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月の王子(オウレイ)と銘月の育て方

よく似た種類である、セダム属の「月の王子(黄麗=オウレイ)」と「銘月(メイゲツ)」の育て方を解説しています。写真も併せてご覧ください。

写真

銘月銘月 黄麗黄麗(オウレイ)

月の王子(黄麗)・銘月の特徴

ベンケイソウ科
セダム属
学名 月の王子(黄麗):Sedum cv.
銘月:Sedum adolphii
生育型 春秋型
育てやすさ 育てやすい
成長速度 遅い
殖やし方 挿し木〇、葉挿し△、株分け〇
原産地

※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い

月の王子・銘月はこんな多肉植物
月の王子と銘月の違いは?
どちらもセダム属の葉が硬い種類で、見た目や特徴、育て方がよく似ています。学名は銘月がSedum adolphiで、月の王子がSedum cv.(園芸品種)とされ、正確な所は分からないのですが、「Sedum adolphi ‘Golden Glow’」であるという情報もあり、どちらも近い種類の可能性があると分かります。

特徴
どちらも葉が硬く、つるっとしており、万年草のようにやわらかくしなっとした草というイメージではないです。セダムにしては生長が遅く、一年間で出る葉の枚数も少なく、パキフィツムと同じくらい遅いのではないかと感じます。見た目は月の王子のほうが黄緑っぽく葉が小さめ、銘月はオレンジがかっており葉のサイズが大きく平べった目です。紅葉種で寒い季節に日に当てると黄色、オレンジ色が濃くなります。

育て方
育て方は簡単で4段階評価のうち一番育てやすいです。春秋によく生育する「春秋型」として育てます。どちらも生長が遅いので、大量の水やりや肥料は不要です。日光に良く当てる必要がありますが、真夏は30%~50%程度遮光した方がよいようです。また少々の日光不足には強く、他のセダム属より徒長しづらいです。冬は1℃まで耐えられます。

育て方のコツ

  • 春と秋は生育期なのでよく日に当て水やりもする
  • セダムの中では生長が遅いので水やりを少なめに
  • 真夏は30%~50%遮光する
  • 冬は1℃以下になる日だけ室内に入れる

年間栽培カレンダー

生育型 春秋型
生育期 3~6月と9~11月
休眠期 12~2月
緩慢な時期 7~8月
水やり
  • 3~6月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(1週間に1回程度)
  • 7~8月は鉢全体が濡れる程度を月に2回程度
  • 9~11月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(1週間に1回程度)
  • 12~2月は鉢の半分を濡らす程度を月に1回
置き場所
  • 年間を通して雨の当たらない風通しのよい所に
  • 3~5月は直射日光の当たる屋外
  • 6~8月は明るい日陰(30%~50%遮光)
  • 9~11月は直射日光のあたる屋外
  • 12~2月は雨の当たらない屋外、5℃以下の場合は日当たりの良い窓辺に
植え替え
  • 3~5月頃、9~10月が適期
殖やす
  • 3~6月頃、9~10月頃に葉挿し△、挿し木〇、株分け〇
肥料
  • 植え付け時に緩効性肥料または、3~5月頃と9~10月頃に月2回液肥を与える
開花
  • 不明

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育て方のポイント

水やり

水やり普通の植物と比べて水やりの量は少量でよいのはもちろんですが、割と多く与えるセダム属の中でも少なめでよいです。セダム属というと草花に近くたくさんの水やりが必要と思われがちですが、黄麗(月の王子)と銘月(メイゲツ)は生長速度がゆっくりなので、通常の多肉植物のような扱いです。そのため1ヶ月水をやらなくても枯れず、シワがよっても水をやればすぐに回復します。

基本的に土がカラカラに乾いてから数日たって水やりします。梅雨時などで土の乾きが悪い時は、無理に水やりしません。

具体的には以下のような目安です。生育期の3~6月は土が乾いたら鉢底から流れるまで、1週間に1回程度与えます。7~8月は鉢全体が濡れる程度を月に2回程度に減らします。再び生育期の9~11月は土が乾いたら鉢底から流れるまで、1週間に1回程度)与えます。休眠期の12~2月は鉢の半分を濡らす程度を月に1回に減らします。

