目次
アプテニア属の写真
ベビーサンローズ斑入り | ベビーサンローズ(花) | |
アプテニア属(Aptenia)の特徴
科 | ツルナ科 |
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属 | アプテニア属(Aptenia) |
生育型 | 春秋型 |
育てやすさ | 育てやすい |
成長速度 | 早い |
増やし方 | 挿し木 |
原産地 | 南アフリカ |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
南アフリカのケープ州などに自生しているグループで、ベビーサンローズ斑入り種(錦)とベビーサンローズが見つかっています。暑さ寒さに強く、どんどん殖えるので花壇などにも適しています。5~6月になると真っ赤な花が数日間、閉じたり開いたりと咲かせます。
南アフリカといっても温暖な気候の地域に生息しているので、真夏のかんかん照りや凍るほどの寒さには弱いです。育てやすいものの春秋型として育て、真夏と真冬は半休眠状態で過ごさせます。草花のような扱いで水もやらないとすぐにしんなりしてしまいますが、くしゃくしゃになっても水を与えるとしばらくして復帰します。
育て方のコツ
- 水不足に弱いので他の多肉植物より水やりを多めに
- 根詰まりしやすいので植え替えを怠らない
- 真夏は遮光し、それ以外の季節はしっかり日に当てる
- 5℃以下になったら室内に取り込む
年間栽培カレンダー
型 | 春秋型 |
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生育期 | 3~6月と9~11月 |
休眠期 | 8月頃、2月頃 |
緩慢な時期 | 7月頃、1月頃 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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※栽培カレンダーはあくまでも目安です。実際は土や鉢の種類、地域によって大きく異なります。地域や使っている土、置き場所によって適宜読み替えて下さい。
主な種類名
ベビーサンローズ(花蔓草) | Aptenia cordifolia |
ベビーサンローズ錦(花蔓草錦) | Aptenia cordifolia f.variegata |
多肉植物の日本での栽培は自生地の環境と異なります。そのため日本の寒さや暑さに耐えられなくなると生育が鈍ったり成長が止まったりします。その時期のことを「休眠」といいます。時期は種類によって異なり、夏に休眠するタイプと冬に休眠するタイプがあります。休眠期は生育が鈍るので肥料や水やりを控え、挿し木や株分けなど株へ負担をかける作業を控えます。
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育て方のポイント
水やり
ベビーサンローズはツルナ科ですが、全体的に普通の草花感覚で育てられる多肉植物で、水やりも他の多肉植物より多めです。春秋型なので生育期の春秋はたっぷりの水を与え、休眠期は少量にするのが基本です。また鉢や土の種類によって大きな差が出るので、水やりは週2回などと決めずよく観察し、土がカラカラに乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり与えましょう。
実際の目安は、3~6月の生育期は土が乾いたら鉢底から流れるまで(1週間に2回程度)で、この時期は本当によく水を吸うのでカラカラに切らさないようにします。梅雨に入ったら土がしっかり乾くまで待ってから水やり(週1回程度に抑える)します。7~8月は高温で半休眠しており、鉢の土を半分湿らせる程度を1週間に1回程度にします。再び生育期の9~11月は、土が乾いたら鉢底から流れるまで(1週間に2回程度)与えます。12~2月は寒さで休眠するので、鉢の土を半分湿らせる程度を月に1回程度に抑えます。
季節の変わり目は急にサイクルを変えるのではなく徐々に増減していきましょう。
寒い時期は暖かい朝~昼に水をやり、暑い時期は涼しくなる夕方に水を与えましょう。そうすると蒸れや凍結をある程度予防できます。また夏・冬は水分を控えることで耐寒性・耐暑性が上がります。冬、室内で育てる場合は徒長の防止のため、水を控えめにします。
置き場
一年間を通して雨の当たらない風通しのよい所に置くのが望ましいですが、5℃を下回る時期は室内に入れます。直射日光に当てて育てるのが基本ですが、夏の日差しは強すぎるので、50%遮光ネットをかけるか、明るい日陰に移動させます。苗の様子を見ながら場所を決めていきましょう。
目安は、3~5月は直射日光の当たる屋外に置きますが、梅雨が明ける6月終わり頃には30%程度の遮光を始めます。7~8月は日差しが一番強く、しっかり50%程度遮光するか、明るい日陰に移動させます。9月はまだ日差しが強いため少し(30%程度)遮光した屋外で管理します。10~11月は生育期で直射日光のあたる屋外で育てます。12~2月は雨の当たらない屋外が基本ですが、強い寒さには弱いため、5℃以下の気温になる場合は日当たりの良い窓辺に取り込みます。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
