目次
ディオスコレア属の写真
アフリカ亀甲竜の実生(種まき)(2022.10撮影) | アフリカ亀甲竜のツタと葉(2022.10撮影) | アフリカ亀甲竜の夏(休眠期)の様子(2022.8撮影) |
アフリカ亀甲竜の種子(2021.10撮影) | アフリカ亀甲竜の塊根と根 | 実生から2年半の亀甲竜 |
亀甲竜の全体像 | 巨大化した亀甲竜 | 花 |
メキシコ亀甲竜 | Dioscorea alata | Dioscorea balcanica |
※3~4段目の画像はWikipediaより引用しています。
ディオスコレア属の基本情報
科 | ヤマノイモ科 |
---|---|
属 | ディオスコレア |
生育型 | メキシコ亀甲竜は夏型・アフリカ亀甲竜は冬型 |
育てやすさ | やや難しい |
成長速度 | 遅い |
増やし方 | 種まき |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 普通 |
耐寒温度 | 5℃ |
実測温度 | 5℃~40℃ |
原産地 | 南アフリカ、メキシコ |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
耐寒性-強い・普通・やや弱い・弱い
耐暑性-強い・普通・やや弱い・弱い
※耐寒温度は水やりを控えた場合の目安値(書籍などによる推奨値)で、状況によりこれより狭くなることがあります。
※実測値は半日陰の場合で直射日光下ではこれより低くなります。
ディオスコレアの特徴
南アフリカとメキシコに数種類見つかっている小さなグループです。太くなった茎と根である「塊根」に水を蓄えるタイプの多肉植物で、コーデックスと呼ばれています。ディオスコレア属では「アフリカ亀甲竜」が代表的で日本で通常栽培されているのはこちらです。膨らんだ塊根を鑑賞する植物で、成長が遅く十数年かけて育てていきます。塊根の表面は硬く、動物からの食害や寒さから身を守る役割があります。岩礫の多い丘や乾燥した疎林に自生し塊根を半分土に埋めながら生息しています。てっぺんから長いツルをどんどん伸ばし周囲に絡みつきます。葉はハートの形をしており、最初は塊根から1枚の葉が出る形をしています。雌雄異株の植物で種を採るには2苗の親株が必要です。
メキシコ亀甲竜とアフリカ亀甲竜
アフリカ亀甲竜(通称「亀甲竜」、エレファンティペス)は冬型に、メキシコ亀甲竜は夏型に分類されています。それぞれ生育期に新葉を出し、休眠期に入る前に葉を落とすのでそれに合わせて水やりを調節します。アフリカ亀甲竜は暑さ寒さに比較的強いですが、メキシコ亀甲竜は寒さに弱く日本での栽培はなかなか難しいです。
割れ目には個体差がある
亀甲竜はバキバキした割れ目が特徴のコーデックスです。しかしこの割れ目は個体差が非常に大きく、つるっとしたものや深い割れ目(深裂)のものや浅めの割れ目ができるもの(浅裂)などさまざまです。管理人が12個の種子を実生したところ、浅く植わっているものが割れ目が深く、土に完全に埋まってしまっているものはつるっとして色も薄い傾向になりました。
育て方のコツ
- 5℃以下にならないよう低温時期は温室か室内に取り込む
- 生育期はよく日に当てる
- 土が完全に乾くまで水を与えない
- 芽吹きと落葉で生育の状態をチェックする
- 葉を落とす6月頃から8月頃までは日陰の涼しい所に移動する
本来、亀甲竜の塊根は半分ほど土の中に埋まっているもので、鑑賞するために小苗の時から土から出す形で植えると株が弱ってしまうとされています。しかし実際には完全に土に潜ったまま塊根を大きくする個体と、勝手に土から出てきてしまう個体があります。
またツルが伸びてきたら支柱を立てて絡ませ、それで日光を遮るようにすると、割れ目を風化させなくて済みます。書籍などに載っているような形になるには5~10年の歳月がかかりますので、気長に育てていきましょう。
年間栽培カレンダー
以下は冬型(アフリカ亀甲竜のケースになります。)
生育型 | 冬型 |
