目次
アロエ属の写真
不夜城 | ||
キダチアロエ | キダチアロエの花 | ベラ |
不夜城 | 鬼切丸 | 帝王錦 |
デルトイデオドンタ | マクラータ | ブローミー |
姫竜山 | 翡翠殿(ヒスイデン) | アロエの開花 |
唐錦(カラニシキ) |
※画像の一段目以外はWikipediaのアロエのページより引用
アロエ属(Aloe)の特徴
科 | ツルボラン科 |
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属 | アロエ属(Aloe) |
生育型 | 夏型(一部春秋型) |
育てやすさ | 育てやすい |
成長速度 | 遅い |
増やし方 | 挿し木・株分け |
原産地 | アフリカ、マダガスカル、ヨルダン、アラビア半島、インド洋など |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
アロエとは?
日本では木立アロエ(キダチアロエ)が有名ですが、原生地では数センチから10メートルを越すもの、地を這うものや上にドンドン伸びるものなど色々な種類があります。原産地はアフリカ南部、アラビア半島、マダガスカル島などに分布しています。アロエ属は大きなグループで、原種(自生している種)だけでも300種類見つかっています。丈夫で栽培しやすく葉の模様が見事で花もきれいなものが多いです。
特徴
アロエは同じくツルボラン科であるガステリア属やアストロロバ属、ハオルシア属と近縁の関係があります。棘がある種類もあるのでサボテンのように思われますが、アロエは刺座という部分がないためサボテンではありません。アロエ属は一部の種類を除いて日光を好みます。日照不足になると葉と葉の間隔が伸びる徒長を起こしやすいです。ただ小型種や高山性のものは日差しに弱い、性質が繊細などアロエといっても一様ではないため、種類に応じた栽培が必要です。
育て方
多肉植物の中では栽培しやすいグループです。夏の「風通し」と冬の「霜対策」を押さえれば比較的簡単に育てられます。アフリカなど暖かい地域が原産のアロエ属は、暑さと乾燥に強く日本では夏に主に生育する「夏型」として育てます。耐寒性も0~5℃程度と比較的強く、温暖地なら冬でも外で育てられます。日本の高温多湿の夏には弱いので風通しを良くするなどの工夫も必要です。また寒さに弱い種類は5℃以下になる場合、室内に取り込みましょう。また乾燥地に自生する植物なので雨ざらしや水のやりすぎには充分に注意が必要です。
育て方のコツ
- 種類によって性質が異なり栽培方法もそれに合わせる
- キダチアロエは寒さ暑さに強く栽培しやすい種類
- 全般的には寒さに弱いため5℃以下で室内に
- 生育期は良く日に当て水も与える
年間栽培カレンダー
生育型 | 夏型(一部春秋型) |
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生育期 | 4~10月 |
休眠期 | 12~2月 |
緩慢な時期 | 3月、11月 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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主な種類名
Aloe arborescens | 木立アロエ(医者いらず)(コダチアロエ・キダチアロエ) |
Aloe variegata | 千代田錦(チヨダニシキ) |
Aloe mitriformis ‘Huyajou’ | 不夜城(フヤジョウ) |
Aloe vera | ベラ |
Aloe juvenna | 翡翠殿(ヒスイデン) |
Aloe marlothii | 鬼切丸(オニキリマル) |
Aloe aristata | 綾錦(アヤニシキ) |
Aloe brevifolia | 姫竜山・竜山錦 |
Aloe longistyla | 鯱錦・百鬼夜行(ヒャッキヤコウ) |
Aloe striata | 慈光錦(ジコウニシキ) |
Aloe rauhii | ラウイー |
Aloe polyphylla | ポリフィラ |
Aloe lineata | リネアータ |
Aloe deltoideodonta | デルトイデオドンタ |
Aloe pillansii | ピランシー |
Aloe humilis | 帝王錦(テイオウニシキ) |
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育て方のポイント
アロエは種類によって栽培難易度が様々で、普及している木立アロエは丈夫で育てやすいです。それ以外の品種(特に粉が吹くものや小型のもの)は耐寒性が弱かったり、夏に遮光しないと日焼けしてしまうなど、少し栽培が難しいものがあります。一般的にアロエは5℃以下になるのと生育をやめて休眠に入ります。
水やり
