目次
エケベリア属の写真
ラウイ | カンテ | モンロー |
ルンヨニー | セトーサ(青い渚) | プリラータ |
グスト(森の妖精) | ジェイドポイント | トップシーダービー |
ブラックプリンス | 銀明色 | 花うらら |
七福神 | リラシナ | ピンクザザラコーザ |
ハムシー | フロスティー | |
ラウイの種子 |
エケベリアの基本情報
科 | ベンケイソウ科 |
---|---|
属 | エケベリア属(Echeveria) |
生育型 | 春秋型 |
育てやすさ | 普通 |
成長速度 | 普通 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 普通 |
越冬最低温度 | 0~3℃(書籍値) |
温度 | 実測値0℃~40℃程度 |
増やし方 | 葉挿し〇、挿し木〇、胴切り〇、株分け〇、種まき(実生) |
原産地 | 中央アメリカ、メキシコ、南アメリカの北西部 |
花言葉 | 「逞しさ(たくましさ)」、「優美」など |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
耐寒性-強い・普通・やや弱い・弱い
耐暑性-強い・普通・やや弱い・弱い
※耐寒温度は水やりを控えた場合の目安値で、状況によりこれより狭くなることがあります。
※実測値は半日陰の場合で直射日光下ではこれより低くなります。
エケベリアの特徴
エケベリアの原産地は中央アメリカからメキシコなどのベンケイソウ科の多肉植物です。日本の気候では春や秋(15~25℃程度)によく生育するするため「春秋型」として栽培されます。酷暑は少し生育が鈍り、冬にも生育緩慢になりますが、多肉植物の中では比較的寒さに強いです。といってもエケベリアは原種でも180種見つかっており、気温の低い高い山や比較的暑い低地に自生するものなど、特徴がさまざまで好きな環境や苦手な環境も異なります。育て方も自ずと変わってきます。
色も形もバラエティー豊か
葉がロゼット状につくため、初めて見るとバラの花と間違えてしまいそうな形をしています。小さいものは直径が3cmから大型種は50cmの巨大なものまで、フリルのある葉、細長い葉、丸い葉など形も様々です。そして葉の色は緑系、赤系、オレンジ系、黄色系、ピンク系、紫系など色鮮やかです。さらにエケベリアは紅葉する種類があり、秋から冬にかけては色の移り変わりを楽しむこともできます。
原種の数も交配種数も多い
すでにたくさんの栽培家がおり、1,000を超える品種が掛け合わせで生まれています。多すぎて全部は揃えられませんが、自分の好きな品種から少しずつ集めて栽培してみましょう。
花も楽しめる
エケベリアは株が充実してくると花が咲きます。花は美しく長く咲いて花だけでも充分楽しめますが、種を採ることもできます。自分の好きな種類を人工授粉させて新しい品種を作る楽しみもあります。
育て方のコツ
- 夏の蒸し暑さは苦手なので風通しのよい涼しい環境に
- 夏は月1回程度、春秋は週に1回程度の水やり
- 6~9月は半日陰に、それ以外はよく日に当てる
- 年間を通して雨ざらしにしない
- 冬は0℃以下になったら室内へ取り込む
育て方は種類により差がありますが、全体的に他の多肉植物に比べて栽培は容易です。寒さ暑さに強い点が一点と、繁殖力の強いが一点、そして株の丈夫さが育てやすいポイントになっています。
春と秋にはたっぷり水を与え挿し木や植え替えなどお世話も忙しいですが、夏と冬は放置気味でも大丈夫だったりします。もちろん寒さ・暑さ対策は必要ですが、0℃~40℃程度までは耐えることができています。
年間栽培カレンダー
生育期 | 3~5月、9~11月 |
---|---|
休眠期 | 7~8月、1~2月 |
緩慢な時期 | 6月、12月 |
水やり |
|
---|---|
置き場所 |
|
植え替え |
|
増やす |
|
肥料 |
|
開花 |
|
※栽培カレンダーはあくまでも目安です。実際は土や鉢の種類、地域によって大きく異なります。この表は福岡県平野部で多肉植物用の棚を使って育てている場合の情報です。お住まいの地域や使っている土、置き場所によって適宜読み替えて下さい。
主な種類名
相生傘(アイオイガサ) | Echeveria agavoides ‘Prolifera’ |
アガボイデス | Echeveria agavoides |
