このページでは多肉植物の3月の状態と育て方、するべきことについて解説しています。
目次
寒さが和らぎ活発さが戻ってくる3月
3月はまだまだ寒さは残るものの、日差しは日に日に強くなり10月より強く9月頃に近づいており、多肉植物も休眠が明けて芽が動き出します。これは春秋型の例ですが、実は冬型の種類も1月、2月の厳冬期より活発になる時期です。最低気温が3~5℃以上になることで、冬に室内に退避していた多くの多肉植物が戸外に出せるようになります。
寒さが和らいできたら、寒さに強い順になるべく早く戸外に出しましょう。3月とはいえ急に外に出すと葉ヤケすることがあるので、薄い22%程度の遮光ネットを使うなどして、徐々に外の日差しに慣らしていきましょう。
暖かくなってきて多肉植物の紅葉は冷めていくと思いきや、冬より強い太陽光と適度な寒さにより、これまで紅葉していなかった種類も葉の縁がほんのりと紅葉してきます。常緑の種類は一番美しい時期かもしれません。
冬の間休んでいた作業ですが、3月も末になると春の植え替え時となります。さし芽などもその種類の状態に合わせて行える時期になります。この時期は冬型の多肉植物も春秋型の種類も肥料をやったり、さし芽をしたりと作業がはかどる時期です。
気象と環境 | 東京 (関東) |
| 福岡 (暖地) |
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宮城 (寒冷地) |
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気象について
- ※1.「最低気温」はその月の最低気温の平均の9年平均です。(2012~2020年)。毎年その月は1日の気温が平均的にこの温度まで下がります。
- ※2.「9年最低気温」は過去9年に実際にあったその月の9年間の観測史上の最低気温です。(2012~2020年)。数年に一度ですが、ここまで下がることがあります。
- ※3.「最高気温」「9年最高気温」についても同様です。
耐寒性別の置き場所
マイナス5℃まで戸外に置けるもの:
センペルビウム・オロスタキス・ヒロテレフィウム
比較的強い種類(1℃まで戸外):
エケベリア・グラプトペタルム・セデベリア・グラプトベリア・ダドレア・セダム・パキフィツム・パキベリア・リトープス・プレイオスピロス
比較的弱い種類(3℃まで戸外):
クラッスラ・コチレドン・アドロミスクス・アエオニウム・セネシオ・アナカンプセロス・ハオルチア
センペルビウム・オロスタキス・ヒロテレフィウム
比較的強い種類(1℃まで戸外):
エケベリア・グラプトペタルム・セデベリア・グラプトベリア・ダドレア・セダム・パキフィツム・パキベリア・リトープス・プレイオスピロス
比較的弱い種類(3℃まで戸外):
クラッスラ・コチレドン・アドロミスクス・アエオニウム・セネシオ・アナカンプセロス・ハオルチア
多肉植物の2月の状態と育て方・するべきこと
多肉植物の4月の状態と育て方・するべきこと
エケベリアなど主に春秋型
グループ1 主な種類 | ||
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エケベリア、アドロミスクス、オロスタキス、春秋型のクラッスラ、グラプトペタルム、グラプトセダム、グラプトベリア、コチレドン、シノクラッスラ、セダム、ヒロテレフィウム、セデベリア、センペルビウム、ダドレア、パキフィツム、パキベリア、ロスラリア、春秋型のセネシオ、アナカンプセロス、アプテニアなど | ||
生育状況 | セダム、エケベリアなど寒さに強いグループは3月に入ると生育が盛んになります。その他の種類も月末頃には生育期に入ります。この時期からグラプトペタルムやエケベリア、パキフィツムなど花芽が大きくなってきます。室内に退避していた種類も、外に出せる時期になります。 | |
置き場所 | 寒さに強い種類はもちろんのこと、クラッスラやコチレドンなどの寒さにやや弱い種類も最低気温が3℃を上回り戸外に出せるようになります。急な寒さがきた時のみ室内に取り込みます。寒冷地では耐寒温度を守って適宜室内に退避させてください。 | |
