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カンテとラウイの育て方

このページでは、エケベリア属の代表種カンテとラウイの育て方や実際の栽培のコツについて解説しています。

写真

カンテカンテ ラウイラウイ

カンテ・ラウイの特徴

ベンケイソウ科
エケベリア属
学名 カンテ:Echeveria cante
ラウイ:Echeveria laui
生育型 春秋型
育てやすさ 育てやすい
成長速度 普通~遅い
増やし方 挿し木、種まき、葉挿し
原産地 メキシコ

※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い

カンテ・ラウイはこんな多肉植物
エケベリアの代表種
カンテとラウイは共に原種のエケベリアで、メキシコに自生しています。エケベリア属の代表ともいえる種類で、大変人気があります。以前カンテはEcheveria subrigidaとされていましたが、1997年にcanteに変更されました。自生地はメキシコで、日本ほど寒暖の差が穏やかで降水量が日本の3分の1以下の所に生えています。

特徴
どちらも白ピンク色の肌に白い粉を纏っており、影になるものがない自生地で強光を和らげる役目をしています。この粉は一度はげると再生しないので、水やり時や移動の際に粉はげしないよう注意します。カンテは自生地では最大直径が40cmにもなる大型種で、ラウイはそこまで大きくなりませんが、直径20cmになることが分かっています。

育て方
どちらも春と秋によく生育する春秋型として栽培します。栽培方法は他のエケベリアとほとんど同じですが、ラウイはやや根腐れしやすい点、カンテは下葉が枯れやすい点に気をつけます。どちらも子株が出にくいので、主に種まきで増やします。育てる時は葉の割れを防ぐため水のやりすぎに気をつけ、他のエケベリアより強い紫外線に強いので、夏も遮光率を少なめにします。成長はエケベリアの中ではやや遅いほうなので、じっくり数年かけて栽培します。開花までには種まきから3年以上の経過が必要です。

育て方のコツ

  • 春秋はしっかり日に当て適度に水も多く与える(週1回程度)
  • 夏は遮光するが他のエケベリアより弱めでよい
  • 冬は0℃を切らないように室内に取り込む
  • 根腐れしやすいので風通しを良くし雨ざらしにしない

年間栽培カレンダー

生育型 春秋型
生育期 3~6月と9~11月
休眠期 12~2月
緩慢な時期 7~8月
水やり
  • 3~5月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(1週間に1回程度)
  • 6月は春よりやや少なめを月2回程度
  • 7~8月は土を半分湿らす程度を月に2回程度
  • 9~11月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(1週間に1回程度)
  • 12~2月は土を半分濡らす程度を月に1回程度
置き場所
  • 年間を通して雨の当たらない風通しのよい所に
  • 3~5月は直射日光の当たる屋外
  • 6~9月は明るい日陰か30%程度の遮光
  • 10~11月は直射日光のあたる屋外
  • 12~2月は雨の当たらない屋外、0℃以下の場合は日当たりの良い窓辺に
植え替え
  • 3~5月頃が適期
増やす
  • 3~5月頃に葉挿し・挿し木、4月に種蒔き
肥料
  • 植え付け時に緩効性肥料、または3~4月頃と9~10月頃に月2回液肥を与える
開花
  • 春頃

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育て方のポイント

水やり

水やり
カンテ・ラウイーは多肉植物なので、普通の植物のような頻繁な水やりは必要ありません。自生地は乾期と雨季に分かれており一番多い月でも60mmしか雨が降らず、乾期には月10mmしか雨が降りません。そこで日本でも生育期はしっかり与え、休眠期にはほとんど与えないというメリハリをもった水やりが必要になります。

基本的に土がカラカラに乾いてから数日経ってから水を与えます。土が乾いていない時は無理に水をやりません。

具体的な目安
3~5月は生育期です。土が乾いたら1週間に1回程度、鉢底から流れるまで与えます。6月は梅雨で水が乾きにくく春よりやや少なめを月2回程度に減らします。7~8月は暑さで半休眠するため、土を半分湿らす程度を月に2回程度にします。9~11月は再び生育期なので、土が乾いたら鉢底から流れるまで1週間に1回程度与えます。12~2月は休眠期のため、土を半分濡らす程度を月に1回程度にとどめます。

注意点
水やりには季節によってタイミングがあり、夏場は蒸れを防ぐため涼しい夕方に行います。逆に寒くなってきたら暖かい朝~昼に行います。夕方や夜間に水をやると低温障害を起こしやすくなってしまいます。

またカンテ・ラウイどちらも粉はげを防ぐため、水は細いジョウロで株元に注ぎます。

置き場

置き場
カンテ・ラウイは雨ざらしにせず、風通しのよい所に置きます。そして春・秋・冬はできるだけ日当たりの良い所に置きますが、真夏の直射日光は強すぎるので若干遮光するか、明るい半日陰に移動させます。

