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セダムの種類と育て方!増やし方や水やり、置き場所も解説

多肉植物のセダム属の種類や育て方(水やり、増やし方、植え替え方法、夏と冬の管理など)について詳しく解説しています。

セダム属の写真

ゴールドビューティーゴールドビューティー グラウコフィラムグラウコフィラム
チョコレートボールチョコレートボール 黄金細葉万年草黄金細葉万年 ダシフィルムダシフィルム
丸葉万年草丸葉万年草 トリカラートリカラー 笹姫(覆輪万年草)笹姫(覆輪万年草)
覆輪丸葉万年草覆輪丸葉万年草 万年草万年草 万年草万年草
万年草万年草 セダム属の花
黄金細葉万年草ペットボトル一杯になった黄金細葉万年草
トレレアシートレレアシー(天使の雫) ブルービーンブルービーン 乙女心乙女心
ビアホップ(新玉つづり)ビアホップ(新玉つづり) 玉つづり玉つづり セダム ウィンクレリーウィンクレリー
虹の玉虹の玉 オーロラオーロラ 春萌春萌
黄麗黄麗 銘月銘月
玉蓮玉蓮 玉葉玉葉 緑亀の卵緑亀の卵

セダム属(Sedum)の特徴

ベンケイソウ科
セダム属(Sedum)
生育型 春秋型
育てやすさ 育てやすい
耐寒性 普通
耐暑性 普通
越冬最低温度 種類により-15℃~+3℃(書籍値)
実測値 0~40℃程度
成長速度 種類により遅い~早い
増やし方 葉挿し〇(種類により×)、挿し木〇、株分け〇、種まき〇
原産地 アジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ

※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
耐寒性-強い・普通・やや弱い・弱い
耐暑性-強い・普通・やや弱い・弱い

※耐寒温度は水やりを控えた場合の目安値で、状況によりこれより狭くなることがあります。
※実測値は半日陰の場合で直射日光下ではこれより低くなります。

セダムの特徴

日本にも自生しているので育てやすい
セダムは日本を始め、ほぼ世界中(アジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ)に生息している身近な植物です。原種は600種ともいわれ大きなグループです。とても育てやすく、道路のわきや庭などに勝手に自生するくらいです。日本原産の種類は限られていますが、そうした種類は日本の気候に適合しているので初心者の方でも育てやすいです。草のようなタイプは繁殖力が強く成長も早いので、多肉植物というよりは普通の草花の様な感覚で育てることができます。また外来種は日本の夏の蒸し暑さを苦手としており、夏の管理はやや注意が必要です。

草タイプと硬葉タイプの種類

虹の玉の紅葉硬葉・肉厚なタイプ セダム万年草系

セダムには大きく分けて2つの種類があります。一つ目は万年草などの草系のもの、もう1タイプは通常の多肉植物のような分厚い葉を持つタイプです。例えば銘月(メイゲツ)や黄麗(オウレイ)、虹の玉(ニジノタマ)などはグラプトペタルムのような肉厚の葉をもちます。いっぽうマンネングサのような「草」の姿をしているものもあります。

グランドカバーにも
草のタイプのセダムはグランドカバーや屋上緑化などにも活用されることがあります。グランドカバーによく使われるセダムには「メキシコ万年草」「丸葉万年草」「モリムラ万年草」「ゴールデンカーペット」などがあります。このような種類はカット苗を土に置くだけで根づいてくれ、また根張りが浅いため導入にも撤去する場合も手間がかかりません。また多肉植物の性質をもちろん持っており、雨が当たる所では特に水やりの必要もありません。一方多雨と踏みつけには弱いため、芝生のように良く踏む所には不向きといえます。

寄せ植えが楽める!
寄せ植え
セダムはセダムだけでの寄せ植えが楽しめるのはもちろんのこと、エケベリアなど他の種類の寄せ植えのアクセントにも最適です。フサフサとした葉のタイプでは、葉色の異なる3種類の鉢を寄せるだけでも素敵な飾りになります。もちろんポットから抜き出して一つのおしゃれな容器に植え付けることも可。またエケベリアなど多肉質の種類の寄せ植えにやわらかなセダムを少し入れることで、動きやしなやかさを演出するのにも役立ちます。多肉質の多肉植物と寄せ植えする時、水やりの頻度に困ることがありますが、セダムをビニールポットに入れて植え、そこだけ水やりすれば、シナシナになるのを防ぐことができます。

