目次
導入までの経緯と踏み切った理由
吊り下げ式の植物育成ライトの使用風景
冬場に室内に取り込む時や梅雨時で天気の悪い日が続く時には、多肉植物が徒長するのが心配です。実際6月は暑くて徒長もしやすく、冬場も暖かい室内で日照不足になり徒長株が増えます。
また5~7月は太陽が高く昇り、差し込み光がなくなります。そのため簡易ビニール温室で育てていると、上の段の影になり、下の段はほぼ日が当たらなくなります。そうすると外の日差しは強いにもかかわらず、多肉植物が徒長してくる現象が起こります。
管理人もこの5~7月の日光不足に悩まされ毎年、多肉植物を徒長させていました。
そんな時に強力な助っ人になるのが人工照明栽培(植物育成ライトの使用)です。
植物育成ライトを使って人工照明で栽培すると、天気にかかわらずまた暗い部屋でも日光不足を解消できて天気に振り回されることもなくなります。
しかしこの植物育成ライトは開始するのに心理的な障壁が大きく、ついつい先延ばししてしまいがちです。種類が多すぎてどれを選べば良いか分かりませんし、そもそも多肉植物はLEDなんかで育つのか、という疑問も湧いてきます。
管理人もそうで、多肉植物栽培4年目にしてようやく買う決心がつきました。
買って良かった
使い始めての感想は・・・「簡単、便利、安心」です。
設置して、多肉植物を置きスイッチをオンにするだけです。4種類購入して、吊り下げ式など若干組み立てに時間がかかるものもありましたが、クリップで挟むタイプはとにかく簡単です。
日のない所でも植物が育てられるというのはとても便利です。今までなるべく窓際に置いてローテーションして、など工夫を凝らしていましたが、育成ライトはコンセントがある部屋ならどこでも植物が育てられるという印象です。
曇りの日や晴天の日、雨の日など天気で日光の強さが変わり、そのたびに場所を移動していましたが、もうそのような面倒がありません。
そして強い光を浴びている多肉植物を見ていると、徒長させなくて済むという安心感が強いです。
現在使用している多肉植物
現在4個のLED植物育成ライトを稼働させています。その中で、育てているのはメセンのプレイオスピロス属「帝玉」、リトープス属、そして実生(種まき)の苗です。
リトープスと帝玉も種まきから育てたもので、いずれも1~2年目の株です。種まきの苗は今年の4月に蒔いたもので、まだ数ミリのごく小さな苗です。今回通常の多肉植物(エケベリアやグラプトペタルム、クラッスラなど)を除外したのは、徒長してもこれらの種類はさし木ですぐに更新(リカバリー)できるためです。
メセン類やサボテンは一度徒長させると、さし木で復活させることができません。
デメリットは
使って感じたデメリットは以下のような点です。
- 光の強さは思ったほど強くない
- 照度計が必須になる
- 風通しが悪いので、人工的に風を送っている
- 電気代が若干気になる
光の強さは思ったほど強くない
太陽光は本当に明るいです。5月上旬の正午、直射日光下を照度計で測ると13万ルクスあります。午前中や午後でも6万ルクスありました。
それに対し植物育成ライトの光は弱いです。強いものでも3万ルクスくらいしか出ません。そのため強い1,000W相当の植物育成ライトを使ったり、暗めのライトは苗をぐっと近づけて育てています。
照度計が必須になる
その中で本当に光の強さが足りているか心配になり、正確に調べるため照度計も購入することになりました。
ご存じのようにスマホではアプリを入れれば照度を測ることができるのですが、これが非常に精度が悪く複数のスマホを同じ電球下に置いても1,000~4,000lxの差が出てしまいます。そのためアプリでの計測はしないほうが安全です。
管理人も最初はスマホのアプリで測っていたのですが、照度計を購入して同じ所を測ってみると2倍近い差が開くこともあり、ひやっとしました。
照度計は2,000円程度で買えますので、スマホで測っている方で植物育成ライトを取り入れるのであれば、なるべく入手されたほうが良いと思います。(スマホでの計測値はルクスメーターより高くでる傾向があります。)
風通しが悪いので、人工的に風を送っている
多肉植物を徒長させないためには、光だけでなく風通しも必要です。戸外では自然に風が吹くのでほとんど通気に関しては気に留めることがありませんが、室内では全くの無風のため、なんらかの方法で風を送ることが必要になります。
通常の扇風機でもよいですが、管理人はネットで1,000円ぐらいで買えるミニ扇風機を導入しました。これをモバイルバッテリーに接続して一日12時間程度通気をはかります。しかしこれはうるさくて結構大変です。
電気代が若干気になる
66W、32W、12W、8Wの4つの植物育成ライトを使っているので合計120W程度の電気を使用します。これは0.12KWhに当たり、一日9時間で1ヶ月間では907円になります。決して無視できない電気代がかかることが分かります。
効果は?
