目次
フェネストラリア属の写真
群玉(五十鈴玉の花色違い) | 五十鈴玉 | 12月の開花 |
五十鈴玉の種子 | 実生(種まき)風景 |
フェネストラリア属(Fenestraria)の特徴
科 | ツルナ科 |
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属 | フェネストラリア属(Fenestraria) |
生育型 | 冬型 |
育てやすさ | 難しい |
成長速度 | 遅い |
増やし方 | 挿し木、株分け、種まき、 |
原産地 | 南アフリカ |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
南アフリカが原産の多肉植物で、種類は少なく2~3種しかみつかっていません。五十鈴玉と群玉はほとんど同じ種類で花の色だけが異なります。五十鈴玉は黄色い花、群玉は白い花を咲かせます。秋から冬が花期です
こん棒状の細長い葉がニョキニョキ出てきます。リトープスと同じく葉の先に「窓」があり、そこから光を取り込みます。体の割に派手で大きな花を咲かせます。
高温多湿に弱いので夏は水を控えめにできるだけ涼しい所に置きましょう。日光が少なすぎるとひょろひょろと伸び、日光が強すぎると焼けたりシワがよったりするので状態を見ながら置き場所を工夫します。
フリチア(光玉)との違いは?
見かけは似ていますが、生育環境や生育型が大きく異なります。フリチアは春秋型ですがフェネストラリアは冬型です。フェネストラリアは秋から冬が生育期で冬に花を咲かせるが、フリチアは春から秋によく育ちます。開花時期も夏です。フェネストラリアは葉の先が丸くみずみずしく透明感があります。一方フリチアは全体的に硬い感じで葉先の窓も光沢がなく平べったい感じです。またフェネストラリアは高温多湿に弱いですが、フリチアは比較的暑さに強いので夏場も断水せず水を与えます。
育て方のコツ
- 夏の蒸し暑さに弱いので、風通しをよく涼しい環境に
- 見た目はよく似ているフリチア属だが育て方は反対なので注意
- 夏は全く水を与えない断水か、ごく僅かにする
- 真夏以外は日光にしっかり当てる
年間栽培カレンダー
型 | 冬型 |
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生育期 | 3~5月と10~12月 |
休眠期 | 6~9月 |
緩慢な時期 | 1~2月 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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※栽培カレンダーはあくまでも目安です。実際は土や鉢の種類、地域によって大きく異なります。地域や使っている土、置き場所によって適宜読み替えて下さい。
フェネストラリアの主な種類名
主な種類名
五十鈴玉 (イスズギョク) | Fenestraria rhopalophylla ssp.aurantiaca |
群玉 (グンギョク) | Fenestraria rhopalophylla |
朱鈴玉 (シュレイギョク) | Fenestraria rhopalophylla ‘Fireworth’ |
多肉植物の日本での栽培は自生地の環境と異なります。そのため日本の寒さや暑さに耐えられなくなると生育が鈍ったり成長が止まったりします。その時期のことを「休眠」といいます。時期は種類によって異なり、夏に休眠するタイプと冬に休眠するタイプがあります。休眠期は生育が鈍るので肥料や水やりを控え、挿し木や株分けなど株へ負担をかける作業を控えます。
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育て方のポイント
水やり
他のメセン類と同じように秋から春の冷涼な気候で生育し、夏は休眠します。それに合わせて生育期の春秋は水をたっぷり与え、休眠期の夏にはほとんど与えないのが基本です。冬型といっても凍る気温は苦手ですので、日本の冬では生育がやや鈍ります。
水やりの量や回数は、鉢や土の種類によって大きな差が出るので、週1回100ccなどと決めず、よく観察し乾き具合をみて乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり与えましょう。
目安は、生育期の10月~3月は基本土が乾いたらたっぷり水を与え、10~11月や3月頃は週に1回程鉢底から流れ出るまで与えます。その間で厳冬の12~2月で3℃以下になる場合は水やりはやらないでおく。室内に取り込む場合も1ヶ月に1度鉢が半分湿る程度にします。4~5月は土が乾いたら10日に1回くらい与えます。
5~6月頃から休眠に向けて水の頻度と量を減らしていきます。7~8月の休眠期は全く水をやらないか、月に1回ほど表土を湿らせる程度にとどめます。根腐れが心配な場合は、6~8月は3ヶ月間断水しても問題ありません。9~11月は徐々に回数を増やし、土が乾いたら10日に1回くらい与えます。
置き場
基本は他のメセン類と変わりありません。通年風通しがよく雨が当たらない所に置きます。日光が好きなので6~9月以外は直射日光にしっかり当てて育てます。6~9月は強すぎる日差しなので50%遮光ネットで日よけするか半日陰に置きます。置いてみて葉がやけないか、徒長しないかなど、苗の様子を見ながら場所と日光量を決めていきましょう。
