ハオルチア(ハオルシア)は種まき(実生)でも増やすことができます。実際に万象のタネを蒔く方法と成長過程の記録をつけていきたいと思います。
目次
ハオルチアは種まきで増やせる
ハオルチア(ハオルシア)は株分け、葉挿し、根ざし(万象・玉扇)で育てることができますが、種まきという方法でも増やすことができます。
ハオルチアは全体的に成長速度がゆっくりで、エケベリアやセダムのような速さはありません。また葉挿しや根ざしは一部の種類でしかできないので、種まきや株分け(カキコ)がメインになってきます。
万象・玉扇はハオルチアの中でも特に成長速度が遅く、葉は一年で数枚しか出ません。
そこでたくさん増やせるのが種まき(実生)です。
実生なら蒔いた分だけ苗が育つので、ゆっくりですが一気にたくさん増やせます。そこでこのページでも万象を種まきで増やしてみたいと思います。
ハオルチアの実生のポイント
以下のポイントは他のブログやホームページなどから参考にさせていただきました。ありがとうございます。
- まき時は最低温度15℃以上になってから、23℃程度がベスト
- 発芽には最短6日程度から3週間程度かかる
- タネは蒔く前に冷蔵庫で寝かせるとよい
- 種まき後は鉢をラップで覆う
- 乾燥に弱いので覆いは長めにする
- 水やりは当面腰水(底面吸水)で行う
- 芽が出てある程度経ったら液肥を与えるとよい
- やや嫌光性(発芽時暗いと良い)の性質がある
- 室内でも光・風対策をすれば充分育てられる
まき時は最低温度15℃以上になってから、23℃程度がベスト
ハオルチアのまき時は3~6月とされていますが、温度さえ保てるのであればいつでも可能です。最低温度は15℃程度、よく発芽するのは23℃程度だそうです。
発芽には最短6日程度から3週間程度かかる
発芽は最短で6日ほどで始まり、3週間~1ヶ月で出揃うようです。発芽率はそれほど悪くないようですが、出揃うまで1ヶ月は諦めずに待ったほうがよいのですね。
※今年春の実生では、45粒中35粒発芽したため、発芽率は78%でした。
タネは蒔く前に冷蔵庫で寝かせるとよい
これはまき時が遠い場合のことですが、タネの保存は冷蔵庫がよいようです。冷やすことで発芽の準備が整うとのことです。
種まき後は鉢をラップで覆う
発芽したての芽は非常に乾燥に弱いです。そのため覆いをする必要があります。発芽までは密閉して湿度100%に近づけ、発芽後はラップなどの覆いにプチプチ穴をあけ、若干空気が通るようにします。
乾燥に弱いので覆いは長めにする
乾燥に弱いため、蓋などの覆いは長めにかぶせておくのがよいようです。コーデックスやサボテンは発芽後すみやかに蓋を外しますが、ハオルチアの場合は最低2ヶ月はするのがよいとのことです。
水やりは当面腰水(底面吸水)で行う
これは様々な多肉植物の種まきで共通することですが、水やりは腰水といい鉢の底から水を吸わせる底面吸水で行います。プラスチック容器などに水を張り、その中に種まきした鉢を置いてしまいます。
芽が出てある程度経ったら液肥を与えるとよい
発芽時は肥料を入れませんが、ある程度日数が経ったらハイポネックススプレーなどで肥料を与えると早く大きくなるとのことです。エケベリアなど極小のタネの場合でも、液肥は著効を示すのでハオルチアにも大きな効果が期待できそうです。
やや嫌光性(発芽時暗いと良い)の性質がある
あまり情報がなくなんとも言えないのですが、80%遮光ネットを張った方がよいなどの意見や嫌光性種子との情報があり、芽が出るまでは暗めの所に置いておいたほうがよいようです。しかし出てきた芽は光を必要とするので、タイミングを見計らい植物育成ライトなどで光を補うようにします。
室内でも光・風対策をすれば充分育てられる
ハオルチアの種まきは室内でも可能です。条件は植物育成ライトで光を補えること、通気をよくするためサーキュレーターなどを回すことです。もちろん外でも育てられますが、その場合は遮光ネットで光を和らげるか、半日陰に置くようにします。
多肉植物の種まき全般で大切なポイント
ハオルチアの実生をする方は、メセン類やサボテン、コーデックスなど他の多肉植物を種まきしている方もいらっしゃり、以下の情報は既にご存じかもしれません。しかし初めての実生がハオルチアという方もいらっしゃると思うので、一応全般に大切なポイントを載せさせていただきます。
- 堆肥や有機肥料はカビの原因になるため使わない
- 使い回しではなく新品の用土を使う
- 土は熱湯消毒してから使う
- 移動しても土が崩れない硬質ポットを使う
有機肥料はNG
種まきで使う土は肥料分がない土かごく少ない土にします。特に堆肥やぼかし肥料などの有機肥料は大量のカビが生える恐れがあるので絶対に使わないようにします。また発芽するまでの期間などは絶対に肥料を与えません。発芽から数ヶ月たったら徐々に緩効性化成肥料を与えるのはOKです。
清潔な用土