日当たり(遮光) | まだこの時期も遮光は必要なく適度な日光です。この時期は簡易ビニール温室の奥まで日が当たるので、しっかり日に当てるようにしてください。ただし室内から急に外に出すと葉ヤケを起こすことがあるので、曇りの日に外に出すなど、徐々に慣らしていきましょう。 | |
水やり | 多肉植物が動き出すと自然と土が乾くようになります。そのため水やりの頻度と量を増やしていきます。大体10日に1回ほど冬より多めの量を与え、土が良く乾くようになったら鉢全体が湿るぐらいたっぷり与えます。 | |
作業 | 増やす | 3月末には挿し木(さし芽)ができるようになります。植え替えを行って出た小苗や子株なども株分けできるようになります。 |
植え替え | 水を与えてよく乾くようになったら植え替えの時期です。植え替えは生育期の始めに行うとその後の生育がよくなるため、早めに行います。 | |
肥料 | 芽が動き出したら液肥などで追肥を行う時期です。月2回ほど水やり代わりに液肥を与えるか、緩効性肥料を土に撒きます。 | |
病害虫対策 | 害虫の動きも出てくる時期なので、防虫ネットを張ったり、浸透移行性の殺虫剤を土に撒いたりします。病気はまだほとんど心配はありません。 |
リトープスやコノフィツムなど
グループ2 主な種類 | ||
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玉形メセン類、コノフィツム、リトープス、ブラウンシア、ギバエウム、ケイリドプシス、プレイオスピロス、モニラリア、アルギロデルマ、フェネストラリア、フォーカリア、チタノプシス、アルギロデルマ、ラピダリア、オドントフィルム、グロッチフィルムなど | ||
生育状況 | 厳しい寒さが和らぎ、リトープスなどのメセン類は生育が活発になります。リトープスは年に1回の脱皮の季節に入り、プレイオスピロスは花を咲かせます。土が良く乾くので水やり量も一番多い時期です。戸外に出して日に良く当てましょう。 | |
置き場所 | 2月までは寒さで室内に取り込みがちでしたが、3℃を超す3月は外に置けるようになります。この時期の光合成はとても大切なのでしっかり日に当てましょう。 | |
日当たり(遮光) | 3月は遮光なしで問題ありません。ただ種まきして1~2年の実生株は直射日光にやや弱いので22%遮光ネットを2枚ほど重ねます。プレイオスピロス、ベルゲランタス、オスクラリアなど良く日に当てないと花が咲かない種類もあるので、日に良く当てることが大切です。 | |
水やり | 土が乾いたらたっぷりと10日に1回程度の水やりになります。鉢底から流れ出るぐらいはやや多すぎるので、鉢全体が湿るぐらいにしましょう。ただリトープスは二重脱皮を防ぐため水やりは少量にします。 | |
作業 | 増やす | 株分けや挿し木、種まきの適期になります。4月など暖かくなりすぎると休眠に近づいてしまうので、すぐに作業に取りかかります。種まきは秋まきよりやや難しいですが、可能です。 |
植え替え | 植え替えの適期です。冬の間に鉢が狭くなった株などは春の植え替えを行います。株分けと同時に行ってもよいでしょう。 | |
肥料 | 液肥や即効性肥料の与え時です。月2~3回水やり代わりに液肥を与えるか、即効性のある固形肥料を与えましょう。 | |
病害虫対策 | 戸外ではカビなども生えにくく、特に心配ありません。 |
アエオニウムやセネシオなど主に冬型
グループ3 主な種類 | ||
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アエオニウム、冬型のクラッスラ、冬型のセネシオ、モナンテス、オトンナ(ルビーネックレス)、玉形メセン以外のメセン類(オスクラリア、ベルゲランタス、デロスペルマなど)) | ||
置き場所 | 夜でも5℃以上を保てるようになれば、雨の当たらない風通しのよい戸外に置きましょう。最適な気温とやや強くなった日光に当てることが大事です。寒冷地などで5℃が保てない場合は、引き続き室内で管理します。 | |
日当たり(遮光) | 急速に日差しが強くなり、快晴続きの天候であれば22%遮光ネットを1枚張った方が安全です。また室内で育てていたものを外に出す場合、いきなりだと葉焼けを起こすため、徐々に外の日差しに慣らすようにします。 | |