ただ他のエケベリアより強い日光を好みますので、日よけをしすぎないようにしましょう。目安は葉の色が薄く緑がかってきたら日差しが不足していますので、置き場所を調節してみてください。

具体的な置き場所
3~5月は直射日光の当たる屋外に、6~9月は明るい半日陰か30%程度の遮光ネットをかけます。簡易ビニール温室では一番前の列に置くとよいです。10~11月は直射日光のあたる屋外で日光浴させ、12~2月も引き続き雨の当たらない屋外に置きますが、0℃以下の場合は日当たりの良い窓辺に移動させます。

耐暑性と最高気温・夏越しの方法

夏越し夏の暑さへの強さは中くらいです。カンテ・ラウイ共に遮光下であれば(直射日光が当たらなければ)福岡市で実測40~45℃を耐えています。7~8月の日なたは55℃を超えるため直射日光下には置かないほうが安全です。

エケベリアの中で比較すると強い日差しには強いものの、蒸れに弱い印象です。(特にラウイ)どちらも日本の高温に多湿が加わった猛暑が苦手で、水やりを多くしすぎると突然蒸れて腐り枯れてしまうことがあります。

自生地では日よけなどはありませんが湿度が低いです。そのため日本で安全に栽培するためには遮光ネットを張った方がよいです。遮光ネットは日差しを調節し温度を下げる効果もあるので、ラウイやカンテを夏越しさせるには必須のアイテムです。

越冬最低温度と冬越し方法

冬越し冬の寒さには多肉植物の中では比較的強く、0℃を耐えるとされています。

福岡市の実測では1℃まで耐えました。しかし自生地では平均最低気温が5℃を下回ることは少ないため、できれば2℃以下になりそうな日は、室内に入れた方が安全です。

簡易ビニール温室で育てる
簡易ビニール温室で育てている方も多いと思いますが、簡易ビニール温室は保温効果はなく、ビニールを閉じても未明には外気温と同じに下がってしまいます。寒さ対策に使うには過信しないようにしましょう。ただ寒風や雪をよける効果はあるので、外で冬越しする場合は窓を閉じましょう。

室内での注意点
室内では暖房器具の温風が直接かからず、できるだけ5℃~15℃を保てる所が適しています。暖かすぎる室内は、日光不足から徒長をしがちなので水のやり過ぎにも気をつけましょう。寒冷地では数ヶ月室内に取り込むことになりますが、窓の無い部屋では長い冬を越せないので、LEDの植物育成ライトを使うのも方法の一つです。

増やし方

殖やし方カンテとラウイは主に種まきで増やします。ラウイは葉挿しも可能ですが、カンテは難しいようです。また子株が出にくいので、株分けや挿し木なども難しいです。

繁殖にはそれぞれ適切な時期があります。適期は長いように思えて案外短いので、時期になったらすぐに作業に取りかかるようにしましょう。

葉挿しの方法:

葉挿しとは葉1枚から新しい子株を得る方法です。葉挿しには適切な時期があり、3~5月、9~11月頃が適期で特に4月スタートが最良です。また真冬や真夏を除けば比較的いつでも可能です。葉挿しには半年~1年の長い時間がかかります。

手順
まず比較的大きな葉を選び、葉の付け根からもぎ取ります。この付け根の部分から子株が出るので、付け根が幹に残ってしまうと失敗します。外れにくい場合はカッターナイフなどで切れ目を入れてからもぐともぎやすいです。

葉をもぎ取ったらトレイに並べて、室内の窓辺など少し明るく直射日光が当たらない所に置きます。やがて芽が出て親葉がカリカリになったら葉挿しの成功です。カリカリになったら親葉を外し、初めての水やりをし、だんだんと日なたに慣らしていきます。

葉挿しの成功率は100%ではなく、芽や根が出ない個体も出てくるので、欲しい苗数より多めに葉を採りましょう。

種まきの方法:

種まき(実生)で増やすこともできます。種まきにも適切な時期があり、3~5月できれば4月いっぱいがベストです。お住まいの地域によって温度が20~25℃を保てる月が異なるので、寒冷地では5月頃が蒔き時です。

手順
エケベリアのタネは非常に小さく、生えてくる芽もとても小さいです。また種まきした苗は乾燥にとても弱いので、水やりの管理に腰水(底面吸水)という方法をとります。種まきはカビが生えたり日よけが必要になったりなど、大きくなった株を育てるより手間がかかるため、やや中上級者向けです。

エケベリアの実生方法(種まき)は長くなるため別ページで解説しています。

エケベリア「ラウイ」の種まき方法と実践記録

植え替え

植え替えとは、古く硬くなった土を新しくしたり、根につく害虫を取り除いたり、根詰まりを解消したりする効果がある作業です。カンテやラウイを育てる時も植え替えは大切で、通常1年に1回程度必要です。植え替えないでいると鉢が小さくなり、根も伸びることができず、成長が止まってしまいます。

