目次
カランコエ属の写真
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カランコエ属(Kalanchoe)の特徴
科 | ベンケイソウ科 |
---|---|
属 | カランコエ属(Kalanchoe) |
生育型 | 夏型 |
育てやすさ | 育てやすい |
成長速度 | 早い |
増やし方 | 挿し木〇、株分け〇、葉挿し〇と×(種類により) |
原産地 | マダガスカル島、南アフリカ、東アフリカ、ソコトラ島 |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
カランコエは夏を中心に春~秋に成長する夏型の多肉植物です。多肉植物の中では夏に強いほうで20℃~35℃ですくすく生育します。日本でよく見かける植物は、春に種まきして夏に成長し秋に収穫を迎えるといった点で普通の草花のような育て加減に近いです。しかし夏に強い属ですが、近年の猛暑や7~8月の強い直射日光に当てると葉焼けや枯れを起こすこともあります。そしてカランコエは冬に弱い植物として知られます。実際5℃以上のところに置かないと生育が止まり、0℃を下回ればほぼ枯れてしまいます。原産地は南部・東部アフリカの他、東南アジアや中国などやや身近な地域にも生息していて、初心者でも育てやすい性質をもちます。
一属と思えないような多様さ
エケベリアはロゼット(バラの花のような葉の形)状のものが多く統一感がありますが、カランコエは種類によって姿・形が全く異なります。もふもふの毛に覆われている月兎耳系、濃い模様が入るタイプ、葉から葉がでる子宝草系、平らな葉が重なって伸びる胡蝶の舞系、紅葉すると真っ赤に染まる朱蓮系のタイプなど個性が豊かです。
育て方のコツは
- 冬の寒さが苦手なので5度以下の時は室内に取り込む
- 斑入り種は少し性質が弱いので遮光をする
- 水は土がカラカラに乾いてから、たっぷり与える
- 毛が生える兎系などは雨ざらしにしない
年間栽培カレンダー
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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主な種類名
江戸紫(エドムラサキ) | Kalanchoe marmorata |
赫蓮(カクレン) | Kalanchoe sexangularis |
ガストニス | Kalanchoe gastonis |
銀蝶(ギンチョウ) | Kalanchoe delagoensis ‘Tubiflora’ |
胡蝶の舞(コチョウノマイ) | Kalanchoe fedtschenkoi |
胡蝶の舞錦(コチョウノマイニシキ) | Kalanchoe fedtschenkoi variegated |
子宝草(シホウソウ) | Kalanchoe laetivirens |
朱蓮(シュレン) | Kalanchoe longiflora var.coccinea |
白姫の舞(シラヒメノマイ) | Kalanchoe marnieriana |
シンセパラ | Kalanchoe synsepala |
扇雀(センジャク) | Kalanchoe rhombopilosa |
仙人の舞(センニンノマイ) | Kalanchoe orgyalis |
チョコレートソルジャー | Kalanchoe tomentosa ‘Chocolate Soldier’ |
月兎耳(ツキトジ) | Kalanchoe tomentosa |
点兎耳(テントジ) | Kalanchoe tomentosa |
唐印(トウイン)・デザートローズ | Kalanchoe thyrsiflora ‘Desert Rose’ |
白銀の舞(ハクギンノマイ) | Kalanchoe pumila |
ファリナセア | Kalanchoe farinacea f.variegata |
福兎耳(フクトジ) | Kalanchoe eriophylla |
不死鳥(フシチョウ) | Kalanchoe daigremontiana f.variegata |
不死鳥錦(フシチョウニシキ) | Kalanchoe daigremontiana f.variegata |
フミリス | Kalanchoe humilis |
マルニエリアナ | Kalanchoe marnieriana |
ミロッティー | Kalanchoe millottii |
多肉植物は自生地の環境と異なる日本で育てることになり、日本の暑さ寒さで生育が鈍ったり寒さで成長が止まったりします。その時期のことを「休眠」といいます。休眠期は生育が鈍るので根が水を吸収しなくなり、土の水が乾きづらくなります。いつまでも土が湿っていると根腐れや蒸れを起こします。そのため休眠期には水やりを控え、挿し木や株分けなど株へ負担をかける作業を控えます。
カランコエは夏を中心に春から秋にかけて生育し、冬の寒さで休眠するので、冬は水やりを減らしたり株分けなどの作業を控えて育てます。
