目次
グラプトベリアの写真
薄氷 | パープルディライト | 白牡丹 |
シテリナ | マーガレットレッピン |
グラプトベリア属(Graptoveria)の特徴
科 | ベンケイソウ科 |
生育型 | 春秋型 |
育てやすさ | 育てやすい |
成長速度 | 早い |
増やし方 | 挿し木、葉挿し |
原産地 | やや遅い |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
エケベリアとグラプトペタルムの交配種
グラプトベリアはグラプトペタルムとエケベリアを交配して生み出された多肉植物です。どちらもアメリカ大陸が原生地で山地に生えているものも多いです。エケベリア並に耐寒性があり0℃でも越冬できます。
強健で育てやすい
10℃~25℃で一番生育するので、日本では全部春秋型として育てます。類似のグラプトセダムの代表的な種類の「秋麗」は丈夫でどんどん育ち初心者でも育てやすいです。またグラプトベリアはエケベリアのバラの形(ロゼット状)とグラプトペタルムの肉厚さを併せ持ちます。原種グラプトペタルムも交配種も種類数は決して多くはありません。しかし葉がぷっくりしていてかわいい、丈夫で育てやすいなどから人気が高く、薄氷、白牡丹など身近に流通しているものも多いです。
育て方のコツ
- 夏の蒸し暑さは苦手なので風通しをよく涼しい環境に
- 夏は月1回程度、春秋は週に1回程度の水やり
- 7~8月以外はよく日に当て雨ざらしにせず、真夏は遮光する
- 冬は0℃以下になったら室内へ取り込む
年間栽培カレンダー
生育期 | 3~5月と9~11月 |
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休眠期 | 7~8月、12~2月 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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主な種類名
薄氷 (ハクヒョウ) | 不明 |
初恋 (ハツコイ) | Graptoveria cv. Huthspinke |
メルヘン | 不明 |
ピンクプリティー | |
デビー | Graptoveria ‘Debii’ |
アメトルム | Graptoveria ‘Amethorum’ |
スーパースター | Graptoveria ‘Super Star’ |
スプライト | Graptoveria ‘Sprite’ |
ファニーフェイス | Graptoveria ‘Funy face’ |
ルージュ | Graptoveria ‘Rouge’ |
白雪日和 (シラユキビヨリ) | Graptoveria ‘Sirayukibiyori’ |
バイネシー | Graptoveria ‘Bainesii’ |
グリムワン (不明) | Graptoveria cv. ‘Grim One’ |
白牡丹 ハクボタン(朧月×静夜) | Graptoveria ’Titubans’ |
シルバースター | Graptoveria ‘Silver Star’ |
マーガレットレッピン (菊日和×白牡丹) | Graptoveria ‘Margarete Reppin’ |
パープルディライト | Graptoveria ‘Purple Delight’ |
オパリナ (コロラータ×アメジスティヌム) | Graptoveria ‘Opalina’ |
パープルドリーム | Graptoveria ‘Purple Dreams’ |
シテリナ (アガボイデス×朧月) | ‘Graptsedum Siterina’ |
多肉植物の日本での栽培は自生地の環境と異なります。そのため日本の寒さや暑さに耐えられなくなると生育が鈍ったり成長が止まったりします。その時期のことを「休眠」といいます。時期は種類によって異なり、夏に休眠するタイプと冬に休眠するタイプがあります。休眠期は生育が鈍るので肥料や水やりを控え、挿し木や株分けなど株へ負担をかける作業を控えます。
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育て方のポイント
水やり
10℃~25℃で最も生育する春秋型なので、3~5月、10~11月は土が乾いたら鉢底から流れるまでしっかりと水やりします(1週間に1回程度)。6月の梅雨時は乾きに応じて月2~3回に減らします。30℃を超える真夏は若干生育が弱まり水の吸い上げが減るので、水やりは月に2回少量程度に抑えます。12~2月は寒さで休眠するので水やりは月1~2回程度少量にとどめます。12月から3月の間で3℃を下回るときは水やりを控えるか、室内や温室にいれて水やりをします。
