目次
ギバエウム属の写真
ギバエウムの種 | 実生(種まき)風景 | |
無比玉(ムヒギョク) | 大鮫(オオサメ) | 青珠子玉(アオジュズダマ) |
銀光玉(ギンコウギョク) | 銀鯱(ギンシャチ) | 立鮫(タチザメ) |
白魔(ハクマ) | 碧鮫(ヘキザメ) | 藻玲玉(モレイギョク) |
※2~4段目の画像は全てWikipediaのギバエウムページより引用しています。
ギバエウム属(Gibbaeum)の特徴
科 | ツルナ科 |
属 | ギバエウム(Gibbaeum)属 |
生育型 | 冬型 |
育てやすさ | やや難しい |
成長速度 | 遅い |
増やし方 | 株分け |
原産地 | 南アフリカ |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
ギバエウムは南アフリカ原産で20種類ほどが生息しています。コノフィツムなどと似ていて、葉が対になってでてきて、その中からまたぱっくりと次の葉が出てきます。葉の枚数はやや不揃いで、2~3枚出ます。冬にはピンクや白、黄色などの鮮やかな花を咲かせます。原生地では石がゴロゴロしているところに生えているので石と見分けがつきにくいです。
育て方はやや難あり
メセン類の中ではやや育てやすいグループですが、ベンケイソウ科のエケベリアやクラッスラよりは断然難しいです。特に夏越しが苦労し、蒸し暑さで溶けたり腐ったりしてしまうことも多いです。コツは6~8月は一切水をやらない断水をすることです。メセン類はなかなか増やすのが大変ですが、ギバエウムは分球しやすいので比較的繁殖はうまくいくことが多いようです。
育て方のコツ
- 夏は半日陰か遮光し、できるだけ風通しがよく涼しい環境を作る
- 6~8月は一切水を与えない「断水」をする
- 生育期の春秋は乾いたら鉢底から流れるまで水を与える
- 真夏以外はしっかり日に当てて育てる
年間栽培カレンダー
型 | 冬型 |
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生育期 | 3~5月と10~12月 |
休眠期 | 6~8月 |
緩慢な時期 | 1~2月 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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※栽培カレンダーはあくまでも目安です。実際は土や鉢の種類、地域によって大きく異なります。地域や使っている土、置き場所によって適宜読み替えて下さい。
主な種類名
無比玉(ムヒギョク) | Gibbaeum dispar |
大鮫(オオサメ) | Gibbaeum velutinum |
白魔(ハクマ) | Gibbaeum album |
青珠子玉(アオジュズダマ) | Gibbaeum geminum |
碧鮫(ヘキザメ) | Gibbaeum gibbosum |
銀光玉(ギンコウギョク) | Gibbaeum heathii |
ジョンストニー | Gibbaeum johnstonii |
藻玲玉(モレイギョク) | Gibbaeum nuciform ‘Cryptopodium’ |
立鮫(タチザメ) | Gibbaeum pubescens |
銀鯱(ギンシャチ) | Gibbaeum shandii |
コンプトニー | Gibbaeum comptonii |
多肉植物の日本での栽培は自生地の環境と異なります。そのため日本の寒さや暑さに耐えられなくなると生育が鈍ったり成長が止まったりします。その時期のことを「休眠」といいます。時期は種類によって異なり、夏に休眠するタイプと冬に休眠するタイプがあります。休眠期は生育が鈍るので肥料や水やりを控え、挿し木や株分けなど株へ負担をかける作業を控えます。
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育て方のポイント
水やり
ギバエウムは夏の蒸し暑さが苦手な冬型メセンで、夏には休眠します。そのため断水で管理します。冬型なので生育期の春秋はたっぷりの水を与え、休眠期の夏は断水(全く水をやらない)が基本です。また鉢や土の種類によって大きな差が出るので、水やりは週2回などと決めずよく観察し、土がカラカラに乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり与えるようにしましょう。
生育期は冬ですが、春と秋によく生育します。生育期の3~4月は乾いたらたっぷりと与えます(1週間に1回程度)。5月は夏に向けてだんだんと水やり回数を減らし量も減らします(2週間に1回程度)。休眠期である6~8月は断水(水を一切与えない)を行います。葉にしわがよって枯れないか心配になりますが、体内にため込んでいる水分で生きていけるので問題ありません。逆に水を与えると腐る危険があります。9月気温が下がってきたら生育期に向けてだんだん水やりを再開します(月に2回程度)。生育期の10~12月は土が乾いたらたっぷりと与えます(1週間に1回程度)。3~5℃が最低温度のギバエウムは日本の寒さではやや休眠気味になります。そのため1~2月はやや水の量少なめ(2週間に1回程度)を与えます。
寒い時期は暖かい朝~昼に水をやり、暑い時期は涼しくなる夕方に水を与えます。そうすると蒸れや凍結をある程度予防できます。また夏・冬は水分を控えることで耐寒性・耐暑性を上げることができます。冬、室内で育てる場合は徒長防止に水を控えめにしましょう。
置き場