育て方のコツ

硬葉タイプのポイント

  • 真夏の日差しは強すぎるので50%程度遮光する
  • 冬は0℃以下にしないようにする
  • 年間を通して通気をよく、雨ざらしは避ける
  • 徒長しやすいので春・秋・冬はたっぷり日に当てる

この種類
天使の雫、ビアホップ、玉つづり、虹の玉、オーロラ、黄麗、春萌、銘月、玉葉、玉蓮、緑亀の卵など

草タイプのポイント

  • 地植えもできるが、水たまりになるような所は避ける
  • 夏は蒸れに注意し、増えすぎたら適宜剪定する
  • 冬は地表部が枯れる種類もあるが春に再び芽吹く
  • 冬も種類により-5~-15℃に耐える
  • 徒長しやすいので、真夏以外は直射日光下で育てる

この種類
黄金細羽万年草、ゴールドビューティー、グラウコフィラム、ダシフィルム、丸葉万年草、笹姫、パリダムなど

年間栽培カレンダー

生育期 3~5月と9~11月
休眠期 7~8月
水やり
  • 3~5月は週1回鉢底から流れるまで
  • 6~8月は2週に1度くらいに控える
  • 9~10月は週1回鉢底から流れ出るまで
  • 11~2月は生育が鈍るので水も控え月1~2回くらいに
置き場所
  • 年間を通して風通しのよい所に
  • 3~5月は直射日光の当たる外に置く
  • 6~8月は30%遮光~50%遮光=半日陰(明るい日陰)に置く
  • 9~11月は直射日光の当たる戸外に置く
  • 12~2月は日の当たる戸外で0℃を下回ったら室内や温室に
植え替え
  • 3~6月、9~11月が最適
増やす
  • 3~6月、9~11月に葉挿し・挿し木・株分け
肥料
  • 3~6月、9~11月に月1回程度の薄い液肥か緩効性肥料
開花
  • 春から夏頃(5~6月)の時期に白・黄・ピンクの花を咲かせる

※栽培カレンダーはあくまでも目安です。実際は土や鉢の種類、地域によって大きく異なります。この表は福岡県平野部で多肉植物用の棚を使って育てている場合の情報です。お住まいの地域や使っている土、置き場所によって適宜読み替えて下さい。

主な種類名・学名一覧

名前 学名
アラントイデス Sedum allantoides
薄化粧 Sedum palmeri
黄麗 Sedum sp.
オーロラ Sedum rubrotinctum cv.Aurora
乙女心 Sedum pachyphyllum
グラウコフィラム Sedum glaucophyllum
小松緑 Sedum multiceps
サンライズマム Sedum ‘Sunrise Mom’
玉葉 Sedum stahlii
トレレアシー(天使の雫) Sedum treleasei
虹の玉 Sedum rubrotinctum
春萌 Sedum ‘Alice Evans’
新玉つづり(ビアホップ) Sedum burrito
姫玉綴り Sedum burrito
宝珠 Sedum dendroideum ssp. praealtum
宝珠扇 Sedum dendroideum
松の緑 Sedum lucidum
緑亀の卵 Sedum hernandezii
銘月 Sedum adolphii
モシニアナム Sedum mocinianum
八千代 Sedum allantoides
ワイルドファイヤー Sedum
玉蓮 Sedum furfuraceum
名前 学名
黄金細葉万年草 Sedum
カメレオン Sedum reflexum cv. ‘Chameleon’
ゴールデンカーペット Sedum
ゴールドビューティー Sedum
笹姫(覆輪万年草) Sedum
サルサヴェルデ Sedum
ステファニーゴールド Sedum
タイトゴメ Sedum oryzifolium
ダシフィルム Sedum dasyphyllum
チョコレートボール Sedum
ツル万年草 Sedum
ドラゴンズブラッド Sedum spurium ‘Dragon’s Blood’
トリカラー Sedum spurium ‘Tricolor’
パープルヘイズ Sedum dasyphyllum
パリダム Sedum pallidum
ヒントニー Sedum hintonii
ブレビフォリウム Sedum brevifolium
細葉万年草 Sedum
丸葉万年草 Sedum makinoi
ミクロスタチウム Sedum microstachyum
ミモザ Sedum
森村万年草 Sedum
ルテア Sedum lutea
六条万年草(コーラルカーペット) Sedum
プロリフェラ Sedum Prolifera
ウィンクレリー Sedum winkrelii
休眠期とは?
多肉植物の日本での栽培は自生地の環境と異なります。そのため日本の寒さや暑さに耐えられなくなると生育が鈍ったり成長が止まったりします。その時期のことを「休眠期」といいます。時期は種類によって異なり、夏に休眠するタイプと冬に休眠するタイプがあります。休眠期は生育が鈍るので肥料や水やりを控え、挿し木や株分けなど株へ負担をかける作業を控えます。