アモナエ・ペロテ | Echeveria amoena ‘Perote’ |
エレガンス | Echeveria elegans |
王女の花笠(オウジョノハナガサ) | Echeveria ‘Meridian’ |
王妃錦司晃(オウヒキンシコウ) | Echeveria ciliata |
カンテ | Echeveria cante |
寒鳥巣(カントリス) | Echeveria fasciculata |
キャロル | Echeveria ‘Carol’ |
錦晃星(キンコウセイ) | Echeveria pulvinata |
銀武源(ギンブゲン) | Echeveria ‘Ginbugen’ |
銀明色(ギンメイショク) | Echeveria carnicolor |
グスト(森の妖精) | Echeveria ‘Gusto’ |
クスピダタ | Echeveria cuspidata |
久米の里(クメノサト) | Echeveria spectabilis cv. |
久米舞(クメマイ) | Echeveria spectabilis |
クライギアナ | Echeveria craigiana |
古紫(コムラサキ) | Echeveria affinis |
コロラータ | Echeveria colorata |
サンカルロス | Echeveria runyoni ‘San Calros’ |
ジェイドポイント | Echeveria ‘Jade Point’ |
七福神(シチフクジン) | Echeveria ‘Shichifuku-jin’ |
シャビアナ | Echeveria shaviana |
ジュリア | Echeveria ‘Julia’ |
睡蓮(スイレン) | |
すみれ牡丹 | Echeveria ‘Sumire Botan’ |
静夜(セイヤ) | Echeveria derenbergii |
セトーサ(青い渚) | Echeveria setosa var. setosa |
高砂の翁(タカサゴノオキナ) | Echeveria cv. ‘Takasagonookina’ |
タパルパ | Echeveria colorata ‘Tapalpa’ |
チワワエンシス | Echeveria chihuahuaensis |
月影(ツキカゲ) | Echeveria elegans |
デスメチアナ | Echeveria peacockii ‘Desmetiana’ |
デレノサ | Echeveria cv. ‘Derenosa’ |
トップシータービー | Echeveria runyonii ‘Topsy Turvy’ |
錦の司(ニシキノツカサ) | Echeveria harmsii |
野バラの精 | Echeveria ‘Nobaranosei’ |
パーティードレス | Echeveria ‘Party Dress’ |
パールフォンニュルンベルグ | Echeveria cv. ‘Perle von Nurnberg’ |
バイオリーナ | Echeveria Yeomiwol |
白鳳(ハクホウ) | Echeveria ‘Hakuhou’ |
花いかだ | Echeveria cv. |
花うらら | Echeveria pulidonis |
ハムシー | Echeveria harmsii |
パリダ | Echeveria pallida ‘hyb.’ |
ピーコッキー | Echeveria peacockii |
ピオリス | Echeveria Piorisu |
ピンクレディー | Echeveria ‘Pink Lady’ |
ファンクィーン | Echeveria ‘Van Breen’ |
ブラックプリンス | Echeveria ‘Black Prince’ |
プリラータ | Echeveria |
フロスティー | Echeveria Frosty |
ホワイトローズ | Echeveria ‘White Rose’ |
ボンビシナ(白閃冠) | Echeveria ‘Bonbycina’ |
緑牡丹(ミドリボタン) | Echeveria ‘Midoribotan’ |
ミニマ | Echeveria minima |
魅惑の宵(ミワクノヨイ) | Echeveria agavoides cv. |
桃太郎(モモタロウ) | Echeveria ‘Momotarou’ |