目安は、基本的に3~5月、10~11月の春と秋は雨よけがあって直射日光の当たる戸外です。しかし6~9月は日差しが強すぎるので戸外の50~70%遮光できる所か、半日陰のところに移動します。冬は0℃を下回らなければ戸外に置けますが、余裕を持って3℃以下になったら室内の明るい日なたに取り込みましょう。暗い部屋に置いてしまうと、光合成できず苗の状態が悪くなってしまうので、なるべく日に当てられる部屋を選びます。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
冬型で5~20℃を好み、夏の暑さは苦手です。そのためできるだけ涼しい所を選び、水やりをごく控えるなどして休眠状態で夏越しをさせます。土がカラカラに乾いていれば、半日陰では35度を耐えます。
夏はできるだけ水やりを一切しないようにするのが、安全に夏越しできるポイントです。
またフェネストラリアを含むメセン類は、日よけが欠かせません。遮光ネットには30%、50%、70%、黒・白・銀色の種類がありますが、7~8月には70%遮光のできればシルバーの遮光ネットがよいです。黒は熱を持つので、できれば白や銀色のネットを重ねて対処します。5~6月と9月も日差しが強いので、50%程度は遮光するか明るい日陰に移動させます。
越冬最低温度と冬越し方法
多肉植物は全般的に葉に水が溜まっているので耐寒性が弱いです。フェネストラリア属も最低越冬温度は5℃程度で冬型といっても、凍らせる寒さは耐えられません。ただ水やりを極控えておけば1℃程度までは耐えるのも事実です。
暖地では時々室内に入れる程度ですみますが、寒冷地では月単位で室内に取り込む必要が出てきます。そうすると日光不足の問題が起こります。外では一日中日が当たりますが、室内ではそれが難しいです。それでも最低1日4時間直射日光が当たる窓辺に置きたいものです。無理な場合は植物育成LEDライトを使う方法もあります。
簡易ビニール温室は寒風や雪から植物を守ってくれますが、保温効果は期待できません。そのため本格的に寒くなる日は室内へ入れるようにします。また簡易ビニール温室は昼間非常に高温になることがあるので、前面のビニールを開けるなどして温度が上がりすぎないようにします。
増やし方と植え替え
フェネストラリアは3~5月か9~11月に株分けを、種まき(実生)の場合は10月頃に行います。葉挿しはできません。繁殖は休眠期にやると失敗しやすく、生育期に行うようにします。種まきの場合は1回目の夏越しの時できるだけ大きくなっているようにするため、秋に入り気温が下がったらすぐに行うようにしましょう。
株分け・植え替え
植え替えをする際に同時に株分けすることも多く、生育期に行います。植え替えはこれから生育期という9~11月が一番適しています。根がついたまま分割して増やすことを株分けといいます。
生育期の3~5月と9~10月頃が適期で、真夏や冬の寒い時期は避けます。手順は、数日土を乾かした後に鉢から抜き出して周りの土をざっくり落とします。古い根を整理したり枯れた葉を取り除いて、根を付けて分割します。その後緩効性肥料をひとつまみ加えた新しい用土に植え付けて、数日後から水やりを開始します。植え替え後、1週間程度は半日陰のところで管理します。
植え替え作業には古い根を整理して新しい根を伸ばせるようにしたり、土を新しくして肥料を補う、みじんを取り除くなどの効果があります。小さい株は1年に1回、大きい株は1~2年に1回植え替える必要があります。
土と鉢
土は他のメセン類と同じく水はけがよく通気性のよいものを用意しましょう。市販している多肉植物・サボテンの土を使ったり、自分でブレンドしてもよいです。
自分で作る場合は、赤玉土や鹿沼土の基本用土に改良用土(バーミキュライトやピートモス)などを混ぜ合わせて作ります。ポイントはなるべく4種類以上の土を使うことです。土には酸性度や通気性などそれぞれ特徴があるので、バランスを整えるためには1種類より複数種類のほうがよいためです。
(例)赤玉土1:腐葉土1:鹿沼土1
(例)赤玉土3:ピートモス3:ボラ土2:鹿沼土1:川砂1:くん炭1
鉢はその苗にちょうど良い大きさのものに植えます。大きすぎる鉢は下の方に古い水が溜まり、根腐れや通気不足の原因になってしまいます。
鉢はプラスチック鉢と陶器の鉢がありますが、それぞれ性質が大きく違い、水はけ、水やり頻度や株の育ち方に差が出ます。陶器の鉢はすぐ乾き、鉢を冷やす作用もありやや扱いが難しいので、初めて育てる場合は管理しやすい小型のプラスチック鉢(プレステラ90など)がおすすめです。
肥料
基本的に普通の植物のような大量の肥料は不要です。しかし無機質の用土を使っていると微量要素が不足したり、水はけがよくて肥料がすぐ流れてしまうなどの問題があるので、元気に育てていくには与えましょう。
肥料を与える場合は生育期の一番盛んな3~5月、9~10月頃に月1~2回液肥を与えるか、植え替え時に小粒の緩効性肥料を土に混ぜ込みます。具体的には緩効性肥料はマグアンプKなど、液肥は1000~2000倍のハイポネックスなどがよく使われます。
液肥は少し与えるのではなく、1回の水やりの代わりとして鉢底から流れるまで与えます。緩効性肥料は微粒のサイズでN-P-Kが8-8-8のものや、マグアンプKのようなN-P-Kが6-40-6などを土に混ぜ込むと、水やりでだんだん溶けるようになります。
肥料を与えすぎると肥料やけや徒長を起こさすので、与えすぎには気をつけましょう。
病害虫
特に心配ありません。
フェネストラリア属によくあるトラブル
- 葉がどんどん伸びて長くなっていく・・・これは日光不足で徒長しているサインですので、もう少し日光が強い所に置きます。水やりをしすぎても伸びるので、土が乾くまでは与えないようにします。
- 6~7月に根元から腐ってきている・・・これは夏場の水やりで起こる根腐れで、根元から腐ってくると助かりません。そうならないように6~8月は断水でがんばります。