植え替えにも時期があり、生育期の少し前から生育中の3~5月頃が適期です。また秋の10月頃も可能です。特に3~4月に植え替えをしておくことで、根が健康に伸び、その後の生育をよくすることができます。

植え替え方法
植え替えをする前はあらかじめ数日水をやらずに土を乾かしておきます。濡れたまま作業すると根を不用意に切ってしまうためです。鉢を揉むようにして丁寧に株を掘り起こします。根と土が塊になっている(根鉢)ので丁寧に土を落としていきます。このとき簡単に切れてしまうような根は切っても問題ありません。

茶色い根や鉢底でまとまりになってしまった細い根は切り落とし、太くて新しい白い根を残します。そして一回り大きな鉢に土を入れ、苗を据えて周りに土を入れてきます。土は粉状になった所や古い根が入っている所を振るいにかけてから使います。このとき緩効性化成肥料をふたつまみほど入れておくと元肥になります。

それほど根を切らなかった場合はそのまま植え付けてよく、根腐れなどで根をだいぶ切った場合は株を数日乾かしてから植えます。その後たっぷりの水を与えて1~2週間程度は半日陰で管理します。

土と鉢

土
土の種類と選び方
カンテ・ラウイどちらも水はけがよく通気性のよい土を好みます

できれば新しい土がよいですが、それ以外の場合は病気が出た土や害虫の卵などが入っている土は使わないようにしてください。またみじん(粉状になった土)は取り除き、ふるいにかけて粒の大きさを揃えておきます。

現在ではたくさんの種類の多肉植物の培養土が販売されていますので、それを買ってきて使うと手軽です。その場合、適度に重さが有り粒の大小の差が小さく、適度に保水性がある土を選んでください。

以下のページでは市販の多肉植物・サボテン用土を7種類レビューしています。

市販の多肉植物用の培養土の性質を比較・おすすめも紹介!

自分でブレンドする
自分で作る場合は、赤玉土・鹿沼土などを元にピートモス・パーライトなどを3種類以上混ぜて使います。粒のサイズはなるべく揃え、みじんはふるいにかけるなどして取り除いてください。

鉢の種類と選び方
鉢は主にプラスチックのものと陶器のものがありそれぞれ水の乾きやすさや特徴が異なります。プラスチック鉢は適度な水持ちがあり、軽くて割れにくく簡易ビニール温室でも使いやすいため、初心者にもおすすめです。陶器の鉢は土が乾きやすく頻繁な水やりが必要になったり数を増やすと重くなりすぎるため、できればプラスチック鉢がよいです。

プラスチック鉢の中ではプレステラが多肉植物ではよく使われます。これはスリット鉢の一種で根張りに考慮して設計されており、またホームセンターなどで安く手軽に入手できます。

肥料

肥料
カンテやラウイはやはり乾燥地帯で肥沃ではない土で育つため、普通の草花のような大量の肥料は不要です。ですが、自然界で育つ多肉植物は自然界からミネラル分や養分を吸収することができますが、鉢植えだと水やりで流れ出てしまう一方です。そのため適度な施肥が必要です。量は通常の植物の3分の1でよいとされています。

カンテ・ラウイを育てる時に肥料を使うことによって葉の枚数を増やしたり、自生地より早く大きくすることができます。

実際には緩効性化成肥料を植え替え時に土に混ぜ込むか、植え替えない場合は液肥を生育期に与えたりします。具体的にはマグアンプKやハイポネックス原液の希釈液などがよく使われます。

ただ与えすぎると徒長や肥料焼けなどを起こすので、与えすぎないようにしましょう。

病害虫

病害虫
どちらも病害虫はあまり心配がない強健種です。ただラウイは少し根腐れしやすく特に夏の蒸れに気をつける必要があります。また水のやりすぎで身割れ(葉がパキッと中から割れる)が起きることがあるので、生育期といっても与えすぎにならないようにしましょう。

病害虫に侵された場合は基本的に殺虫剤や殺菌剤(病気用の農薬)を散布します。ただ農薬をかけると白い粉が取れてしまうので、できれば土に撒き根から吸収するタイプの浸透移行性殺虫剤を事前に撒いておきましょう。

また根腐れや茎腐れが起こった場合は、元気な所だけを残して助けますが、茎まで及んでいる場合は助からないこともあります。

カンテ・ラウイによくあるトラブル

  • 花が咲かない・・・カンテはある程度大きくならないと花を付けません。ラウイは種まきから3年以上で花を咲かせることができますが、株が充実していないと花芽はつきません。そのためには生育期にしっかり日に当て、水も適度に多く与えることが大切です。
  • 下葉が枯れる・・・下葉が枯れるのはある程度は仕方ないこと(生理現象)ですが、あまりにも枯れて茎だけ長く伸びてしまう場合は、根詰まりしている可能性があります。植え替え(苗を抜き出して根を整理する)の必要があります。
品種ごとの育て方
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