モラニー | Echeveria moranii |
大和錦(ヤマトニシキ) | Echeveria purpusorum |
ラウイー | Echeveria laui |
ラウリンゼ | Echeveria ‘Laulindsa’ |
リラシナ | Echeveria lilacina |
リンゼアナ | Echeveria colorata ‘Lindsayana’ |
ルノーディーン | Echeveria ‘Lenore Dean’ |
ルンヨニー | Echeveria runyoni |
レグレンシス | Echeveria secunda var.reglensis |
レッドエッジ | Echeveria agavoides ‘Red Edge’ |
ローラ | Echeveria ‘Lola’ |
ロメオ | Echeveria agavoides ‘Romeo’ |
スポンサーリンク
育て方のポイント
水やり
基本は休眠期にはほとんど与えず、生育期をメインにしっかり水を与えます。エケベリアは割と寒さ暑さと水切りに強いので、相当水やりを控えてもしわがよったりしにくいです。逆に水分が多いとひょろ長く徒長しやすいため、水やりをしすぎないように気をつけましょう。ただあまり控えすぎると大きくならなくなるので、春秋は週1回程度与えて問題ありません。
時期ごとの水やり
10℃~25℃で最も生育する春秋型なので、生育期の春(3~5月)と秋(9~11月)は土が乾いたら土の乾き具合を見ながら、およそ1週間に1回程度鉢底から流れ出るまで与えます。6月からは夏の休眠に向けて2週間に1回程度、1回分の量もやや少なめにします。30℃を超える7~8月は休眠するので月1~2回ほど、鉢の表面が濡れる程度に減らしましょう。12~2月も水やりを減らし、5℃以下の厳冬時は月1回程度に抑えます。0~3℃の場合は水やりをまったくしない断水か、室内に取り込んでごく少量与えるにとどめます。
水やりの注意点
寒い時期は暖かい朝~昼に水をやり、暑い時期は涼しくなる夕方に水を与えましょう。夏冬の水やりを控えめにすると耐暑性と耐寒性が強くなります。暑さに弱いラウイやセトーサ(青い渚)、カンテなどは夏の水やりを特に控えめに、逆に寒さに弱いルンヨニーやリラシナなどは冬に水やりを特に控えめにするとよいです。水やりするときは葉の中心(ロゼットの中央)に水が溜まらないように細いじょうろで土にかけるように与えます。
置き場
基本的な置き場所
どの季節でも雨ざらしにしないようにします。
季節ごとの置き場所は、6~9月は雨がかからない屋外の明るい日陰(50%遮光)に置きます。10~11月と3月~5月は雨がかからない日当たりのよい屋外に置きます。0℃を下回る12月~2月は温室か日当たりの良い窓辺に取り込みましょう。日光不足では徒長してしまうので、真夏以外はできる限り日に当てるようにしましょう。
厳冬・猛暑の際の工夫
関東以北の寒冷地では、霜に当てないように温度に注意しましょう。関西以南の0℃を下回らない地域では、年中戸外で栽培できますが、寒波で0℃以下になるような日は室内の日当たりのよい場所に取り込みます。室内に置く場合は1日最低4時間以上日の当たる所が望ましいです。
夏の暑さに弱い種類は、他のエケベリアより遮光率をあげ休眠しやすいようにします。どの季節も風通しの良いところに置くことがポイントです。雨ざらしにならない軒下やベランダに置き、もし室内に置く場合は特に風通しが悪くなるので扇風機を回すなど工夫が必要です。またブラックプリンスなどの葉の色が黒いものは夏の遮光を忘れずにしましょう。白色のものや粉のついているものは強い日差しにもわりと耐えられます。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
全体的にエケベリアは夏の暑さに強いですが、一部弱い種類もあります。また暑さ自体は大丈夫でも梅雨の時のような高湿度は苦手なので風通しを心がけましょう。
夏の管理
夏の直射日光は強すぎるので6~9月は50%遮光します。50%遮光とは、市販されている50%遮光ネットをかけたり直射日光の当たらない明るい日陰(半日陰)に移動させたりすることです。直射日光下だと30℃も耐えられませんが、遮光しておけば(半日陰なら)実測値40~45℃を普通に耐えることができます。