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育て方のポイント

水やり

水やり生育期にはたっぷり回数も多く与え、冬の休眠期には少量を回数少なめに与えるのが基本です。

水やりの量や頻度は環境によって、またどのような土を使っているのかにもよるため一概には言えないのですが、鉢がカラカラに乾いて数日経ってから、鉢底から流れ出るまで与えるのが一つの目安になります。

具体的には、セダムは日本では3~6月、9~10月、10℃~25℃くらいで最も良く成長するものが多く、この時期は鉢底の土まで乾いたらたっぷり水を与えます。目安は週に1回くらいです。雨が続く6月の梅雨時期は水やり回数を減らします。夏に向かって少しずつ水やりを減らしていきます。そして30℃を超える7~8月は休眠気味になるので10日に1回くらいの水やりに減らします。また12~2月の厳冬時期も休眠するので水やりは月に2回くらいにします。

水やりのコツは夏には涼しくなる夕方に水をやり、冬は暖かくなる朝に水をやることです。これで蒸れ・腐れや凍結をある程度防ぐことができます。

置き場

置き場セダムは雨ざらしでもよいと書いてあることもあり、確かに一部はそうなのですが最近の異常気象での雨の降り方はセダムにとっても厳しいものがあります。

水はけが非常によい土で水たまりができない所なら、グランドカバーのように雨ざらしにもできますが、肉厚の硬葉系(ご注意:当サイトの造語です。乙女心や天使の雫など、万年草より葉が分厚く多肉質の種類の意です。)はセダム以外の多肉植物(グラプトペタルムなど)と同じ扱い(軒下などに置く)をしたほうが安全です。

具体的には3~5月は直射日光のあたる日なたに、6~8月は日差しが強すぎるので遮光するか明るい日陰におきます。9月から翌2月までは直射日光の当たるところに置いて大丈夫です。基本は年間通して外で育てますが、氷点下になる寒冷地や耐寒性が弱いものは12~2月は室内か温室に取り込みます。

外来種の扱い
毛がはえている種類や斑入り種のもの、日本原産ではないもの(虹の玉や玉つづりなど)は年中雨を避けて軒下などに置きましょう。

年間を通して風通しのよいところに置くことが大切で、群生しているものは特に蒸れに注意します。また万年草系はあまり紅葉しませんが、オーロラや乙女心、銘月など紅葉種は7~8月以外は日当たりの良い所で育てると秋から冬にかけて良く紅葉します。

耐暑性と最高気温・夏越しの方法

夏越しセダムは多肉植物の中では直射日光には強いほうですが、直射日光に近年の猛暑が加わると溶けたり葉焼けしてしまうことがあります。

また雨あがりに急に日が照ると、万年草系でも蒸れて枯れてしまうことがあります。

夏の管理

硬葉タイプを中心に6~9月は30~50%程度遮光したほうが安全です。また斑入り種は5~10月までしっかり50%遮光したほうがよいです。またセダム属は高温には強いものの湿気には弱いので梅雨~夏は通気のよい所で育てます。

夏は室内に置くと蒸れて枯れやすいので、できれば屋外で50%遮光ネットをかけるか半日陰に置きましょう。風通しと土の乾燥、遮光の3つをしておけば40~45℃程度を耐えることができます。