水やり | 土が乾いたら鉢底から流れるまでたっぷりと与えます。水やりをしっかり行うことで株が充実します。寒冷地では引き続き少なめの水やりにとどめます。 | |
作業 | 増やす | 挿し木や株分け、葉挿しなどが行えます。繁殖作業は3月~4月上旬までが安全でしょう。 |
植え替え | 植え替えも適切ですが3月までが安全です。暑くなりすぎると生育が鈍るため、なるべく早めに済ませましょう。 | |
肥料 | 水やり代わりに液肥を月2回程度与えるか、緩効性肥料を植え替え時に土に混ぜ込みます。 | |
病害虫対策 | 乾燥でハダニやカイガラムシが付きやすくなっています。時々葉水をしてハダニの発生を抑えたり、殺虫剤をまくようにします。 |
アロエやアガベなど主に夏型
グループ4 主な種類 | ||
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アロエ、カランコエ、夏型のクラッスラ、アガベ、アストロロバ、ポーチュラカリア、ユッカ、ペペロミア、トラデスカンティア、カリシア、サンセベリア、セロペギア、チランジア、ガステリア、夏型のユーフォルビア、クセロシキオスなど | ||
置き場所 | 最低気温が5℃を超えたら戸外に出せる時期が来ています。寒冷地などで5℃が確保できない場合は室内で、一日4時間の日照時間は確保しましょう。暖かくなり日によってはかなり温度が上がることもあるので、室温の上げすぎには注意しましょう。 | |
日当たり(遮光) | 遮光は基本的にあまり必要ありませんが、戸外に急に出すと葉ヤケすることがあるので最初だけ軽く(22%程度)遮光します。また快晴続きで気温が高い年は22%遮光ネットを張った方がよいです。 | |
水やり | 新芽が動かないうちは水を与えません。寒さに強い品種などで活動が見られたら徐々に与え始めます。また、室内で10℃~15℃を保っている場合は緩慢に生育を続けるので、月2回ほど鉢内が湿るくらい与えます。 | |
作業 | 増やす | 行いません。 |
植え替え | 行いません。 | |
肥料 | 与えません。 | |
病害虫対策 | 乾燥した室内ではハダニに注意しましょう。葉水など湿度を保つとある程度予防できます。 |
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ハオルチアなど
グループ5 主な種類 | ||
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ハオルシア(ハオルチア) | ||
置き場所 | 室内のレースごしの窓辺か、戸外の雨の当たらない半日陰に置きます。3~5℃を切る夜などは室内へ取り込みます。暖かい日はできるだけ戸外に出して外の環境に慣らしていきます。 | |
日当たり(遮光) | 室内でもレースをひくか、屋外では半日陰(50%遮光)に置きます。急に日が強くなるので、遮光のタイミングを逃さないようにしましょう。2~3月に光線が強いと葉先から枯れ込んで赤茶色になるので気をつけましょう。また外に出すときは急に強い光に当てず、最初は強めの遮光をして少しずつ慣らしていくようにします。 | |
水やり | 寒さがゆるみ生長を始めたら、月に2~3回の水やりに増やしましょう。月2回は液肥を水やり代わりに与えます。1回の水やりの量は3月上旬は土が半分湿るくらいですが、生育が盛んになってくる月末はもう少し多めに与えます。寒冷地では1ヶ月程度遅らせて調節します。 | |
作業 | 増やす | 3月下旬頃、暖かくなってくると葉挿し、株分け、さし芽などの適期になります。また採っていた種も蒔き時になります。 |
植え替え | 一年の生長に向けて植え替えの一番よい適期です。 | |
肥料 | 植え替え時に土に緩効性肥料を混ぜ込むか月1~2回液肥を与えます。 | |
病害虫対策 | 根ジラミ、カイガラムシ、ハダニ、アブラムシなどに気をつけましょう。 |
主にサボテン科の植物
グループ6 主な種類 | ||
