目次
フリチア属の写真
フリチアの種まき | ||
光玉 | 原生地の光玉 | |
菊光玉 |
※2段目以降の画像は全てWikipediaより引用しています。
フリチア属(Frithia)の特徴
科 | ツルナ科 |
属 | フリチア属(Frithia) |
生育型 | 春秋型 |
育てやすさ | やや難しい |
成長速度 | とても遅い |
増やし方 | 種まき、株分け |
原産地 | 南アフリカ |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
1属1種、光玉のみ?
フリチア属はメセン科のひとつです。フェネストラリア属の五十鈴玉や群玉と似ていてよく間違えられます。しかしフリチア属は別グループの多肉植物で性質も異なります。フリチア属は「光玉(こうぎょく)」のみの1属1種といわれていますが、図鑑を見てみると「光玉、菊光玉、光玉錦」の3品種があるようです。
フリチアは珍しい春秋型メセン、フェネストラリアとの違いは?
フリチアは夏に生育する珍しいメセン類です。原生地の環境はフェネストラリア属と逆のようで、フリチアは春秋種です。春から夏~秋にかけてよく生育し冬に休眠します。原生地の夏は雨が降り蒸し暑い環境で、日本の夏にも負けずによく育ちます。一方フェネストラリアは冬型で涼しい季節が生育期で、フリチアのような環境に置いていると腐ってしまいます。開花時期も異なり、見た目も少し違いがあり、窓がフェネストラリアのように半透明ではありません。
育て方のコツ
- 通年雨ざらしにせず日当たりのよい所に置く
- 春秋種なので冬型と間違わないように気をつける
- 強めの日光を好み、日照不足で生育が悪くなる
- 休眠期の冬は5℃以上を保つ
年間栽培カレンダー
型 | 春秋型 |
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生育期 | 3~10月 |
休眠期 | 1~2月 |
緩慢期 | 8月 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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※栽培カレンダーはあくまでも目安です。実際は土や鉢の種類、地域によって大きく異なります。
主な種類名
光玉(コウギョク) | Frithia pulchara |
光玉錦(コウギョクニシキ) | Frithia pulchara variegated |
菊光玉(キクコウギョク) | Frithia humilis |
多肉植物の日本での栽培は自生地の環境と異なります。そのため日本の寒さや暑さに耐えられなくなると生育が鈍ったり成長が止まったりします。その時期のことを「休眠」といいます。時期は種類によって異なり、夏に休眠するタイプと冬に休眠するタイプがあります。休眠期は生育が鈍るので肥料や水やりを控え、挿し木や株分けなど株へ負担をかける作業を控えます。
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育て方のポイント
水やり
他のメセン類は夏は水やり厳禁で乾燥気味に育てることが多いですが、フリチア属はそうではありません。原生地の気候は夏に集中的に雨が降り気温が高くなります。そのため日本の夏でも、水やりも普通に行い、遮光もほとんどせずに育てます。また耐寒性もそれなりにあるので、冬に完全な断水をする必要はなく、少量なら与えてもよいです。
春秋型なので生育期の春秋はたっぷりの水を与え、休眠期は少量にするのが基本です。また鉢や土の種類によって大きな差が出るので、水やりは週1回などと決めず、よく観察し乾き具合をみて、乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり与えるのが基本です。
目安は、休眠から覚めた3~4月は生育期に向けてだんだん水やりを増やします。5~6月も元気に育つので水やりもやや増やします。7~9月は猛暑のため、若干水やりを減らし気味にします。秋の10月にはよく生育するのでたっぷり与えますが、11~12月は休眠に備えて徐々に少なくしていきます。1~2月は休眠期で断水か月1回少量を与えるにとどめます。
置き場
他のメセン類と異なる所がいくつかあります。まず高温多湿に強めなので、日本の夏にも元気に生育します。遮光も弱くでよく(30%程度)、基本は直射日光に当てて育てます。むしろ日陰などに置いておく徒長してしまいます。ただ蒸れさせるのはよくないので、常に通風がある自然環境と同じように、風通しがよい環境を好みます。