耐寒温度と冬越し方法

冬越しセダムは種類によって耐えられる最低越冬温度が異なります。書籍などでは3℃程度と書いてありますが、実測値は1℃程度まで下がってもほとんど問題ありません。

さらに日本で昔から栽培されているものはマイナス-5~-15℃程度にも耐えられるとされています。関東以南ではよほどの寒波が来ない限り、冬も屋外で育てられます。

冬の管理

寒い冬の間は水やりにコツが必要で、水分を少なめに断水気味に育てると耐寒性が上がります。セダムは冬に水やりをゼロにすることはできません。しかし水やりは凍りそうな日を避け、なるべく温かい日の朝にすると凍結の危険性が小さくなります。

またセダムは冬に地上部が枯れて根だけで越冬し、春に新芽が吹くものがあります。秋に葉が散ったとき、枯れたと思って捨ててしまいわないようにしましょう。

寒冷地などで冬場に室内に取り込む場合は、日照不足にならないように気をつけます。また暖房が効いて暖かすぎる部屋に日光不足と水のやり過ぎが重なると徒長してしまうので15℃以下、できれば5~10℃程度の部屋に置きたいものです。

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増やし方

殖やし方セダムは葉挿し、挿し木、株分け、種まき(実生)で増やすことが出来ます。(万年草など一部葉挿しができない種類があります。)

適期は生育期の3~6月、9~11月頃、気温が10℃~25℃の間です。作業開始が遅れて休眠期の7~8月の真夏や12~2月の真冬にずれないよう、季節が来たらすぐ繁殖作業をしましょう。

万年草系は雑草と間違える方もいるほど、驚きの速度で増えてしまうので増やしすぎに気をつける必要があるほどです。一方、黄麗、銘月、春萌など硬葉タイプは成長も増えるのもゆっくりなので、発根、発芽などに結構時間がかかります。

またどの方法で増やす場合も、直射日光に当てずに半日陰で管理し、しっかり根付いてから徐々に日なたに慣らすようにしましょう。

挿し木

万年草系、硬葉系(黄麗など)共に挿し木(さし芽)で増やすことができます。

万年草系のさし木の方法
元気な株から5~8cmほど茎を切り取り挿し穂とします。そしてすぐに少し湿り気のある土に植えます。多くの多肉植物は切り口を乾かしますが、万年草系はカット後、しなっとしやすく土が湿っているほうが根が出やすいです。(たまに失敗して腐ることがあります)

硬葉系のさし木
元気な株から茎を3~8cm切り取り、土に挿せるように下の方についている葉を数枚むしりとります。これを挿し穂とします。挿し穂は4~5日程度切り口を乾かし、その後乾いた用土に挿します。種類により1~2週間で発根するので、根が生えてから徐々に水をやりはじめます。(一般的な多肉植物と同じ扱いです。)根が生えてきたかは茎をほんの少しの力でつまんで上に引っ張り、抵抗を感じるかで判断できます。

カットした親株からはカットした所の少し下の辺りから1~2ヶ月ほどで脇芽が出てくるので、引き続き育てることができます。

葉挿し

葉っぱ類(万年草系)は葉挿しができませんが硬葉系は概ね可能です。

元気な親株から葉を横に滑らせるように丁寧にもぎとり、トレーに並べておきます。早いものは1週間程度で根が出てくるので(緑亀の卵のように遅いものは完成まで1年かかります)、乾いた土の上に置いてもぎ口に少し土をかぶせます。芽が出てきて葉挿しが成長し親葉がカリカリになったら、子株の水やりを始めます。

※注意:硬葉系は正式名称ではなく造語ですのでご注意ください。(虹の玉、オーロラ、乙女心、銘月、黄麗、緑亀の卵、玉連、玉つづり、天使の雫など)

徒長してしまった場合の剪定(切り戻し)

セダムは生育が旺盛な分、徒長も起こしやすいです。その場合、剪定(切り戻し)をして草姿を整えることができます。剪定自体はいつでもできるのですが、カットした先端部分を挿し木などで使いたい場合は、3~5月頃か9~11月頃に行います。