アロエは葉に水をため込む性質があるので、普通の植物のような大量の水やりは不要です。以下で生育期別の水やり方法を書いていますが、実際に育てている株の状態を見ながら、土が乾いていないようなら水やりは不要です。土がしっかり乾いているのを確認してから水やりをしましょう。
生育期(4~10月)
4~5月の生育期は週に1回程度、1回当たりの量は鉢底から流れ出るまで与えます。6~7月の梅雨時は雨ざらしを避け、10日に1回程度にやや控えます。機械的に10日に1回ではなく、土がカラカラになるまで待ってから水やりします。8~10月も生育期なので週に1回程度、鉢底から流れ出るまで与えます。
休眠期(11~3月)
11月から気温が下がり休眠期に近づくため、10日に1回程度に減らします。1回あたりの量もやや控えます。12月からは休眠期に入り月1回程度に控え、量も土が軽く湿るくらいにとどめます。1~2月は断水し、月に1度も与えません。ただ小型種は水不足に弱いので月1回、鉢の半分が濡れるくらいに与えます。3月からは暖かくなるため、2週間に1回程度にだんだん増やしていきます。
置き場
基本的に一年間を通して雨の当たらない、風通しがよい所が望ましいです。
生育期別の置き場
3~5月は生育期のため屋外の日なたに置きます。6~9月は生育期ですが日差しが強く葉が傷むことがあるため、軽く(30%程度)遮光します。木立アロエは日なたに置いて問題ない場合もあります。小型種や白い粉が吹く品種は強光に弱いので早いうち(5月頃)から遮光します。10~11月は屋外の日なたに置きます。
12~2月は基本屋外の日なたに置きますが、5℃を下回る場合は室内か温室に取り込みます。キダチアロエやアロエベラは強健種なので断水すると0℃まで耐えられます。しかし外に置いたままにする場合、できれば不織布のシートなどで全体を覆って寒風が直接当たるのを避けてやったほうがよいです。キダチアロエ・ベラ以外は5℃を切ったら室内にいれ、水を与えないで休眠させるのが安全です。
弱い種類の場合
小型種や白い粉を吹く品種、高山性の品種(原産地が高山のもの)は耐寒性が弱く強い日差し(戸外の直射日光)にも弱いので、通年室内で育てたほうがよいでしょう。
置き場所を迷ったら
どれくらいの寒さまで耐えられるか、何月まで日差しに耐えられるのかはその種類ごとによりますし、育て方(水やりの量など)によっても異なります。そこでどこに置いて良いのか迷ったら、株の状態をみて判断しましょう。
寒さについては、葉の縁が茶色になってきたら温度が下がりすぎているサインです。日光の強さについては、葉に黒いしみができたり、葉が茶色く焦げてきた場合は日差しが強すぎるサインです。それぞれもう少し暖かい所に置く、遮光をするなど対策を取ります。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
高山性など弱い種類を除いて耐暑性は強いです。典型的な夏型の多肉植物で、他の多肉植物と比べると暑さに強く夏にも休眠せず生育を続けます。日本で普及していて露地植えされていることも多いキダチアロエやアロエベラなどは強く、戸外で春と同じように水をたっぷり与えて栽培できます。ただ日本の夏は蒸し暑さがあり多湿はやや苦手なようです。
しかし高山性の品種や斑入り種、小型種、白い粉が出るタイプは暑さ寒さに弱いので、夏でも強制的に休眠させ水を与えません。通年温室や室内で栽培したほうがよいものもあります。
越冬最低温度と冬越し方法
耐寒性は弱く最低越冬温度は5℃とされています。アロエは寒さに弱い植物で、低温になると生育が鈍くなり5℃以下になると休眠してしまいます。5℃を下回る時期は室内の窓辺か温室に取り込みます。暖房機能がないビニール温室はほとんど気温と同じ温度まで下がってしまうので保温には向いていません。
キダチアロエなど一部は強健なので0℃まで大丈夫ですが、それでも不織布のシートで覆うなど、寒風を防ぐための対策はしたほうがよいです。冬の間は生育が鈍るので土が乾かず、ほとんど水やりをしないようにします。
また冬は開花の時期とも重なりますが、体の水分で花を咲かせるので水を与えないようにしましょう。
増やし方
アロエ属は挿し木(挿し芽)、種まき(実生)、株分けで殖やすことができます。
挿し芽(挿し木)の方法:
挿し木は生育期の4月~9月にできます。一年の中で一番繁殖に向いているのは4~5月頃なのでできれば春に行いましょう。挿し木は、葉を数枚つけて茎を切り取り切り口を数日乾かします。そして乾いた用土に挿し1週間ほどしてから水やりを始めます。根が出るまで土を軽く湿らせた状態を保ち、2~3週間は半日陰(明るい日陰)か室内で管理します。
株分けの方法:
アロエは地下からランナーが出たり、株元からたくさん子吹きするものが多く子株を切り取って簡単にふやすことができます。時期は挿し木と同じく生育期の4月~9月にできます。そのうち一番最適なのは4~5月頃です。子株が出てきたら5~6cmくらいになるまで待ち、切り取り土に植え付け発根を待ちます。
