スポンサーリンク

セダム「虹の玉・オーロラ・乙女心」の育て方

このページではセダム属の虹の玉、オーロラ、乙女心の育て方を基礎から丁寧に解説しています。虹の玉(ニジノタマ)とオーロラ、乙女心(オトメゴコロ)はよく似た性質で育て方も似ているのでページ内で一緒に紹介しています。

虹の玉・オーロラ・乙女心の写真

虹の玉の写真
虹の玉の紅葉紅葉した虹の玉 真夏に徒長気味真夏に徒長気味 虹の玉カット苗虹の玉カット苗
オーロラの写真
紅葉したオーロラ紅葉したオーロラ 夏のオーロラ夏のオーロラ
乙女心の写真
乙女心

虹の玉・オーロラ・乙女心の特徴

ベンケイソウ科
セダム属
学名 虹の玉:Sedum rubrotinctum
オーロラ:Sedum rubrotinctum cv.Aurora
乙女心:Sedum pachyphyllum
生育型 春秋型
育てやすさ 育てやすい
成長速度 早い
殖やし方 挿し木〇、株分け〇、葉挿し〇 ※乙女心は葉挿し×
原産地

※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い

虹の玉・オーロラ・乙女心はこんな多肉植物
セダムの代表種
虹の玉・オーロラそして乙女心はセダムの中でも特に人気のある代表種です。多肉植物のカット苗セットなどを購入するときも、決まって入っていてよくみかける種類ではないかと思います。ぷくぷくした葉が茎にぎゅっと詰まるように生え、夏の間は緑ですが寒くなると葉先が赤色に染まります。

特徴
虹の玉・オーロラ・乙女心は強い丈夫な種類で、初心者でも簡単に育てられます。夏の暑さ・冬の寒さにも比較的耐え、冬は0℃以下にならなければ戸外で育てられます。水はけのよい土であれば梅雨以外の時期には雨ざらしにすることも可能です。

育て方
生長が速い分、間延びしてしまいやすく(徒長)葉と葉の間隔が広がりやすいです。しっかり日に当てて育てましょう。虹の玉・オーロラ・乙女心は春秋型と呼ばれるグループで、春と秋によく生育し、冬に休眠状態になります。そのため春秋はしっかり水をやり、冬は月1回程度の水やりで充分です。夏は高温にしすぎると日に当てていても徒長するので、なるべく涼しい所に置きましょう。

虹の玉とオーロラの違いは?
見かけも性質もほとんど同じで、葉の形と紅葉したときの色が若干異なるだけです。というのは虹の玉の学名は「Sedum rubrotinctum」で、オーロラの学名は「Sedum rubrotinctum cv.Aurora」と品種名はrubrotinctumで同じだからです。cv.Auroraとなっていることから、オーロラは虹の玉の変種だということができます。また乙女心はSedum pachyphyllumとなり異なる種類です。

育て方のコツ

  • 生育期の春秋はしっかり日に当て1週間に1回水やりする
  • 冬は0℃以下になる場合、室内へ移動させる
  • 徒長(間延び)しやすいので、高温に気をつける
  • 真夏の日差しは強すぎるので50%遮光する

年間栽培カレンダー

生育型 春秋型
生育期 3~6月と9~11月
休眠期 12~2月
緩慢な時期 7~8月
水やり
  • 3~5月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(1週間に1回程度)
  • 6~8月はしっかり乾いたら鉢を半分濡らすぐらいを月に2回程度
  • 9~11月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(1週間に1回程度)
  • 12~2月は土を3分の1濡らす程度を月に1~2回程度
置き場所
  • 年間を通して雨の当たらない風通しのよい所に
  • 3~5月は直射日光の当たる屋外
  • 6~8月は明るい日陰(50%遮光)
  • 9~11月は直射日光のあたる屋外
  • 12~2月は雨の当たらない屋外、0℃以下の場合は日当たりの良い窓辺に
植え替え
  • 3~6月頃、9~10月頃が適期
殖やす
  • 3~6月頃、9~10月頃に葉挿し、挿し木、株分け
肥料
  • 植え付け時に緩効性肥料、3~6月頃に月1回液肥を与える
開花
  • 5~6月頃