伸びた部分をカットすることで株元から新芽が吹き、次第に形が整います。

株分け

株分けという形で殖やすこともできます。

万年草系は栽培を続けると混み合って蒸れやすくなります。そうなったら鉢から抜いて、根を少しつけて別の鉢に植え付けます。植え付け少なめの水やりを始めます。株分け前は若干水やりを減らして土をほぐしやすくしておくと作業がしやすいです。

硬葉タイプはそれほど繁殖力が旺盛ではありませんが、やはり栽培していると株元から新芽が出てきたり、カット後の親株から芽吹いてくることがあります。子株がある程度大きくなったら親株から切り離して、別々に植え付ける「株分け」ができます。

植え替え

苗が生長し鉢がいっぱいになってきたら植え替えを行いましょう。

一般的な多肉植物は小さい鉢(口径9cmポット以内程度)で1年に1回程度が目安ですが、セダムは成長速度が速いので年に2回植え替えが必要なこともあります。(硬葉タイプは1年に1回程度で問題ありません)

また気根(茎から空中に向かって伸びてくる根)が出てきている場合は、根詰まりしているサインなので、早めの植え替えが必要です。

植え替えも繁殖と同様に生育期である3~5月、9~11月に行います。休眠期の冬や夏の暑さが厳しい時は、植え替え後根が出にくいので行わないようにします。関東以南では気温的にベストな時期は3~4月、9~10月頃です。

植え替えの意味
植え替え作業は一見不要な作業に思われますが、健康に生育させるためにはとても重要で、古い土を新しくする、根の整理をする、根ジラミなどの土中にいる害虫を見つけるなどの役割があります。

植え替えの手順
植え替えは最後の水やりから4~5日経った頃が一番作業がしやすいです。

まず鉢から株を抜きだして土の表面にある枯れた葉を取り除きます。土を慎重に崩していき茶色くなって枯れた根は除去します。土と古い根を半分ほど落としたら、新しい土を入れた鉢に植え付け、少なめに水をやります。

根腐れなどで結構太い根を切った場合は、乾いた土に植え、1週間ほど待ってから少なめに水をやり始めます。

土と鉢

土土は他の多肉植物と同じように排水性・通気性がよく、適度な保水性もある土を選びます。セダムには花と野菜の培養土のような水持ちがよく水はけがあまりよくない土は適していません。

市販の土を買う場合
市販の多肉植物用の土を使う場合は、万年草系を植える場合は粒がやや細かめで保水性のある土にします。月の王子や銘月、虹の玉などの多肉質の葉をもつタイプには、エケベリアやグラプトペタルム(朧月や七福神など)用の少し目の粗い水はけ・通気性がよい土が向いています。

自分で配合する場合
自分で土を作る場合は、赤玉土や鹿沼土をメインに、排水性の良い軽石やパーライト、保肥性のよいバーミキュライトやピートモスなどを3種類~5種類ほどブレンドします。粒は万年草系は細かめ、硬葉タイプは少し粗めのサイズがよいです。ピートモスは元々酸性が強いので酸性度調節済みのものを使うようにしてください。

(例)赤玉土小粒1:軽石小粒1:ピートモス1

鉢の選択

虹の玉や春萌など硬葉タイプはエケベリアやグラプトペタルム、クラッスラなどと同じく小型のプラ鉢を使うとよいと思います。具体的には、日本ポリ鉢販売の「プレステラ90」やカントーの「A-30」などのプラスチックの鉢がよく使われます。

一方草タイプは、増やしたい大きさに合わせて鉢を選ぶ感じになります。大きい鉢に植えればそれだけ株も大きくなり、小さい鉢に植えればそれ以上は大きくなりません。万年草の類いは「あばれ系」といわれるように繁殖力が強く、庭植えなどにすると爆発的な速度で増殖してしまうこともありますが、小さな器に植えれば小さくまとまりますので、ある程度は増えないようにコントロールできます。