他のメセン類と同じように、生育期はしっかりと日に当て、夏の休眠期は風通しをよくなるべく涼しくさせ、冬は室内に取り込むのが一般的な流れです。どの季節も雨の当たらない風通しのよい所に置くのが、蒸れや溶けを防ぐために大切なポイントです。夏しっかり遮光できて涼しく過ごせること、冬に室内へ取り込む場所があればフレームは不要です。
具体的には、3~5月は生育期で直射日光の当たる屋外でしっかり日光を浴びせます。6~9月は休眠するので明るい日陰かしっかりと50%遮光できる場所に置きます。10~11月は再びよく生育するので、直射日光のあたる屋外で光を吸収させ成長させます。12~2月は雨の当たらない屋外に置きますが、3℃以下ならは日当たりの良い窓辺や温室などに取り込む必要があります。この時期が生育期なので、室内で育てる場合もなるべく直射日光が長時間当たる所が理想的です。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
リトープスなど他のメセン類と同じく、日本の蒸し暑さが苦手で夏越しにコツがいります。6~8月は休眠するため、6月半ばから9月上旬まで断水します(完全に水をやりません)。シワがより枯れてしまうのではと心配になりますが、3ヶ月程度の断水は問題ありません。
また夏は遮光が必要になります。6月上旬から9月中旬までは50%~70%程度の遮光ネットを張るか、日陰に移動します。遮光ネットは遮光率によって1枚、2枚重ねてもよいです。遮光ネットの欠点は風通しがやや悪くなることです。簡易ビニール温室などでは熱がこもらないように気をつけます。黒い遮光ネットは熱を吸収して多肉植物棚を熱くするので、できれば銀色(シルバー)がよいです。
越冬最低温度と冬越し方法
最低越冬温度は3℃です。3℃以下になる場合は室内などに取り込む必要がでてきます。(冬型とは、寒さに強いという意味ではなく、至適温度が5~20℃という意味で、凍らせると枯れてしまうものもあります)。暖地では一冬に何回か室内に取り込めばよいですが、毎日零下にさがる寒冷地では、11月ごろから2月頃まで長期間の取り込みが必要になります。
室内に取り込む場合は最低1日4時間直射日光が当たる窓辺に置きたいですが、無理な場合は水やりを控えるか、植物育成ライトなどを使います。
簡易ビニール温室は寒風や雪から植物を守ってくれますが、保温効果はほとんど期待できません。また簡易ビニール温室は昼間非常に高温になることがあるので、前面のビニールを開けるなど対処が必要です。
増やし方
ギバエウム属は種まきか株分けで増やすことができ、葉挿しはできません。
適期は生育期の3~5月と9~10月頃で、真夏や冬の寒い時期は避けます。種まきの場合は1回目の夏越しの時できるだけ大きくなっているようにするため、秋に入り気温が下がったらすぐに行うようにします。
大きくなった株は根がついたまま分割できるようになり、それぞれを別の鉢に植え付けることで株分けができます。植え替えをする際に同時に株分けすることも多く、生育期に行います。植え替えはこれから生育期という9~11月が一番適しています。根がついたまま分割して増やすことを株分けといいます。
手順は、土を数日乾かした後に鉢から抜き出して周りの土をざっくり落とします。古い根を整理したり枯れた葉を取り除いて、根を付けて分割します。その後緩効性肥料をひとつまみ加えた新しい用土に植え付けて、数日後から水やりを開始します。植え替え後、1週間程度は半日陰のところで管理しましょう。
植え替え作業には古い根を整理して新しい根を伸ばせるようにしたり、土を新しくして肥料を補う、みじんを取り除くなどの効果があります。小さい株は1年に1回、大きい株は1~2年に1回植え替えしましょう。
土と鉢
土は他のメセン類と同じく水はけがよく通気性のよいものを用意します。市販している多肉植物・サボテンの土を使ったり、自分でブレンドしてもよいです。
自分で作る場合は、赤玉土や鹿沼土の基本用土に改良用土(バーミキュライトやピートモス)などを混ぜ合わせて作ります。ポイントはなるべく4種類以上の土を使うことです。土には酸性度や通気性などそれぞれ特徴があるので、バランスを整えるためには1種類より複数種類のほうがよいです。
(例)赤玉土1:腐葉土1:鹿沼土1
(例)赤玉土3:ピートモス3:ボラ土2:鹿沼土1:川砂1:くん炭1
鉢はその苗にちょうど良い大きさのものに植えましょう。大きすぎる鉢は下の方に古い水が溜まり、根腐れや通気不足の原因になってしまいます。
鉢はプラスチック鉢と陶器の鉢がありますが、それぞれ性質が大きく違い、水はけ、水やり頻度や株の育ち方に差が出ます。陶器の鉢はすぐ乾き、鉢を冷やす作用もありやや扱いが難しいので、初めて育てる場合は管理しやすい小型のプラスチック鉢(プレステラ90など)がおすすめです。
肥料
基本的に普通の植物のような大量の肥料はいりません。しかし無機質の用土を使っていると微量要素が不足したり、水はけがよくて肥料がすぐ流れてしまうなどの問題があるため、元気に育てていくには与えたほうがよいです。
肥料を与える場合は生育期の一番盛んな3~5月、9~10月頃に月1回液肥を与えるか、植え替え時に小粒の緩効性肥料を土に混ぜ込みます。液肥で与える場合は普通植物の2倍程度に薄めて与えます。具体的には緩効性肥料はマグアンプKなど、液肥は2000倍のハイポネックスなどがよく使われます。
希釈した液肥は大さじ1杯など少しを与えるのではなく、1回の水やりの代わりとして鉢底から流れるまで与えます。緩効性肥料は微粒のサイズでN-P-Kが8-8-8のものや、マグアンプKのようなN-P-Kが6-40-6などを土に混ぜ込んで、だんだん溶けるようにします。与えすぎると肥料やけや徒長を起こさすので、やりすぎに気をつけましょう。