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生育期 | 8月後半~翌年4月頃 |
休眠期 | 5~8月前半 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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主な種類名
アフリカ亀甲竜 (キッコウリュウ) | Dioscorea elephantipes |
メキシコ亀甲竜 | Dioscorea mexicana |
ヘミクリプタ | Dioscorea hemicrypta |
ガルピニー | Dioscorea galpinii |
シルバチカ | Dioscorea sylvcitico |
パニクラタ | Dioscorea sylvatica var.paniculata |
タンザニア | Dioscorea sp. |
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※以下に掲載している目安はあくまで目安です。苗の状態や環境などにより適宜調節してください。
育て方のポイント
以下の解説は冬型の「アフリカ亀甲竜」についてです。
水やり
アフリカ亀甲竜は夏に休眠し、春・秋・冬に生育する、生育期がはっきりした多肉植物です。夏は葉を落として塊根だけとなるため、この時期はほとんど水を与えず、それ以外の季節は葉が茂り水を必要とするためメリハリのある水やりが大切になります。
水やりの頻度や量は環境により(土、鉢の種類と、暖地、寒冷地など)異なるので一概にはいえませんが、「土がカラカラになるのを待ってから水やりする」のが基本になります。土が乾いていなければ、生育期でも無理に与えないようにします。
以下は暖地での目安ですが、8月末頃ツルが出始めて休眠期を終えるため、2週に1回程度の少なめの水やりを始めます。9~11月は1~2週間に1回たっぷり水を与えます。12~2月は5℃を下回る場合月1~2回程度にします。3~5月は葉が茂っている間は10日に1回ほど水やりをします。6月に葉が枯れ落ちたら月1回程度の水やりにします。
種まきから3年以上経った大きな塊根の株は夏場完全な断水(水をやらない)をしても耐えられますが、0~2年以内は水切れに弱いため、夏でも2週間に1回ほど水やりをします。この場合、なるべく涼しい日に夕方から夜の時間帯に与えるようにします。
また寒くなってからは水やりは比較的暖かい日の朝に行いましょう。夜間などに水やりをすると低温障害が起こることがあります。
置き場
アフリカ亀甲竜は降雨量の多い日本では雨ざらし(地植え)はできません。一年間を通して鉢植えにし、雨のかからない軒下や簡易ビニール温室の中に置きます。
またどの季節も風通しのよい所に置くのが大事で、特に水をやった直後から3日程度は無風の状態に置くと土にカビが出ることがあります。
日当たりですが、11月~3月頃までは直射日光で栽培できます。4月~10月までは直射日光だと強すぎるので、30~50%遮光ネットなどを使って日よけを行います。塊根部は葉より日光に弱いため、ツルが出ているうちは葉で覆う感じで日よけしてやります。夏に葉が枯れたら遮るものがないので、半日陰(50%遮光環境など)に移動しましょう。
11月~3月頃については日光が弱く、日照時間も短くなります。葉にしっかり日光を当てないと塊根が大きくなりませんので、なるべくよく日に当てるようにします。万一、ツルが折れてしまったら時期により代替のツルが出ないことがあります。そうするとその苗の塊根の太り具合はかなり悪くなってしまいます。このことからも日に当てて育てることの大切さが実感できます。
室内は窓辺でも屋外よりかなり照度が弱いため、冬5℃以上あればなるべく屋外で日に当ててあげましょう。(夜間は室内にしまいます)
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