ただ青い渚(セトーサ)のような暑さに弱いデリケートな種類は、蒸れやすく暑い日に水やりすると根が煮えてあっという間に枯れてしまうことがありますので、水やりは涼しい日に行い、水やり後4~5日程度はしっかり遮光して温度をできるだけ下げてあげます。
耐寒温度と冬越し方法
多肉植物の中では耐寒性が強く、最低越冬温度は0~3℃まで耐えられるとされています(実際0℃を問題なく耐えます)。ただこれは水やりを控えた場合の実測値で、水やりを多めにしていると0℃も耐えられないことがあります。そのため初心者の場合は安全をみて3℃程度までにしたほうがよいかもしれません。
エケベリアは全体的には寒さに強いですが全部が0℃に耐えられるわけではありません。また強い寒さに当たると株が傷み、傷みが激しいと夏を迎えた時、弱って枯れてしまうことがあります。
冬の管理
多肉植物は体の水分が少ないと耐寒性が上がる特徴があります。そのため0~3℃の時は水やりは控えておいたほうが安全です。また寒風に吹きさらされると気温がマイナスにならなくても株が傷みます。そのような場合には簡易ビニール温室があると便利です。簡易ビニール温室は寒風や雪を避ける効果があります。ただ簡易ビニール温室には保温効果はないので保温目的には向きません。
冬場に0℃を下回る寒冷地や暖地でも寒波の時は室内に取り込みますが、最低1日4時間日の当たるところで15℃以下(理想は5~10℃程度)の室温が保てるところに置きたいものです。冬に20℃もあるような暖かい室内で日光不足、過湿が重なると徒長してヒョロヒョロと弱々しくなってしまいます。
手間がかかりますが、暖かい日の昼間だけは外に出すなど日照を確保できる工夫をしていきましょう。冬は日光が弱くなるためなるべく長い日照時間を確保することが大切です。
スポンサーリンク
増やし方
エケベリアは葉挿し、株分け、挿し木、種まきなど様々な方法で殖やすことができます。葉挿しやさし芽(挿し木)は初心者でも簡単に行えます。
増やすのに適する時期は3~5月頃と9~11月頃です。7、8月や12~2月など酷暑・厳冬時にかからないように、特に挿し木は時期を守るようにします。(真夏・真冬は休眠しているので発根しにくく成長がとても遅いです。)
種まきは3月~5月の春にできる品種が多いですが、土の水分や温度管理がやや難しめです。
挿し芽の方法
エケベリアは挿し木ができます。挿し木はさし芽とも呼び、茎を切り取って増やすことをいいます。(エケベリアでは胴切りに近いです)先端から4~5cm程度で水平に切りそれを挿します。子株が出てきているのであれば、子株を外して使うこともできます。
手順
まず下の方についている葉をもぎ取ります。もぎ口から根が出てくることが多いので、もったいないようですが下葉は落としてしまいます。落とした葉は葉挿しにすることができます。そして乾燥している瓶などに立てかけて発根を待ちます。
挿し木の適期だと2週間ほどで根が出ますが、寒さ暑さが厳しいと1ヶ月くらいかかることもあります。この間は明るい日陰(半日陰)で管理し、直射日光は当てないようにします。根が出てきたら土に植えて水やりを開始します。切り取った親株からは、切り取った地点に2カ所ぐらい脇芽が吹くことが多いので、棒状になってしまった親株も捨てずに育てましょう。親株から脇芽が出るまでは少し時間がかかり、2ヶ月程度かかります。
葉挿しの方法
エケベリアでは葉挿しもよく行われます。葉挿しは親株からもいだり勝手に落ちたりした葉から、新しい株を作る方法です。挿し木と比べて時間がかかりますが、一気にたくさんの子株を作ることができます。ただ成功率は100%ではなく、芽が出ない・根が出ないこともあります。どんなに慎重に行っても一定数は失敗してしまいます。そのため少し余分に作ると安心です。
手順
まず挿し木の時に出た下葉や親株からもぎとった葉をトレーなどに並べておきます。もぎとる場合、葉は丁寧にそっと付け根から剥がすようにもぎ取ります。エケベリアの葉挿しは葉の付け根(茎とつながっていた部分)から子株が出るので、葉の途中で切れてしまったら芽はでません。
早い種類では2週間程度で発根してくるので、根が出たら細かめの土の上に乗せます。根は軽く土をかぶせ、新芽には土をかぶせないようにします。その後もぎ口から芽が出てきて2~4ヶ月でゆっくり子株に成長していきます。この間はずっと直射日光に当てず、風通しのよい半日陰か室内の窓辺などで管理します。親葉が完全にカリカリになったら鉢上げし(栽培用の鉢に植え替え)水やりを開始、徐々に親株と同じ環境に慣れさせていきます。