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サボテン科の多く(オプンティア、セレウス、テロカクタス、ツルビニカルプス、ロフォフォラ、ギムノカリキウム、エキノカクタス、アストロフィツム、パロディア、メロカクタス、マミラリア、エキノプシス) | ||
置き場所 | 5℃を下回る場合は引き続き室内に取り込みます。寒さに強い種類は夜間に0℃を上回るようになれば戸外の明るい日なたに出しても大丈夫です。雨はかからないようにしましょう。 | |
日当たり(遮光) | 日光が成長する糧になります。直射日光にたっぷり当てましょう。ただアストロフィツムやロフォフォラなど直射日光に弱い種類は22%遮光ネットを張ります。 | |
水やり | 冬の間水やりを少なめにしてきましたが、暖かくなってきたら徐々に回数や量を増やしていきましょう。新芽が動き出すのを確かめながら休眠から覚めた株から、水やりを開始しましょう。土が湿っている間は水やりはしません。 | |
作業 | 増やす | そろそろ挿し木、接ぎ木ができるようになってきます。種まきはもう少し気温が上がるまで待ちましょう。 |
植え替え | 動きのある株から、今後の生育期に向けて植え替えを行います。 | |
肥料 | 植え替え時に土に緩効性肥料を混ぜ込んでおくと良いでしょう。 | |
病害虫対策 |
主に夏型のコーデックス類
グループ7 主な種類 | ||
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夏型コーデックス類(多くのユーフォルビア、アデニア、アデニウム、ヤトロファ、パキポディウム、スタペリア、フェルニア、ディオスコレアの一部(メキシコ亀甲竜)、イポメア、ドルステニア、ホーディア、ブラキステルマ、コミフォラ、キフォステンマ、ディディエリア、ブーフォンの一部、トリコディアデマ、ボウイエア、ブルセラ、フォッケア、フィカス、ラリレアキア(トリコカウロン)、モナデニウムなど) | ||
置き場所 | 日当たりのよい室内か温室に取り込み最低越冬温度を保ちましょう。窓辺では日中の暖かくなりすぎに注意が必要です。 | |
日当たり(遮光) | 行いません。 | |
水やり | まだまだ夜温が下がるため、基本は全く水をやらない断水します。また与えても葉水で乾かし気味で育てます。しかし室内に取り込んでおり生育がそれほど鈍っていない場合は、月2回程度少量与えます。 | |
作業 | 増やす | 行いません |
植え替え | パキポディウムやアデニウムなど早めのタイプは適期に入ってきます。 | |
肥料 | 与えません。 | |
病害虫対策 | 暖かくなってくるとカイガラムシが発生したりごく暖かいとアブラムシがつくことがあります。殺虫剤での駆除が必要です。 |
主に冬型のコーデックス類
グループ8 主な種類 | ||
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冬型のコーデックス類(オトンナ、チレコドン、ディオスコレアの一部(亀甲竜)、モンソニア(サルコカウロン)、ペラルゴニウム、一部のユーフォルビア、アボニア、フォークイエリア、ケラリア(セラリア)、ブーフォンの一部)など | ||
置き場所 | 昼の気温が暖かくなり、それぞれの種類の最低越冬温度を超えるようになったら、戸外での栽培に切り替えます。ただ夜温が下がる場合は、夜のみ室内への取り込みが必要です。 | |
日当たり(遮光) | 室内では直射日光が差し込んでも大丈夫ですが、屋外では直射日光が強くなっているので22%遮光ネットを張ります。また急に室外へ出すと日焼けするので、徐々に慣らしましょう。 | |
水やり | 用土がしっかり乾くのを確認したらたっぷりの水を与えます。 | |
作業 | 増やす | 15℃以上の室内で種まきができます。また挿し木や株分けなどが1~2月より順調に行えます。 |
植え替え | 行いません。 | |
肥料 | 土が乾くようであれば生育しているので、緩効性肥料や液肥などを与えます。 | |
病害虫対策 | 暖かくなってくるとカイガラムシが発生したりごく暖かいとアブラムシがつくことがあります。殺虫剤での駆除が必要です。 |