも小さい子株は分割しないでおく。乱暴に引きちぎらず、左右に少しずつ力を入れてほぐするようにしていくとうまくいきます。
④古い根を整理する
全部の子株を分け終えたらそれぞれの根を整理しましょう。白い根は生きている大切な根、茶色くなっている根は枯れている根です。枯れているか判断がつかない場合は、軽く引っ張ってみましょう。すぐ抜けるものは死んだ根なので除去します。
エケベリアなど
ここでエケベリアなど細い根のタイプは三分の一から二分の一程度の根を切り落として更新します。(※細根タイプとはエケベリア、アエオニウム、センペルビウム、セダム、パキフィツム、カランコエ、コチレドン、セネシオの一部など)
セネシオなど
またセネシオやアロエなど、根が太くてひげのような根がほとんどないタイプは、根が取れやすくまた切れ口から腐ることがあるのでやたらと切らないようにしましょう。茶色い根で触るとふわふわしているものは枯れているので丁寧に取り除きます。(※太根タイプとはアロエ、ガステリア、ハオルシアの一部、アガベ、カランコエの一部、セネシオの一部など)
⑤病害虫をチェックする
根を分けていくタイプの株分けでは、株分けと同時に根に病気や害虫が発生していないかチェックする良いチャンスです。
左からエケベリアの根ジラミ、リトープスのカビ、ハオルシアの害虫
⑥それぞれを植え付ける
病害虫を取り除いたら、その子株にちょうど良いサイズの新しい鉢に植え付けます。鉢底には鉢底ネットをしいてその上に軽石をいれ、多肉植物用の土を入れていきます。(さし芽用ではなく普通の多肉用土でOKです)
※またこのとき根が乾燥が苦手な太根タイプ(セネシオ)などはすぐに植え付けて水やりしましょう。
⑦水やりをする
細根のタイプは4~5日たってから水やりを開始しますが、セネシオなどの太根タイプはいつもより少なめの水をすぐに与えます。
種類別の株分け方法
多肉植物の株分けは、根付きの子株を外して新しい鉢に植え付ける方法だけでなく、他にも種類によっていくつかの方法があります。
根の取り扱いと水やりの注意点
太い根タイプ
(セネシオ属やハオルチア属、アロエ属など)は中心となる太い根をなるべく切らないように、またすぐ水を与えます。
(太い根タイプの例)左からハートカズラ・セネシオ銀月・ハオルシア
細い根タイプ
(多くの属、エケベリア属、セダム属、アエオニウム属など)は根を半分くらい切り捨てます。
(太い根タイプの例)左からセンペルビウム・カランコエ唐印・パキフィツム星美人
※どちらも枯れた根は取り除きます。
エケベリア属やグラプトペタルム属など
- 子株を切り取って植える
親株から伸びている茎を1cmほど子株側に残してカットし、子株の切り口を4~5日乾かしましょう。
切り口が乾いたら乾いた用土に植え付け明るい日陰に置き、1週間後から水やりを始めます。もし子株に既に根が出ている場合は、乾かす必要はなく植え付けてすぐ水をやって大丈夫です。
この方法でその他にできる種類
パキフィツム、センペルビウム
センペルビウム属やオロスタキス属など
- ランナーを切って植える
親株から新芽がついたランナーが出てきて増えるタイプなので、ランナーを切り取って挿し穂にします。土に挿す長さ1~2cmを残してランナーを切り、乾いた用土に植え付けます。1週間ほど半日陰で放置し、その後水やりを開始します。なお、ランナーの先の新芽にすでに根が出ている場合は、植え付けてからすぐ水を与えて大丈夫です。
ハオルシア属など
- 根付きのまま株を手で分ける
- 地下茎が育っている場合は切り離して植える
苗を抜き出すので1週間前から水やりを控え、土をカラカラにして落としやすくしておきます。外側の株から丁寧に外していき、上に引っ張るのではなく左右に分けていくとうまくいきます。黒や茶色の枯れてしまった根は取り除き、土に植え付け1週間ほど半日陰で管理します。
地下茎(土の中にもぐっている茎)がある場合は、手頃な長さでカットして別の容器に植え付けましょう。
この方法でその他にできる種類
センペルビウム、エケベリア、セダムなど
子宝草など
- 葉の先にできる新芽をつまみ取って土に挿す
子宝草は親株がある程度充実してくると、葉から葉が出てくるようになってきます。出てきた葉は新芽でこれをつまみとって土に挿すと大きく育ちます。土は乾いたものを用い、根が出てから水やりを始めます。
この方法でその他にできる種類
胡蝶の舞、マザーリーフ系
リトープス属など
- 茎と根をカッターで切り離して植える
鉢から株を抜き出すので、作業4~5日前から水やりを控えて土を乾燥させます。
2対になっている茎の下の中央から根をカッターなどで半分に切り分けます。切り口を乾かすため4~5日そのままにしておき、その後乾いた用土を準備し植え付けます。
この方法でその他にできる種類
コノフィツム属、玉型メセン
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