効果については、使用開始からちょうど1ヶ月なので、なんとも判断するには早すぎると思うのですが、今の所は全く徒長せず、元気に生育しています。この時期、室内の暗い所に1ヶ月置いていれば、メセン類でも確実に徒長するので、全く徒長しない所を見ると効果はあると考えてよいと思います。
これから数ヶ月栽培してみて、戸外で育てた分と比較していきたいと思っています。
2022/12追記 LED育成ライトでの栽培結果
植物育成ライトを使い始めて半年が過ぎました。使ってみてある程度使い心地や効果について分かってきたので、追記させていただきたいと思います。
以下が設置状況となります。
- 使用したライト:Greensindoorのパネル型1枚 ※1
- 照射時間:9:00~17:00
- 実測の明るさ:10,000ルクス程度
※1の解説ページ
まず植物育成ライトは多肉植物の育成に充分な効果があります。
夏場、正確には5/1から9/5までの4ヶ月間にリトープスを室内で栽培したところ、ちゃんと直径も大きくなりましたし、腐ったり溶けたりしたものはほとんどありませんでした。
そして気になる徒長ですが、僅かに徒長しましたが(2~3mmほど背が長くなった)許容範囲でした。
4ヶ月間全く太陽の光に当てずに育てたにもかかわらず、大きくなった・それほど徒長しなかったというのは、LEDライトの光でしっかり光合成できたことを表しています。
ただ、数ミリ徒長したことは気にかかります。また苗の上から照射したため、側面に日焼け跡ができない(色が付かない)のも気になりました。
徒長については、室温の高さや光の強さ不足が考えられます。室温はエアコンをほとんどつけない部屋のため、常時30℃程度ありました。また1万ルクスの光を当てましたが、真夏の直射日光は10万ルクスを超え、半日陰でも2~5万ルクス程度あり、1万では足りなかった可能性があります。
どのぐらいの光を当てたらよいのかは、多肉植物の種類にもよりますので、これから実験していかないといけません。
しかし30cmの至近距離でも1万ルクスの強い光を出す植物育成ライトは限られているので、これ以上強い光を当てるのは難しそうです。(植物育成ライトはLEDのものでもやはりそれなりに放熱する=熱くなるため、多肉植物から15cm以上は離しておく必要があります。)
また明るいライトでも実用レベルでの照射距離は狭く、直下と周辺30cm程度(2.5号鉢の7.5cmポット12個の鉢をカゴに入れたものが左右などに1個ずつ置ける)です。
また先ほどほとんど株が溶けなかったと書きましたが、これはミニ扇風機をほぼ一日中当て続けていた影響が大きく、そのままただ置いているだけだったら、かなりの数が蒸れて溶けた可能性があります。
このように色々と条件付きではありますが、全く太陽光がない室内で植物育成ライトを使って多肉植物を栽培することは可能であると考えて問題ないと思います。
現在は12月で5℃を切る日があるため、コーデックス(塊根植物)、ユーフォルビア、寒さに弱いサボテンなどを室内に取り込みライトを照射しています。また3月頃にその結果を報告させていただきたいと思います。