熊童子 |
子猫の爪 |
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熊童子の写真 |
熊童子の幼苗(2019.5) |
8ヶ月でここまで成長した |
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子猫の爪の写真 |
子猫の爪 |
子猫の爪(2019.11) |
子猫の爪の花(2020.2) |
基本情報
■ベンケイソウ科
■コチレドン属
■学名:Cotyledon ladismithensis(熊童子)
■学名:Cotyledon ladismithensis ‘Konekonotsume’(子猫の爪)
原産地:南アフリカ
生育型:春秋型
大きさ:高さ20cm程度、幅10cm程度
耐暑性:やや弱い
耐寒性:やや強い
温度:書籍値0℃~35℃程度
温度:実測値1℃~35℃程度 ※水やりを控えた場合の値で、状況によりこれより狭くなることがある
育てやすさ:普通
管理場所:春秋-日なた、夏-日陰、冬-0℃以下は室内
増やし方:挿し木(挿し穂)〇・葉挿し×
成長スピード:遅い
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
耐寒性と耐暑性が、強い-やや強い-やや弱い-弱い
熊童子と子猫の爪の特徴
熊童子と子猫の爪はこんな植物
熊童子と子猫の爪は兄弟種
学名から分かるように子猫の爪は熊童子(クマドウジ)の変種で園芸用に生み出されたものです。姿はそっくりでどちらも緑色でうぶ毛が生えていて、葉が分厚くぷくぷくしています。しかしよく見てみると少しずつ違いがあり、熊童子は葉が上を向くのに対し、子猫の爪は下に垂れ下がります。爪も熊童子は4~5個あって紅葉すると茶色っぽくなりますが、子猫の爪は爪が2~3個でもともと茶色いです。また斑入り種があり、熊童子錦(にしき)といい白~黄色の斑が入ります。
夏越しが難所
熊の手はうさぎ系と並んでモケモケシリーズなどといわれフリマで人気があります。斑入り種は貴重で、特にきれいな斑が入ったものは高額で取引されることもあります。南アフリカ~アラビア半島が生まれの地のコチレドンは生育は遅いですが、長く育てていると枝が木質化してがっしりします。しかし日本の夏の蒸し暑さには弱く、葉がポロポロと全部落ちてしまったり、また水やりのコツをつかむのがちょっと難しいです。どちらも春と秋に成長する「春秋型」として育てます。秋は紅葉しますが、紅葉は葉先のみで全体の色は変わりません。ただ春と秋の生育期にはしっかり日に当てないと葉の色が薄くなってしまいます。
育て方のコツは
- 暑さが苦手なので夏は遮光などしてできる限り涼しい環境に
- 夏の水やりは少量、春秋は土がカラカラになってからたっぷりと
- 夏以外は日に良く当て、雨ざらしにしない
- 冬0℃以下にしない
年間栽培カレンダー
水やり |
- 4月~10月頃まで土が乾いたらたっぷり与える
- 7~8月は水を控えるが断水まではしない
- 11月~3月は休眠するので月1回程度の水やりに
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置き場所 |
- 7~8月を除いて4月から10月までは日なたに置く
- 7~8月は日差しが強すぎるので明るい日陰に置くか遮光する
- 11月~3月は5℃以下になりそうな時は室内の直射日光のあたる所に
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
- あまり要らないが成長期の春、秋に薄い液肥を与えても良い
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開花 |
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休眠期とは?夏でも休眠するの?
多肉植物は自生地の環境と異なる日本で育てる時、暑さで生育が鈍ったり寒さで成長が止まったりします。その時期のことを「休眠」といいます。休眠期は生育が鈍るので根が水を吸収しなくなり、土の水が乾きづらくなります。いつまでも土が湿っていると根腐れや蒸れを起こしやすくなります。そのため休眠期には水やりを控え、挿し木や株分けなど株へ負担をかける作業を控えます。
熊童子や子猫の爪は春秋に成長し、夏冬は成長が鈍るので春秋を生育期、夏と冬を休眠期といいます。
斑入り種と普通の種類は育て方が違うの?