耐暑性は、株が小さいうちは強いのですが、塊根が大きくなるにつれ低下してくるように感じられます。実生(種まき)から2年以内では水やりを減らせば、日陰の40℃の環境でも腐らずに育ってくれます。
5cm以上の塊根になった株はまだ未経験で、最高温度は未検証です。
夏の管理
夏は半日陰~日陰に置いてただ涼しく過ごさせるようにします。そして大きくなってきた株は水やりをかなり減らすようにします。多肉植物は体内の水分が少ないと耐暑性が上がる傾向があります。
夏はツルも何もでず、ただのイモのようになってしまい生きているか、枯れてしまったのか判別がつきません。8月末頃、ツルが出てきたら無事夏越しできたサインですので、8月末頃からよく観察するようにしましょう。
越冬最低温度と冬越し方法
越冬温度は5℃とされています。しかし一晩数時間程度であれば2℃も耐えられます。ただ2℃が何日も続いた場合の影響は未検証です。
夏型コーデックスなどは8℃、10℃が最低気温なので、亀甲竜はコーデックスの中では寒さに強いほうだといえそうです。ただ一般的な多肉植物と比べると、やはり耐寒性は弱めです。
育ててみた印象では、10~20℃の間が一番塊根が太るよう(よく生育している)ですが、25℃程度でもまずまず成長しているようです。
冬の管理
暖地でも5℃以下になることはままあるので、冬は基本的には室内取り込みかと思います。寒冷地では10月末~4月初めごろまで室内に入れておく必要がありそうです。この場合、できるだけ室内の窓辺に、難しい場合は植物育成ライトを使うとよいです。
この時期は葉が光合成してしっかり塊根が太る時期なので、早く大きくしたい場合もますます日照時間が大切です。
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増やし方(種まき)
亀甲竜は種まきで増やします。残念ながら葉挿しや挿し木はできません。
蒔き時は9~10月頃です。夏など他の時期では発芽はしてもその後の育ちが悪いことがあるので、蒔き時を守りましょう。
亀甲竜の種は羽のような部分がついています。種まきの方法は人により様々な方法があるようで、羽を持って種本体を半分土に挿す、羽は腐敗の原因になるのでちぎりとってしまう、種には覆土しない、土をかぶせる、などさまざまです。
種まきでは種まき2ヶ月程度は腰水という方法で鉢底から底面給水し、常に水がきれないように管理する場合が多いです。
発芽にかかる時間は早いと1週間、通常2~3週間、遅いと3ヶ月かかるケースもあるようです。(ネット調べ)土は赤玉土や鹿沼土の細粒を混ぜ合わせたり、バーミキュライト単体で蒔くケースもあります。
参考までに管理人は羽をむしった後、種を平らに置いて軽く覆土したところ、発芽率が上がりました。10日ほどで初めて発芽し、最後の発芽が13日目と、ごく集中的に発芽しました。発芽率は11粒中8粒と72%でした。<
詳しい実生の手順や経過などは以下のページに掲載していますので、よろしければご覧ください。
植え替え
苗が順調に大きくなってきたら植え替えをしましょう。
アフリカ亀甲竜も他のコーデックスと同じく植え替えは特に慎重に行う必要があります。まず植え替え時期である7~8月の適期を守りましょう。植え替えをする際は2通りの方法があります。
鉢増し
一つ目は鉢が小さくなって大きな鉢に植え替える場合です。亀甲竜が順調に大きくなって鉢が小さくなってきたら、鉢から丁寧にすっぽり土ごと抜いて、そのまま根を崩さないように一回り大きな鉢に入れましょう。底と周囲に新しい清潔な土をいれれば植え替え(鉢増し)の完成です。この場合は根を全く切らないので、すぐに元の置き場所に戻して大丈夫です。
植え替え
もう一つは根腐れや根ジラミなどがついて根をいじらないといけない場合です。その場合植え替え時期にかかわらず、すみやかに鉢からすっぽり抜き出して根を丁寧にほぐします。腐った根や枯れた根を取り外して新しい清潔な用土に植え付けます。根を切った後はダメージを受け弱くなっていますので、すぐ日なたなどに置かず半日陰に置いて休ませます。