肥料

肥料セダムは基本的には肥料が要りませんが、与えると生育がよくなります。ただ万年草系のセダムは増殖するので施肥は避けたほうがよいと思います。

硬葉系(虹の玉、乙女心、月の王子など肉厚のタイプ)では成長速度を上げたり、葉を大きくしたりしたい場合、速効性のある液肥を生育期(3~5月または9~11月で両方与える必要はありません。)に与えるか、植え付け時や植え替え時に緩効性肥料を土に混ぜ込んでおきます。などを与えます。

多肉植物は基本的にたくさんの肥料は必要としません。しかし鉢という限られたスペースで育てていると、肥料分や微量要素が不足してくることがあります。また赤玉土などの火山性の土はリン酸という肥料を吸収してしまい、植物の根に届きにくくしてしまいます。そのため、1年に1回は元肥か追肥のどちらかで肥料分・微量要素を補うことをおすすめします。

肥料の与え方
まず追肥か元肥はどちらかで構いません。両方は与えすぎになってしまいます。

追肥の場合、液肥を2,000~1,000倍程度に薄めて生育期に2週に1回×計3回程度与えます。このとき、薄めた液肥は1回の水やりの代わりとして鉢底から流れ出るまで与えます。

例:花工場原液やハイポネックス原液などの液肥を3月に2回、4月に1回与える

元肥の場合は、緩効性化成肥料を1年に1回の植え替え時に、土の中にひとつまみ~3つまみ程度いれて混ぜ、そこに植えます。

例:マグアンプK小粒を土に2つまみいれて混ぜ、株を植え付ける

セダムの万年草系は非常によく花を咲かせてくれます。しかし月の王子や銘月、虹の玉、玉つづりなどは稀にしか花をつけません。

万年草系は春5月~6月頃にかけて白・黄色などの星形の小さな花を密集してつけます。多肉植物の中には花が咲いたら株が枯れてしまう種類がありますが、セダムは枯れずにその後も育ち、毎年花を付けてくれます。

セダム属の花

一方、虹の玉や玉つづりなどは株が相当充実しないと花が付きません。

ビアホップの花

写真は2021年5月に咲いたビアホップの花です。通常の葉になる部分が花芽化し、エケベリアの花に似たピンクの肉厚の花が開花、花が終わった後はその茎の横から新芽が出ていました。

病害虫

病害虫残念ながらセダムは他の多肉植物と比べて病害虫の被害に遭いやすいです。

4月春先、モンシロチョウやシジミチョウが卵を産んで青虫が湧き、葉っぱが食害されることがあります。

また梅雨時を中心に5~8月頃はウドンコ病(白い粉がかかったようにみえる)などカビ病にかかりやすく、あっという間に広がり全滅することがあります。その他ナメクジ、アブラムシなどが付くことがあります。そのため予防が必要になってきます。

まずカビ病を防ぐために、5月に入ったらベンレートやサプロールなどの殺菌剤を散布しておきましょう。そしてアオムシやアブラムシ対策にベニカなどの殺虫剤を散布します。オルトランDX粒剤だと葉を汚さず、土にまくだけでかなりの範囲の害虫の駆除ができます。効果はアブラムシで1ヶ月程度です。

また環境的に防虫ネットを張れるのであれば、チョウ、アブラムシ、ナメクジなどの多くの害虫の侵入を無農薬で防ぐことができます。

値段や販売店など

セダムはホームセンターや園芸店でもかなり高頻度に販売されています。

虹の玉、ビアホップ、月の王子、ダシフィルム、トリカラーなど。売り場も多肉植物のコーナーに置かれている場合と、草タイプのものは普通の草花コーナーに並んでいることもあります。スーパーや小型の花屋さんも要チェックです。

店舗で購入できるのはもちろんですが、ネット通販でもかなり盛んに流通しています。楽天市場、ヤフーショッピング、アマゾン、通販専門店、メルカリ、ヤフオクなど。

おしゃれな容器に入っていてそのまま飾れるタイプや、抜き苗(土を落とした苗)、カット苗(根のない苗)での流通もあります。(街の園芸店でも、カット苗の詰め合わせで販売していることもあります。)

オンラインショップでも購入できます

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セダムによくあるトラブルとQ&A

疑問 質問 答え

トラブル事例

茎から根のようなものがでてきた

これは「気根」と呼ばれるもので、鉢が根でいっぱいになりこれ以上伸びることができないとき、代替として出てくる根です。これが出ると植え替えが必要なサインなので、早めに植え替えしてあげてください。