寒い時期は暖かい朝~昼に水をやり、暑い時期は涼しくなる夕方に水を与えます。葉に水が残らないように水やりをして、もし残ったら吹き飛ばすかティッシュなどで吸い取るようにします。体の水分が少ない方が耐暑性と耐寒性が上がるので、真夏・真冬は控えめの水やりが安全です。
置き場
交配親のグラプトペタルムとエケベリアは自生地が高山の多肉植物なので、夏の蒸し暑さや過湿には弱いです。夏はもちろんのこと、年間風通しをよくすることが腐らせないコツです。また一年を通して雨ざらしにしないで育てることも大切です。真夏以外はしっかり日に当てて育てると、きゅっと締まった姿になり紅葉も美しくなります。
具体的には3~5月は雨の当たらない屋外の日なたに置きます。6~8月は直射日光は強すぎるので50%程度遮光するか、半日陰の所に置きます。この時期は風通しに特に注意します。9~11月は再び生育期になるので、直射日光の当たるところに置きます。12~3月は日当たりの良い窓辺か雨の当たらない屋外に置きましょう。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
多肉植物の中ではグラプトベリアは暑さ自体にはそれほど弱くはありません。気温が高くなっても葉が落ちたり枯れたりはしませんし、腐ることも少ないです。しかし6~8月の直射日光に当てると50℃以上になり溶けることもあるので、しっかり遮光するか半日陰に移動させます。直射日光が当たらなければ40~50℃も耐えます。日なたでは30℃程度が限界です。
屋外の半日陰か、室内の風通しのよいところに置きます。簡易ビニールで育てる時は前の窓は全開にしておきます。他の多肉植物に比べると腐りにくいものの、暑い日に水やりすると根が煮えてあっという間に枯れてしまうことがあります。水やりはしわがよるまで待つくらい、少なめにしたほうが安全です。
グラプトペタルム、グラプトセダムは他の多肉植物より夏の成長が盛んで、気温が上がるほど徒長(ヒョロヒョロと伸びる)もしやすいですが、グラプトベリアはそこまで旺盛ではありません。この3つの中では一番徒長しにくい種類のようです。
越冬最低温度と冬越し方法
グラプトベリアは寒さには強く0℃を下回ってすぐ枯れることはありません。しかし葉や株が傷んで回復が遅れてしまうことがあるので、0℃は下回らないように、できれば2℃を下回ったら室内や温室に取り込みましょう。水やりをしたばかりの日や水やりが多すぎて葉に水分がたくさんあるとき、寒風に当たったとき、などは凍って枯れてしまうこともあります。地上部が枯れても根が生きていれば春に新芽が吹くことも期待できますが、ゼロからのスタートになってしまいます。
簡易ビニール温室は寒風を避けられるのである程度の寒さ対策効果がありますが、発熱効果はないので温度は下がってしまいます。簡易ビニール温室がない場合、プチプチシートや不織布シートで覆うこともないよりはよいです。
冬場に0℃を下回る寒冷地や寒波の時は室内に取り込みますが、最低半日、日の当たるところで15℃以下(理想は5~10℃程度)の室温が保てるところに置きたいものです。冬に暖かい室内で日光不足、過湿が重なると徒長してヒョロヒョロになってしまうので、できるだけ暖かい日は外に出すなど工夫しましょう。
増やし方
グラプトベリアは多肉植物の中でも簡単に繁殖できるグループで、挿し木、葉挿し、株分けで殖やせる。適期は生育期の3~6月、9~11月でそれ以外の時期(休眠期)はさし芽をしても根が出ないなど失敗しやすいです。
挿し芽の方法:
親株から5cmくらい枝を切り取るか、徒長してしまった株の整理で出てきた枝を使います。下の方についている葉をむしり取り、明るい日陰で立てた状態で3~5日ほど乾かします。切り口が乾いたらさし芽用の土などに挿します。挿した後も根が出るまでは日陰で管理します。グラプトベリアはエケベリアの交配種なのでやや遅く、10日~2週間たったら水やりを始めます。1~2ヶ月経ち充分根が生えたら、親株と同じ環境に戻します。枝を切った親株からは2ヶ月程度で脇芽が出てきます。
葉挿しの方法:
徒長株の整理で出てきた葉やもいだ葉などを使って葉挿しができます。葉を用意したらトレーに並べて発根を待ちます。グラプトベリアは2~4週間くらいで根か芽が出るので、根が出たら土の上に置いて軽く根に土をかけます。管理場所は直射日光の当たらない明るい日陰です。1回目の水やりのタイミングは、親葉が枯れてカリカリになった時です。親葉は子株に栄養を渡してしわしわになり、最後にはカリカリの枯れ葉になるので、そこで初めて水やりをします。(3~5ヶ月くらいかかります)その後はだんだんと日なたに慣らしていき、本来の置き場所に移していきます。葉挿しは挿し木より成長が遅いですが、一気に大量の苗を作りたいときに向いています。また葉挿しはほぼ年中できますが、春秋は早く、夏冬は遅くなります。
株分けの方法:
株を長く育てていると根元から新しい芽が出てきたり、枝の途中から子株が誕生したりすることがあります。そんな場合は摘み取って挿し木用土にさし殖やしてみましょう。元々根がついている子株はそのまま植えて水をやってよいですが、根のない芽は発根まで待ってから水やりをします。株分けは親株の植え替えと同時に行う場合もあります。
種まきの方法:
種まきで殖やすこともできます。種まきは中上級者向けなので種まき(実生)のページに記載しています。(作成中)
植え替え
植え替えも休眠期は控え、生育期の少し前に行います。植え替えをするとその後の生育がよくなるので生育期前がベストな時期です。植え替え時は根へのダメージを減らすため、4~5日水やりを控えて土を乾燥させておきましょう。
株を鉢から抜き出したら枯れた下葉や茶色く枯れている根などを取り除きます。白い根は生きているので大事にします。グラプトベリアは植え替えの時、根を三分の一程度切り落とし、新しい根を生えさせるようにすると生育がよくなります。根を切っているので株は数日乾かして、それから植え直します。植えて4~5日たったら水やりを再開します。
植え替えは肥料不足を補ったり、土を新しくしたり、古い根を整理したり害虫を駆除したりする効果があります。生育の割と早いグラプトベリアは1年に1回行うとよいでしょう。
土と鉢
土は多肉植物用土として市販されているものを使っても良いですし、自分で混ぜて作ってもよいです。ポイントは水はけがよく通気がよいことで、市販の花や野菜の土では肥料分が多すぎたり、水持ちがよすぎるのでそのままでは使えません。
自分でブレンドする場合は、赤玉土、鹿沼土、軽石、ピートモスなどを混ぜ合わせます。土の性質のバランスをよくするため、できるだけ4種類以上の土を混ぜるほうが望ましいです。
(例)赤玉土1:腐葉土1:鹿沼土1
(例)赤玉土3:ピートモス3:ボラ土2:鹿沼土1:川砂1:くん炭1
鉢はその苗にちょうど良い大きさのものに植えます。大きすぎる鉢は多肉植物に対して鉢が大きすぎ、水が滞りやすく根腐れや通気不足の原因になってしまいます。鉢はプラスチック鉢と陶器の鉢がありますが、初めて育てる場合は管理しやすい小型のプラスチック鉢(プレステラ90など)がおすすめです。
肥料
グラプトベリアは基本的には肥料をやらなくても育ちます。しかし赤玉土のように無機質な土を使っていると微量要素が不足してくることもあり、また生育がよく大きく育つため少量与えましょう。肥料を与える場合は、生育期の3~6月、9~11月に月1回、薄めた液肥を1回分の水やり代わりに与えるか、植え替え時に緩効性の固形(粉状)肥料を混ぜ込んでもよいです。肥料のやりすぎは徒長や肥料焼けなどの副作用を起こすため、普通の草花の半分程度に抑えておきましょう。
病害虫
多肉植物の中では病害虫に強いですが、高温時期に雨ざらしにすると軟腐病を起こしたり、根腐れしたりすることがあります。5~10月はカビが原因の病気にかかりやすいので、こまめに株の状態をチェックしましょう。枯れ葉はなるべくはやく摘み取ります。また他の多肉植物と同じようにアブラムシやカイガラムシがつく可能性があります。グラプトベリアは葉の表面に粉があり農薬や殺虫剤が定着しにくいことがあるので、根から吸収するタイプの粒剤の殺虫剤をまいておくとよいです。
グラプトペタルム類によくあるトラブル
- 茎が異常に伸びている・・・グラプトベリアは特に日照不足に注意し、よく日に当てる、水やりを控える、高温にしすぎないようにするの3点を心がけましょう。
- 秋になっても紅葉しない・・・オレンジや赤・紫など紅葉させるには、生育期の日照時間をなるべく長くして水と肥料を控えめにするとよいです。
- どんな葉を葉挿しに使えば良いか?・・・葉挿し用の葉は小さめのほうが発根や発芽がよいですが、小さすぎると体力が少なく、充分芽が育つまでもたないこともあるので中間くらいの大きさの葉がよいです。
- 夏の蒸し暑さは苦手なので風通しをよく涼しい環境に
- 夏は月1回程度、春秋は週に1回程度の水やり
- 7~8月以外はよく日に当て雨ざらしにせず、真夏は遮光する
- 冬は0℃以下になったら室内へ取り込む
- 基本的にエケベリアと同じような栽培方法でOK
- 葉挿しでよく殖えるので観察が面白く、また成長が早く丈夫なので初心者向きの多肉植物
- グラプトセダムやグラプトベリア、グラプトペタルムの分類が図鑑によって異なるが近縁なのであまり深く気にしなくていい。
グラプトベリアの注意点
- 真夏に水をやってすぐ直射日光を当てると高温で葉が溶けてしまう。28℃以上では遮光して水やり後管理した方が安心。
- 挿し木などするときは切り口をよく乾かす。すぐに(1週間くらい)で発根する。
- 生育が早い反面徒長もしやすいので保水性の高い土は向いていない
- 植え替え後は株が弱るので2週間くらいは直射日光に当てない。