①今回は鉢サイズが窮屈になってきたため、1鉢に複数苗が植わっているものを1ポット1苗に植え替えます。 | ②根を切らないように慎重に土ごと鉢から抜き出します。 | ③塊根が大きいものは根張りもよく、根がもじゃもじゃに生えています。 |
④これまで使っていた土に粗めの土を混ぜ込み、1苗ずつ植え付けました。根を乾かさないよう、水やりをしっかり行ってください。 |
①今回は鉢サイズが窮屈になってきたため、1鉢に複数苗が植わっているものを1ポット1苗に植え替えます。 | ②根を切らないように慎重に土ごと鉢から抜き出します。 |
③塊根が大きいものは根張りもよく、根がもじゃもじゃに生えています。 | ④これまで使っていた土に粗めの土を混ぜ込み、1苗ずつ植え付けました。根を乾かさないよう、水やりをしっかり行ってください。 |
苗の分割
また種まき後で1鉢に数株の苗が植わっている場合、大きくなったらそれらを分けて別々の鉢に植え替える必要があります。その場合は、鉢を5日ほど乾かして植え替え時に不用意に根が切れないようにします。土がある程度乾燥したらポットをもんで全部抜き出し、慎重に株をほぐしていきます。その後ちょうど良い大きさの鉢に1苗ずつ植え付けます。
植え替えをすると多少根を切ってしまい、株が弱っています。それをそのまま日なたに出してしまうとダメージを受けるので、室内の窓辺など暗めの所に1週間~10日間ほど置き徐々に元の置き場所に戻していきます。
つるの剪定
亀甲竜はツルがのびてそこに葉をつけます。蔓は8月終わり頃から出てきてドンドン伸びていきます。支柱を立てて巻き付かせる他、こんもり茂らせることもできます。
こんもりさせたい場合、蔓がのびて葉が5~6枚ついたら蔓の先端を摘み取ります。するとそこから2枝のつるがでてきて葉をつけるので再び伸びた蔓の先を切り取ります。そうすると短い蔓にたくさんの葉をつけて茂らせることができます。新芽が出て2ヶ月ほどしてつるの生長はとまります。
土と鉢
土の配合や種類
亀甲竜は塊根(イモ)の中に水を溜めることができるため、他のコーデックスと同じく水はけと通気性のよい土を好みます。普通の植物や野菜などの土は水持ちがよすぎるため、根腐れなどを起こしやすく適していません。
そこで市販している多肉植物用の土を使ったり、自分で配合して作ることも可能です。(9cm以上のポットの場合、多肉植物用でもさし芽用の土は細かすぎるので、通常の多肉植物・サボテンの培養土を選んでください。種まきする場合はさし芽用土など細かめをおすすめします。)
自分で配合する場合
配合する場合、赤玉土や鹿沼土をメインとし、ピートモスや水はけ改良材のパーライトや軽石などを入れます。土には色々な種類がありますが、性質が異なり、1種類の土を使うと性質が偏ってしまうことがあります。そのため、できれば3種類以上の土を混ぜて配合することをおすすめします。
(例)赤玉土1:軽石1:ピートモス1
※軽石はパーライトでもOKです。
また粒サイズもその苗にあったものにすることが大切です。種まき2年以内であれば6~9cmポットに植わっていることが多いと思いますが、この場合細粒~小粒が適しています。12cm以上の大きめの鉢であれば小粒から、15cmを超えたら中粒程度も混ぜるようにしましょう。また12cm以上のポットでは鉢底に鉢底石(大きめの軽石)を敷くと、更に水はけがよくなります。
塊根植物の土には水はけと通気性の良いことが大切ですが、排水性を重視しすぎるとイモの膨らみが遅くなるので、適度な保肥性と水持ち(保水性)も求められます。特に苗が小さいうちは保水性が結構重要です。
鉢選び
鉢サイズ
サイズですが、いきなり大きな鉢に植えるのではなく、その苗の大きさに合った鉢を選びます。そして大きくなるにつれ、年に1回ほどひとまわり大きな鉢に植え替えていきます。
概ね塊根が1cm~2cmでは7.5cmポット(2.5号鉢)、塊根が3cm~4cmで9cmポット(3号鉢)、それ以上は塊根と鉢の間に指1本が入るぐらいのサイズが適しています。
鉢が小さいと根が伸びずに成長が阻害されてしまいますし、大きすぎると鉢底に水が溜まり根腐れを起こしやすくなってしまいます。