種まきの方法:
アロエは種まきからも増やせます。種まき(実生)をする場合、時期は春蒔き4~5月に蒔く場合と秋まき(9~10月頃)があるようです。アロエ全般の発芽率はあまりよくはなく、交配する場合は下の方についた花が受粉しやすいとのことです。
植え替え
アロエは繁殖力が旺盛なものが多いので、鉢植えしていると鉢の中が根で一杯になってしまいます。これを根詰まりといいます。そのため1~2年に1回植え替えが必要になります。植え替えは生育期の4~9月が適期ですが、一番よいのは春の4~5月頃です。
鉢から株を抜き取り、底の方の土と周りの土を三分の一ほど落とします。そして一回り大きい鉢に植え替えます。植え替えは根に負荷がかかるので、水やりは4~5日後から開始します。
土と鉢
アロエは数センチのものから数メートルになるものまで、大きさがさまざまです。大きなものは地植えが必要になりますが、小さなものは鉢でも十分に成長します。地植えにしてしまうと寒い時期に室内への出し入れができなくなるため、弱い種類などは特に鉢植えにして移動しやすくしておいたほうがよさそうです。
土の選び方
土を選ぶときのポイントは水はけ(排水性)と通気がよいこと、肥料分があまり含まれていないもの、粒が細かすぎないものの4点です。粒が細かすぎると通気性が悪くなってしまいます。また普通の園芸用の土は腐葉土や肥料分が多く、水はけが悪いので使わないほうがよいです。そんな場合は多肉植物の培養土が便利です。
また土にこだわりがある方は、自分で配合した土を使ってもよいでしょう。自分で土を作る場合は、1~2種類ではなく3~4種類以上の性質が様々な土を混ぜることが大切です。粒のサイズは小型種は細かめ、大型種はやや粗めです。
(例1)ピートモス4:ボラ土5:赤玉土4
(例2)ピートモス2:赤玉土2:くん炭2:パーライト1:川砂1:鹿沼土2
(例3)市販の園芸用土1:ボラ土か赤玉土2:くん炭2
肥料
普通の植物と違いそれほどたくさんの肥料は要りません。しかし鉢植えしていると肥料や微量要素が不足してきてしまいます。その場合、肥料や活力剤を与えます。
肥料を与える場合は、4~6月か9~10月に10日に1回水やり代わりに液肥を与える、または植え替え時に土の中に緩効性肥料を混ぜ込んでおくかどちらかにします。肥料は種類によって効果が出る速さや期間が異なります。
液肥は与えてすぐ吸収され効果を発揮しますが、鉢底から流れてしまい作用時間は短いです。そのため月に2回程度与える必要があります。一方緩効性固形肥料は水やりを繰り返すことで溶け出して徐々に効果が現れます。アロエ(多肉植物)の場合、普通の草花より水やり回数が少ないため、商品に書いてある作用期間より遅めに効果が現れ、長期間効きます。
(例1)ハイポネックス1000~2000倍を月に2回程度与える
(例2)マグアンプKを植え替え時に土に混ぜ込む
開花
アロエは赤、黄色、白などの花が咲き、花も楽しめる種類ですが、色々な条件が揃わないと咲きません。まずアロエは長く栽培していないと花が咲きません。種類によって異なりますが、一番身近な木立アロエは2~3年の栽培では花が咲かず、3年以上育てて茎の太さが2cm以上、草丈は30cm以上になる必要があります。キダチアロエの場合は8~9月に花芽がつき、12~3月頃に花が咲きます。
花を咲かせるためには、肥料をしっかり与え日当たりのよいところで育て、株を充実させる必要があります。子株がたくさん付くと栄養が取られてしまうので、植え替え時期に子株を切り取る株分けをすることが大切になります。
アロエは花が咲いたら、株が死んでしまうタイプではないので、花芽を慌てて切り取る必要はありません。しかし株の体力を消耗しますので、種をとらないや花を見ない場合は、花芽を切り取ったり花がらを摘んだりします。
病害虫
病気
6月から9月頃にかけてはカビが原因の病気になりやすいため、まめに観察しましょう。黒い斑点ができる黒星病や、葉が茶色になるさび病などを発見したら、その部位は切り取って株全体にベンレートなどの殺菌剤を散布します。
生理障害
梅雨時は病気ではないものの、生理障害である根腐れを起こしやすいです。また夏には直射日光の強すぎが原因で起こる葉焼けをしやすいです。そのため高温多湿の場所や強い直射日光が当たるところでは、遮光して温度を下げたり日よけをします。
害虫
害虫はカイガラムシが付きやすいです。また暑い時期はアザミウマが発生したり、春先にアブラムシが付くこともあります。害虫対策は、虫がつきやすい時期の前に浸透移行性のあるベニカや粒剤であるオルトランDXなどの殺虫剤を撒いておくか、見つけ次第捕殺します。
アロエ属によくあるトラブル
- 花がなかなか咲かない・・・株に栄養が行き渡り、年数が経ち株が充実しないと花が咲かないので、気長に待つ必要があります。
- 葉の色が紫~赤茶色になった・・・アロエは寒さに弱く、5℃以下にさらすと葉が変色してしまいます。葉の色をよく保つには、冬に温室か室内に取り込みましょう。