用土は新品で清潔なものを使います。他の株を植えていたものや庭の土、病気が出た土、虫の卵や雑草の種などが混入している恐れのあるものは使いません。さらに新品の用土も熱湯消毒してから使うようにします。
硬質ポット
種まきするポットはなんでもよいのですが、移動が多いのでできれば持ち上げたときに形の変わらない硬質ポットが適しています。プレステラというプラスチック鉢を使う方が多いようです。
実践環境例
まき時
ハオルチアのまき時は3~6月とされています。温度的には、最低温度は15℃程度、よく発芽するのは23℃程度だそうです。そこで今回は室温20℃~18℃程度の4月中旬に蒔くことにしました。
あまり早いと寒すぎますし、遅くなるとすぐに蒸し暑い夏が来て腐敗やカビのリスクが上がるので、3月末~4月中ぐらいがよいかと思います。
土の配合について
今回の土の配合は、至って簡単なものにしました。といっても手抜きではなく、色々な種子を蒔いてみてこれがよいのではないかという土が見つかったためです。
土は市販の花ごころ「さし芽・種まきの土」と「さぼてん・多肉植物の土」を振るいに掛けたあと同量を混ぜるというものです。
これまでは赤玉土やピートモス、パーライトなどを毎回別な配合で変えて蒔いていたのですが、水をやったとき土が浮く、鉢底からすぐ抜け出て染みこまない、藻が大量に発生する、根が張りにくい、水はけが悪いなどさまざまな問題点がありました。
今回は鉢の高さを3等分して中~上にさし芽・種まきの土とさぼてん・多肉植物の土をそれぞれ3mmのふるいに掛けて同量を混ぜたものをいれます。下3分の1については、さきほど振るいに掛けて残ったさぼてん・多肉植物の土を5mmのふるいにかけたものを入れます。
この配合だと藻が発生しにくい、土に水が染みこみ適度に保水性と排水性がある、細かいので根が張りやすい、また水分を多く含んでいるためタネに水が染みこみやすく硬い種子にもしっかり水が浸透する、などのメリットがあります。
もちろんもっとよい配合をもっている方はそちらでもよいですし、市販の土では別メーカーのものを使ってもOKです。
土やタネの消毒について
今回土は熱湯消毒・殺菌剤消毒し、タネは殺菌剤消毒のみ行いました。
まず土はプレステラ90の鉢に入れて熱湯を充分にかけます。鉢底から流れ出したら終了です。その後土の表面にたっぷりオーソサイドスプレーを吹きかけました。
またタネはタネだけを直接殺菌するのではなく、殺菌した土に蒔いて上からオーソサイドスプレーをする、という方法で行いました。
蒔く環境のセッティング
今回種まきの環境は以下の通りに行いました。
- 腰水容器はミネラルウォーター2Lのペットボトルを加工したものを使用
- タネをまく鉢はプレステラ90を使用
- 播種は室内で植物育成ライトを使用
- 育成ライトは4,000ルクスほどに調節
- 腰水は2cm程度
※これはあくまで一例ですので、参考程度にお願いします。
必要だったもの
種をまく鉢 | 鉢をすっぽりいれられる容器 | 殺菌剤 |
---|---|---|
![]() 1個10~20円 Amazon |
![]() 家にあるもの、100均のプラスチックケースなど |
![]() 1箱 800円 Amazon |
細粒の土(表面用) | 細かい土(底~中間用) | |
![]() 5L 600円程度 Amazon |
![]() 5L 600円程度 Amazon |
|
YTA植物育成ライト | ふるい(5mm) | ふるい(3mm) |
![]() Amazon |
![]() Amazon |
![]() Amazon |
殺菌剤スプレー | 消毒用の湯1L~ | スコップ |
![]() 800倍に薄めたオーソサイド用のスプレー容器 Amazon |
![]() 自宅 -円 |
![]() 大小で300円程度 |
- 種をまく鉢は、土をいれて種をまきます。
- 鉢をすっぽり入れられる鉢は腰水(鉢を水に浸ける)のために用意します。
- 土は種まき用などの細かい粒の土を用意します。普通の多肉植物・サボテン用の土では目が粗すぎで小さな芽が育ちません。そして土は清潔である事が大事です。古い土の使い回しではなく必ず新品のものを使いましょう。
- 爪楊枝は小さな種をひとつひとつまくときに使います。
- ラップは土を入れた鉢を乾かないように上から覆うために使います。
- オーソサイドは殺菌剤で種子のカビを防ぐためのものです。ベンレートでもよいのですが、オーソサイドのほうが藻や青ゴケを防ぐ効果が高いので、最近はオーソサイドを使うようにしています。
- 霧吹きは種まきの途中で土の上から水やりをするために準備します。
タネの入手方法
万象のタネ
ハオルチアの種子はアマゾンや楽天、ヤフーショッピングなど通販サイトで販売されています。それ以外にメルカリやヤフオクでも入手できます。