葉と葉の間隔が伸びすぎる(徒長)

これは「徒長」と呼ばれる現象で、日当たりや通気の悪い室内で育てている、水やりのしすぎなどが原因で起こります。またセダムは徒長しやすいので外で栽培するのが基本ですが、外の日当たり抜群の所であっても夏の高温で徒長することがあります。この場合対策方法がないので、秋以降に挿し木をして延びすぎた部分をカットしてください。

葉ざしや挿し木で根が出てこない

黄麗や銘月、緑亀の卵などは成長速度が遅いため、挿し木や葉挿しをしてもすぐに根が出てくれません。繁殖適期でも3週間以上かかることがあるので、気長に待つことが大切です。また一部の種類(緑亀の卵、玉葉、玉蓮など)は非常に発芽に時間がかかり、葉挿しが完成するまで1年以上かかることがあります。

Q&A

セダムの種類ごとの耐寒性は?

以下の情報はこちらのページから引用させていただきました。

全体的に葉が大きく肉厚で多肉質の種類は耐寒性が弱く、草のタイプは耐寒性が強い傾向があるそうです。

耐寒性 種類
弱め(普通の多肉植物程度) 銘月、黄麗(月の王子)、トレレアシー、ビアホップ、玉つづり、春萌など
やや強い(マイナス5℃以上) タイトゴメ、虹の玉、オーロラ、薄化粧、レッドベリー、プロリフェラ、八千代など
強い(マイナス15℃以上) 万年草系、白雪ミセバヤ、トリカラー、ドラゴンズブラッド、アトランティス

万年草系はマイナス15℃程度まで耐えられることから、寒冷地の冬でも地植えすることができますが、冬の時期は地上部は枯れてしまうのでグランドカバーとしての役割を果たせるかは疑問が残ります。

カット苗セットはすぐに植えて水やりしていい?

一般的に多肉植物は根が出るまで水やりはダメですが、セダムの葉っぱ類は異なります。葉の厚みがない分水切れに弱く、多少湿らせた土にカット苗を挿した方がすぐ根付きます。また硬葉タイプは通常の多肉植物と同じように切り口を乾かしてから乾いた土に挿します。水やりは発根してからにしましょう。

虹の花とは虹の玉?新種か

虹の花は新種ではありません。斑入り種でもありません。虹の玉の薬錦です。薬剤を使って人工的に葉緑素を抜いた植物になります。葉緑素がないため長く育てることができず、大切にお世話しても枯れてしまう、あるいは元の虹の玉に戻る確率が高いものです。虹の玉にはセダム「オーロラ」(Sedum rubrotinctum cv.Aurora)という本当の斑入り種があります。こちらは自然の種類なので斑入りが消えたり買ってすぐ枯れたりすることはありません。

セダムを地植えするには?

雨ざらしとなる庭などへの地植えには、非常に水はけのよい土に改良する必要があります。元々の土に軽石、日向土、パーライトなど通気と水はけのよい素材を混ぜ、水たまりにならないように土を平らにします。花壇であればプール状にならないように、排水できるようにしたほうがよいですね。自然に増えているものでは、道のアスファルトの割れ目やブロック塀の目地など、土が非常に少なくすぐに水分が流れてしまうところに多いようです。

室内(植物育成ライト)で育てられる?

セダムは多肉植物の中でも特に日当たりの良い所を好むため、室内で育てるのは難しいです。植物育成ライトで育てるとしても1万ルクス程度では簡単に徒長するため、強い光の出せるLEDライトが必要です。(戸外の日なたは10万ルクスにもなります。)

セダムをもりもりにするには?

成長速度が速いセダムの万年草系は数本植えても、数ヶ月経てばその入れ物にもりもり一杯になります。半年もすれば鉢からはち切れんばかりになります。綺麗なもりもりにするには、水やりをしっかり行い、日に良く当てることが大切です。木陰など薄暗い所でしっかり水をやると、ひょろひょろの雑草みたいにあばれてしまいます。