斑入り種と普通の種類は性質が異なり斑入り種は葉緑素が少ないため弱いです。別の種類として扱った方が安全なものもあります。耐寒性や耐暑性が下がり、特に強い直射日光を嫌うようになります。普通どおりに育てると葉が焼けて黒くなる、葉がポロポロ落ちる、株が枯れる、溶けるといったトラブルが起こります。そのため日陰で育てたり、室内に取り込んだりと育て方を工夫する必要があります。通常斑入り種には「錦(ニシキ)」という文字が加わっています。
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育て方のポイント
水やり
カランコエは水やりに神経質ではなくどちらかというと雨ざらしにしても大丈夫な種類で水やりに厳格な決まりなどはありません。とはいえ目安は必要なので量は水やり後3日で表面が乾く程度、タイミングは鉢の水分が完全に乾燥してから与えます。梅雨など雨降りが続く時期は雨よけがあるところに移動しましょう。冬は寒さで休眠状態になるのでほとんど水を与えません。
具体的な頻度は4~6月、9~11月は生育期で1週間に1回ほどたっぷり与えます。7~8月は生育期であるものの暑さで根が煮えたり蒸れたりしないように2週間に1回ぐらいにとどめます。量も鉢底から流れ出るほどはやりません。生育が止まる12月~2月頃は少量の水を月1回だけか、または断水します。室内に取り込んでいる場合は徒長に気をつけて2週に1回程度にします。
冬と夏は水やり時間のタイミングに注意しましょう。夏は涼しくなった夕方に、冬はこれから暖かくなる朝に与えます。5度以下になるときや35度を超えるように時は無理に水やりはしません。水をやる時は葉にかけるのではなく、根元に注ぐようにします。特に毛が生える系のカランコエは水やりの後に強光が当たると、葉焼け(その部分が枯れる、黒くなる)しやすいです。
置き場
4~6月、9~11月の生育期は日当たりのよい所に置きましょう。5~8月はヒョロヒョロしすぎる(徒長)心配があるので、他の多肉植物よりは遮光は控えめにします。さすがに7~8月は日差しが強いため、斑入り種やきれいに育てたいという場合には50%遮光するか明るい半日陰に置きます。また胡蝶の舞など雨ざらしでも大丈夫な種類もありますが、毛が生えるタイプは汚れて黒くなってしまうので、基本は軒下など直接雨がかからないところに置きましょう。12~3月は寒さに弱く5℃を下回ったら温室や室内に取り込み、5℃以上の日は戸外の日なたに出します。室内に取り込むときも日当たりが確保できるところに。花を楽しみたい場合は10℃を切らない方がよいでしょう。カランコエは多肉植物の中では一番寒さに弱いので冬越しは注意が必要です。冬も夏も充分通気のある環境で育てます。なお秋になっても夜明るい場所に置いているとつぼみがつかなくなりますので注意しましょう。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
多肉植物の中では直射日光には強いほうですが一部の種類(胡蝶の舞)を除いて50%程度遮光するか明るい日陰に置きます。斑入り種はしっかり50%遮光しないといけません。また高温には強いものの湿気には弱いので梅雨~夏は通気のよい所で育てます。できれば夏は室内に置くと蒸れて枯れやすいので戸外で50%遮光ネットをかけるか、半日陰に置きます。風通しと土の乾燥、遮光の3つをしておけば45℃程度を耐えます。
越冬最低温度と冬越し方法
基本的には本などにもかいてあるように冬に弱く越冬最低気温の推奨値は5℃以上(できれば7~10℃以上推奨)で、多肉植物の中では真っ先に寒さにやられるタイプです。凍結させたり霜が降りたり寒風が当たったりすると枯れてしまいます。また葉が凍っても根が凍っていなければ春に復活することもありますが、ゼロからのスタートに近くなってしまいます。また寒いと花も咲かなくなってしまいます。冬は休眠しているので水やりは暖かい日に月1回程度少量、関東以北の寒冷地では室内への取り込みが必須になります。暖地でも寒い冬はあり、簡易ビニール温室はあまり効果がないので注意しましょう。
増やし方
4~10月の長い期間、繁殖(挿し芽、種類により葉挿し、株分けができる)行います。カランコエは根の出る速さは種類により早いもの(胡蝶の舞など)~遅いもの(福兎耳など)があります。太い針のような根を伸ばし葉をつんだ部分から気根(空気中の根)が出るものや、細い根がびっしり生えてくるタイプもあります。繁殖は比較的簡単な種類で、基本生育期に枝を切っておいておけば難なく根がでるものが多いです。
挿し木(挿し芽)の方法:
挿し木は生育期に親株から5~10程度茎をカットし、4~5日程度空の瓶などに立てかけておきます。それから乾いた土に挿し、発根するまでは直射日光の当たらない室内で管理します。発根(1cm程度)したら水やりを始めます。品種によりますが発根するまで5日~3週間程度かかります。カットした親株からは2ヶ月後ぐらいに新芽が出ることが多いです。
葉挿しの方法:
葉挿しができるものとできないものがあります。朱蓮や赫蓮は発根が難しいですが、子宝草は葉をもぎとり乾燥したところに置いておくと、葉の先々から何個も新芽と根を出しますので、子だくさん、マザーリーフなどともよばれています。親葉がちぎれていても大丈夫という点から強さを感じます。月兎耳など兎系も葉の付け根以外の所から、親葉が千切れていても発根します。
株分けの方法:
混み合ってきたら鉢から抜いて、根を少しつけて別の容器に植え付けると子株ができあがります。植え付けてから3~4日後から水やりを始めます。株分け前は10日以上水やりを控えて土をカラカラにしておきます。
植え替え:
植え替えも株分けと同様に生育期の4~10月に行います。事前に水やりを1週間ほど控えて土を乾燥させておきましょう。休眠期の冬に植え替えると株にダメージを与えるので控えます。カランコエは特に生育が旺盛なタイプと控えめなタイプがありますが、胡蝶の舞のような旺盛なタイプは1年に1回以上の植え替えが必要になります。控えめなタイプは1~2年に1回で大丈夫です。
植え替えは不要なことと思いがちですが、カランコエにとって適切な植え替えはとても大切です。根詰まりすると葉が小さくなってきますし、込みあった株元の整理や肥料の追加と古い根の整理、土を新しくする、サボテンコナカイガラムシなどの害虫の駆除、といった役目があります。根を切らないように鉢を掘り起こして古い根を取り除き、肥料不足になった土を新しい土と取り替えましょう。
土
他の種類ほど土を選びませんが、やはり水はけのよいもので肥料分が少ないものがよいでしょう。多肉植物用の土を買ってきてもよいですし、自分でオリジナルの土を作ることもできます。作る場合はくん炭やピートモス、ボラ土、赤玉土、鹿沼土(いずれも小粒)を混ぜ合わせます。土は種類によって性質が異なり、バランスよく配合するためには最低3種類以上の土を混ぜ合わせたほうがよいですね。細根タイプは小粒の土が望ましいです。また水やり後、さっと乾かない土(野菜や花の土など)を使うと徒長したり紅葉したりしなくなってしまいます。
(例)赤玉土3:鹿沼土3:ピートモスか腐葉土3
(例)赤玉土5:パーライト3:腐葉土2 +川砂 など
軽石を鉢底にしくと水はけがよくなります。
鉢は大きく分けて2種類あり、通気が悪いプラスチック鉢、通気のよい陶器の鉢(駄温鉢など)があります。カランコエはどちらも植えることができます。プラ鉢なら水やりの頻度が少なくて済みますし、大きめの陶器の鉢に植えれば頻度を増やす必要があります。また大きすぎる鉢は水の乾きが悪く蒸れやすいので、その苗にちょうどいい大きさの鉢を選びましょう。
肥料
基本的には普通の植物よりごく少量で充分です。やらないでも育つが早く大きくしたい場合は4~6月、9~10月に施肥します。多肉植物は水やりの回数が少ないので固形肥料が使いづらいです。ハイポネックス2000倍液のような薄めた液肥を、月1回程度水やりと同じ分量与えると良いでしょう。肥料が多すぎると葉の色が薄くなったり、茎ばかり生長し葉と葉の間が広がってしまったりするので、施肥を迷った場合、初心者のうちはやらなくても大丈夫です。
病害虫
カランコエは病害虫がほとんど心配ない丈夫な種類が多いです。しかし害虫ではイモムシがややつきやすく、モンシロチョウやアゲハチョウなどから卵を産み付けられ虫食いが発生します。土に撒いて退治するタイプの殺虫剤(オルトランDXなど)を撒いておくと簡単です。また根にネジラミ(サボテン根コナカイガラムシ)がついていることがあるので掘り出して根を点検しましょう。病気ではありませんが成長が旺盛なものほど根詰まり(鉢の中が根で一杯になる)しやすいので植え替えをしっかり行う必要があります。6月の梅雨時はカビ病に注意します。病気になってしまった葉は治らないので農薬をあらかじめまいておくのも一つの手ではあります。
花
カランコエは冬にオレンジや赤色の釣り鐘のような花を咲かせるものが多いです。しっかり外で育てていれば10月ごろからつぼみがつき始め、冬~春に開花します。1つの花の寿命は2週間くらいでしょうか。カランコエは短日植物といい、夜でも明るい環境で育てると花芽がつきません。種を採らない場合は、花が咲き終わったらハサミで花がら摘みをします。(種を作るのにエネルギーを使ってしまうので)
カランコエによくあるトラブル
- 下葉が取れたり丸まって枯れる・・・育つにつれて下のほうの葉が落ちるのはある程度自然なこと(新陳代謝)ですが、上の方まで葉が落ちる時は根詰まりを疑います。株分けや植え替えが必要になります。
- 寒くなってきたら元気がなく茎が黒くなってきた・・・寒さに弱く5℃を下回ると成長が止まり元気がなくなるのでなるべく室内に取り込みましょう。
- つぼみがつかない・・・夜の長さが長くなることでつぼみがつく「短日植物」なので夜も明るい環境で育てると花芽がつかなくなってしまいます。
- 葉に黒いシミのようなものができた・・・夏の直射日光と暑さが厳しく、昼間に水をやったりするとその部分が焼けて黒いシミのようなものがつくことがあります。水やりは夕方に、そして遮光すればきれいに育ちます。
- 秋になったのに紅葉しない・・・春から秋まであいだしっかり日に当てることが大切です

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