セダム属の虹の玉やオーロラは水のやり過ぎですぐ徒長しますが、黄麗や銘月はそこまでヒョロヒョロにはなりません。そのためそれほど水やりに神経質にならなくて済みます。

置き場

置き場セダムですが、雨ざらしにはせず雨よけのある、風通しの良いところで育てましょう。特に梅雨時は集中豪雨などで根腐れすることがあるので、必ず簡易ビニール温室など雨のかからない所に置きましょう。

セダム属は日光に良く当てることが大切です。ただ真夏の日差しは強すぎることがあるので、季節ごとに以下のような所に移動させましょう。

3~5月は直射日光の当たる屋外でしっかり日光を当てて育てます。6~8月は葉焼けや日焼けの防止のため、明るい日陰か30%~50%程度の遮光ネットを張ったところに置きます。9~11月は直射日光のあたるところに戻し、引き続き12~2月も日なたに置きますが、1℃以下になる日のみ室内に入れます。

徒長はしにくい
他のセダムのよりやや耐陰性があり、少し薄暗いところに置いていても徒長しづらいです。しかし長い間日陰に置いていると葉と葉の間隔が延びてひょろ長くなる「徒長」を起こしますので、春・秋・冬はできるだけ日に当てましょう。

耐暑性と最高気温・夏越しの方法

夏越し夏の暑さには強いほうです。

福岡県の実測値で、簡易ビニール温室に入れて遮光しているとき40~45℃を観測しましたが、問題なく耐えています。しかしこれは日陰の場合で、直射日光が当たる所だと、葉が焦げてしまう可能性があります。そのため遮光ネットを張ったり、半日陰の所に置くとよいです。

日本の夏は年々猛暑が厳しくなり、暑さに強いとされるセダム属にも育ちにくい環境になっています。注意すべきポイントは温度と直射日光です。

炎天下で遮光ネットを使うと、直射日光を弱めることができるほか、庫内の温度を下げることもできます。植物が影になるようなちょうどよい軒下や木陰などがない場合は、必ず使うようにしましょう。

越冬最低温度と冬越し方法

冬越し冬の寒さにも強く最低越冬温度1℃を耐えることができます。

実際の計測で1℃を数時間は耐えています。ただ長時間0℃にさらした場合の影響は不明です。毎日最低気温がマイナスになる寒冷地では、室内への取り込みは必須です。その場合でも昼間もし3℃以上あるのであれば、戸外に出して日光に当てるのが望ましいです。

室内に入れる場合
室内に置く場合はなるべく日が当たる所を選びましょう。一日を通して4時間以上日が当たる所でないと越冬は難しいです。(間延びして軟弱な株になってしまいます。)また戸外では簡易ビニール温室を使う方も多いと思いますが、簡易ビニール温室は保温効果はないため、外気温と同じになると考えたほうがよいでしょう。

増やし方

殖やし方月の王子(オウレイ)、銘月は挿し木、株分けで増やすことができます。葉挿しはやや難しいですが、不可能ではありません。

増やすのには適切な時期があり、それは生育が盛んな生育期の3~6月、9~10月です。真冬や真夏は茎が腐ったり根が出なかったりと失敗しやすいです。特に黄麗や銘月は繁殖スピードがゆっくりなので、季節が来たらすぐに取りかかったほうがよいです。

挿し木の方法:

挿し木は親株から茎を切り取って、茎1本から増やしていく方法です。

通常繁殖適期に5cm程度の茎を切り取り、根が出るよう下の方についている葉を落とします。このもぎ口から根が出る場合が多いです。茎を切り取ったら切り口を3~4日乾かしてから乾いた土に挿します。

湿った土しかない場合は、さらに数日待ってから挿します。発根まで3週間はかかるので気長に待ちましょう。ここまでは明るい日陰や室内の窓辺などに置き、直射日光に当てないようにします。

3週間程度経ったら少量から水やりを開始します。1.5ヶ月ほどたったらしっかり根が伸びているので、日なた(元の置き場所)に出して構いません。

株分けの方法:

株分けは地面の近くから子株が出てきた場合にそれを取り外して別に植え付けることをいいます。

また剪定した茎から新芽が出てきた場合は、新芽がある程度大きくなってからカットし、挿し木の手順で増やすこともできます。株分けは植え替えと同時に行うことが多いですが、同じように繁殖・植え替えの適期に行います。植え替えの手順の途中で子株を手で分けて別の容器に植え付けます。

植え替え

植え替えは鉢植えしている植物に必ず行う作業で、鉢を大きくしたり土を新しくしたり、根のメンテナンスを行ったりすることをいいます。

植え替えも適期があり、繁殖と同様に生育の盛んな3~5月、9~10月に行います。真冬や真夏に行うと、根が伸びなくて困ってしまいます。黄麗・銘月は成長が遅いので頻繁な植え替えは必要ありませんが、1年に1回程度を目安に行うとよいでしょう。

作業手順
植え替えを行う前は数日水をやらずに土を乾かしておきます。鉢から苗を抜き取って土を丁寧に崩します。茶色い根は枯れているのでカットし、下3分の1は切り捨てて構いません。

また、土を新しいものに交換します。このとき土に少なめの肥料を混ぜ込んでもよいです。植え替えを行ったらすぐに水を与えず、3~4日経ってから行うようにします。また1~2週間程度は株が弱っているので半日陰で過ごさせます。

土と鉢

土土は水はけと通気が良いものを選びます。通常、多肉植物・サボテンの培養土ととして販売されているものを使います。ホームセンターやネット通販(アマゾンなど)で売られているもので構いません。サイズも小さいものは2L、5Lなどがありますので、必要な量を買うことができます。

普通の野菜や花を育てる土が家庭にある方もいると思いますが、通常の培養土は多肉植物にとっては通気と水はけが悪く、肥料も多く含んでいるので残念ながら適していません。

もちろん自分で多肉植物用の土を配合しているという場合は、そちらで構いません。赤玉土をベースに腐葉土やパーライト、バーミキュライト、鹿沼土、日向土などを3種類以上混ぜ合わせ、性質を調節して用い、底には鉢底石を敷くと良いです。

鉢の種類
適切な鉢を選ぶことも、オウレイ・メイゲツを育てる上で重要です。鉢には陶器の鉢とプラスチック鉢がありますが、初心者の場合は扱いが簡単なプラスチック鉢がおすすめです。

大きさは苗をいれて鉢との間隔に指が1本入るぐらいの、ちょうどよい大きさのものを選びます。比較的小さな苗であれば、プレステラというプラスチックの鉢が使いやすいです。これはホームセンターやアマゾン、メルカリなどで入手できます。

肥料

肥料鉢で栽培するためには、適切に肥料を与える必要があります。それは、自然界では微量要素が自然に補われますが、鉢では水やりと共に流れ出てゆく一方だからです。

といっても多肉植物なのでそれほどたくさんの肥料は必要としません。量的には通常の草花の3分の1程度で充分です。与えすぎるとひょろ長く伸びてしまったり、肥料焼けというトラブルを起こすことがあるため、与えすぎには注意が必要です。

与え方は、土を入れ替えるときに土に緩効性肥料を混ぜるか、植え替えしないで育てる場合は生育期に液肥を与えます。小粒の緩効性化成肥料を土にばらまいても良いです。

具体的には緩効性の化成肥料ではマグアンプKが、液肥ではハイポネックスがよく使われます。

病害虫

病害虫セダムは病気にかかったり害虫がついたりしやすいですが、その中ではオウレイ・メイゲツは被害が少ないほうです。病気はほとんど心配なく、害虫もあまりつきません。

病害虫の被害に遇った場合は、うどんこ病などのカビが原因の病気、アオムシやアブラムシなどの害虫に効果がある、オルトランCスプレーやベニカXファインスプレーなどが手軽です。

薄めて容器に詰めてあるので、そのまま使うことができます。カイガラムシが付いた場合は、カイガラムシ専用の殺虫剤を使うか、綿棒や爪楊子などでこすり取ります。

品種ごとの育て方
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