胴切りの方法
エケベリアは株を水平に切って別々にして増やす「胴切り」という方法もできます。
株分け・子株取りの方法
エケベリアは長く育てていると株元から子株が出てくることが多いです。その場合、既に根が生えてきている子株はそのまま植えて水をやってよいですが、根のない脇芽であれば土に挿しておき発根まで待ってから水やりを行います。株分けは親株の植え替えと同時に行う場合もあります。
種まきの方法
エケベリアでは種まき(実生・みしょう)で増やすこともできます。種まきは手順が多いので別のページでまとめています。エケベリアの場合、発芽は20~25℃なので春蒔き、または秋まきにすることが多いです。
種まきの詳細は以下のページで解説しています。
植え替え
エケベリアは生育が早めなので1年に1回程度を目安に植え替えを行いましょう。
植え替えも休眠期は控え、生育期か生育期の少し前(3~5月頃)に行います。(休眠期は根の出が悪くなってしまうので避けます。)植え替えをするとその後の生育がよくなるので生育期直前ごろがベストな時期です。
植え替えは肥料不足を補ったり、細かくなってしまった土を新しくして通気をよくさせたり、古い根を整理したり、害虫を駆除したりするなどの効果があります。
また気根(茎から空中に向かって伸びる根)が出てきている場合も、根詰まりのサインで植え替えが必要なことを表しています。
土と鉢
土の選び方
土は排水性と通気のよいものを選びましょう。市販の多肉植物用の用土でもよいですし、自分でブレンドする場合は、赤玉土をメインにピートモスや軽石などを配合する方法が考えられます。
(例)赤玉土1:軽石1:ピートモス1
(例)上にくん炭やパーライトを0.5ずつ加えるなど
市販の植物や野菜用の土は、水持ちがよすぎることと通気性があまりないため、エケベリアには向いていません。
以下のページでは、おすすめの多肉植物培養土を紹介しています。
鉢の選び方
植物には適切な鉢の大きさがあり、大きすぎる鉢に植えると根がしたまで届かず水が溜まり、根腐れや酸素不足を起こしがちになります。エケベリアでは根腐れや徒長、ロゼット(バラの形をしたようなエケベリアの本来の形)のくずれを起こしやすいです。
鉢の大きさは株をいれて株と鉢の間に指が1~2本入る程度が最適です。
エケベリアはコンパクトにしたい場合は小さな鉢に植えていればそれ以上大きくならずに済みます。もし大きくしたいのであれば、毎年の植え替えで一回りずつ大きな鉢に植え替えていくと、根が広く張り親株は大きくなりますし、子株の出もよくなります。
また鉢にはプラスチック鉢(プラ鉢)と陶器の鉢があり、性質がかなり異なります。陶器の鉢は水はけがよくそれだけ頻繁な水やりが必要になります。プラ鉢は水が簡単に乾きにくく、また軽いという特徴があります。
エケベリアはどちらに植えてもちゃんと育ちますので、場合に応じて選んでみてください。
肥料
エケベリアを鉢植えで栽培するには肥料が必要です。長く栽培していると肥料分が不足するほか、微量要素も流れ出してしまいます。
そのため緩効性化成肥料(マグアンプK小粒など)を元肥として植え付け時に与えるか、追肥として液体肥料(ハイポネックス原液、花工場原液などを希釈したもの)、必要な場合は植物用活力剤も与えるようにします。
肥料のやり方
元肥か追肥はどちらか一方でよく、両方与えるとあげすぎになってしまいます。元肥で与えるなら植え替え時や植え付け時に、緩効性化成肥料を2つまみほど土の中に入れてから通常通り植え付けます。
追肥で与える場合は、3~4月か9~10月のどちらかで、2週間おきに3回程度、薄めた液肥を水やり代わりに与えます。この時鉢底から液肥が流れ出るまでたっぷり与えてください。
※植物活力剤は商品により異なりますが、植物に必要な微量要素やビタミンなどを含むものです。花工場原液やハイポネックス原液にはこれらが入っているため、別に活力剤を与える手間がありません。
病害虫
エケベリアは比較的病気になりにくいですが、害虫はアブラムシなどが付きやすいようです。また、葉焼けや根腐れ、茎腐れなどの生理障害は起こりやすいグループなので、生育環境(遮光ネットや雨よけなど)をしっかり整備するようにしてください。
病気
深く植えると株元の通気が悪くなり、灰色カビ病などのカビ病が発生しやすくなるので深植えしすぎないようにします。枯れた下葉はカビが生えるもとになるため、剥がした方がよいです。また軟腐病にかかると他に伝染するので、茎が腐って悪臭がする場合は抜き取り処分せざるを得ない場合があります。