具体的には年間を通して雨の当たらない風通しのよい所に置くのを基本として、4~6月は直射日光の当たる屋外に置きます。7~8月は葉焼け防止に少し遮光します(30%)。9~10月は直射日光のあたる屋外に置き、11~3月も外に置きますが、5℃以下になってしまう場合は、日当たりの良い室内に取り込む必要があります。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
メセン類の中では暑さに強いほうで、猛暑の7~8月以外は遮光なしで育てられます。遮光ネットをかけているとやや通気が悪くなるので、風通しに気をつけます。黒い遮光ネットは熱を吸収して多肉棚を熱くしてしまうので、できれば銀色(シルバー)がよいです。リトープスやコノフィツム、フェネストラリア冬型メセンが断水する中、フリチアは生育を続け水やりも続けます。春秋型ですので猛暑の7~8月は乾かし気味にします。
越冬最低温度と冬越し方法
最低越冬温度は5℃程度、冬の寒さにはそれほど強くないため霜が降りる地域や寒波の際は、室内に取り込む必要があります。(春秋型に近い夏型なので主に15~30℃を至適温度の目安にします。)
寒冷地では月単位で室内に取り込むので日光不足の問題が起こります。最低1日半日直射日光が当たる窓辺に置きたいですが、無理な場合は水やりをごく控えてしのぎます。
簡易ビニール温室は寒風や雪から植物を守ってくれますが、保温効果はあまり期待できません。また簡易ビニール温室は昼間非常に高温になることがあるので、前面のビニールを開けるなど対処します。
増やし方
フリチア属は種まきか株分けで増やすことができます。葉挿しはできません。大きくなった株は根がついたまま分割できるようになり、それぞれを別の鉢に植え付けることで株分けができます。株分け時は水やりを数日控えて土を乾かしてから行います。
適期は生育期の3~5月と9~10月頃で、真夏や冬の寒い時期は避けましょう。
以下のページでは、フリチア「光玉」の実生方法と栽培記録を掲載しています。
植え替え
通常植え替えをする時に株分けを一緒に済ませてしまいます。植え替えは株分けと同じく、生育期の3~5月と9~10月頃が適期で、真夏や冬の寒い時期は避けます。生育期に入る3~5月が一番安全です。手順は株分けと同じで、土を乾かした後に鉢から抜き出して周りの土をざっくり落とします。古い根を整理したり枯れた葉を取り除いて、根を付けて分けられる場合は株分けも兼ねます。その後緩効性肥料をひとつまみ加えた新しい用土に植え付けて、数日後から水やりを開始します。植え替え後、1週間程度は半日陰のところで管理します。
植え替え作業には古い根を整理して新しい根を伸ばせるようにしたり、土を新しくして肥料を補う、みじんを取り除くなどの効果があります。小さい株は1年に1回、大きい株は1~2年に1回植え替えましょう。
土と鉢
土は他のメセン類と同じく水はけがよく通気性のよいものを用意しましょう。市販している多肉植物・サボテンの土を使ったり、自分でブレンドしてもよいです。
自分で作る場合は、赤玉土や鹿沼土の基本用土に改良用土(バーミキュライトやピートモス)などを混ぜ合わせて作ります。ポイントはなるべく4種類以上の土を使うことです。土には酸性度や通気性などそれぞれ特徴があるので、バランスを整えるためには1種類より複数種類のほうがよいです。
またメセン類はごぼう根(直根、太根)のものが多いが、フリチアは細根タイプなので土を配合する際は注意が必要です。
(例)赤玉土1:腐葉土1:鹿沼土1
(例)赤玉土3:ピートモス3:ボラ土2:鹿沼土1:川砂1:くん炭1
鉢はその苗にちょうど良い大きさのものに植える。大きすぎる鉢は下の方に古い水が溜まり、根腐れや通気不足の原因になってしまう。
鉢はプラスチック鉢と陶器の鉢がありますが、それぞれ性質が大きく違い、水はけ、水やり頻度や株の育ち方に差が出ます。陶器の鉢はすぐ乾き、鉢を冷やす作用もありやや扱いが難しいので、初めて育てる場合は管理しやすい小型のプラスチック鉢(プレステラ90など)がおすすめです。
肥料
基本的に普通の植物のような大量の肥料は不要です。しかし無機質の用土を使っていると微量要素が不足したり、水はけがよくて肥料がすぐ流れてしまうなどの問題があるので、元気に育てていくには与えたほうがよいです。しかし量は普通の植物の3分の1程度で充分です。
肥料を与える場合は生育期の一番盛んな3~5月に月1回液肥を与えるか、植え替え時に小粒の緩効性肥料を土に混ぜ込みます。液肥で与える場合は1000~2000倍程度に薄めて与えます。具体的には緩効性肥料はマグアンプKなど、液肥は2000倍のハイポネックスなどがよく使われます。
液肥は少し与えるのではなく、1回の水やりの代わりとして鉢底から流れるまで与えます。緩効性肥料は微粒のサイズでN-P-Kが8-8-8のものや、マグアンプKのようなN-P-Kが6-40-6などを土に混ぜ込んで、だんだん溶けるようにします。
与えすぎると肥料やけや徒長を起こさすので、やりすぎに気をつけましょう。
病害虫
特に心配はいりません。