多肉植物には一番良く生育する時期「生育型」があります。本などにも生育型が載っていますが、本によってバラバラだったり育ててみても違いが分からなかったりして、本当に意味があるかと感じることがあります。そこで実際に夏型、冬型、春秋型の違いはあるのか検証してみました。
多肉植物の生育型は大事な意味があるのか?実際に育ててみると夏型と冬型では違いがあるか?
- 生育型は本当にある
- 休眠期は明らかに土の水が乾かない
- 特に繁殖のしやすさが休眠期と生育期で差が出る
- 最低越冬温度や耐暑性などはあまり差がない
- しかし休眠期がないような、年中生育しているように見える種類もある
目次
体感できる夏型・冬型・春秋型の違い
生育期って本当にあるのか、どれも同じように成長しているように見える、最初はそう思っていました。しかし育てているうちにはっきり区別があるのを体感するようになりました。それは
- 休眠期は土の水が乾かない
- 休眠期に挿し木などの繁殖をするとほとんど根が出ないか、かなりゆっくりになる
- 生育期は育つ速さが早い(葉の出る枚数が多い)
- 春秋の穏やかな気候は、冬型・夏型もそれなりに成長する
- 冬型・夏型だから寒さ・暑さに強いわけではない
休眠期は土の水が乾かない
まず、休眠期になると土の水が本当に乾かなくなります。春秋はどの型も生育が良い状態になり水やりの量が多くなりますが、冬になると夏型の種類の土が乾かなくなって、逆に夏になると冬型の種類の土の乾きが遅くなります。それも1週間に1回くらいのタイミングで水やりしていても、あるとき急に(1週間も経つのに)まだ鉢が重いなぁと感じるので、そうしたらそういう鉢は慌てて水やりを止めます。
与える水をトータルで測ってみると、秋と春は全部の型にたっぷり与えるのでたとえば冬型・夏型・春秋型を同じ数ずつ育てたとして、30L必要になるとしましょう。そうすると夏になると冬型が休んで春秋型もだいぶ鈍ってきて15L程度、冬はもっと少なく10Lなどになります、栽培する品種にもより、その年にもより栽培地域によっても異なるので、かなりざっくりした目安にはなりますが…
繁殖が難しい
休眠期に挿し木などの繁殖をするとほとんど根が出ないか、かなりゆっくりになります。たとえばカランコエは5~9月くらいに挿し木にすると1週間も経たずに根が出てくるものがありますが、12月など真冬にすると1ヶ月根が出ないことがあります。反対にアエオニウムはかなり低温にならないと挿し木の根がでなくて、夏だと1ヶ月出ずにそのまま干からびてしまうことがあります。
様々な型を年中実験していると、やはり生育型という考え方は重要だと感じます。
生育期は育つ速さが早い
生育期は育つ速さが速いです。正確には出る葉の枚数が多いということと茎の伸びる速さが速いです。生育期はぐんぐん成長するという印象を受けます。
たとえばエケベリアは割と寒さにも暑さにも強いですが、葉の出る枚数の多さは生育期だなと感じます。
ただ成長の早さは種類によって異なり、アドロミスクスやセダムの硬葉系、クラッスラの一部など、ゆっくりの種類は生育期でもほとんど葉の枚数を増やさないようです。
春秋の穏やかな気候はどの型も生育する
春秋の穏やかな気候は、冬型・夏型もそれなりに成長します。春秋型はぐんぐん生育する時期ですが、冬型も夏型も休眠期ではないので水も吸うし成長もします(葉の枚数が増えて株が大きくなる)。水やりが一番多くなり忙しい季節になります。
それでも春はどんどん夏に向かって暑くなってきますし、秋はもっと速く寒くなるので、いつまでもたっぷりやってよいわけではありません。そして年によって気温も気候も若干違うので、去年これでよかったから今年もその方法で、という訳にもいきません。それぞれの休眠のサインを読み取らないといけないとのですね。
色々な型があってそれぞれやはり育ち方に差があるので、多肉植物の出すサインを見逃してしまうと、根腐れなどを起こして枯らしてしまうのが多肉植物の難しい所でもあり面白いところでもあると感じます。
耐暑性・耐寒性と多肉植物の型
最後が温度の問題です。冬型・夏型だから寒さ・暑さに強いわけではありません。冬型も0℃になれば枯れるものがありますし、夏型も40℃の直射日光では溶けてしまう種類が多いです。生育型は育てる上での多肉植物の特徴ととらえたほうがよいのではないでしょうか?