害虫
害虫は乾燥気味の根にネジラミがつきやすいです。また花茎にはアブラムシ、葉の付け根にはカイガラムシ、その他アザミウマ、ハダニが発生することもあります。オルトランDX(粒剤の緩効性殺虫剤)を事前に土に撒いておくと、スプレー剤のように葉を汚さずに済みます。
なおハダニはダニ類なので通常の殺虫剤が効きません。殺ダニ作用のある殺虫剤をまくか、殺ダニ剤を散布する必要があります。
生理障害
葉焼けは葉に強い日光があたりやけどすることで、黒くなったりチリチリになってしまうことです。株全体に及ぶと最悪枯れてしまうことがあります。また水滴がついたまま茎などに直射日光が当たると、茎腐れが起こり、また土が非常に熱くなると根腐れしてしまうことがあります。
また0℃程度には耐えるものの、非常に寒さに強いわけではなく、凍結させたり霜に当てたりすると復活できなくなることがあります。春以降の成長をスムーズにするためにも、0℃程度の最低気温を保つほうがよいと思います。
いずれも遮光ネットや雨よけなどをしっかりしていれば防ぐことができます。
病気の株を復活させる方法
病気や根腐れなどを起こした株も作業次第で助かる場合があります。
花
エケベリアは写真のようなカラフルな美しい花を咲かせてくれます。
花の感じはパキフィツムに似ており、肉厚の花びらを5~6枚程度ベルのように下向きに咲かせます。カラーは黄色、オレンジ、ピンクなどがあり、時期は12月頃から花芽が確認できるようになり、2~5月頃までに次第に伸びてきて開花に至ります。一つの花の寿命は2週間程度のようです。
エケベリアは花をつけやすい種類となかなか付けない種類があります。どちらにしても株が充実しないと花芽はつかず、大きめの鉢にゆったり植えると根をよく張り、花つきもよくなります。花芽の準備を整えるには、春から秋までに適度に日に当て、生育期はしっかり水をやることが大切です。
多肉植物の中には花が咲くと株が枯れてしまう種類がありますが、エケベリアはそんなことはなく、翌年も再び花をつけてくれます。
時には花茎が何本もあがることがあり、その場合は全部咲かせると株に負荷がかかり葉の水分が使われ葉が枯れることがあるので、1~2本にしたほうがよいのではないかと感じます。
おしゃれな飾り方
ルンヨニーの子株とファリナセア錦の寄せ植え
エケベリアはひと苗だけでも充分に美しく、ポットを化粧鉢に入れたりまた黒くてかっこいい鉢に植え替えても美しくなります。もちろん寄せ植えにもすることができ、葉の色や株の形の異なる種類を3ポット程度、おしゃれな容器に植えれば素敵なインテリアになります。
もちろんエケベリアは植物なので室内には長く飾れません。(夏場1週間、冬場1ヶ月程度が限界です。)しかしたくさんエケベリアを集めてローテーションしていけば、苗のダメージも少なく毎日楽しめます。
値段や販売店など
売っている所
店舗
エケベリアは人気が高いため、園芸店やホームセンター、また街の花屋さんなどでも見かけます。またダイソーでも販売が確認されており、店舗により110円または330円で取り扱いがあるようです。
ただ多肉植物専門店でないお店では、店内で販売されていることもあり、そのような苗は日照不足になっています。時間が経つにつれ徒長したり品質が低下してしまうので、お気に入りの苗は早めに購入してしっかり日に当ててあげましょう。
通販
店頭で買えるエケベリアですが、通販でも購入することができ、楽天市場やヤフーショッピング、多肉植物専門通販サイトなどでも販売されています。
楽天市場やヤフーショッピング、多肉植物通販サイトでは素敵な鉢に植わっていてそのままインテリアとして楽しめる商品もあります。またメルカリ、ヤフオクなどのフリマサイトではポットごとの苗以外に抜き苗と呼ばれる形(土を落として配送されるもの)で出品されていることもあり、送料も節約でき最安値で購入できたりします。
またネット通販では福袋と称してエケベリアのポット苗を複数セットにして3,000円、5,000円、8,000円などぽっきり価格で販売しているのをみかけます。
またエケベリアは韓国苗と呼ばれる輸入苗がたくさん流通しています。
値段
エケベリアの価格は種類により異なります。安いものは100円から高いものは3,000円を超えるものまで幅広いですが、園芸店で普通に売っている普及種は概ね500円~800円程度です。