購入するときの一番大事な点は「種子の信頼性」です。激安のものは選ばないほうがよいでしょう。発芽率が非常に悪かったり、偽物だったり(無関係な植物が発芽します)、割れて届いたりする可能性があります。
なお管理人は、ヤフーショッピングの多肉植物ワールドやフリマのメルカリ、ヤフオクでタネを入手しています。
タネはこちらで入手できます。
メルカリでも多肉植物の種を多数取り扱っています。 メルカリで新規登録する方は、お友達紹介コードの入力で、メルカリの購入で使える500円分ポイントがもらえます。(キャンペーン時は2,000円分相当ポイントがもらえます) よろしければ、下記のコードをお使いください。
※PCからの申し込みでは適用にならないので、スマホアプリから申し込みください。

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実践記録
作業の流れ
水2Lペットボトルは横に倒して使い、中にプレステラ90を3つ並べて完全に蓋で密閉できるようにします。そのため横を蓋と腰水容器に分けるようにハサミで切り分けます。
土は花ごころ「さぼてん・多肉植物の土」と「さし芽・種まきの土」をそれぞれ3mmでふるい、およそ同量を混ぜ合わせます。ややさぼてん・多肉植物の土を多めにしました。(中間~上部の土)
混ぜ合わせた土です
ふるいの中に残った土は5mmのふるいでふるっておきます。(底用の土)
以下のように下3分の1に底用の土を入れ、中間~上までの3分の2に中間~上部の土をいれます。土はウォータースペースを1cmほど取りますが、できるだけ上の方までいっぱいに入れます。
種子の名前と蒔いた日を書いたプラスチックラベルを用意し土に差します。
土にはグラグラ煮立てたお湯をたっぷり注ぎ、その上からオーソサイド800倍スプレーをかけます。そして腰水を2cm程度張ります。
タネが黒灰色なので土と見分けが付きません
タネを蒔きオーソサイドスプレーを吹きかけます。このときタネは土に乗せるのではなく、土の中にやや押しつけるようにして蒔きました。
発芽までは点灯せず、発芽が揃ってきたら5,000ルクス程度(6段階中、上から2番目に強い)で照射を開始します。
1ヶ月目(2023.4)
2023/4/20
万象のタネを30粒蒔きました。(10粒ずつ3個のポット)
現在は室内の照明以外明るさはありません。
2023/4/26
1つ目が発根を開始しました。
2023/4/27
計3個発根中です。
2023/4/28
計11個発根中です。
2023/4/29
5,000ルクスの植物育成ライトを点灯開始しました。
2023/4/30
計11個の発芽が完了しました。
2ヶ月目(2023.5)
※当サイトの種まきでは開始の日付にかかわらず、月が変わった時点で2ヶ月目という表記に統一させていただいています。あらかじめご了承ください。
2023/5/1
12個目の発根が開始しました。
発芽はスムーズですが、最初の11個が発芽してから動きがほとんど見られません。最初の11個については1本ずつ緑色の葉が生えてきています。
2023/5/3
計13個目が発芽しました。
しかし発芽率が悪いため、追加で空いているところに15個蒔きました。
ハイポネックス1,000倍スプレーを行いました。
2023/5/9
追加の分から発芽が始まりました。計20個となりました。
2023/5/10
計22個が発芽しました。
2023/5/11
計24個が発芽しました。最初は白透明な色の芽でしたが、葉緑素がしっかり育って緑色の芽になりました。
2023/5/13
合計25個が発芽しました。
2023/5/14
フタを開放しました。腰水も終了し徐々に水位を減らしていきます。また1日12時間の送風を行っていきます。
2023/5/17
少し見ていない間に計33個の芽が発芽していました。
最近、根が地表に出てしまい、芽が倒れる現象が起こるため、そっと苗を引き抜いて土に埋める作業を行っています。
2023/5/26
オーソサイドスプレーを行いました。
2023/5/30
ハイポネックススプレーを行いました。
3ヶ月目(2023.6)
【6/1記】5月も引き続きずっと室内に置いていますが、室温は22~26℃程度でした。植物育成ライトは2,000~3,000ルクス程度を9:00~17:00まで照射し、送風は00:00~6:00と11:00~17:00の12時間です。
1本の双葉から1本の本葉らしきものが出かかっています。まだ根が地表に出てくる現象が続いており、土に埋める作業を行っています。根の長さはこの時2mmほどです。
また6/1に34目、35個目の発芽が確認できました。4/20に蒔いて、腰水もやめて土の水気も減る中、未だに発芽が続いているのが驚きです。
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