斑入り種と普通の種類は性質が異なり葉緑素がないため弱いです。別の種類として扱った方がよいかもしれません。耐寒性や耐暑性が下がり、特に強い直射日光を嫌うようになります。普通どおりに育てると葉が焼けて黒くなる、葉がポロポロ落ちる、株が枯れる、溶けるといったトラブルが起きます。そのため日陰で育てたり、室内に取り込んだりと育て方を工夫する必要があります。これは多肉植物のどんな種類にも共通で当てはまります。
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育て方のポイント
水やり
熊童子や子猫の爪は水不足に強い多肉植物なので水やりは慎重に行います。土が乾かないうちにじゃぶじゃぶ水をやると葉がポロポロ落ちたり、最悪夏などは根が煮えて根腐れで枯れてしまいます。適切な水の量は生育期で3日間以内に表土が乾くぐらいです。生育期は鉢の中を完全に乾かしてから鉢底から流れ出るくらいの水を与えます。(冬や夏は表面がさらっと湿るくらいにとどめましょう)
具体的な頻度は生育期の4~6月、9~10月は10日に1回ほど鉢内が充分湿るぐらい水を与えます。鉢底の穴から水が出てきても問題ありません。梅雨時に入る6月からは蒸れやすくなるので2週間に1回くらいにします。そして7~8月は暑すぎて生育が鈍るためあまり根が水を吸わなくなります。そのため月に1回ほど鉢が少し濡れるくらいにとどめます。9月からまた水やりの回数を増やします。冬の11~2月は休眠期で水をほとんど吸わなくなるので月1回程度、表面をさらっと湿らせるぐらいにとどめましょう。
冬と夏は水やり時間のタイミングに注意しましょう。夏は涼しくなった夕方に、冬はこれから暖かくなる朝に与えます。凍るような寒い日や35度を超えるように時は無理に水やりはしなくてOKです。また、水をやる時は葉にかけるのではなく、根元に注ぐようにしましょう。
置き場
7~8月を除いて4月から10月までは日なたに置きます。7~8月は日差しが強すぎるので明るい日陰に置くか50%程度(半日陰)の遮光をしましょう。11月~3月は5℃以下になりそうな時は室内の直射日光のあたる所に置きます。ただし斑入り種(錦がつくもの)は性質が弱く春や秋も直射日光に当てない方がよいでしょう。熊童子や子猫の爪は春や夏に徒長しにくい(ヒョロヒョロ伸びる)ので、朧月などと比べて徒長対策は心配ありません。熊童子や子猫の爪は寒さには意外と強く0℃を下回ってすぐかれることはありませんが、葉が傷んでしまうことがあるので、なるべく3℃を下回ったら室内や温室に取り込むときれいに育ちます。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
暑さにやや弱く、30度を超えるあたりから葉がポロポロと落ちてしまうことがあります。夏は全体的に元気がなくなります。水をごく控えて風通しをよく、50%程度の遮光をして直射日光が当たらないようにすれば一応安心です。しかしちょっとした水の加減や天候(暑い日が続くなど)で根腐れすることもあり、初心者のうちは夏に枯れてしまってもがっかりしないようにしましょう。
越冬最低温度と冬越し方法
基本的には本などにもかいてあるように、推奨値は0~5℃で、0℃の寒さにあてるとすぐに枯れるわけではありません。しかし凍結させたり霜が降りたり寒風が当たったりするとどうしても株が傷みます。水やりは月1回程度ですが日取りは選んでできるだけ暖かい日にしましょう。関東以北の寒冷地では夜マイナスが続く地域もありますが、そのような場所では冬場、外での栽培は諦めて日の当たりやすい室内に取り込むようにしましょう。簡易ビニール温室は夜に温度がほとんど外と同じくらいになるので過信は禁物です。
増やし方
殖やしたい時は成長期(4~6月と9~10月まで)に行います。熊童子や子猫の爪は挿し穂や株分けで殖やしていきます。残念ながらコチレドンは葉に成長点がないので葉挿しで殖やすことは極めて難しいです。もともと成長がゆっくりで挿し木をする場合も根の出る速さは遅めです。7~8月の酷暑は根が出づらく冬は休眠しているので難しいです。
挿し木(挿し芽)の方法:
挿し木は親株から5cm程度茎をカットし、下の方の葉をもぎとり断面を3~4日乾かします。乾いたら乾燥した用土に挿します。発根するまで3~4週間かかりますが(多肉の中では遅い方)焦って水をやったりしないようにしましょう。根が1cm程度出たら水やりを開始します。最初は少なめにだんだん増やしましょう。カットした親株の節からは2ヶ月程度で新しい芽が出てきます。
葉挿しの方法:
葉挿しはできないが、ごく稀に根が出てくることもあるので、もし仕立て直しなどで葉が余ったら実験してみるのもよいですが、根は出てもその後の葉は出ないのが実情です。
株分けの方法:
数年間育てて群生した株は株分けができます。土から掘り出して古い根を整理し子株ごとにわけて植え付けます。植え付けてから3~4日後から水やりを始めます。株分け前は10日以上水やりを控えて土をサラサラにしておきましょう。また原種は種まきもできます。種を採りたい場合は2つの異なる株を用意して受粉作業を行います。
植え替え:
植え替えも株分けと同様に生育期の4~6月、9~10月に行います。事前に水やりを1週間ほど控えて土を乾燥させておきます。休眠期に植え替えると株にダメージを与えるので控えましょう。熊童子や子猫の爪は成長がゆっくりなので頻繁な植え替えは必要ありません。植え替えには、肥料の追加と古い根の整理、土を新しくする、サボテンコナカイガラムシなどの害虫の駆除、といった役目があるので2年に1回程度は鉢を掘り起こして古い根を取り除き、肥料不足になった土を新しい土と取り替えましょう。
土
他の多肉植物と同じように水はけのよいもので肥料分が少ないものを選びましょう。多肉植物用の土を買ってきてもよいですし、自分でオリジナルの土を作ることもできます。作る場合はくん炭やピートモス、ボラ土、赤玉土、鹿沼土(いずれも小粒)を混ぜ合わせる。土は種類によって性質が異なり、バランスよく配合するためには最低3種類以上の土を混ぜ合わせたほうがよいためです。
(例)赤玉土2:鹿沼土2:ピートモスか腐葉土1:川砂1:くん炭1:パーライト1 など
(例)赤玉土2:ボラ土1:腐葉土1 など
軽石を鉢底にしくと水はけがよくなります。
グラプトペタルムのように成長が旺盛ではないので、水はけのやや劣るプラスチック鉢でも充分育てられます。その場合、穴のちゃんと空いているプラ鉢を選びましょう。大きすぎる鉢は水の乾きが悪いので、その苗にちょうどいい口径のものを選びましょう。
肥料
基本的には普通の植物より少量でOKです。やらないでも育つが早く大きくしたい場合や、育ちが悪い場合は、生育期の4~6月、9~10月に施肥を行います。ハイポネックス1,000~2,000倍液のような液肥を、月1回程度水やりと同じ分量与えると生育がスムーズになります。ただし肥料が多すぎると葉の色が薄くなったり、枝が弱く曲がってしまったりするので、初心者で自信が無い場合はスキップしても大丈夫です。
病害虫
熊童子などは病害虫がほとんど心配ない丈夫な種類です。しかし庭などでは他の植物から病害虫が入り込んでくることがあります。ナメクジが花を食害したり、根に白い虫がついていたらカイガラムシなのでナメクジ退治剤を撒いたり、根を水で洗ったりします。生育が悪い場合、肥料ではなく根にネジラミ(サボテン根コナカイガラムシ)がついていることがあるので根を点検してみましょう。病気は特に心配ありませんが通気の悪さで根腐れ、蒸れが起こることがあるので夏の間は過湿に気をつけましょう。
花
熊童子や子猫の爪は、ある程度の大きさまでうまく育てると冬に花を咲かせます。
つぼみがつくのは11月頃で開花は2月頃です。1つの花は3週間ほど咲き続けます。開花まで3ヶ月もかかるという、かなりゆっくりの成長で、オレンジ色のベルのような形の花を咲かせます。種を採らない場合は花が咲き終わったら花がらを摘み取り、株に負担がかからないようにしましょう。
子猫の爪・熊童子によくあるトラブル
- 5月くらいから葉がポロポロ落ちてきた・・・暑さのため起こる生理現象で、ある程度は仕方ないものです。葉が全部落ちて棒のように茎だけ残ることがありますが、冷房が効いた部屋などに取り込めない場合は致し方ないことです。茎が死んでいなければ秋になりまた葉が出てくるので捨てないようにしましょう。触ってみてフカフカしている茎は残念ながら枯れています。
- 熊童子の爪が黒くならない、下を向いている・・・水のやり過ぎと日光不足で起こりますので、もっと日に当てましょう。
- 爪が出ない、色が薄い・・・水をやり過ぎている証拠なので控えめに。また幼い葉の爪が少ないのは自然なことなので成長したら出てきます。
- 挿し木がうまくいかない・根が出ない・・・酷暑の時期や冬は生育が止まるので避け、春と秋に気長に発根を待ちましょう。
- 夏に急に株がしおれてきた・・・運悪く細菌が入り込み根や茎の腐れを起こしています。茎を切ってみて黒くなっているようなら残念ながら枯れているので抜き取り処分します。
育て方のコツのまとめ
- 暑さが苦手。夏は遮光などしてできる限り涼しい環境に
- 夏の水やりは少量、春秋は土がカラカラになってからたっぷりと
- 夏以外は日に良く当て、雨ざらしにしない
- 冬0℃以下にしないこと