小さいものや百均に売っているものは100円から買えますが、大きく育ったものほど高く、また希少種、レア種は3,000円を超えるなど高価な傾向にあります。
オンラインショップでも購入できますスポンサーリンク
エケベリアによくあるトラブル
トラブル事例
花が咲かない、花芽がつかない
基本的に全ての多肉植物は花が咲きます。そしてエケベリアも花が咲かない種類はありません。それなのに花芽がつかない・花が咲かない原因は、いくつかあります。まず植えたばかりの小さな苗から花芽はでません。ある程度大きくなって株が充実することで花芽が出る年齢(開花年齢)になります。その他の原因としては日光不足で花芽がつくほどのエネルギーが蓄えられなかったこと、小さすぎる鉢に植えていて根詰まりしていること、また季節外れに花芽が上がると葉になってしまうことも稀にあります。
挿し木・胴切りで根が出ない
繁殖作業で根や芽が出ない時、一番に考えられるのは時期が不適切(温度の高すぎまたは低すぎ)なことです。冬の場合、芽や根が出るのにかなり時間がかかるもののゆっくり出てくる可能性が高いですが、夏だと切り口から腐ってダメになってしまうことがあります。他に考えられるのは株が弱っていて芽や根が出る体力が残っていないことや、病害虫、凍結や葉焼けなどのダメージが強い苗ではうまくいかないことなどがあります。
伸びすぎてしまった(徒長)
徒長してしまったエケベリアは胴切りや挿し木で復活させることができます。(方法は上で解説しています。)徒長の原因は主に日光不足で、その他水のやり過ぎと夏の高温も原因になることがあります。またエケベリアの中でも種類によって徒長しやすい種類としにくい種類があります。春と秋を中心に直射日光で栽培(夏は半日陰)するようにします。またしっかり日に当てているのに徒長する場合は高温も考えられるため、できれば涼しい所に移動するようにします。
Q&A
きれいに紅葉させたいのに色が付かない
紅葉には「日光」「寒さ」「適度な水やり」が必要です。春と秋を中心に直射日光で栽培し(夏は半日陰)10月頃から寒さが深まってくると徐々に色づいてきます。また色づきには時間がかかり11月頃にやっとしっかり色がついてきて翌年4月頃まで、赤や紫、ピンクなどの色を楽しめます。
ロゼットをぎゅっと締めて丸い形にしたい
エケベリアはしっかり日光に当てていると葉を閉じて、日光不足になると葉(ロゼット状)が開いて反り返ってきます。こちらも春と秋を中心に直射日光で栽培し、夏は半日陰程度にすることで、ぎゅっと締まった丸い形にすることができます。
葉挿しはどこから葉を採るべき?
株元の大きい葉を使うと時間がかかりますが大きめの子株ができます。先端の小さな葉を使うと早く育ちますが、子株ができるまでに力尽きてしまうことがあります。そのため管理人は中間の辺りの葉を使うようにしています。
下葉が枯れるのはなぜ?
下の方についている葉が枯れるのは、ある程度は生理現象で仕方ないことです。しかし枯れるスピードが速く株がなかなか大きくならないようであれば、根詰まりや鉢の小さすぎの可能性があります。適期に植え替えを行ったり、鉢を一回り大きくして様子を見てみてください。
花芽ができたらどうするべき?
エケベリアは美しい花を咲かせてくれたり、もちろん交配して種を採ることもできます。そのため花を観賞するのであればそのまま生育を見守ります。もし小さな株なのにたくさん花芽ができてきて、体力を使ってしまいそうな感じがしたり、そもそも花を楽しむ予定がない場合は、摘み取ったり本数を間引いたりしたほうが葉が枯れなくて済みます。
室内で長期間育てられる?
エケベリアは本来屋外で育てるのが基本ですが、環境を整えることで室内で栽培することもできます。環境とは、強い光を出せる植物育成ライト(育成LEDライト)と、風を送るためのサーキュレーター(または扇風機)の設置です。エケベリアでは1万ルクス以上の育成ライトが必要なので照度計でしっかり測って設置する位置を決めてください。そして5~9月頃の暑い時期は一日中送風しておく必要があります。(春秋冬は少なめで大丈夫です。)
地植えできる?
エケベリアは一部地植えできるほど強い種類(七福神など)がありますが、大半は大雨などで腐りやすく地植えは難しいです。雨ざらしにすると粉はげするなど、美観も損なってしまいます。特に梅雨時や真夏に雨がたくさん降り、その後急に日が照ってきた時が要注意です。