鉢の素材
鉢には陶器の鉢とプラスチック製の鉢があります。プラ鉢は水持ちがよく陶器の鉢より水やり頻度が少なくて済みます。陶器の鉢は多孔質で通気性がよく水やり頻度がやや多くなります。
使い分けですが、種まきから育てるのであれば、プラスチック鉢のほうが適しています。実生は清潔さが求められ、新品の鉢を使うことが多く、多孔質で穴に病原菌が入り込みやすい陶器の鉢は向いていません。またプラ鉢は使い捨てできますが、陶器の鉢は使い回しすることが多く、種まきには使いづらいです。
実生にはスリット鉢のプレステラ90がおすすめです。これは百均のA4サイズのプラケースに入れて腰水管理もでき、腰水終了後もスリット構造により、根を健全に伸ばすことができます。
プレステラについては以下のページで解説しています。
一方大きくなった亀甲竜は乾燥に強く水やり頻度も低く、またインテリア性も重視されるので、ガッツリした高級な陶器の鉢に植えるケースが多いようです。
肥料
亀甲竜は肥料が不要と思われがちですが、実は種まきから育てるのには肥料が非常に大切です。肥料を与えると塊根の生長速度が速くなり、そして葉も大きくなり光合成も促進されます。
また鉢での栽培では生態系から微量要素が補われない(次第に失われていく)ため、肥料の他に微量要素も与える必要があります。とはいえ大量の肥料は不要で、通常の野菜や花のように大量に与える必要はありません。それだと多すぎになってしまいます。
また生育過程で必要量に差があり、小さくて今から成長していく段階では多く必要とし、数年経って大きく成長したものは少なくてよくなります。
- 生育が悪いと感じられるとき
- 早めに大きくしたい時
- 葉を大きくしたい場合
- 前回の施肥から時間が経っている場合
に与えることをおすすめします。
肥料の種類と使い分け
多肉植物によく使われる肥料には液肥(液体肥料)と固形化成肥料があります。有機肥料はカビの原因になるため使わないことが多いです。
液肥と固形肥料の使い分けですが、植え替える年は8月頃の植え替え時期に土に固形の緩効性化成肥料を土に混ぜ込み、植え替えない年や追肥をしたい場合は、生育期(8~10月頃か3~4月頃)に希釈した液肥を与える場合が多いです。
どちらか一方でよく、両方与えると多すぎになってしまう可能性があります。
肥料の与え方
(以下は管理人の私見となります。ご了承ください。)
種まきから3年以内では肥料は多く与えます。0年目種まきするときは無肥料で、発芽から1ヶ月目頃から液肥または固形肥を土にまきます。腰水管理しているので固形肥も溶けやすいです。初めての春を迎えるまでに数回与えるとよいです。また、種まき0年目は夏も水を与えるためそこに液肥も入れて与えます。
具体的には固形肥はマグァンプk小粒で、液肥は花工場原液、ハイポネックスなどです。薄めにと書いてあることもありますが、がっつり1,000倍くらいで大丈夫です。
1年目以降は徐々に与える回数を減らし、量も減らしていきます。
3年目以降の栽培については未検証のため、記載は控えさせていただきたいと思います。
開花
亀甲竜はある程度大きな株(開花年齢に達する)にならないと花を咲かせません。また雌雄異株のため、種を採るためには雄株と雌株が1株ずつ必要になります。また雌株か雄株かは花が咲いてみないと判別することができません。
病害虫
病害虫は特に心配はなく、コーデックスの中で特別病気や害虫に弱いというわけではありません。しかし新芽にはアブラムシがついたり葉にはハダニがついたりすることがあります。
塊根部にはカイガラムシがつきやすいです。その場合は殺虫剤や殺ダニ剤を使うなどして駆除します。白い虫がいないか、涼しいのに葉が黄色くなっていないかなど毎日よく見て早期発見・早期対処することが大切です。
また病気では5~8月の蒸し暑い時期にカビ病の発生が増えるため、風通しや他の種類、庭からのカビの胞子の流入に注意をしてください。