他の多肉植物よりは暑さに強く、暑さで枯れてしまうことはまれです。目安は最高気温は日なたであれば30℃程度がきついですが、日陰であれば40℃は耐えられます。
南アフリカは暑いイメージがありますが、現地は地中海性の穏やかな気候のため、日本のような蒸し暑さを苦手とします。そのため夏は直射日光を遮り、水分も少なくして半休眠にさせ、涼しい所に置くようにします。遮光は50%遮光ネットを1~2枚重ねるなどで調節します。ネットをかけると通気がやや悪くなるので、風通しに注意しましょう。
越冬最低温度と冬越し方法
最低越冬温度は5℃であまり寒さに強くありません。そのため霜が降りる地域や5℃を下回る寒波の時期では室内への取り込みが必須となります。ただ5℃を切ってもすぐ枯れるというわけではなく、実測値では1℃を耐えました。
暖地では時々室内に入れる程度ですみますが、寒冷地では月単位で室内に取り込むので日光不足の問題が起こりがちです。最低1日4時間直射日光が当たる窓辺に置きたいですが、無理な場合植物育成ライトを使う方法もあります。
簡易ビニール温室は寒風や雪から植物を守ってくれますが、保温効果はあまり期待できません。そのため本格的に寒くなる日は室内へ入れるようにしましょう。また簡易ビニール温室は昼間非常に高温になることがあるので、前面のビニールを開けるなどこまめな調節が必要です。
増やし方
ベビーサンローズは挿し木と株分けで増やすことができます。時期は3~5月、9~10月の生育期で、休眠期は控えます。
挿し木はかなり簡単にできるグループで、挿し穂を5cm程度切り取り明るい日陰で切り口を乾かすと、数日で白い根が出てきます。カラカラの土ではなく、少し湿った土に割り箸などで穴を空けて挿しておくと根が一気に伸びます。挿して1週間くらいしたら水やりを開始します。ここまでは半日陰で管理します。挿し床がカラカラの土だと根が伸びにくいので、セダムと同じように土を少し湿らせておくのがポイントです。
植え替え
成長が早いベビーサンローズは定期的に植え替えする必要があります。植え替えしないでおくと鉢いっぱいになった所で成長が止まってしまいます。そこで掘り起こして根を整理し、新しい土を入れます。鉢植えの植物を元気に育てていくには植え替えが必須の作業です。
植え替えは生育期の3~5月か9~10月に行いましょう。秋はすぐ寒くなるので春のほうが適期で失敗が少ないです。寒い時期や休眠期に植え替えると、うまく根が伸びず株にダメージを与えることがあるので避けます。
具体的な方法は、土をほぐしやすくするため植え替え前4~5日は水やりを控えます。株を鉢から抜き出したら枯れた葉や傷んで茶色くなった根を取り除きます。白い根は生きている根なので切らないように気をつけます。根が鉢の中でパンパンになっている場合は、根の下の部分を三分の一程度切り捨てます。
その後、緩効性肥料を少量混ぜ込んだ新しい土を用意し植え込みます、その後1週間は少量の水を与え乾燥気味に保ちます。1週間経ったら通常の半分量の水を与えます。この期間は明るい日陰で管理しましょう。そして徐々に通常の管理に戻していきます。
土と鉢
土を選ぶときは肥料分がほとんど入っていない多肉植物・サボテン要の土を使うか、自分で配合したものを使います。市販の多肉サボテンの土は水はけがよすぎたり、粒が大きすぎたりすることがあるので、必要に応じて水持ちをよくする小粒の赤玉土や鹿沼土などを混ぜ込んでもよいです。自分で作る場合は単用(1種類の土だけ)はせずできれば4種類以上の土を混ぜましょう。
(例)赤玉土1:腐葉土1:鹿沼土1
(例)赤玉土3:ピートモス3:ボラ土2:鹿沼土1:川砂1:くん炭1
鹿沼土、ピートモスは酸性、くん炭はアルカリ性なので色々な土を混ぜることで性質を中和することができます。
鉢はプラスチック鉢と陶器の鉢があるが、それぞれ性質が大きく違い、水はけ、水やり頻度や株の育ち方に差が出ます。ベビーサンローズは水が好きで萎びやすいので、乾きにくい小型のプラスチック鉢(プレステラ90など)が育てやすいです。また鉢のサイズはその苗にちょうど良い大きさのものに植えましょう。大きすぎる鉢は水が滞りやすく、根腐れや通気不足など弊害を起こしてしまいがちです。
肥料
基本的に多肉植物は大量の肥料が要りませんが、与えた方が生育がよくなります。また多肉植物の用土は元々肥料が入っておらず、保肥性(肥料を蓄える力)も弱いものが多いです。そのため3大要素や微量要素が足りなくなったり偏ったりするので肥料として補う必要があります。
そこで多肉植物では、植え付け時と植え替え時に土に緩効性肥料を混ぜ込んでおくか、生育期に毎月液肥を与えることが多いです。具体的には緩効性肥料はマグアンプKなど、液肥は2000倍のハイポネックスなどがよく使われます。
液肥は少し与えるのではなく、1回の水やりの代わりとして鉢底から流れるまで与えます。緩効性肥料は微粒のサイズでN-P-Kが8-8-8のものや、マグアンプKのようなN-P-Kが6-40-6などを土に混ぜ込んで、だんだん溶けるようにします。
ただ肥料の与えすぎは徒長を起こしたり紅葉がさめたりなど、副作用を起こすのでやりすぎに気をつけましょう。また有機肥料を使う場合は発酵済みで完熟のものを選びましょう。
病害虫
特に心配ありません。