リトープスの種まきを始めて4年が経ちました。(現在2回目と3回目と4回目の種まきを実践中です)最初は徒長させてしまったり、枯らしてしまったりと失敗も多かったですが、少しずつコツが掴めてきました。しかしまだまだ現在進行形で試行錯誤を続けています。
そこで、リトープスの種まき(実生)を成功させるコツや良くある質問と答え(Q&A)を解説させていただきたいと思います。
※このページは秋まき(9~10月播種)したものとして記載しています。
目次
実生成功のコツ
土の配合のコツ
実は土の配合は様々あり、これが正解という唯一のやり方はありません。赤玉土や鹿沼土といった硬めの土を使う方もいれば、細粒のやわらかい土(ピートモスが多く含まれる)を使う方もいます。
その中でもひとつ共通なのは、表土には特に細かい土を使うという点です。リトープスの発芽した芽はごく小さく、目の粗い土だと根が潜り込みづらいためです。細粒~小粒のものなら硬い土でもフカフカの土でも問題なく育ちます。
管理人の場合は、4年間連続でフカフカ系の土を使っています。具体的には細粒の赤玉土3:ピートモス3:ボラ土2:川砂1:鹿沼土1:くん炭1という配合を使っています。
この配合は全体的に軽めの土になり、リトープスの根にはよいのではないかと思います。
またピートモスは保水性が高い土ですが、カラカラに乾くと水が染みこみにくいという特徴があり、ある程度大きくなったら土を乾かすので、水はけが良くなる効果があります。
実際に試したことはないのですが、市販されている「花ごころ さし芽 種まきの土」でも代用可能だと思います。この土は均一な細粒の土でピートモスや鹿沼土、パーライトが配合されており、フカフカしています。時々大きな粒が入っているので、振るうか手で取り除くとよいと思います。
実際に4回目の2022年10月に3鉢を花ごころ「さし芽種まきの土」と花ごころ「さぼてん多肉植物の土」だけで栽培する実験を行っています。
水やりのコツ
水やりは最初の1ヶ月は完全な腰水で行います。腰水は底面吸水ともいい、鉢底から水を吸わせる方法です。こうすることで種や芽が流れて土に埋まってしまうのを防ぐことができます。また発芽が揃うまではラップをしておきます。
2022年10月の実験ではラップ(覆い)なしで行っていますが、問題なさそうです。
2ヶ月目も腰水を継続します。ただし量は減らし気味にします。種まきした苗は水切れに弱いですが、特に発芽前~発芽したてから1~2ヶ月目は水を切らさないように注意します。
3ヶ月目は苗の状態によってまだ苗が流れてしまいそうな場合は、腰水をします。ただし常時水に浸すのはやめて、土が乾いて鉢が軽くなったら全部吸収できる程度の量の水を腰水の容器にいれます。
4ヶ月目以降は、苗がしっかり立っているはずなので、上からジョウロで水やりします。この頃から土が乾く時間を長くしていきます。
5ヶ月目以降は鉢を完全に乾かしても大丈夫になります。そこで日頃は土がカラカラで、10日に1回程度鉢の中を半分濡らすぐらいを与えるようにします。
6ヶ月目頃から一度目の脱皮が始まるので、二重脱皮などをしないように月に鉢の中が半分濡れるぐらいに減らします。
置き場所・遮光のコツ
9~10月は日差しが強いので半日陰に置くか60%遮光ネットを張った環境に置きます。
直射日光が当たるとせっかく出た芽が溶けるリスクが大きいです。また、この時期は室内で育てる方もいらっしゃるかもしれませんが、小さな芽であっても暗い室内だと徒長してしまうので、植物育成LEDライトを使うか、戸外に置くようにします。
11~2月は日光が弱くなるので遮光が不要になります。逆によく日に当てるほうが成長がよくなりますので、しっかり日光浴させてください。しかし冬は気温が3℃以下になることがあります。この場合、芽は親株より低温に弱いので、室内に取り込みます。