スポンサーリンク

育て方のポイント

水やり

水やり普通の植物に比べると水やりは少なくて大丈夫です。毎日水をあげると根腐れして枯れる原因になってしまいます。虹の玉・オーロラ・乙女心は葉がぷっくりしており、ここに水分をため込むようになっています。そのため1ヶ月水やりしないくらいでは枯れません。

頻度と量の目安
日本では3~6月、9~11月、10℃~25℃くらいで最も良く成長します。この時期は鉢底の土まで乾いたらたっぷり水を与えます。目安は週に1回くらいです。7~8月はやや生育が悪くなるので、しっかり土が乾いたら鉢を半分濡らすぐらいを月に2回程度に減らします。9~11月は土が乾いたら鉢底から流れるまで、1週間に1回程度与えます。12~2月は土を3分の1濡らす程度を月に1~2回程度で充分です。

生育期と休眠期
このように季節により生長量が異なるため、水やり量や頻度が変わります。大切なのは土がカラカラに乾いてからさらに数日たって与えることです。土が乾いていなければ無理に与えません。春秋はいつ水を与えてもよいですが、夏は涼しい夕方に、冬は暖かい午前中に行うようにしましょう。

置き場

置き場基本的には雨よけのある、よく風が吹いて日の当たる所に置きます。虹の玉・オーロラ・乙女心は雨ざらしにすることも可能と書いてある場合がありますが、初心者のうちは軒下や簡易ビニール温室など雨よけのあるところで育てた方が安心です。また夏場は日差しが強いので、置き場所にやや工夫が必要です。

具体的には3~5月は直射日光の当たる屋外に置いて構いません。しかし6~8月は日差しが強すぎるため、明るい日陰(50%遮光ネットなどを張る)に移動させます。9~11月は再び直射日光のあたる屋外に置き、12~2月は0℃以下の場合は日当たりの良い窓辺に移動させます。

虹の玉・オーロラ・乙女心を育てる上では、真夏以外はしっかり日に当てることがとても大切です。日光に当てることで徒長(茎が異常に伸びてしまう)を防ぎ、また秋と冬に真っ赤に紅葉させることができます。

耐暑性と最高気温・夏越しの方法

夏越し耐暑性は強いほうです。福岡県の実測値で40~45℃(日陰での温度)は耐えました。しかし直射日光にはやや弱く、真夏に炎天下に置いていると葉が黒く焦げる葉ヤケが起こります。そのため日よけが必要です。50%程度の遮光ネットをかけるか半日陰(明るい日陰)に移動させます。

遮光シート強すぎる日光を遮る効果があるほか、簡易ビニール温室などの置き場所の温度を下げる効果もあります。近年猛暑が厳しくなっているため、強いとされる虹の玉やオーロラを育てるにも遮光ネットは必須です。

また遮光ネットを掛けるとやや風通しが悪くなります。夏場は特に風通しに注意しましょう。

越冬最低温度と冬越し方法

冬越し多肉植物の中では耐寒性が強いほうで、実測値1℃を耐えます。しかしこれは夜間数時間の話しで、何日もマイナスを下回るような気温が続く寒冷地では、室内への取り込みが必要です。

水やり後は同じ温度でもしばらくは凍結しやすくなります。寒い間の水やりには注意が必要で、できるだけ暖かい日の午前中に水をやるようにします。また冬は水やりを少なめにすることで、植物体内の水分が減り、耐寒性が少し上がる効果が期待できます。

増やし方

殖やし方
虹の玉・オーロラは葉挿し、挿し木、株分けで増やすことが出来ます。乙女心は葉挿しができません。

繁殖作業には適切な時期があり、適期は生育期の3~6月、9~11月頃、気温が10℃~25℃の間です。作業開始が遅れて休眠期の7~8月の真夏や12~2月の真冬にずれると根が出ない、腐るなどのトラブルが起きやすくなります。季節が来たらすぐ繁殖作業をしましょう。虹の玉・オーロラ・乙女心は成長速度も早く繁殖しやすいので、初心者でも簡単に増やすことができます。

挿し芽の方法:

さし芽は挿し木ともいいます。挿し木は親株から切り取った枝を別の容器に挿してそこから増やす方法です。

元気な株から茎を5~10cm切り取り、土に挿せるように下の方についている葉を数枚むしりとります。これを挿し穂とします。挿し穂は4~5日程度切り口を乾かし、その後乾いた用土に挿します。虹の玉・オーロラ・乙女心は発根が早く1週間程度で発根するので、根が生えてから徐々に水をやりはじめます。

葉挿しの方法:

葉挿しは、葉をもいで1枚の葉から子供を作り出す方法です。

挿し木をする時にもぎとった下の方の葉や、作業中に取れてしまった葉を集めておき土を入れたトレイに並べておきます。虹の玉・オーロラは生長が速く、もいで1~2週間ほどで根や芽が出てきます。すっかり親葉がカリカリになったら土に植えて水やりを始めます。

株分けの方法:

株元から出てきた芽を外して植え付ける、株分けで増やすこともできます。

株分けは植え替えと同時に行うことが多いですが、葉の枚数が増え分けられるくらいまで生長したら、根を付けて茎を外し別の容器に植え付けます。また挿し木の後に新芽が吹く場合がありますが、これもある程度大きくなったらもぎ取って土に植えておくと根が出て挿し木ができます。

植え替え

植え替えとは、長期の栽培で硬くなってしまった土を新しいものに替え、伸びすぎた根の整理などをすることです。

植え替えも適期があり、繁殖と同様に生育期である3~6月、9~11月に行います。植え替えのタイミングは、1年に1回春がベストですが、秋でもよいです。根詰まり(鉢の中が根でいっぱいになる)を起こすと下の方の葉からポロポロと落ちてくるので、そうなったら植え替えが必要なサインです。

植え替えを行う前は数日水をやらずに土を乾かしておきます。鉢から苗を抜き取って茶色い枯れた根を切り捨て、土を新しいものに交換します。このとき土に少なめの肥料を混ぜ込んでもよいです。

土と鉢

土多肉植物を育てる上では適切な土選びが大切です。

虹の玉・オーロラ・乙女心を育てるには、水はけと通気がよく、適度に保水力がある土を選ぶことが大切で、通常の花や野菜を育てる土は使えません。ホームセンターやアマゾンなどにある多肉植物用の培養土を使いましょう。多肉植物用の土は、水はけや通気性が考えられて配合してあるので、そのまま使って問題ありません。

もちろん自分で多肉植物用の土を作っているという場合は、そちらで構いません。赤玉土をベースに腐葉土やパーライト、バーミキュライトなどを3種類以上混ぜ合わせ、底に鉢底石を敷くと良いでしょう。

鉢選び
適切な鉢を選ぶことも、多肉植物を育てる上で重要です。鉢には陶器の鉢とプラスチック鉢がありますが、初心者の場合は扱いが簡単なプラスチック鉢がおすすめです。

大きさは苗をいれて鉢との間隔に指が1本入るぐらいの、ちょうどよい大きさのものを選びます。比較的小さな苗であれば、プレステラというプラスチックの鉢が使いやすいです。これはホームセンターやアマゾンなどで入手できます。

肥料

肥料鉢で栽培するに当たっては、肥料を補うことが必要です。庭植えでは、自然界から微量要素が補給されますが、鉢の栽培では水やりを繰り返して抜け出てしまう一方だからです。

元肥として植え付け時に土に緩効性肥料を入れておくか、買ってきた鉢のまま育てる場合は、3~5月の生育期に月2回ほど液肥を与えます。

ただし肥料は多すぎると弊害があります。多肉植物の場合生長がゆっくりでもともと多肥の土壌に生えているわけではないので、通常の植物の3分の1程度の量で充分です。

具体的には液肥ではハイポネックス、緩効性肥料ではマグアンプKの小粒がよく使われます。

病害虫

病害虫万年草などの葉っぱ系のセダムはイモムシがついたり、うどんこ病にかかったりと病害虫の対策が大変ですが、虹の玉・オーロラ・乙女心に関してはそれほど心配ありません

病害虫の心配はほとんどないほどで、これが扱いやすく育てやすい理由の一つになっています。しかしアブラムシや芋虫がつくリスクはゼロではありません。まめに観察して、虫食いなどが発生しているようであれば、市販の殺虫殺菌剤であるオルトランスプレーベニカXファインスプレーなどを散布しましょう。