また、病気ではありませんが、根詰まりという生理障害を起こすことがあります。根詰まりは株が成長して鉢が小さくなり、根が伸びることができなくなり生育が止まってしまう状態のことをいいます。
こうなると塊根も太らなくなってしまうので、その苗に応じたサイズの鉢に1年に1回ずつ植え替えていくようにしてください。
また夏の強い日光や冬の5℃以下の寒さは苦手なので、遮光ネットや室内への取り込みなど環境整備に注意してあげてください。ツルが折れると時期によりますが、その年は再生しないことがあるので、植え替えはツルの出る前に行い、むやみに鉢を移動させて折ってしまうのに気をつけてください。
販売店や値段など
亀甲竜は多肉植物専門店や塊根植物専門店でも無い限り、なかなか普通の園芸店やホームセンターではみかけることができません。種を買ってそこから育てるか、すでに大きくなった苗を購入したい場合は、通販サイトやフリマでの入手が現実的かと思います。
種子の価格
値段ですが、種子の場合はかなり安く購入できます。たとえばヤフーショッピングで10粒550円など、フリマではメルカリで5粒370円など、これはパキポディウム「グラキリス」やオペルクリカリア「パキプス」などと比べるとかなり安い価格です。
問題は育てるのに時間がかかることですね。目安として塊根部のサイズが1年(12ヶ月後)で1cm程度、2年(24ヶ月後)で2~3cm程度になります。
苗の価格
苗の価格ですが、苗は年数(塊根のサイズ)により大きいものほど高額になります。また苗では塊根の割れ目の入り方の善し悪しで価格が変動します。バキバキした亀甲竜らしい姿のものは当然ながら高い値段がつきます。
目安ですが、通販サイトでは塊根2.5~3cm程度の苗が5,000円程度、フリマのメルカリでは、塊根1cm程度が1,000円程度、塊根2cm程度で3,000円、20cmを超える巨大化した亀甲竜は6万円でも完売でした。
よくあるトラブルとQ&A
トラブル事例
5~6月頃、葉が黄色く枯れてきた
夏にかけてアフリカ亀甲竜は葉を黄色く枯らし、最後にはカリカリになって落としてしまいます。これは休眠期にかけて起こる正常な生育過程で全く心配はいりません。このまま6、7、8月と塊根だけになって枯れたように感じてしまいますが、塊根は生きていて8月末ごろに再び葉を出しますので、焦らず待っていきましょう。なお、塊根が2cm以下の小さなうちは夏も水をやらないと本当に枯れてしまいます。
バキバキの割れ目ができない
幼苗・小苗のうちは割れ目はできないことが多く、つるっとした塊根であることが多いです。地表に出ている場合は幼いうちから割れ目が出てくることもありますが、個体差があるとされています。数年育てていると次第に割れ目が入ってくることが多いので、気長に待つようにしましょう。
9月になっても休眠から覚めない
9月下旬になっても葉が出ないのは、夏の間になんらかの原因で枯れてしまった可能性が高いです。高温多湿で蒸れると枯れることがあるので、通気を良くすることが大切です。
ツルが折れてしまった
時期によりツルが再生する場合と、(今期は)もう出ない場合があります。概ね12月頃までに折れた場合、新しいツルが出てくることがありますが、それ以降になると今期はツルが出ず、塊根だけになってしまうことがあります。この場合次のツルが出るのは、休眠して休眠から覚めた8~9月頃になります。葉が茂らないと光合成ができず、塊根がほとんど成長しないので、ツルは折らないように注意してください。
Q&A
塊根を速く大きくしたい
肥料を多めに与えると大きくなりますが、短期間で大きくすると軟弱な株になってしまう(徒長)心配があります。元来成長がゆっくりな植物ですので、急がずに締めて育てることが大切だと思います。ただ小さいうちは全く肥料をあげないと本当に生育スピードが遅くなりますので、(種まきから)始めの2年間程度は積極的に与えるとよいと思います。
植物育成ライトの必要照度は?
あくまで実践上の参考値ですが、12~2月の室内取り込み時期、3,000ルクス程度を当て続けていましたが、問題なく塊根が大きくなるのが確認できました。それほど強い照度は必要としないようです。