3月ごろから再び直射日光が強くなってきます。そのため22%程度の遮光ネットを2枚重ねにしたものを張ります。
4月からは50%程度遮光しないと危険です。4月であっても晴天時に直射日光下に置くとかなりの数が溶けてしまいます。実際、よく日に当てたいと思い22%遮光ネットを2枚重ねにして直射日光下に放置したところ、いくつも萎びて溶けてしまいました。
カビ対策のコツ
種まきした鉢は水分が多くカビやすくなっています。そのためできる限り戸外の風がよく吹く所に置くのが望ましいです。
種まきから4~5ヶ月ぐらいまでは土を濡れ気味にしているため、カビとの闘いになります。
冬に耐寒温度を下回るため室内に入れていると、密閉空間のためカビが生えて収拾が付かなくなることがあります。暖かい昼間だけでも外に置くか、ミニ扇風機を回すなどしてカビが生えないようにします。
また、肥料を与えている鉢、緑色の藻が生えている鉢は更にカビが生えやすくなっています。毎朝よく観察して、カビが生え始めたらその部分の土をこそげ取ります。
ベンレートやオーソサイドといったカビ対策の殺菌剤を撒くのもよいですが、あくまで予防程度で、生えてしまったカビは土の除去でないとだめなようです。といってもリトープスの生えている部分のカビの除去は容易ではありません。
アイスクリームなどについているごく小さなプラスチックスプーンなどで丁寧にこそげるか、ピンセットで土ごとつまんで取り除きます。
6ヶ月後以降は戸外の栽培になり、またある程度鉢を乾かし始終びちゃびちゃにしなくてよくなるので、カビの心配はほとんどなくなります。
寒さ対策のコツ
リトープスの成株(種まきから2年以上経過)は低温に強く1℃を耐えるとされています。実際2℃程度なら問題なかったです。しかし種まきしたばかりの苗は水分が多いため、低温障害を受けやすくなっています。
そのため3℃程度を目安に室内の明るい窓辺に取り込みます。室内では温度の上げすぎや日光不足に注意します。
肥料のコツ
肥料を与えると、成長が早くなり与えていない株と比べると目に見えて大きくなります。しかし一方で藻やカビが生えやすくなり、管理が難しくなるのも事実です。特に種まきから1~3ヶ月は無肥料で育てるのが安全です。
試しに種まきから2ヶ月目にマグアンプKを撒いたところ、たちまち溶けて緑色の藻が生えてきました。しかし大きくなるのも早かったです。このときは戸外で栽培していたため、奇跡的にカビは生えなかったのですが、一歩間違えれば全滅の危機もありました。
そのため、濃い肥料をたくさん与えるのは避けて置いたほうがよいと思います。
4ヶ月以降になったら時々少量のハイポネックス希釈水を撒くとよいと思います。
徒長対策のコツ
リトープスが徒長する原因は、日光不足によるところが大きいです。
特に播種直後室内に置いていたり、冬場に室内に取り込んでいる間に徒長してしまうことが多いです。また5~7月も簡易ビニール温室においている場合は、日が差し込まないため最上段に置かないと徒長してしまいがちです。
室内に置く場合は、植物育成ライトを用意できるのであればそれが最善です。
その他、6ヶ月以内は水やりのしすぎで徒長することはあまりないようです。それよりは肥料の与えすぎが心配で、濃い肥料を与えると背丈が急にぐっと伸びてしまうことがあります。
緑色の藻が付くことの対策
種まきから1~4ヶ月は土が湿っているため、直射日光下に置くと藻が良く生えてきます。藻の対策はオーソサイド水和剤をスプレーするのがよいようです。ただ万全ではなく、一度生えてしまったものを枯らすことは難しいです。
対策は1~4ヶ月目までは肥料を与えない、オーソサイドのスプレーを2週間に1度行うなどです。※同じ殺菌剤でもベンレートより断然オーソサイドのほうが藻への効果は高いように感じられます。
藻はある程度経つと土と塊になるので、土が比較的乾いている日にごく小さなスプーンで掬って取ると取れます。